弁護士コラム

不動産所有者が行う事業方式(その3の5:権利調整 - 物納対策)

[投稿日] 2020年05月13日 [最終更新日] 2020年05月13日

1 物納とは、一般に、相続税の納税を金銭以外の他の資産で納付することです。

  地主にとって、貸宅地のままで相続が発生すると、相続税評価額を基準に、その底地の割合で評価されますが、

 貸宅地は、収益性が低いため、時価そのものは、かなり低いのが通常で、借地人がいるために簡単に換金もできませんから、

 貸宅地は、地主には、流動性の乏しい資産ということになります。

  そのために、物納は貸宅地をそのままで最も高く処分できる方法ということになります(実際の時価は低いのに、課税上の評価が高い

 ため)。

 

2 物納制度

(1)物納制度とは

   国税は、金銭での納付が原則です。ただ、相続税に限っては、金銭での納付が困難なときに(延納の場合も含む)、

  一定の相続財産での納付が認められています。これが物納制度です。

   物納制度では、物納に充てることができる財産が順位づけられています。以下のとおりです。

 ア 第1順位

   ① 国債、地方債、不動産、船舶、上場されている株式、社債、証券投資信託等の受託証券や投資証券等

    及び上場されていない投資法人の投資証券等

   ② 不動産及び上場株式のうち物納劣後財産(質権その他の担保権の目的になっている株式など)

 イ 第2順位

   ③ 非上場の社債、株式、証券投資信託又は貸付信託の受益証券

   ④ 非上場株式のうち物納劣後財産

 ウ 第3順位

   ⑤ 動産

(2)物納制度の主な内容

   平成18年度に相続税法が改正されて大幅な見直しがされました。

  ア 物納許可基準の明確化

    物納不適格財産の明確化物納劣後財産の規程の新設

  イ 物納手続の明確化

    物納申請に必要な提出書類が明確に規定されました。

  ウ 特定物納制度の新設

    延納から物納への変更を容認。

  エ 物納要件の厳格化

  (ア)物納期限の設定

     納期から1年以内に物納に必要な書類を調えられない場合は、理由の如何を問わず、物納を取り下げたものとされる。

  (イ)物納にも利子税が課税

     従来は、物納が許可されれば、収納までに何年かかっても利子は課税されませんでした。

  (ウ)金銭による納付困難要件の厳格化

     金銭納付を困難とする理由書の提出義務が定められました。被相続人(亡くなった人)の財産だけでなく、相続人が

    所有している現金や預金も対象になりました。

 

3 物納不適格財産の例

  境界が確定していない土地

  貸主に著しく不利な契約条件の不動産

  賃料が著しく低廉な条件で貸し付けている不動産

  共有不動産(共有者全員が申請する場合を除く)

  敷金・保証金など預り金が存在する不動産

  耐用年数を経過している建物

  などです。

 

4 物納劣後財産の例

  違反建築の建物及びその敷地

  現に納税義務者の居住用又は事業用に供されている建物及びその敷地

  建築基準法上の道路に2m以上接していない土地

  法令の規定により建物の建築ができない土地

  などです。

    

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梅村 正和 弁護士

取扱分野
不動産・建築 相続

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