
生きてるかぎり全員「消費者」。無知ではキケンな消費者問題
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ルールによって守られている消費者の様々な権利
毎日の生活の中で、消費者トラブルに巻き込まれる可能性は避けがたいものです。注意していても、悪徳業者の被害などに遭うこともあります。
ただ、消費者トラブルに巻き込まれたとしても、いろいろな消費者の権利が認められており、これによって守られる利益があります。代金をだまし取られても、返金を受けることができるケースも多いので、あきらめることはありません。
そこで、以下ではまず、消費者に認められるさまざまな権利や消費者を守るためのルールなどについて解説します。
消費者トラブルが起こる原因として、誇大広告の事例が多いです。誇大広告とは、実情よりも大げさに広告することによって消費者の目を引いて契約をさせるための広告です。
たとえば、「この商品を使ったら、みるみる皮膚がすべすべになります!」などという表現がなされていても、実際にはそうならないこともあります。「今だけ、期間限定の30%割引」などと表示されていても、その割引価格がずっと適用され続けているケースなどもあります(実際には期間限定になっていないということです)。
このような広告を信じて消費者が商品を購入したり契約したりしてしまうと、広告とは異なる結果となるので消費者が被害を受けます。
そこで、このような誇大広告は、景品表示法という法律によって禁じられています。景品表示法に違反すると、行政による指導が行われたり刑事的な罰則があったりします。
消費者が誇大広告にだまされないように、法律が規制してくれているということです。
消費者が誇大広告の被害に遭ったら、詐欺取消や錯誤無効を主張するなどして代金支払いを免れることなども可能です。
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マンションの宣伝文句にだまされた!
消費者が消費者トラブルに巻き込まれた場合には、クーリングオフが有効な対処方法となります。クーリングオフは、消費者に認められる、申込の撤回や契約の無条件解除をする権利のことです。
クーリングオフが認められる契約には類型があり、多くは特定商取引法に規定があります。
たとえば訪問販売などによって突然契約をすすめられたために、消費者が冷静になって考える暇がないまま契約してしまうことがありますが、このような場合、消費者が後から考えてみると、契約を取り消したいと考えることも多いです。そこで、契約後一定期間は消費者が冷静になって判断する期間をもうけて、その間には申込を撤回したり、契約の解除ができたりするようにしたのです。
また、クレジット会社が介在する取引や、内職商法など、業者からの説明によっては、簡単に全体が理解しにくいタイプの契約もあります。このようなケースでも、消費者が後からしっかり考えて本当に契約をすべきかどうかを判断する時間を与える必要があるので、クーリングオフが認められます。
訪問販売やエステなどの契約をしてしまって、後になって「やっぱりやめておけばよかった」と思った場合には、クーリングオフ制度によって守られるので、早めにクーリングオフ通知を送りましょう。
契約の解除クーリングオフには期間の制限があります。具体的には、法定書面の交付後8日以内や20日以内にクーリングオフ通知書を送らないと、解約ができなくなります。しかし、このような期間はすぐに過ぎてしまうものです。
このように、クーリングオフができなくなったら、もはや契約通りに代金を支払うしかないのかが問題ですが、実は、そのようなことはありません。クーリングオフができなくても、消費者には契約の解除権があります。
契約の解除ができるのは、契約相手が義務の履行をしないケースです。義務の履行をしないということは、契約通りの履行をしてくれないという意味なので、どのような内容のものであっても商品さえ渡せば良いということにはなりません。不良品を渡されても相手は義務を履行したとは言えないので、消費者は、契約の解除をすることができます。
また、業者が商品をなかなか渡さなかったりサービスを提供してくれなかったりして、義務の履行を遅延している場合にも消費者は解除をすることができます。
解除をすると、契約ははじめからなかったことになりますので、代金を支払っていた場合には、返金を求めることができます。もし商品を受け取っていたら、返品することになります。
商品の交換を求める商品を購入したり、サービスを受けたりする契約を締結した場合、契約内容通りの商品が渡されなかったりサービスを受けられなかったりすることがあります。この場合、いきなり解除をするのではなく、代わりの商品を求めたり、契約通りのサービスを求めたりすることができます。たとえば語学教室に通うことになって、外国人講師の授業が受けられるはずだったのに、日本人講師のクラスに割り当てられてしまったら、外国人講師のクラスに移してもらうよう要求することができます。
いったん契約関係になったら、相手は契約通りの債務を履行する義務を負います。不良品を手渡したり、不良なサービスを提供したりしても、相手は義務を履行したことにならず、債務が残ったままになります。そこで、消費者は、相手業者に対して契約にもとづいて内容通りの義務を履行することを求めることができます。
契約の解除や取り消しよりも、きちんと内容通りの履行をしてもらいたい場合には、このような選択も可能です。
契約の取り消し商品購入やサービス利用の契約をする場合、相手業者から騙されることがあります。たとえば、「この教材を使って副業を始めたら必ずもうかる」と言われて高額な商品を購入させられるケースもありますし、「最高級の羽毛布団セット」と言われて購入したら、単なる安布団であったなどということもあります。
このように、相手方の詐欺行為によって契約してしまった場合には、詐欺取り消しをすることができます(民法95条)。詐欺取り消しは、民法によって認められる権利であり、クーリングオフとは異なります。期間も長く、取り消しができる状態になってから5年間の間、取消権を行使することが可能です。
契約の取り消しができるのは、詐欺の場合だけではなく強迫の場合も同じです。
たとえば、業者のキャッチセールスなどにあって、営業所や喫茶店などに連れ込まれて、契約するまで家に帰してもらえず、脅されて無理矢理契約させられた場合などには、強迫にもとづく取消権を行使して、契約をなかったことにしてもらうことができる可能性があります。
取消権を行使して契約がなかったことになったら、支払った代金を返金してもらうことができますし、代金をまだ支払っていない場合には、代金支払い義務がなくなるので、業者からの支払い請求が来ても、支払う必要はありません。
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エステ契約をクーリング・オフできる?
商品購入やサービス利用契約をする場合、相手からの積極的な詐欺行為がなくてもこちらが錯誤に陥ることがあります。
錯誤とは、勘違いのことです。契約の重要な要素について勘違い(錯誤)をしたまま契約をした場合には、その契約は無効となります(民法96条)。
契約が錯誤にもとづく場合には、消費者は錯誤無効を主張することができます。錯誤無効となった場合にも、契約ははじめからなかったことになるので、支払った代金があれば返金してもらうことができます。
また、商品の引き渡しを受けている場合には、その商品は返品する必要があります。
ただし、錯誤無効が問題になる場合、自分の側に重過失があると主張ができなくなるので注意が必要です。
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福袋を買ったが、中身が店員の説明と違いすぎる
消費者が業者と何らかの契約をした場合、相手業者の契約違反によって消費者が損害を受けることがあります。
たとえば、購入した商品が不良品だったため、事故が起こることなどがありますし、エステのサービスを受けている最中にやけどをさせられたり、皮膚の状態が悪化してしまったりするケースもあります。
このように、相手業者の行為によって損害を被った場合、相手に対して損害賠償請求をすることができます。相手が契約通りの商品を渡さないだけではなく、商品の引き渡しやサービス提供が遅れた場合にも、それによって発生した損害があれば、損害賠償請求は可能です。
契約当事者は、契約通りの債務の履行をする義務を負いますが、そのときに相手に対して損害を与えてはいけないことはもちろんですので、義務に反して損害を与えてしまったら、その損害について賠償をしないといけないのです。
ただし、この場合、相手の債務不履行によって発生したすべての損害賠償を請求できるとは限らないので注意が必要です。損害賠償ができる範囲は、相手の債務不履行によって通常発生すると考えられる範囲内のものが限度となります。
損害が発生したとしても、それが予測不可能なものであった場合などにはその損害賠償請求はできません。
たとえば、はしごを購入した場合などに、はしごが不良品であったために登っている最中にこわれて怪我をしたら損害賠償請求ができますが、はしごは不良品ではないけれども、使用者がはしごの上で曲芸やダンスをしたために、落ちて怪我をしたケースなどでは、業者に責任は認められないでしょう。
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幼稚園で子供がケガ。誰に損害賠償を請求できる?
旅行の際にもよく問題が起こります。旅行の日程が突然変更されたり、旅行中に事故が起こったりするケースなどもあります。
このように、旅行に関して問題が起こった場合、一定の限度で旅行業者に補償義務が発生します。このような責任は、旅行会社に特に責任がなくても発生するので、旅行会社が悪くないケースでも一定の補償は求めることができるということです。
旅行内容が変更された場合には、変更補償金の支払いを求めることができますし、旅行中に傷害事故などが起こったら、特別補償金の支払を求めることができます。
これらの補償金には限度がもうけられていますが、旅行会社に過失がある場合には、債務不履行による損害賠償責任を追及して、全額の補償を求めることもできます。
悪徳業者にだまされたり、業者が法律違反をしていたりする場合には、消費者は、相手業者に対してペナルティを与えることが可能です。
たとえば、誇大広告などの不当な広告をしている場合には、景品表示法違反となるので、監督官庁に告発をして取り締まってもらうことができます。
飲食店を利用した場合に、衛生状態が悪いケースなどでは、保健所に通告することなどができます。これらの行政庁への通告をすると、行政庁から対象業者に対して行政指導が行われて、たとえば業務停止などのペナルティが与えられたりします。このことによって、消費者が相手業者に対してプレッシャーを与えることが可能になります。
刑事告訴する相手業者が悪質で、詐欺罪などに該当する行為を行うケースがあります。このような場合、相手業者に対して刑事告訴をすることができます。
刑事告訴をする場合には、証拠を揃えて警察に持っていって手続をする必要がありますが、犯罪の証拠がそろっていたら、警察に相手業者を逮捕してもらうことなども可能になります。
刑事告訴をしたからと言って必ずしもお金が返ってくるとは限りませんが、このことがきっかけで相手業者の全貌が明らかになって、支払った代金の一部や全部の返金が受けられるようになるケースもあります。
以上のように、消費者トラブルに巻き込まれた場合でも、消費者にはいろいろな権利が認められていますし、消費者保護のための制度もあります。
自分でどのような手続をすれば良いのかわからないケースでは、消費生活センターや弁護士などに相談することもできます。
トラブルに遭ったら、あきらめずに対処方法を探すことが大切です。
消費者を守る制度 クーリングオフについて
消費者を守る重要な権利の1つにクーリングオフがあります。
クーリングオフとは、消費者が無条件で申込の撤回をしたり、契約の解除をしたりする権利のことです。
クーリングオフをすると、契約が初めからなかったことになるので、代金を支払わなくて良くなったり、まだ代金を支払っていない場合には支払い義務がなくなるので業者から督促を受けることがなくなったりして、とても助かります。
ただ、クーリングオフをするためには、いくつかの条件があります。どのような契約内容でもクーリングオフができるわけではありませんし、期間内に通知をする必要もあります。
クーリングオフが認められるのは、特に消費者保護の必要性が高いケースです。たとえば、訪問販売や電話勧誘などのケースでは、突然業者から勧誘を受けて契約をさせられるので、消費者が冷静になって契約内容を吟味することができないことが多いです。そこで、契約後一定期間の間はクーリングオフ期間を設けて、消費者に解除権を認める必要があります。
また、マルチ商法や、継続的なエステ契約、語学教室の契約などの場合にも、消費者にとって契約内容の理解が難しいので、契約後一定期間の猶予を与えて契約を吟味させて、必要があれば契約の取消権を認める必要があります。このように、特に消費者保護の必要性が高いケースでクーリングオフが認められやすいと覚えておくと良いでしょう。
以下では、クーリングオフ制度について、より具体的にご説明します。
クーリングオフをする場合、期間制限があることに注意が必要です。
クーリングオフができる期間は、法定書面の交付後8日か20日以内になっていることが多いです。
法定書面とは、特定商取引法によって、業者に交付が義務づけられている書面のことです。
法定書面には、以下のような内容を記載する必要があります。
業者について | 1.事業者の氏名・名称、住所・電話番号、法人代表者名 |
2.契約申込・締結を担当した者の氏名 | |
商品について | 3.商品名および商品の商標または製造者名 |
4.商品の型式・種類、権利・役務の種類 | |
5.商品の数量 | |
商品若しくは権利の代金について | 6.商品・権利の代金、役務の対価 |
7.代金・対価の支払方法・支払時期 | |
契約の履について | 8.商品の引渡時期・権利の移転時期・役務の提供時期 |
契約の申し込みの撤回、解除について | 9.クーリング・オフの要件と効果 |
1. 書面受領日から8日間(または20日間)は書面によって、申込の撤回や契約の解除ができること、その効力は書面を発した日に発生すること、違約金等を請求できないこと、既払金は速やかに返還することなどを、赤枠・赤字・8ポイント以上の活字で記載しなければならない(省令5条) 2. クーリング・オフが適用除外とされる指定品(乗用車)、使用・消費によってクーリング・オフできなくなる指定品(化粧品など)、クーリング・オフの適用が除外される3000円未満の現金取引について、事業者が、これを主張するためには、その旨が書面に記載されている必要がある(省令6条2・3・4項) |
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契約の申し込み(契約締結)日付について | 10.契約の申込み・締結の年月日 |
上記の10項目すべてが記載された書面が交付されていない限り、クーリングオフ期間は進行しないので、契約後何日、何ヶ月が経過していても、クーリングオフをすることが可能になります。
ただし、きちんと法定書面が交付されている場合、交付後8日や20日でクーリングオフをする権利がなくなります。そこで、クーリングオフをする場合には、早めに手続をすることが重要です。
クーリングオフは、どのようなケースでもできるわけではありません。そもそもクーリングオフ制度が適用されないケースもあります。
クーリングオフが適用される契約類型は特定商取引法などの法律によって規定されていますし、その場合の期間も法定されています。
そこで、以下では、クーリングオフができる場合を見てみましょう。
契約の種類 | クーリングオフできる期間 | 関係法令 |
訪問販売(キャッチセールスやアポイントメントセールスも含む) | 法定書面受領日から8日間 | 特定商取引に関する法律 9条 及び 9条の2 |
電話勧誘販売 | 法定書面受領日から8日間 | 特定商取引に関する法律 24条 |
連鎖販売取引(マルチ商法) | 法定書面受領日から20日間 | 特定商取引に関する法律 40条 |
特定継続的役務提供(エステや語学教室などの継続的なサービス提供の契約) | 法定書面受領日から8日間 | 特定商取引に関する法律 48条 |
業務提供誘引販売取引(副業のための商品や研修制度などの販売) | 法定書面受領日から20日間 | 特定商取引に関する法律 58条 |
個別信用購入あっせん(1つの商品やサービスの購入のためにするクレジット契約) | 法定受領日から8日間 | 割賦販売法 35条の3の10~12 |
預託取引契約(現物まがい商法) | 法定書面受領日から14日間 | 特定商品等の預託等取引契約に関する法律 8条 |
宅地建物取引(宅建業者が売主で事業所外の取引のケース) | 法定書面受領日から8日間 | 宅地建物取引業法 37条の2 |
ゴルフ会員権契約 | 法定書面受領日から8日間 | ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律 12条 |
投資顧問契約 | 法定書面受領日から10日間 | 金融商品取引法37条の6 |
保険契約(保険会社外での契約のケースのみ) | 法定書面受領日から8日間 | 保険業法 309条 |
上記のように、クーリングオフが適用される契約は、類型的に消費者保護の必要性が高い契約ばかりです。
法定書面交付後のクーリングオフ期間も、契約の種類によって多少異なるので注意が必要です。
さらに、クーリングオフが適用されそうでも、実は適用がないケースについても知っておく必要があります。
まず、商品購入のケースで、対象商品が消耗品の場合には、使用してしまった分についてはクーリングオフができません。消耗品とは、たとえば化粧品や健康食品等が典型例となります。これらの場合、未使用分のみの解除となります。
さらに、購入代金や契約代金が3,000円未満の契約の場合にも、クーリングオフは認められません。
よくある間違いが通信販売のケースです。
インターネット通販などではトラブルが多発しますが、通信販売の場合にはクーリングオフ制度は適用されないので注意が必要です。ただし、電話による通信販売が行われた場合には、電話勧誘取引となるので、クーリングオフの適用があります。
エステや語学教室、学習塾、パソコン教室などの場合には、原則的にはクーリングオフの適用がありますが、短期間の契約であったり少額の契約であったりすると、クーリングオフができません。
具体的には、まず契約期間の問題として、エステの場合には1ヶ月以内、語学教室・学習塾・家庭教師・パソコン教室・結婚サービスの場合には2ヶ月以内の短期契約ならクーリングオフできません。契約金額の問題として、これらの契約において金額が5万円以内の場合にもクーリングオフが認められません。
このように、クーリングができそうでもできない場合があるので、覚えておきましょう。
次に、クーリングオフの具体的な手続方法をご紹介します。
クーリングオフは、書面によって通知をする必要があります。クーリングオフを認めている特定商取引法自身が、「書面によって」申込の撤回または契約の解除を行う、と規定しているからです。
よって、たとえば、電話などで相手業者に対して「クーリングオフします。」と言っても、有効にクーリングオフをすることはできないので注意が必要です。
クーリングオフをする場合に利用する書面については、法律上特に制限がないので、どのような種類の通知書を方法でも一応有効になります。
しかし、普通郵便などでクーリングオフ通知を送ると、郵便が途中で紛失されてしまったり、相手業者が悪質な場合にはクーリングオフ通知を廃棄されてしまったりするおそれもあります。
そこで、クーリングオフ通知をする場合には、確実に証拠が残る方法で書面による通知を行う必要があります。
確実に証拠を残すためには、内容証明郵便という郵便を利用してクーリングオフ通知を送る方法が効果的ですので、次項以下で詳しくご説明します。
内容証明郵便とは、郵便局と差出人の手元に、相手に送ったものとまったく同じ内容の控えが残るタイプの郵便です。このことによって、送った内容が確実に証明されるので、内容証明郵便と言います。
内容証明郵便は、発送時に郵便局が発送日の日付の印を押してくれるため、確定日付も入ります。このことによって、いつ発送したのかが明らかになります。
さらに、内容証明には、配達証明というサービスをつけることができます。配達証明とは、相手方に内容証明郵便が送達された際に、その日付を記載した証明書を郵便局が発行してくれるサービスのことです。内容証明郵便の発送時に配達証明を同時に依頼すると、後日郵便局から配達証明書が自宅に届きます。
内容証明郵便でクーリングオフ通知を送ると、いつどのような内容の通知書を相手に送ったのかが確実に証明できますし、配達証明をつければ、いつその郵便が相手に送達されたのかも明らかになります。そこで、相手から「そのような通知は受け取っていない」と言われるおそれがなくなります。
相手が郵便を廃棄して受け取っていないことにしようとしても、すでに配達されたことが証明されているので、そのようなことは不可能です。
さらに内容証明郵便は、ポスト投函による郵便ではなく送達先への手渡しの方法による郵便なので、普通郵便より紛失のリスクなども少ないです。このように、クーリングオフ通知をする場合、内容正目郵便を利用するとさまざまなメリットがあるので、クーリングオフをする場合には、必ず利用しましょう。
次に、内容証明郵便でクーリングオフ通知をする場合の書き方をご紹介します。
内容証明郵便には、利用する紙に特に制限はないので、通常のA4の用紙などを使うことができますし、パソコンなどで文書作成することもできます。
しかし、内容証明郵便は、書式が厳格に決まっているので注意が必要です。書式から外れると、郵便局で受け付けてもらえなくなってしまいます。
内容証明郵便の書式は、以下のとおりです。
縦書きの場合には、1行20字以内、1枚26行以内にする必要があります。
横書きの場合には、以下の3つの書式を選ぶことが可能です。
- 1行20字以内、1枚26行以内
- 1行13字以内、1枚40行以内
- 1行26字以内、1枚20行以内
上記はすべて「以内」ということなので、それより少ない文字数なら受け付けてもらえます。内容証明郵便の文字数のカウント方法は、少し複雑です。
。や、なども1字にカウントされますし、(1)は、1と〇の2文字になります。
これに対して、「」や()などのかっこは、1組で1文字とカウントされます。たとえば、(1)や(一)は2文字となります。
文字数オーバーになって受け付けてもらえないと書き直しになって面倒なので、文字数がどうなるのかわかりにくい場合や、オーバーしそうな場合には少なめに設定しておいた方が良いでしょう。
次に、具体的な内容証明郵便のクーリングオフの文例をご紹介します。
契約解除通知書
住所 〇〇県〇〇市〇〇
〇〇株式会社 御中
冠省 私は、御社との間で以下の内容の契約をしましたが、これについてはクーリングオフにより、解除いたします。
契約日:○年○月○日
商品名:○○○
数量:○○個
販売会社名:○○○
上記契約を、本書をもって解除しますので、その旨通知します。
つきましては、既に私が支払い済みの、金○○○円を速やかにご返金ください。
私が受け取った商品につきましては、代金返還後、速やかにお引き取りいただけますよう、重ねてお願いいたします。
草々
平成〇〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇
氏名 〇〇〇〇 印
上記はあくまで一例ですが、参考にすると良いでしょう。最低限、契約の特定ができていて、それを解除することが記載されていれば良いので、代金返還についての部分や商品返却についての部分は特に必須ではありません。
内容証明郵便を発送する場合には、取り扱いのある郵便局に通知書の原稿を持ち込むか、電子内容証明郵便サービスを利用してインターネット上から発送するかのどちらからの手続を利用することができます。
以上のように、クーリングオフは、消費者を保護するための重要な権利ですが、行使出来る場合とできない場合があるので注意が必要です。期間内に確実に内容証明郵便を利用して発送することが重要です。
商品・サービスの購入で起こりがちな問題
商品やサービスを購入する機会はとても多いです。日常的にも、毎日の買い物などがありますし、趣味のものなどを購入することがあるでしょう。エステや家庭教師などのサービスを申し込んで利用することもよくあります。
このように、商品やサービスを購入するケースでは、とてもたくさんのトラブルが起こる可能性があります。たとえば、購入した商品が不良品の場合もありますし、購入した商品の欠陥によって被害を受けることもあります。
相手が悪質業者で、騙されて高額な商品を購入させられることもあるでしょう。
さらに、近年では、ネットオークションやフリマなどが広く普及しているので、自分が販売者になることも多いですが、この場合も商品の購入者との間でトラブルが起こることがよくあります。
このように、商品を購入したり販売したりする場合には、注意しないといろいろな問題が起こってしまうので、トラブルを避けることが大切です。以下では、商品やサービスを購入する際にトラブルを避ける方法をご紹介します。
うまい話に注意する商品やサービスの購入のトラブルで多いのが、悪徳業者や問題のある業者にだまされるケースです。たとえば、実際には価値のないものを高額な値段で買わされるケースなどが典型的です。近年では、ネット通販などを利用して簡単に商品購入ができますが、購入した商品が不良品であったり広告内容と異なったりするケースなども多いです。
そこで、商品購入の際に悪徳業者に引っかからないためには、悪徳業者を見分ける方法を知っておく必要があります。
この場合、まずは、誇大広告がないかどうかをチェックしましょう。
誇大広告とは、客の目をひくために、実際よりも大げさに商品の効能や効果を表示したり、実際には特に消費者の有利にならないのに、消費者が有利になるかのように誤認させるような表示をしたりする場合です。
たとえば、「99%以上のケースでアトピー症状が改善する化粧品!」と書かれていたりすると、アトピーに悩んでいる人は、ついつい購入してみようかな、と思ってしまいます。
また、「あなただけに特別にセール価格で売ります」などと記載されたメールが送られてきたら、ついつい内容を見てしまいます。
しかし、このような広告がなされている商品やサービスは、たいていが怪しいと考えるべきです。アトピーが治る化粧品があるなら、アトピーの人はわざわざ皮膚科に通って辛抱強く治療をする必要などなくなるはずです。また、何もないのに自分だけにセール価格で売ってくれる理由も通常はないはずです。
また、ブランド品などが破格の安値で売られている場合などにも注意が必要です。このような業者から商品を購入すると、偽物をつかまされるケースがとても多いからです。
世の中には、そうそううまい話が転がっているものではないので、人の目を引くようなうまい話を持ちかけてこられた場合には、相手業者を疑ってみた方が良いでしょう。
商品を購入した場合、それが不良品である場合があります。このとき、その商品が不良品であることの証拠を残しておくことが大切です。とくに、購入した商品が、食品などの腐敗する性質を持つものであったり、長期保存に向かないものであったりするケースでは、購入当時の状態を記録しておく必要性が高いです。
たとえば、食品を通販で購入した場合などに、異物が混入していたり変質していたりするケースなどがありますが、この場合、すぐに証拠化しておかないと、食品が腐ってしまって証拠が残らなくなります。
不良品が送られてきたら、代金を返金してもらわないといけませんが、クレームを言っただけで業者がすんなりと返金に応じてくれるとは限らないので、商品が本当に不良品であることを証明するためには証拠をとっておく必要があります。
そこで、問題のある商品が送られてきたら、すぐに写真を撮りましょう。
問題のある部分がはっきり写るように、何枚か、いろいろな角度から撮影しておくと良いでしょう。もし、変質した商品を食べたことによって食中毒などの症状が出た場合には、病院に行って、医師に診断書を書いてもらうことが大切です。購入した商品が原因で損害が発生した場合には、損害賠償請求をすることができますが、そのためには損害が起こったことの証明が必要になるからです。
食中毒が起こったケースでは、食中毒にかかったことによって発生した治療費や慰謝料などを相手業者に請求することができます。
このように、問題のある商品が送られてきた場合には、まずは商品の様子を写真撮影して、損害が発生した場合には損害を証明する証拠をとった上で、相手業者に連絡を入れます。そして、証拠を提示して、代金の返金を求めたり、損害賠償請求をしたりすると良いでしょう。
商品を購入すると、契約後によく考えてみたら、そのような商品は要らなかったと考えることがあります。サービスの契約も同様で、たとえば語学教室に通うことにして数十万円の費用を払うことになったけれども、やっぱり辞めたいと思うことも多いです。
このような場合には、クーリングオフを利用して、契約を解除することができます。
クーリングオフは、消費者に認められる重要な権利であり、これを行使することによって多くの事例で消費者トラブルによる被害を防ぐことができます。
クーリングオフには権利行使期間があるので、契約を辞めたくなった場合には、とにかく早めに解除通知を送ることが大切です。
また、通信販売の場合など、クーリングオフの適用がない商品購入のケースもあるので、注意が必要です。
商品購入によってトラブルが起こらないようにするためには、商品の代金支払い方法に注意が必要です。
代金支払い方法としては、一括払いか分割払いかという問題がありますし、一括払いだとしても前払いか後払いか、クレジットカード払いかなどの問題があります。
分割払いの場合には、利息や手数料がかかることが多く、このことによって、本来の価格よりもかなり多額の費用がかかってしまいます。
このように手数料がかかることを利用して、支払方法を長期分割払いに設定することにより、あまり価値のないものを売りつけて高額な費用を回収しようとする悪質業者もいます。たとえば、30万円の宝石を購入した場合でも、支払方法について5年などに設定することによって、40万円以上の支払になってしまうケースもあります。
分割払いを利用する場合には、総額でいくらの支払になるのかについて正確に理解した上で、本当にそれだけの価値があるのかをしっかり検討する必要があります。
また、一括払いの場合、前払いにするのか後払いにするのかも大きな問題になります。
前払いにしてしまうと、代金を支払ったにもかかわらず、商品が送られてこないなどのトラブルが起こることが多いです。そこで、商品購入によるトラブルを避けたいなら、なるべく前払い方式は避ける方が無難です。
通信販売などを利用するケースでは、代金引換サービスを利用すると良いでしょう。
参考コンテンツ:
クレジットで購入した商品に欠陥が!支払請求は拒否できる?
商品の購入や販売でトラブルが起こる場合、自分が業者から購入するケースばかりとは限りません。近年では、ネットオークションやフリマなどが発達したために、個人相手の取引をすることがありますし、自分が商品の販売者になることもあります。
ネットオークションなどはとても便利ですが、悪徳業者がひそんでいることもありますし、相手が個人なのでお互いが取引に不慣れなため、トラブルが起こることも多いです。
ネットオークションを利用する場合にトラブルを避けるためには、相手がどのような人かをしっかり見極めることが重要です。オークションサイトには、今までに取引した人による評価がついているので、評価が高い人を選んで取引するようにしましょう。
また、ネットオークションやフリマなどを利用する場合には、相手と連絡を密にとることも大切です。
お互いが素人の場合、どうしても相手に対するサービス精神がないので、メールなどの返事を頻繁にしないことがあります。すると、相手にしてみたら、「連絡がつかなくなった」と感じて詐欺ではないかと疑われたりして、トラブルになることがあります。
そこで、ネットオークションなどを利用する場合には、相手から連絡があったらすぐに返信をして、代金支払いや商品発送はスムーズに行うことが大切です。
また、ネットオークションでは、受けとった商品にクレームをつけて、不良品を返品してくる詐欺などもありますので、商品を発送する前には、必ず商品の様子を写真撮影するなどして良好な状態であったことの証拠を残しておく必要もあります。
このような基本的な事項に注意していれば、ネットオークションにおける商品売買によってトラブルに遭う可能性を減らすことができます。
商品やサービスの購入の際には、注意していてもトラブルに巻き込まれるケースがあります。このとき、クーリングオフなどを利用しようとしても、具体的にどのような手続をとれば良いのかがわからないことがあります。
自分で対処方法がわからない場合には、消費生活センターや国民生活センターなどで消費者相談を受けることができます。また、弁護士に相談して対処方法を教えてもらうこともできます。
自分で対処していると、誤った判断によって被害が拡大してしまうおそれもあるので、トラブルが起こった場合には早めにこのような機関で相談をする方が良いでしょう。
このように、商品やサービス購入にはトラブルがつきものですが、正しい対処方法を知っていたら、さほど恐れる必要はありません。
飲食店で起こりがちな問題
日常生活の中で、飲食店を利用する事はとても多いです。
おいしい食事やお酒を楽しむことができれば良いですが、飲食店でもトラブルが起こることがとても多いです。
飲食店を利用する際には、予約をしてから利用することが多いですが、予約をキャンセルすると高額なキャンセル料を請求されることがあります。
また、店内でウエイターなどによって衣服を汚されるトラブルも多いですし、飲食店の評価をネット上のSNSなどに書き込むことが問題になってしまうこともあります。
飲食店利用に際してトラブルが起こってしまうと、せっかくの楽しい時間が台無しになってしまいますので、トラブルを避ける方法や、トラブルに遭った場合の対処方法を知っておく必要性があります。
以下では、飲食店でどのようなトラブルがあるのか、順番に見てみましょう。
飲食店を利用する場合、よく起こるトラブルが、キャンセル料にまつわる問題です。
高級レストランなどを利用する際には、予約が必要になるのが普通ですが、この場合、キャンセルするとキャンセル料がかかってしまうことが多いです。
予約日の3日前以降は50%、当日なら100%などのキャンセル料がかかってしまうこともよくあります。高級レストランの食事代は、1人数万円にもなることがあり、食事をいただいてもいないのに、100%のキャンセル料をとられるのは不当だと感じることが多いでしょう。
また、キャンセル料についての説明をきちんとしてくれなかったというトラブルもありがちです。
そこで、まずは、飲食店予約をキャンセルした場合のキャンセル料は支払う必要があるのか、ご説明します。
参考コンテンツ:
ホテルのキャンセル料
キャンセル料の説明があったケース
キャンセル料の説明があったケースでは、キャンセル料を支払う必要があります。この場合、予約時にキャンセル料の説明を受けて納得して予約をしているので、この時点でキャンセル料についての合意ができていると考えられるからです。
キャンセル料の説明がなかった(不明確であった)ケース
問題になるのが、キャンセル料についての説明がなかったり不明確であったりしたケースです。この場合、消費者は、キャンセル料について聞いていなかったので支払をしないと主張することが多いです。
しかし、この場合もキャンセル料そのものは発生する可能性が高いです。
飲食店の予約をする場合には、予約当日にその飲食店で食事をすることと、代金を支払うことをお互いに約束して合意するので、この時点で契約が成立して、消費者には飲食店に対して定まった代金を支払う義務が発生していると考えられます。
ところが、その後消費者の一方的な都合で予約をキャンセルするのですから、消費者はすでに発生している代金支払い義務を完全に免れることは難しいと考えるべきです。よって、たとえ店側から明確にキャンセル料についての案内がなかったとしても、一定のキャンセル料を支払わなければならない義務は発生する可能性が高いです。
いったん飲食店の予約をしたら、はっきりとキャンセル料について取り決めをしていなくても、後になってキャンセル料を請求される可能性があることは、頭に入れておくべきです。
キャンセル料の料金はいくらまで?飲食店を予約した場合にキャンセルをしたら、キャンセル料の支払い自体はしなければならない可能性が高いですが、この場合、いくらのキャンセル料がいくらになるのかという問題があります。
キャンセル料が発生するからと言って、それは必ずしも100%の飲食代金を支払わなければならないということにはなりません。
飲食店を利用する場合、こちらは消費者という立場なので、消費者契約法という法律によって守られます。そして、消費者契約法によると、業者が消費者に対して契約の違約金を請求する場合、違約金の金額は、キャンセルによって業者に発生する通常の平均的な損害を限度とする旨定められています(消費者契約法9条1号)。
つまり、キャンセル料を請求するとしても、その金額は、キャンセルによって発生する損害分に限定されるということです。
このことからすると、たとえ当日にキャンセルをした場合であっても、飲食代の100%の金額のキャンセル代が妥当ではないケースが多いでしょう。
キャンセルが起こっても、それによって使わなくなった食材を、他の客の料理に使うことができることがありますし、キャンセルが起こった分、他の客を入れて損害を抑えることができる場合などもあります。
完全予約制で、なおかつ食材もその人専用の特殊なものを利用しているなどの特殊なケースでもない限りは、飲食代金全額のキャンセル代支払いには応じなくて良い可能性が高いです。
店側が予約時にキャンセルについて説明しなかった場合には、もし事前に説明をしていればトラブルを防止できた可能性もあり、このような店側の落ち度を勘案するとさらにキャンセル料の金額が減額される可能性もあります。
以上のように、飲食店利用を消費者の都合でキャンセルしてしまった場合、キャンセル代についての定めをしていなくてもキャンセル料の支払をしなければならないケースがありますが、その金額については店側の平均的な損害の限度に抑えられるので、覚えておくと役立ちます。
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居酒屋の予約を当日にキャンセル。キャンセル料の支払いは必要?
飲食店では、店内でトラブルが起こることも多いです。よくあるのが、ウエイターが食事や飲料を運んでいる最中などに、それらをこぼされてスーツなどの衣類を汚されるケースです。
ウエイターに衣類を汚されたら、その分の弁償金を支払ってもらえるのかが問題になります。
この場合、どの程度その衣類が汚されたかによって、請求出来る内容が異なってきます。
まず、クリーニングをすれば落ちる程度の汚れである場合には、クリーニング代相当額の請求ができるにとどまります。この場合に、スーツの購入費用まで請求することはできません。
店側に弁償を請求する根拠は損害賠償請求にもとづきますが、損害賠償が認められる範囲は、相当な範囲内に限られるからです。クリーニングをすればきれいになる場合には、スーツの購入が必要になったとは言えないので、購入費用までは賠償範囲に含まれないのです。
これに対して、クリーニングをしても汚れが落ちないケースがあります。この場合には、スーツの購入費用の賠償請求ができます。
ただし、請求出来る金額は、新品のスーツ購入費用ではなく、スーツのそのときの時価の価格に限られます。スーツを汚されたことによって発生する損害は、そのスーツが毀損したことであり、新品のスーツが毀損された場合の損害とは異なるからです。
お気に入りのスーツであっても、それが古くなっていてあまり価値がなくなっていたような場合には、賠償請求できる金額はかなり低くなってしまうことがあるので、注意が必要です。
さらに、ウエイターがスーツを汚した場合に、誰に対して損害賠償請求ができるのかという問題もあります。ウエイター個人に対して請求するのか、店に対して請求するのか、双方に対して請求をするのかという問題です。
この場合、結論的には双方に対して請求をすることができます。
ウエイター個人は、衣類を汚して損害を与えた本人なので、当然損害賠償請求を受けることになります。
店は、直接損害を与えた本人ではありませんが、ウエイターの使用者です。
この場合、店は、ウエイターが業務を行う際に他者に与えた損害について、使用者責任という責任を負います(民法715条)。使用者は、被用者をつかって利益を得ているのだから、それによって発生した損害賠償についても責任を負うべきという考え方です。
この場合、ウエイターと店は、一種の連帯債務の関係になるので、被害を受けた消費者は、ウエイターにも店にも全額の損害賠償請求をすることができます。
店が「それはウエイターがしたことだから店には関係ない。ウエイターに個人的に請求してほしい」などと言ってきても、その主張には理由がなく、店にも全額の損害賠償請求をすることができるので、覚えておくと良いでしょう。
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お客様の衣服を汚してしまったが...
飲食店を利用すると、その感想についてSNSなどのインターネットサイト上に書き込むことが多いです。
このとき、良いレビューならあまり問題にはなりませんが、悪い評価であったり、虚偽の内容を書き込んだりしてしまうと、問題が起こる可能性があります。
インターネットサイトは、世界中誰でも見ることができるので、情報が簡単に拡散します。店の悪い評価を書き込むと、それを見た人がその店の利用を控える可能性があります。
そこで、インターネット上で店の悪い評価や悪口を書き込むことが、店に対する業務妨害行為と判断されてしまうおそれがあります。悪質な場合には、業務妨害罪として、店側から刑事告訴されてしまう可能性もあります。
実際に、インターネット上に書き込んだレビューが原因で飲食店の利用者が減ってしまった場合などには、店側から利益低下分についての損害賠償請求を受けてしまうおそれもあります。この場合、実際にどのくらいの利益低下が起こったかにもよりますが、明らかにレビュー書き込み後の客足が減っていたら、かなり高額な賠償金を支払わなければならない可能性もあります。
ネット上での評価は、簡単にできるので何の気なしに書き込んでしまうことが多いですが、書かれた方にとっては重大な問題であり権利侵害と受け止められることがあります。
飲食店での食事やサービス内容については、個人的なSNSなどであっても、あまり悪い評価やレビューなどを書き込まない方が良いでしょう。
このように、飲食店の利用の際には様々なトラブルがつきものです。
今回の記事を参考にして、トラブルを避けながらおいしい食事を楽しみましょう。
旅行・娯楽施設で起こりがちな問題
旅行や娯楽施設などでのイベントは、とても楽しいものです。非日常の感覚を味わうことができて、日頃のストレス解消にも役立ちます。
しかし、旅行の際にもいろいろなトラブルが起こります。たとえば、利用を予定していたフライトがキャンセルされたり荷物が紛失されたりすることがあります。
旅行会社を通じて旅行の予約をしていた場合、急に都合がつかなくなってキャンセルしなければならなくなるケースがありますが、その場合には高額なキャンセル代の支払が発生することが多いです。
また、旅行会社による企画旅行の場合などには、旅先での安全が確保されるように、旅行会社に適切に旅程を管理してもらう必要があります。
さらに、旅行先で事故が起こった場合などの問題もあります。
このように、旅行に関してトラブルが起こるとき、どのような支払が発生したり、どの程度の補償が受けられたりするのかが問題になります。
以下で、旅行にまつわる法的トラブルについて、順番に見てみましょう。
飛行機を使った旅行で比較的遭遇しやすいトラブルとして、フライトがキャンセルされたりロストバゲージ(荷物の紛失)をすることがあります。
フライトがキャンセルされた場合、航空会社は各社の運送約款に基づき、以下のような対応をとります。
- 同一条件で、利用者の都合の良い日時の別のフライトを利用する
- フライト代金を払い戻す
上記とともに、食事や宿泊先の提供などが行われることもあります。
フライトがキャンセルされたり、大幅な遅延が見込まれる場合には、空港のカウンターや航空会社のホームページなどで案内がなされますので、こまめにチェックしておきましょう。
また、ロストバゲージの場合の対応は、その航空会社が締結している条約の内容によっても異なりますが、だいたいのケースで
- 荷物1キログラム当たり3000円
- 荷物1個について15万円程度
を上限として、支払いを受けることができます。
海外旅行に便利なたびレジ海外旅行をする場合や海外出張の際には、現地の安全に関する情報などを確認する必要があります。このとき、外務省のたびレジのサービスを利用すると、役立ちます。たびレジは、外務省が提供しているサービスで、これに登録しておくと、自動的に海外渡航先の危険情報などが入ってくるので、フライトや旅行の予定を立てやすくなります。
また、旅行先で事件などが起こった場合には、たびレジに登録しておいた連絡先に緊急の連絡を入れてもらうことができます。
海外旅行に行く予定がある人は、出発前に登録しておくと良いでしょう。
旅行にまつわる問題や処理方法を理解するためには、旅行会社の責任を把握しておくことが大切です。
このとき、標準旅行業約款という約款のことを理解しておく必要があります。
標準旅行法約款とは、旅行会社と消費者との間の契約条件について旅行会社が定めるべき約款について、国の官公庁が作成した見本のことです。
旅行会社には、旅行者に対して適切な内容の旅行を実現する義務があります。旅行会社がいい加減な手配をしたり企画をしたりすると、それを利用した消費者が大きな不利益を受けることになるからです。
そこで、旅行業法という法律によって、旅行業者が守るべき義務が定められています。
その中で、旅行業者は、消費者との間で、旅行契約の基本事項を定めた約款を作成しなければならないことになっています。
その約款については、国の観光庁が見本を作成していますが、その見本のことを「標準旅行業約款」と言います。旅行約款については、標準旅行業約款に従わなければならないということはないので、本来であれば、旅行業者が個別に作成することができるはずですが、現実にはそのようなことは少なく、ほとんどの旅行会社が標準旅行業約款をそのまま採用しています。
標準旅行業約款には、旅行のキャンセルや旅程変更が起こった場合などの対処方法について詳細に定めがあるので、この内容を知っておくと旅行に際してのトラブルへの対処に役立ちます。
旅行会社の3つの責任標準旅行業約款には、旅行会社の3つの責任が定められています。
1つ目は、旅程管理責任です。旅程管理責任とは、旅行会社が適切な内容の旅程を管理すべき責任のことです。
旅行会社は、旅行者が安全に旅行をすることを実現するため、適切な旅程管理をする責任を負います。たとえば、危険地域への旅行などを企画したり実現したりすることは不相当となりますし、必要があれば、旅行会社の判断で旅程を変更することなども可能になります。
次に、旅程保障責任があります。旅程保障責任とは、旅行会社は、契約内容通りの旅程を保障しなければならないという責任です。この責任があるため、旅行会社が旅程を変更した場合などには、変更補償金という補償金を支払う必要が発生します。
3つ目が特別補償責任です。これは、旅行中に旅行者が傷害などの事故に遭った場合、旅行会社には過失がなくても一定の補償金を支払わなければならない責任のことです。
これらの責任については、標準旅行業約款に定めがあり、それぞれの場合の支払金額などについても規定があるので、確認しておくと良いでしょう。
旅行をキャンセルすると、キャンセル代がかかることが普通ですが、このキャンセル代についても標準旅行業約款に定めがあります。
標準旅行業約款には、具体的なキャンセル代の金額について、上限を定めているので、多くの旅行会社がこの上限のキャンセル代を採用しています。そこで、旅行をキャンセルした場合には、標準旅行業約款が定める通りのキャンセル代がかかることが普通です。
その金額は海外旅行の場合と国内旅行の場合で異なりますが、具体的には以下の通りとなります。
まず、海外旅行のケースを見てみましょう。
海外旅行の場合、通常の季節には、旅行開始日の30日前からキャンセル料が発生しますが、年末年始やGWお盆休みなどの繁忙期には、旅行開始日の40日前からキャンセル料が発生します。キャンセル料の金額は、旅行代金のパーセンテージによって定められており、旅行開始日の40日前になると10%、30日前になると20%、2日前からは50%になり、出発時間を過ぎると、100%となります。
国内ツアーの場合には、旅行開始日の21日前からキャンセル料が発生します。21日を経過したら20%、8日前を過ぎると30%、前日までが50%となり、旅行開始後は100%のキャンセル料がかかります。
なお、旅行をする場合、飛行機を利用する事も多いですが、飛行機のキャンセル料については、各航空会社による違いがあります。
たとえば、ANAの場合、搭乗日の74日前~搭乗日55日前には運賃の20%、54日前~45日前までは運賃の約30%、44日前~搭乗日28日前までは運賃の約40%、27日前~14日前までは運賃の約50%、13日前~出発時刻前までは運賃の約60%、出発時刻以降は運賃額の100%などと定めがあります。
多くのケースで、搭乗日の60日を過ぎると何らかの取消料が発生し、出発時刻以降の取消料は100%となります。
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旅館のキャンセル料は全額払う必要があるの?
旅行業者には、旅行内容を適切に管理する旅程管理責任があります。旅行会社が適切に旅程を管理しないで事故が起こった場合などには、旅行会社は損害賠償責任を負うこともあります。そこで、天変地異や戦乱などの危険がある場合などには、旅行会社の判断で旅程を変更することができます。
旅行会社に旅程変更が認められるのは、以下の3つの条件がそろった場合です。
- 天変地異や戦乱、暴動、観光庁の命令など旅行会社が関与できない事由があること
- 旅行を安全、円滑に実施するためにやむを得ないこと
- 旅行日程の変更について、あらかじめ速やかに旅行者に告げて理由などを説明すること
このように、危険がある場合などには旅行会社が変更をすることができるので、旅行者は安全に旅行をすることができます。ただし、その変更内容は、当初の旅行の目的に反しないように、最小限の範囲にとどめるべきとされています。
また、このような旅行内容の変更によってかかる費用が変わる場合には、旅行会社は旅行代金の金額を変更することができます。また、同じく天変地異や戦乱、暴動や官公庁の命令などが原因で安全かつ円滑な旅行の実現が難しくなった場合には、旅行会社には旅行の解除権も認められます。このような場合には、旅行を諦めざるを得ませんが、安全には替えられないので仕方がないと考えましょう。
旅行会社には、旅程を保障する責任である旅程保障責任があります。そこで、旅行会社が旅程を変更した場合には、旅行会社に責任がなくても、消費者は旅行会社から補償を受けることができます。このとき請求出来るお金のことを、変更補償金と言います。
変更補償金についても、標準旅行業約款内で定めがあり、その金額は、旅行代金の15%以上である必要があります。よって、どの旅行会社を利用しても、旅程が変更された場合、最低15%の金額の補償を受けることが可能です。
変更補償金は、1つの旅行についての上限が定められるので、旅行内容の変更が複数発生したとしても、旅行会社が定める限度額以上の金額が支払われることはありません。変更の数だけ受けられる補償金が高くなることはないのです。
多くの旅行会社が変額補償金の限度額を、標準旅行業約款が定める最低限である旅行代金の15%にしていますが、中にはサービスを良くして他社と差をつけるため、これより高い限度額を定めている旅行会社もあります。
旅行会社の過失によって旅程が変更された場合には、変更補償金以上の損害賠償金を支払ってもらうことも可能です。
旅行会社には特別補償責任もあるので、旅先で事故などが起こった場合には、消費者は旅行会社に対して補償金を請求することができます。特別補償責任にもとづく補償金は、旅行会社に責任がない事故の場合でも請求が認められます。
たとえば、旅行者が身体的な傷害を負った場合には、旅行会社に対して後遺障害補償金、入院見舞金や通院見舞金を請求出来ますし、旅行者が死亡したら死亡補償金を請求できます。旅行者の手荷物に損害が発生した物的損害の場合にも、旅行会社に対して携帯品損害補償金の請求ができます。
ただし、特別補償責任にもとづく補償金の金額は、契約で定められる範囲に限定されるので、発生した損害全体の補償を受けられるとは限りません。
また、旅行者に責任がある事故や、旅行者がもともと持っていた持病の悪化などによる損害については、特別補償責任は発生しません。
これらの特別補償責任とは異なり、旅行会社に責任がある事故の場合には、特別補償責任ではなく通常の損害賠償責任を追及することができます。この場合には、損害全体についての請求も可能になります。
以上のように、旅行会社には通常の商品購入などとは異なりいろいろな義務や責任があります。旅行者は、この旅行業者の義務にもとづいていろいろな請求をすることができるので、覚えておくと役立ちます。この記事を参考に、楽しい旅行を実現しましょう。
習い事・スクールなどで起こりがちな問題
習い事やスクールを利用する人はとても多いです。子どものための塾や英会話、ピアノや水泳、絵画などの習い事もありますし、大人用の音楽教室やダンス教室、合唱やゴスペル、語学学校などもたくさんあります。
習い事は、自分に合ったものが見つかるととても楽しく、毎日が豊かになりますが、トラブルが起こることも多いです。習い事やスクールでトラブルが起こると、せっかくの楽しい気分が台無しになってしまうので、なるべくトラブルを避けることが重要です。
以下では、習い事やスクールでありがちなトラブルと、トラブル回避のための対処方法を見てみましょう。
習い事やスクールには、大きく分けて大手の事業者によるサービスと、個人営業や個人によるサービスのケースがあります。
このどちらを利用するかによって、大きく対応が異なってきますので、以下では、まず、大手のサービスを利用する場合の問題点をご紹介します。
大手の習い事やスクールなどを利用する際の注意点をご紹介します。
大手のスクールは、たとえば全国展開している英会話教室などが代表的ですが、資格取得の専門学校や格闘技やスポーツのスクールなど、たくさんの種類があります。
これらの大手のスクールを利用する場合には、当初にきちんと契約書が作成されることが普通です。
当初の契約書には、料金の発生時期、金額、支払方法、契約期間、中途解約の可否、中途解約の際の違約金の定めなどが記載してあります。
そこで、契約前に、契約書面を見せてもらって、これらの契約条件をしっかり理解して納得しておくことが重要です。
特に、途中解約ができるかどうかや、その場合に違約金が発生するのかどうかについては、後々にトラブルの原因になることが多いので、しっかり確認しておきましょう。
また、大手の事業者と消費者が習い事やスクールの契約をする場合には、消費者契約法や特定商取引法が適用されます。(個人営業者であってもそれが業として事業を営むものであるケースではこれらの法律の適用はあります)
たとえば、消費者契約法によると、たとえ契約書があっても、消費者にとって一方的に不利になる条項は無効になりますし、特定商取引法では、次項で説明するようなクーリングオフのような消費者保護の制度などが定められているので、これらの消費者保護制度についても知っておくと役立ちます。
クーリングオフができる大手事業者が提供している習い事やスクールを利用する場合、消費者は、契約後一定日数以内であれば、契約の申込を撤回したり、契約を無条件解除したりすることができます。
この無条件の解約権のことを、クーリングオフと言います。
習い事やスクールのような長期契約の場合には、一回きりの商品購入のケースなどより複雑な取引になるので、いったん消費者が契約をしても、実際にどのような利益や不利益があるのかについて正確に理解するために時間がかかることがあります。そこで、特定商取引法は、契約後一定期間は、無条件で解約できる権利を認めて消費者を保護しています。
ただし、どのような習い事やスクールにも特定商取引法の適用があるわけではありません。具体的には、以下の4つのケースでクーリングオフが認められます。
- 語学教室
- 家庭教師
- 学習塾
- パソコン教室
これ以外の種類のスクールの場合には、特定商取引法の適用がなく、クーリングオフはできないので注意が必要です。ただし、その場合でも消費者契約法の適用はあります。
途中解約する場合の問題点大手の習い事やスクールを利用する場合、中途解約の際にトラブルが起こることが非常に多いです。これらのスクールでは、入学時に契約期間中に発生する学費や料金を前払いで一括払いするケースが多く、途中解約しても、支払った金額を返還してもらえないことがあります。
もちろん、まだ利用していない期間分の学費については返還を受けることができるはずですが、当初の契約時に違約金の定めがなされていることが多く、問題が起こります。
違約金とは、契約期間内に中途解約した場合に発生するキャンセル料のことです。習い事などを途中解約すると、予想を超える高額な違約金を請求されたため、途中で辞めることを断念して、仕方なく最後まで通い続けることになってしまうケースも多いです。
しかし、違約金の金額については、特定商取引法によって制限がもうけられているので、これを超える金額を支払う必要はありません。特定商取引法による違約金の上限額は、具体的には以下の表のとおりとなります。
習い事の種類 | 開始前の解約料 | 開始後の解約料 |
語学教室 | 1万5千円 | 5万円又は契約残額の20%相当額のいずれか低い額+提供された役務の対価に相当する額 |
家庭教師 | 2万円 | 5万円又は1ヶ月分の授業料相当額のいずれか低い額+提供された役務の対価に相当する額 |
学習塾 | 1万1千円 | 2万円又は1ヶ月分の授業料相当額のいずれか低い額+提供された役務の対価に相当する額 |
パソコン教室 | 1万5千円 | 5万円または契約残額の20%相当額のいずれか低い額+提供された役務の対価に相当する額 |
ただし、上記以外の習い事の場合には、特定商取引法の適用はありませんので、基本的には当初契約のとおりの金額の違約金が発生することになってしまいます。
その場合であっても、消費者契約法の適用があります。消費者契約法では、違約金を定める場合に、その解約によって業者に発生する通常の損害を超える金額の定めをしてはいけないことになっていますし(消費者契約法9条1号)、消費者にとって一方的に不利になる条項は無効であるとされています(消費者契約法10条)。よって、たとえば、違約金として、契約期間の残期間分の学費の全額があてられる(つまり、前払いした契約金の返金が一切行われない)などの極端に高額な違約金の定めがある場合には、無効になる可能性があります。
参考コンテンツ:
2ヶ月で辞めた専門学校。前納した学費は一切返還されない?
習い事やスクールを利用する場合、個人の講師と契約をすることもあります。この場合には、大手のスクールや習い事を利用する場合とは異なる配慮が必要になりますので、以下でご紹介します。
当初契約の内容に注意個人の講師の習い事を利用する場合、当初に契約内容などをしっかり決めておかないことがあります。最低限習い事の曜日や時間、月々の月謝くらいについては取り決めをしますが、たとえば月謝が上がることがあるのかや、上がる場合の手続、途中解約の際の手続や解約金の有無などについて、はっきり取り決めをしないことがよくあります。
当初にこれらの契約にまつわる問題を決めておかない場合には、このようなことは、その都度講師との話し合いによって決めることになってしまいます。
講師との関係がうまくいっていて、お互いに納得できる条件が出れば、その都度の話し合いでも問題が起こらないこともありますが、これらの問題はいったんこじれると大変なトラブルになります。
たとえば生徒のレベルが上がってきたので月謝を上げてほしいと言われたとき、月謝が上がる場合の条件や上がる金額を定めていないと、どうして上がることになったのかや、上がる金額について講師と生徒側の意見が合わず、関係がこじれてしまったりもします。すると、お互いが不快になって、結局習い事を辞めなければなりません。
そこで、個人の講師と契約をする場合であっても、最低限の内容についてはきちんと当初に明らかにしておくべきです。月々の月謝や支払方法、月謝が上がる場合とその金額、契約期間や途中解約の可否と違約金発生の有無や金額などについて、取り決めておきましょう。できれば契約書を作っておいた方が安心です。
参考コンテンツ:
受講料の返金義務について
個人の講師で習い事をする場合、人間関係のトラブルが起こることがよくあります。講師と生徒の間でトラブルが起こることもありますが、複数の生徒が同時に指導を受けるタイプの習い事などの場合には、生徒同士の人間関係のトラブルが非常に多いです。大人であっても、いじめに似たような状態が発生してしまうこともあります。
わざわざお金を払って習い事に行っているのに、人間関係に悩まされるのは非常に無駄な話です。習い事で人間関係のトラブルに巻き込まれないためには、生徒同士などの人間関係に深入りしすぎないことです。
たとえば、クラスが終わった後に、講師や生徒全員でお茶をしに行ったり、食事会を開いたりすることなどもありますが、このような活動は強制ではありません。つきあいが多くなりすぎると、それがストレスになって習い事を辞めたくなってしまうこともあります。
純粋に習い事の技術などを得たいと考えて通学する場合などには、つきあいはほどほどのしておいた方が習い事を続けやすくなることが多いです。
個人の講師と習い事などの契約をする場合、お中元やお歳暮が半強制されてしまうことがあります。しかし、これらの贈り物はもちろん任意のものですので、贈りたくない場合には贈る必要はありません。他の生徒が贈っていても、気にする必要はありません。贈らないことによって関係が悪化するような講師なら、辞めてしまった方が良いでしょう。
発表会などでも問題が起こることが多いです。
発表会は、出ると楽しいものですが、専用の衣装が必要になったりして高額な費用がかかることがあるので、出たくないと考える人も多いですが、発表会への出場を半強制されるトラブルが良く起こります。
このような場合、発表会に出る義務は無いので、嫌ならはっきり断るとよいでしょう。無理につきあう必要はありません。出場しないといづらくなるようなスクールなら、やめてしまって別の良心的な教室を探すべきです。
このように、習い事やスクールの利用の際にもいろいろなトラブルが起こります。今回の記事を参考にして、賢く楽しく趣味の活動を広げましょう。
悪徳商法の手口と被害
消費者トラブルで多いものに、悪徳商法による被害があります。悪徳商法とは、違法や不当な手段によって消費者と契約をして、代金を支払わせたり物品を引き取ったりして消費者に損害を与える商売の方法のことです。悪徳商法で金儲けをしている業者のことを悪徳業者と言います。
悪徳商法による被害事例はとても多く、国民生活センターや消費生活センターなどへの相談件数もたくさんあります。
もちろん、法律による規制もしていますが、法律ができたらその抜け目を探して新たな悪徳商法の手口が現れるいたちごっこの状態になっており、なかなか根絶することはできていません。そこで、消費者側も、悪徳商法に引っかからないように賢くなって対処することが重要になります。
以下では、悪徳商法の手口や悪徳業者の見分け方、対処方法などを見てみましょう。
悪徳商法の手口悪徳商法に引っかからないためには、まずは悪徳商法の手口を知っておくことが大切ですので、以下で代表的なものを見てみましょう。
訪問販売、点検商法
悪徳商法の代表的な手口として、訪問販売があります。訪問販売とは、いきなり自宅に訪問をしてきて、高額な商品などを売りつけるタイプの販売方法です。訪問販売というと、昔ながらの押し売りなどのイメージがありますが、最近では手口が巧妙化しているので注意が必要です。
近年被害件数が増えているのが点検商法です。点検商法とは、業者が水道や屋根の状態などを無料で点検すると言ってくるので、消費者が点検をしてもらったら、水道管や屋根の補修が必要であると言われて、高額な修補費用などを請求される商法のことです。
実際には水道管や屋根などに問題が起こっていなかったというケースもありますし、問題があった場合でも、業者自体は何の修補もしてくれていなかったというケースもあります。
もともと雨漏りをしていなかったのに、訪問販売の業者に屋根の修理を依頼したら、工事後雨漏りするようになったという被害事例もあります。
点検商法には、いろいろなバリエーションがあります。たとえば、消防署関係の人間を装って火災報知器の修理を提案してくる業者もいますし、水道水の点検をした結果水質に問題があると言い出して、浄水器を設置しようとする業者もいます。
床下などを点検して、シロアリ駆除が必要だと提案してくる業者もいますし、耐震診断をしてくれるというので依頼したら、高額な耐震工事が必要な状態だと言ってくる業者もいます。
参考コンテンツ:
両親が15年ほど前に不動産の訪問販売詐欺に遭っていました。
訪問買い取り
訪問販売に対する規制が強まったこともあって現れたのが訪問買い取りの悪徳商法です。訪問買い取りとは、業者が自宅などに訪ねてきて、不要な物を買い取ってくれると言ってきて、自宅内の物品を安値で買いたたいて引き取っていくタイプの商法です。
この場合、引き取った商品の明細書などが渡されることもなく、業者名すら明らかにならないことも多いので、被害品を取り戻すことが大変難しくなるという問題があります。
気づいたら、貴重な貴金属などもすべて持って行かれていたなどというケースもあるので、注意が必要です。
マルチ商法
マルチ商法もとても多い悪徳商法です。マルチ商法とは、ある商品を購入して会員となり、その商品を自分の知人や友人に紹介して、新たに会員になってもらったらその分のリベートがもらえるという商法です。
会員になるための商品はかなり高額であるのが普通ですが、その商品を人に紹介して買ってもらったら、会員が増えれば増えるほど利益が得られるのでもうかりますよ、などと言って勧誘されます。
しかし、実際にはそのようにうまくいくことはありません。そもそも周囲の人に紹介しても買ってもらえないことが多いですし、買ってもらえたとしても、その人や自分がさらに新しい会員を入れない限りは新たな収入が入ってこないので、結局収入が途絶えてしまうことが必至です。いずれ破綻することが明らかな商法です。
副業・資格商法
悪徳商法では、副業商法や資格商法も多いです。副業商法とは、「これを使って内職をしたら、安定して継続的な収入が得られますよ」などと言って高額な商品を売りつけるタイプの商法です。資格商法もこれに似ていて、「これで勉強して資格を取ったら、収入が得られる仕事につけますよ」などと言って高額な教材などを売りつける商法です。
これらの商品や教材を買っても、結局副業でもうかることはなく、高額な代金の支払い損になってしまいます。資格商法の場合、そもそも業者が説明するような資格自体が存在しないこともありますし、資格を取っても仕事にはつながらないことが多いです。
架空請求詐欺とは悪徳商法の1つに位置づけられる商法として、架空請求詐欺があります。架空請求詐欺とは、実際には請求権がないのに、あたかも契約が成立したかのような主張をしてきて金銭を請求してくるタイプの詐欺です。
メールや電話、インターネット画面上などで理由のない請求をしてきます。
多いのが、アダルトサイトや出会い系サイトを利用した場合の詐欺です。この場合、サイトを見ていてあるボタンをクリックしたら、突然「契約していただいてありがとうございます」などの画面が表示されて、高額な料金請求が行われます。
また、郵便で突然「訴訟予告通知書」「民事訴訟最終通告書」などと記載されたハガキが送りつけられてきて、高額な金銭支払いを要求されるパターンもあります。この場合、期限内に支払いをしないと裁判をして、預貯金や給料などを差し押さえるなどと言う脅し文句が記載されていることが多いです。
さらに悪質なものとして、裁判の支払督促申立制度を悪用した架空請求詐欺もあります。支払督促申立をした場合には、債務者が異議を申し立てないと申立人の権利が確定して本当に強制執行などをされてしまうおそれもあるので、注意が必要です。
悪徳業者の特徴は?悪徳商法の被害に遭わないためには、悪徳業者を見分けることが重要です。そこで、以下では悪徳業者の見分け方をご紹介します。
突然訪問したり電話してくる
こちらが依頼していないのに、突然自宅に訪問してきたり電話をかけてきたりする業者は怪しいと考えるべきです。「消防署の関係のものです」「水道関係のものです」など、官公庁の関係者を装って訪ねてくる業者もいるので注意が必要です。
相手の素性がはっきりわからない場合には、自宅にあげないことが大切です。電話がかかってきた場合には、詳しく話を聞かずに早めに切ってしまいましょう。
他の人を誘ったら収入がある
友人や知人などを紹介したら、その分収入が得られるという仕組みの商法は、怪しいと考えるべきです。商品を購入するタイプの場合にはマルチ商法である可能性が高いですし、商品がない場合にはネズミ講と言って、違法な商売になります。マルチ商法に手を出しても実際にもうかることはほとんどないので、他人を誘って収入があるタイプの商法には手を出さないことが大切です。
仕事をするために費用がかかる
こちらが仕事をしたいと思っているのに、そのためにお金がかかるという場合にも注意が必要です。この場合、「この商品を使って仕事をしたら儲かる」とか「この資格を取ったら仕事ができる」などと言われる内職商法や資格商法である可能性が高いです。
他に、モニターやアンケートを装って、結局は商品を売りつけようとするパターンなどもあります。
仕事を探している場合、どうしても良い仕事に就きたいと思ってこのような話にも耳を傾けてしまいがちですが、仕事をするためにかえって費用がかかるなど、よくよく考えてみればおかしな話であることがわかるはずです。決して乗ってはいけません。
以下では、悪徳商法に引っかからないための心得をご紹介します。
まず、見知らぬ業者が来たときにはドアを開けないことです。そして、相手の素性をはっきりと確かめることも大切です。話を聞く前に、相手の氏名や会社名、目的、話をする目的などを確認しましょう。対面している場合には名刺をもらうと良いです。
契約をその場で即断しないことも大切です。契約書にサインするように言われても、後で家族と相談してから決めるなどと言って、いったん冷静になる期間を設けましょう。
支払督促が来たら、必ず異議申し立てをすることは、非常に重要です。
架空請求詐欺のケースで、裁判所から支払督促申立書が届く場合があります。この場合には、放置していると、債権者(詐欺業者)の権利が確定して、こちらの財産を強制執行(差し押さえ)されてしまうおそれがあります。
よって、支払督促申立書が届いたら、必ず異議申立書を裁判所に提出しましょう。
異議申立書には、特に異議の理由は書かなくて良いので、簡単に「本件に対して異議を申し立てる」などと記載するとよいでしょう。異議申し立ては、2週間以内にしないといけないので、とにかく早めに申立をすることが大切です。
以上のように、悪徳商法にはいろいろな手口がありますが、基本的な対処方法さえ知っていれば、さほど恐れる必要はありません。
もし悪徳商法に引っかかってしまったら、すぐに消費生活センターや弁護士などに相談に行って、問題への対処方法についてのアドバイスをしてもらうことが大切です。
消費者問題で困ったときの相談窓口
日常生活では、注意していても消費者トラブルに巻き込まれることがあります。悪徳商法に引っかかってしまうこともありますし、商品購入や習い事の契約などを取り消したい場合もあります。契約の中途解約の場合の違約金支払いについて、相手業者とトラブルになるケースもあります。このように、さまざまな消費者トラブルが起こった場合、自分一人で解決しようとしても、なかなかうまくいかないことが多いので、適切な相談機関に相談をしてアドバイスをもらう必要があります。以下では、消費者トラブルの相談機関をご紹介します。
消費生活センター・国民生活センター消費者トラブルを相談できる機関の代表的なものに、消費生活センターや国民生活センターがあります。消費生活センターとは、各都道府県や市町村などの地方公共団体が設置している消費者保護のための機関です。消費者問題の相談にも乗っていますし、消費者への啓発活動や、消費者の暮らしの情報提供などもしています。
国民生活センターは、消費生活センターと同じように、消費者の相談に乗ったり、国民の暮らしの向上のための情報提供をしたり、調査研究などをしていますが、国の独立行政法人です。消費生活センターは地方自治体の機関であり、国民生活センターは国の機関であるという点が異なります。ただ、消費者が消費者相談をする場合には、両者は同じように利用できます。
消費生活センターに相談をする場合には、電話相談や来館による相談の方法を利用できます。消費者ホットラインという電話相談が設置されているので、0570-064-370の番号にかけると、最寄りの消費生活センターに電話を回してくれます。消費生活センターにつなげない場合には、国民生活センターにつながることもあります。
これによって、電話相談をしたり、来館による相談の予約をしたりすることなどができます。
消費生活センターなどに相談をすると、どのようなことをしてくれるのかをご説明します。
まず、専門の相談員が、事案の内容をしっかり聞いて、具体的にどのように対処すれば良いのかアドバイスしてくれます。たとえばクーリングオフができるケースならクーリングオフをすることとその方法などを教えてくれますし、代金返還を求めるべきケースなら、その旨アドバイスをしてくれます。
相手業者との交渉が必要な場合で、本人が自分で手続きすることが難しい場合には、相談員が代わりに交渉をしてくれることもあります。このことによって、支払ったお金を取り戻すことができた事例などもあります。
消費生活センターのメリット消費生活センターや国民生活センターを利用すると、いくつかのメリットがあります。まずは、費用がかからないことです。弁護士などに相談をすると、どうしても費用がかかってしまいます。当初の相談料は無料でも、何か具体的な対処を依頼すると、数万円の費用がかかることが普通です。これに対して、消費生活センターや国民生活センターに相談をする場合には、完全に費用が無料になるのでとても助かります。消費者トラブルでは、問題になっている金額が数万円以内の少額であるケースなども多く、そのような場合に弁護士に依頼すると弁護士費用だけで足が出てしまう可能性が高いですが、消費生活センターなどの場合には、費用がかからないので安心して相談ができます。
消費生活センターや国民生活センターは、行政が提供している相談サービスである点もメリットです。民間サービスの場合、担当者がどのような人かわからなかったり、アドバイスの内容が本当に正確かわからなかったり、本当に何をしてもらっても費用が無料で済むのかなどがわかりません。これに対して、国や地方自治体のサービスである消費生活センターや国民生活センターなら、担当員の質も最低限保証されていますし、アドバイスの内容も信用できます。ケースによって費用が発生することなどもなく、信用して相談ができます。
また消費生活センターでは、必要に応じて相手業者と交渉してもらえる点も大きなメリットです。相手業者に対して何らかの権利を持っている場合でも、消費者が自分で相手に請求をすることが難しい場合は多いですし、消費者が自分で請求しても、相手が無視することもよくあります。このような場合、消費生活センターが代わりに交渉してくれたら、相手業者も状況が悪くなったと考えて、交渉に応じることも多く、返金を受けられる可能性なども高まります。
以上のように、消費生活センターに相談すると、さまざまなメリットがあるので、消費者トラブルが起こった場合には、まずは消費者ホットラインを利用して相談してみると良いでしょう。
参考コンテンツ:
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消費者トラブルの相談先としては、弁護士も挙げられます。消費生活センターの相談員は専門員とは言っても、法律の専門家であるとは限りません。裁判をしてくれることもなく、できることには限度があります。
そこで、問題がこじれてきたり、複雑な法律問題が絡んだりしているケースなどでは、消費生活センターでは対処しきれません。このような場合には、法律の専門家である弁護士に相談する必要があります。
弁護士に相談する場合には、無料相談を利用する方法がおすすめです。経済的に余裕がない場合には、全国の法テラス(日本司法支援センター)での無料相談を利用する事ができますし、民間の法律事務所でも、法律相談料の無料サービスを行っている事務所がたくさんあります。インターネットなどで法律事務所を検索して、無料相談できる事務所を探してみるとよいでしょう。
相談を受けた上で、どうしても弁護士に対処を依頼しなければならない問題があれば、事件を依頼しましょう。その場合には、具体的にどのくらいの費用がかかるのか、勝てる見込みがあるのかなどをしっかり確認しておくと良いでしょう。
今回は、暮らしの中で遭遇しやすいさまざまな消費者トラブルと、その対処方法などをご紹介しました。何気ない日常生活の中にも、トラブルの元がたくさんあります。消費者トラブルを避けるには、ありがちな消費者問題の種類や内容を知っておくこと、その対処方法を知っておくことが大切です。消費者は、特定商取引法や消費者契約法によって守られていますし、問題が起こってしまった場合には消費生活センターなどの相談機関も利用することができます。今回の記事を参考にして、消費者トラブルを上手に避けながら、平穏で安心な生活を送りましょう。
消費者問題を得意としている弁護士
齋藤 健博 弁護士 東京都
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