相談窓口(消費者生活センター・国民生活センター)

消費者問題の相談窓口、消費生活センターを利用するには
悪徳商法などに引っかかったり、暮らしの中で契約トラブルが起こった場合などには、クーリングオフをしたり契約を取り消したりなど、いろいろな対処が必要になります。しかし、このような手続は、自分一人で進めようとしても、具体的にどのようにしたら良いのかわからないことが多いです。そこで、消費者問題が起こった場合には、消費生活センターや国民生活センターに相談することができます。消費生活センターとはそもそもどのような機関で、どのようなことを相談できて、どのような方法で相談することができるのでしょうか?
今回は、さまざまな消費者問題を相談できる消費生活センターについて解説します。
まずは、消費生活センターとはどのような組織なのかをご紹介します。
消費生活センターは、全国の地方公共団体(都道府県や市町村)が設置している機関です。ここでは、消費者と業者とのトラブルや悪徳商法の被害などについて、消費者から苦情や相談を受け付けています。相談料はかかりません。
また、消費者に対して啓発活動をしたり、暮らし(衣食住)についての情報提供をしたりもしています。
消費生活センターは、消費者安全法という法律にもとづいて設置されている機関です。同法は、各都道府県に対し、消費者からの消費者トラブルについての相談をする施設を設置する義務を課しており、市町村に対しては、同じく消費者が消費者トラブルを相談できる施設を設置する努力義務を課しているので、各地方公共団体が消費生活センターを設置して相談業務に当たっています。
都道府県や市町村によっては「消費生活センター」ではなく「消費者センター」「県民生活センター」「市民生活センター」「消費者相談室」などの名称にしているケースもあります。
消費生活センターは、次に説明する国民生活センターと名前が似ていますが、国民生活センターそのものとは異なりますし、国民生活センターの下部組織でもありません。
国民生活センターとは、国民生活の安定や向上を目的とする国の独立行政法人の機関であり、国民生活についての情報提供や調査研究をしたり、消費者の紛争について法的に解決したりするための活動などをしていますし、消費生活センターと同様、消費者相談も行っています。
消費生活センターは、国民生活センターとの間で消費生活相談データベースを共有していますし、消費生活相談員の研修事業などについて協力関係があります。
消費生活センターは、消費者ホットラインという電話相談事業も行っています。全国から0570-064-370の番号にかけると、音声ガイダンスが流れるので、指示に従って郵便番号などを入力すると、相談ができる最寄りの消費生活センターなどに電話をつないでもらって相談することが可能です。
消費生活センターでは何をしてくれるか次に、消費生活センターや国民生活センターでは具体的にどのようなことをしてくれるのかをご紹介します。
消費生活センターでは、消費者トラブルなどについての消費者の相談を受け付けています。
相談方法は、電話か来館による相談が可能です。どちらの場合も費用はかかりません。
電話による相談には、消費者ホットラインがあります。
消費者ホットラインは、消費者庁の発足後設置された電話相談で、当初は2009年9月に、福島県、山梨県、島根県、香川県、沖縄県の5県で先行してはじまりましたが、現在は全国で利用することができます。
ただ、NTTの「ナビダイヤル」を使用するので、電話回線の状態によっては利用できないこともあります。また、プリペイド式の携帯電話やPHSからは、接続できません。
土日祝などの自治体が休みの際も、消費生活センターにはつなげることができません。
このように、消費生活センターが休みの日や話し中などの場合には、国民生活センターに電話をつないでもらうことができます。消費生活センターと国民生活センターは連携して消費者相談に乗っているので、国民生活センターでも同じように消費者トラブルについての相談を受けられます。
また、消費生活センターに行って相談を受けることも可能です。相談に行くと、専門の相談員が詳しく話を聞いてくれて、具体的にどのような対処方法があるのかを教えてくれたり、法的な解決の手続方法を教えてくれたりします。必要な場合には、弁護士のところに相談に行くようアドバイスしてくれることもあります。
消費生活センターの担当員が、相手業者との交渉をしてくれて解決を導いてくれるケースもあり、とても心強いです。
たとえば、判断能力が不十分な人が教材を購入する契約をしてしまった場合などに、クーリングオフをする方法を教えてくれて、周囲の人の協力なども得ながら自分たちでクーリングオフをして解決できた事例などがあります。
また、スクールに入学して学納金を支払ったけれども、広告内容と異なるから契約をキャンセルして学納金の返金を求めたいという相談があったケースにおいて、消費生活センターが業者に連絡して交渉をしてくれた結果、全額の返金を受けられたという事例もあります。
このように、消費生活センターでは、単にアドバイスを受けられるだけではなく具体的な手続について指導を受けられたり、代わりに業者と交渉してくれたりするので、とても助かります。しかも、費用は一切かからないので、弁護士などに相談すると、費用倒れになってしまうようなケースでもとても使いやすいですし、全国の都道府県や市町村にセンターがあることも便利です。
消費者トラブルに巻き込まれた場合には、消費生活センターに相談をすると問題を解決できる可能性がありますが、具体的に消費生活センターで相談を受けるには、どのようにすればよいのかをご説明します。
センターで相談を受けたい場合、まずは最寄りの消費生活センターに電話をします。
このとき、原則的にトラブルに遭っている本人から電話する必要があります。ただし、本人が認知症であったり判断能力が低下していたりして、うまく説明ができない場合には、代理人が電話をして相談することもできます。
消費者ホットラインからも、最寄りの消費生活センターにつないでもらうことができるので、相談できます。
電話だけで相談が終わることもありますが、来館して相談を受けたい場合には、予約を取ります。相談受付の際には、相談者の氏名や住所、電話番号や性別、年齢や職業などが聞かれますので、答えましょう。これらの個人情報は、消費生活センターの統計情報作成のためなどに利用されます。統計情報は、今後の消費者トラブルの防止や行政の施策に役立てるために利用されるので、次の被害者を出さないようにするために大切な情報となります。
また、相談事例について、後日弁護団が結成されたり業者が逮捕されたり倒産したり、行政による対応が決定したりなどの動きが起こった場合に、センター側から情報提供を受けることができますが、そのような情報を通知してもらうためにも、連絡先などの個人情報を伝えておく必要があります。
個人情報を提供するのが嫌な場合には通知しなくても相談できますが、その場合、受けられるアドバイスがかなり限定的になってしまう可能性があるので、注意しましょう。
消費生活センターに相談する際には、電話相談であっても来館相談であっても、契約書などの関係資料をすべて揃えておくことが大切です。業者から渡された約款や契約書、業者の広告やパンフレット、インターネット画面やURLなども関係していればプリントアウトして用意しましょう。電話相談の場合には、横に置いて、いつでも参照できるようにしておくべきですし、来館による相談の場合には、すべて持参して担当の相談員に見てもらいながら話を進めましょう。
また、問題が起こったときの状況をメモなどにして整理して、順序立てて説明出来るように準備しておくと、相談がスムーズに進みます。
今回は、さまざまな消費者トラブルについての相談を受けられる消費生活センターをご紹介しました。消費生活センターは都道府県や市町村などの地方自治体の組織ですが、消費者ホットラインという電話相談窓口があったり、来館によって相談ができたりするので、消費者トラブルの解決にはとても役立ちます。費用も全くかからないので、少額の案件などでも安心して利用できます。
消費者トラブルに巻き込まれたら、消費生活センターを賢く利用して、早めに問題を解決しましょう。
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