弁護士コラム

土地を分割する場合も正常価格にならない

[投稿日] 2019年02月26日 [最終更新日] 2019年02月26日

先のコラムでは、

「隣の土地は倍額を払ってでも買え」と言われることがあるように、

土地の所有者が隣接地を購入する場合には、

全くの第三者がその土地を購入する場合よりも価格が高くなり

これを限定価格と言うという話をしました。

 

実は、このような土地の併合の場合だけでなく、

土地の分割の場合も限定価格になるんです。

 

不動産鑑定評価基準では、

限定価格とは、市場性を有する不動産について、

不動産と取得する他の不動産との併合又は

不動産の一部を取得する際の分割等に基づき

正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値

と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における

取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。」

とされていますが、

この下線部の「不動産の一部を取得する際の分割」の場合になります。

 

不動産鑑定評価基準における例示では、

経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買に関連する場合」

を提示しています。

 

たとえば、ある土地の一部を分割して取得しようとする場合には、

分割後に残る土地(残地)の利用効率が低下して

価値が下がることがあります。

 

よくあるのが道路拡張のための用地買収です。

道路拡張のためには、その道路に接している土地の一部を

道路拡張者である自治体が買う必要があります。

このとき、

買収する土地の一部は、

道路を拡張するという目的のためだけに買収するので、

形状とかは、細長く、通常、その部分だけでは、

建物などを建てるには面積が小さい土地のことが多いです。

すなわち、買収する部分だけで見ると、使い勝手の悪い、

細長い小さな土地ということになるので、

ちゃんとした建物を建てられる形状と面積を持った土地に比べると

安く査定されても仕方がないはずのものです。

 

しかし、通常は、

買収する部分の形が悪くて、面積も狭いから

安い価格で売ってよねというようにはなりません。

1㎡当たりの単価(1坪当たりの単価)からすると、

ちゃんとした形状と面積の土地と同等の価格で買収しています。

 

これは要するに、

土地の一部を買収された後の残地

買収された部分だけ面積が小さくなりますし、

奥行の長さも短くなってしまい、

1㎡当たり(1坪当たり)の単価が減価してしまうので、

その減価分も考慮して買収するようになっているからです。

 

ある土地の一部を分割して取得しようとする場合

残地の利用効率が低下して減価が生じてしまうことになるときには、

土地を分割される所有者は、残地の減価分の補償を受けないと、

その土地を分割して売ろうとはしません。

 

そのため、

このような場合に、土地を分割して取得しようとする者は、

残地の減価分の補償を上乗せした価格を払って

買わざるを得ないことになります。

 

この場合、

分割された土地の価格は、市場価値を乖離して、

残地の減価分を補填できる者に市場が限定されることとなり、

この減価分の補填相当を上乗せした価格

経済合理性に反する不動産の分割を前提とした売買における価格です。

 

なので、土地を併合する場合だけでなく、

土地を分割する場合にも限定価格になる場合があるということになります。

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梅村 正和 弁護士

取扱分野
不動産・建築 相続

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