内容証明

消費者問題を解決するためのツールの1つ。内容証明の活用術
悪徳商法に引っかかってしまったり、いったんは契約してしまったけれども後から解約をしたくなったりした場合には、相手業者に対してクーリングオフや契約解除通知、取り消し通知などの通知書を送る必要がありますが、このときに内容証明郵便という郵便を利用するととても効果的です。内容証明郵便は日常生活では余り利用しない郵便ですが、具体的には、どのような郵便であり、どうやって利用することができるのでしょうか?
今回は、内容証明郵便のこととその書き方、利用方法などを解説します。
契約の解除通知やクーリングオフ通知などを送る場合によく利用される内容証明郵便ですが、これは具体的にどのようなタイプの郵便なのかをご紹介します。
内容証明郵便とは、郵便局と差出人の手元に、送付した書面と同じ内容の控えが残るタイプの郵便です。
郵便局や差出人に控えが残ることによって、後になって相手方から「そのような内容の郵便は受け取っていない」と言われることを防ぐことができます。
この点、普通郵便で送ってしまうと、どこにも控えが残らないため、相手が勝手に処分してしまって「知らない」などと言われてしまうおそれがありますし、勝手に内容を変えられてしまうおそれなどもあります。
また内容証明郵便を利用する場合、相手に対してはポスト投函ではなく手渡しの方法で送達されますので、郵便が不着になったり紛失したりすることも防げます。
内容証明郵便を発送する際には、郵便局が確定日付を入れるので発送日も確定されますし、配達証明というサービスをつければ、いつ相手方に送達されたのかも明らかになります。クーリングオフをする場合、法定書面の交付後8日以内や20日以内などの期間内に通知をする必要がありますが、内容証明郵便には確定日付が入るため、確実に期間内にクーリングオフをしたことを証明することも可能になります。
このように、消費者トラブルに関連して通知書を送る場合には、内容証明郵便を利用することが大変有用なので、ぜひとも利用方法を覚えてくべきです。
次に、具体的な内容証明郵便の書き方をご紹介します。
内容証明郵便を書く場合、3つの全く同じ文書を作成する必要があります。これが、それぞれ郵便局の控えと差出人の控え、相手方に送達される文書となります。
また、内容証明郵便には定まった書式があるので、それに従って書類を作成する必要があります。具体的には、縦書きの場合には、1行20字以内、1枚26行以内の制限がありますし、横書きの場合には、以下の3つの書式を選ぶことが可能です。
- 1行20字以内、1枚26行以内
- 1行13字以内、1枚40行以内
- 1行26字以内、1枚20行以内
上記はすべて「以内」ということなので、それより少ない文字数ならOKです。文字数を超過すると、郵便局で受け付けてもらえず、書き直しになってしまうので、注意しましょう。
文書自体はパソコンなどで文書作成することもできますし、利用する紙も普通のA4の用紙などで大丈夫です。
。や、なども1字にカウントされるので、注意しましょう。(1)は、1と〇の2文字になりますが、「」や()などのかっこは、1組で1文字とカウントされます。たとえば、(1)や(一)は2文字となります。
具体的に、クーリングオフ通知を送る場合、どのような文例になるのかをご紹介します。
以下のように記載すると良いでしょう。
契約解除通知書
住所 〇〇県〇〇市〇〇
〇〇株式会社 御中
冠省 私は、御社との間で以下の内容の契約をしましたが、これについてはクーリングオフにより、解除いたします。
契約日:○年○月○日
商品名:○○○
数量:○○個
販売会社名:○○○
上記契約を、本書をもって解除しますので、その旨通知します。
つきましては、既に私が支払い済みの、金○○○円を速やかにご返金ください。
私が受け取った商品につきましては、代金返還後、速やかにお引き取りいただけますよう、重ねてお願いいたします。
草々
平成〇〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇
氏名 〇〇〇〇 印
クーリングオフ通知をする場合、最低限契約内容とこれを解除することだけが明らかになっていたら足りるので、上記のうち、返金に関する部分や商品引き取りの部分については必須ではありません。
また、商品やサービスを購入した場合、それをクレジット払いとすることがありますが、その場合には、クレジット会社にも同じように通知書を送る必要があります。
内容証明郵便が数枚に渡る場合には、ホッチキスで留めて、ページとページの間に契印しなければなりません。
このとき利用する印鑑は、内容証明郵便本文に使ったものと同じものである必要があります。
内容証明郵便を出す方法をご説明します。
内容証明郵便を発送したい場合、まずは同じ内容の文書を3通作成します。そして、これを郵便局に持参して発送することになりますが、全国のどこの郵便局でも受け付けてもらえるわけではないので、注意が必要です。
内容証明郵便を受け付けているかどうかがわからない場合には、事前に電話などで確認してから文書を持参するようにしましょう。
文書を郵便局に持っていくと、内容を郵便局員が審査して、問題があれば訂正を求められます。簡単な訂正であれば、内容証明郵便に押した印鑑を持っていればその印鑑によって訂正をすることができるので、内容証明郵便を発送する際には、郵便に使ったのと同じ印鑑を持参するようにしましょう。
また、内容証明郵便を発送する際には、費用がかかります。内容証明郵便の費用の支払い方法は、通常の郵便と同様、郵便切手を購入して郵便局に納付する方法です。代金は、通常の定形郵便の大きさの場合には、
通常郵便物の料金82円
内容証明の費用430円
書留料金430円
配達証明を付ける場合には配達証明費用310円
合計1252円がかかります。枚数が1枚増えると、260円が加算されます。
速達にする場合には速達の費用280円が追加でかかります。
また、郵便局に行かなくても、インターネット上から電子内容証明郵便のサービスを利用して発送することも可能です。平日の昼間などに郵便局に行って手続きするのが手間になる場合には、電子内容証明郵便を利用すると手軽で便利です。
電子内容証明郵便の費用は、1枚~3枚の場合で1510円となります。
クーリングオフ通知などを内容証明郵便によって発送した後は、どのような対応をとれば良いのかも簡単に見ておきましょう。
まず、内容証明郵便を発送する際には、配達証明をつけておくべきです。配達証明をつけると、相手方に内容証明郵便が送達された段階で、いつ送達されたかを通知するハガキが自宅に届きます。
これが届いたら、放っておいても相手方から何らかの連絡が来る可能性がありますが、相手によっては無視されるケースもあります。その場合、すでに代金を支払っていて、返金を求める場合などには、こちらから相手に再度連絡をして「先日クーリングオフをしたので、代金を返金してほしい」などと言って具体的な返金の手続を進める必要があります。
まだ代金を支払っていない場合などには、特に何もせずに放っておいても大丈夫です。
相手から商品を受け取っている場合には、内容証明郵便の送達後相手から連絡が入り、引き上げる手続などがすすめられることになりますが、これについても相手が無視する場合には、こちらから連絡を入れて引き取り願いを出した方が良いでしょう。
今回は、クーリングオフ通知を発送する場合などに役立つ内容証明郵便について解説しました。内容証明郵便とは、郵便局と差し出し人の手元に、発送したのと同じ内容の控えが残るタイプの郵便です。これを利用すると、確実に期間内にクーリングオフ通知をしたことなどを証明でき、相手業者から「そのような郵便を受け取っていない」などと言われることも防止出来るので役立ちます。
内容証明郵便には、定まった書式などがありますし、全国どこの郵便局からでも発送できるわけではないので注意が必要です。今回の記事を参考にして、正しく内容証明郵便を利用しましょう。
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