素人でもできる!クーリング・オフのやり方・手順
[投稿日] 2017年08月02日 [最終更新日] 2018年04月27日
「訪問販売で強引に商品を買わされた!」
「断り切れなくて、エステに通う高額な契約を結んでしまった!」
その場でなんとなく契約をしてしまった後でも、場合によっては契約を解除できる制度があります。
「クーリング・オフ(Cooling-off)」と呼ばれる制度で、消費者に一度冷静になって考え直す時間を与え、一定の期間内であれば、無条件で契約を解除することができます。
消費者にとっては、とても便利なクーリング・オフ制度。ですが、いつでも利用できるものではありません。また契約によってはクーリング・オフ制度が適用にならない場合もあります。
詳しく見ていきましょう。
クーリング・オフとは、前述のとおり、契約した後、頭を冷やして(Cooling Off)冷静に考え直す時間を消費者に与え、一定期間内であれば無条件で契約を解除することができる特別な制度です。
この制度を利用すれば、契約を結んでしまった後も、一定の期間内であれば、無条件で契約の解除を申し出ることができます。
販売員の言葉巧みな営業トークで、つい高額な商品を買ってしまったけど、冷静に考えたらやっぱりいらないのでお金を返してほしい!
そんな時に利用できるのがクーリング・オフ制度です。
クーリング・オフはすべての取引に認められているワケではなく、特定商取引法等に定められた取引に適用されます。
特定商取引法とは、訪問販売や通信販売等の消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。
特定商取引法においてクーリング・オフの対象となる取引には以下のような取引があります。
訪問販売自宅への押し売りや、路上で声をかけられて建物の中に連れていかれ、商品を買わされるキャッチセールスなどがこれにあたります。
電話勧誘販売事業者が電話で勧誘し、申込みを受ける取引のこと。
連鎖販売取引個人を販売員として勧誘し、更にその個人に次の販売員の勧誘をさせるかたちで、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品・役務の取引のこと。
マルチ商法とも呼ばれる。
長期的で継続して通うようなサービスに対して高額な対価の支払う契約を結ぶ取引のこと。エステや語学教室などが対象とされています。
業務提供誘引販売取引「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のこと。
これらの取引は特定商取引法に基づき、クーリング・オフ制度が適用されており、指定された期日までに書面で相手に送れば、契約を解除することができます。
クーリング・オフが適用されない取引もクーリング・オフ制度は、一度結んだ契約を一定の条件下で解除できる制度のことですが、例えば、以下のように、クーリング・オフ制度が適用にならない取引もあります。
自分でお店に出向いて申し込みや契約をした場合自分でお店に出向いて商品を買ったり、申し込みをしたりした場合には、クーリング・オフ制度は適用されません。店によっては、クーリング・オフ制度とは別に、独自に返品や交換に応じているところもあります。
3000円未満の現金取引の場合「訪問販売」や「電話勧誘販売」では、税込みで3000円未満の現金取引の場合には法律上クーリング・オフはできません。
通信販売通信販売も、特定商取引法で規制されている取引の一つではありますが、クーリング・オフ制度が適用になりません。(通信販売を提供している業者が独自に返品制度を設けていることはあります。)
使用、消費した一定の消耗品訪問販売で購入した商品であっても、化粧品や健康食品などの、使用または消費すると商品価値がほとんどなくなってしまう一定の消耗品は、一度使用または消費してしまうとクーリング・オフは難しいです。ただし、消耗品であっても、業者が開封、使用、消費させた場合や、契約書に消耗品を使用した場合にはクーリング・オフができない旨の記載がない場合などは、クーリング・オフができます。
販売業者には書面交付の義務があるクーリング・オフが適用になるかは、販売業者が交付する契約書の約款や規約に、クーリング・オフに関する記載があるかどうか確認しましょう。
事業者には法律で定められた事項が書かれた契約書面を交付する義務がありますので、かならず書面でもらうようにします。
万が一書類の内容が正しくなかった場合、後で交付義務に違反したと主張することも考えられます。
クーリング・オフができる期間は、例えば訪問販売の場合、法律で定められた事項が書かれた契約書面を受け取った日から数えて8日です。
逆に法律で定められた事項が書かれた契約書面を交付してもらえなかったら、クーリング・オフの起算日がまだ生じていないことになりますので、書面を受け取らない限りいつでもクーリング・オフできることになります。
また、「解約は許さない」などと事業者に脅されたり、「この取引にはクーリング・オフ制度はない」などと虚偽の説明をされて、消費者がクーリング・オフを妨害された場合は、事業者から改めてクーリング・オフができる旨を記載した書面を渡された日が、クーリング・オフの起算日になり、その書面を受け取ってから所定の期間を超えるまでは、クーリング・オフができます。
クーリング・オフ期間 | |
---|---|
訪問販売 | 契約書面等を受け取った日から8日間 |
電話勧誘販売 | 契約書面等を受け取った日から8日間 |
特定継続的役務販売 | 契約書面等を受け取った日から8日間 |
マルチ商法 | 契約書面等を受け取った日から20日間 |
業務提供誘因販売取引 | 契約書面等を受け取った日から20日間 |
クーリング・オフの対象となる取引については、クーリング・オフの期間内であれば、無条件で契約を解除することができます。
クーリング・オフは記録を残すため、必ず書面で行います。
郵便局で内容証明郵便や簡易書留など記録が付くものを利用して、期間内に解除をしたことを証明できるようにしましょう。書類の内容や差出人・受取人など詳細に記録できる内容証明郵便を利用すれば、より有効です。
それでは、クーリング・オフをはがきで行う場合の手順について説明します。
(1)はがきに契約を解除したい旨を記入し、その契約について、できるだけ詳細に説明します(契約年月日、商品名、金額購入など)現金で支払いをしていた場合は、返金方法(現金・振込など)も記載してください。
(2)クレジットカードで商品を購入した場合、販売業者だけではなく、クレジットカード会社にも同じ通知を送っておきましょう。(3)契約書面と解除通知書の控えは必ず保管しておきましょう。
法律では、事業者は、クーリング・オフ等があった場合、消費者に速やかに、返金するように定められています。
ところが業者の中にはクーリング・オフの通知を受け取っても、理由をつけて返金をしぶったり、通知を無視する悪徳業者などもいます。
クーリング・オフをして数週間たっても、返金がされないようであれば、消費生活センターや弁護士に相談されることをおすすめします。
クーリング・オフ制度は、悪徳業者の強引なセールスや詐欺まがいの勧誘から消費者を保護してくれる、とても頼もしい制度です。
とはいえ、高額な商品を購入する際には、契約前にきちんと契約書類を読み込み、必要であれば、持ち帰ってもう一度冷静になって検討する時間を持つようにしましょう。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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クーリングオフ2020年10月02日
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北川 靖之 弁護士
キタガワ法律事務所