架空請求詐欺

要注意!架空請求詐欺には無視して良い場合・ダメな場合がある
消費者トラブルでよくある事例に、架空請求詐欺があります。架空請求詐欺とは、実際には契約が成立していないのに、何らかの契約が成立したかのような内容を通知してきて、その利用料金などを支払うように請求してくるタイプの詐欺です。架空請求詐欺の手口はさまざまであり、悪質なものになると、裁判を利用したものなどもあります。
架空請求詐欺被害に遭うと、被害金を取り戻すのは大変ですので、被害に遭わないように未然に注意することが大切です。今回は、架空請求詐欺の手口や対処方法などについて解説します。
架空請求詐欺は、よく起こる消費者トラブルであり、消費生活センターなどへの相談事例もとても多いです。
架空請求詐欺とは、本来は何の契約も成立しておらず、業者側には請求権がないのに、あたかも契約が成立したかのような通知をしてきて、業者が消費者に対して契約料や代金などの請求をする詐欺のことです。契約や請求権が架空のものなので、架空請求詐欺と言われます。
架空請求詐欺は、悪徳商法の1つにも位置づけられることがありますが、中でもかなり悪質なものです。「詐欺」と名がつくとおり、架空請求詐欺は犯罪ですし(詐欺罪)、業者を見つけたら警察に逮捕してもらうことも可能です。当然支払ったお金は本来支払い義務のないものなので、返金請求することができます。
しかし、実際には業者の居所や正体などを特定することが難しく、いったん支払いをしてしまうと、返金を受けることも難しくなることが多いです。
そこで、架空請求詐欺については、被害に遭わないように未然に対処することが大切です。
次に、架空請求詐欺の請求内容や請求パターン、手口などを確認しましょう。
架空請求詐欺の手口はさまざまです。
多いのが、携帯電話などのメールに送信してくるタイプです。突然有料サイト(アダルトサイトなど)の利用料金を振り込むように通知文が送られてきます。いついつまでに支払いをしない限り、裁判をします、などと記載されていることもあります。
過去に有料サイトを利用したことがある人の場合、身に覚えがあるので支払いをしなければならないのかと思って支払いに応じてしまうことがあります。
ハガキを送付してくるパターンも多いです。突然「訴訟予告通知書」「民事訴訟最終通告書」などと記載されたハガキが送りつけられてきて、やはり、いついつまでに支払いをしないと裁判が起こり、給料などが強制執行されます、などと記載されています。
インターネットにアクセスしたために架空請求詐欺を受けるケースもあります。
有料サイトの画面をクリックしたり、メールのURLをクリックしたりしただけで、突然高額なサイト利用料を請求されてしまいます。
「パチンコ攻略法」などと称して、その情報と引き替えにお金を振り込ませるパターンなどもあります。
振込入金だと足がつくので、近年では郵便局のレターパックで現金を送らせる手口なども増えています。
レターパックで現金を送ることは認められていないので、そのような要求があっても応じることなく、相手業者が架空請求詐欺ではないか疑ってみる姿勢が大切です。
架空請求詐欺に対しては、どのような対処方法をとればよいのかをご紹介します。
架空請求詐欺に遭った場合、無視することが基本の対処方法となります。架空請求詐欺の通知書が送られてきても、無視している限り問題が起こらないことが多いです。相手は、こちらに対して何らかの請求権を持っているわけではないので、放置している以上、相手業者はそれ以上の請求をすることはできないのです。
相手業者から届いた請求書や通知書、メールなどには連絡先が書いてあることも多いですが、むしろこのような連絡先に連絡を入れてはいけません。
連絡をすると、個人情報を聞き出されて、こちらが逃れにくいように心理的な圧迫を欠けてきますし、脅迫されてお金を支払わせられることなども多いです。たとえば、「本日中であればお支払いに間に合います」とか「支払うまで延滞料金が毎日加算される」とか「お支払いいただけないなら、裁判せざるを得ません」「あなたのアクセス記録が残っているので、請求ができる」などと言って巧みに支払いをさせられてしまうのです。
1度支払いに応じると、情報が他社にも回って次々に詐欺が行われ、被害が拡大することも多いです。対応に困った場合には、警察に相談しましょう。
架空請求詐欺の通知書が届いた場合には、無視することが基本ですが、無視してはいけないケースがあります。それは、裁判所から通知書が届いたケースです。
最近では、架空請求詐欺業者の手口も手が込んできて、裁判手続を利用したものが増えています。
具体的には、支払督促という手続を利用してお金を請求してきます。支払督促とは、債権者の申立てにもとづいて、債務者に対してお金の支払いなどを督促する手続のことです。支払督促が申し立てられた場合、放っておくと請求通りの権利があることが暫定的に確定してしまい、相手業者から給料や預貯金などの強制執行(差し押さえ)を受けてしまうことになります。支払督促の場合、通常の裁判手続とは異なり特に裁判所において審理などは開催されません。債務者からの異議申し立てがない限り、債権者の請求権が認められてしまうのです。
そこで、支払督促が申し立てられた場合には、必ず反論をして請求権が認められないように手続きする必要があります。
架空請求詐欺が行われた場合、それが無視すべき業者からの連絡書なのか反論が必要な支払督促申立書なのかについては、その郵便がどこから届いたものかによって区別することができます。業者から届いたものなら無視しているだけで良いですが、裁判所から届いた書面の場合には、支払督促申立書である可能性が高いです。
また、裁判所から届いた支払督促申立書の場合、通常郵便ではなく必ず特別送達という種類の郵便で送達されるので、注意しましょう。特別送達の場合、ポスト投函ではなく、送達先への手渡しの方法で送達されますし、郵便に「特別送達」と印字されています。
裁判所から特別送達で支払督促申立書が届いた場合の対処方法をご紹介します。
まず、その書類が本当に裁判所からの支払督促申立書なのかどうかをチェックしましょう。
裁判所から特別送達で書類が届いたら、中身をあけて「支払督促申立書」が入っていることを確認します。そして、裁判所からの案内書を見ましょう。裁判所からの書類には、担当の裁判所名や係名などが記載されています。
裁判所からの支払督促申立書であることが確認できたら、支払督促に対する異議申立書を作成して提出する必要があります。異議申立書には、特に理由は不要なので、「本支払督促申立に対しては、異議を申し立てる」などと記載すれば足ります。
支払督促への異議申し立ては、支払督促申立書の送達後2週間以内に、裁判所に必着で送る必要があるので、注意が必要です。この期間を過ぎると、異議申し立てができなくなって支払督促にかかる権利が確定してしまいます。
支払督促申立書が届いたら、とにかく早めに異議申立書を作成して、速達で担当の簡易裁判所の係宛に送付するか、裁判所に持参して提出しましょう。
異議申し立てをしたら、その後自然に通常裁判手続に移行します。通常裁判では、相手業者は、請求内容に理由があることを証明しなければならないので、架空請求詐欺の場合、請求権を証明できる証拠がなく、相手が敗訴する事になる可能性が高いです。ただし、通常裁判に移行した後も、放置して反論をしないでいると、相手の言い分がすべて通ってしまうので、きっちり答弁書を出して反論をすることが必要です。
これらの裁判手続についてわからないことがあれば、弁護士に相談すると良いでしょう。
今回は、架空請求詐欺のこととその対処方法を解説しました。架空請求詐欺の手法はさまざまで、近年では裁判手続を利用した悪質なものも増えています。
架空請求詐欺に対しては、無視することが基本の対処方法になりますが、裁判所での支払督促申立が利用された場合には、必ず異議申し立てをする必要があります。
異議申し立てには、2週間の期限があるので、とにかく早めに手続きすることが大切です。
今回の記事を参考にして、架空請求詐欺に引っかからないように正しく対処しましょう。
架空請求詐欺を得意としている弁護士
大山 京 弁護士 東京都
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