結婚式場が用意した美容師がミス!どんな請求ができる?

Legalus編集部さん 2015年05月09日

 結婚式を予約した式場から「美容師はこちらで御用意させていただきます」と言われたため、お願いすることにしました。

 当日の髪型について相談し、決まった内容は、「付け毛は一切しないで、彼女自身の髪の毛を使って結い上げる」というものでした。

 ところが先日、美容師は「毛先だけ整える」と言ったのに、隣席の客と話をしながら切ったため、彼女の髪は見るも無残なダンダンカットに。その上、結わえる事も出来ないほど短くなってしまったのです。彼女は結婚式のために、2年半も髪の毛を伸ばしてきたというのに。

 この美容師に、どのような請求ができるでしょうか。


(30代:男性)

関連Q&A

妻が自分の欲しい物を勝手にどんどん注文します。断ることができるのでしょうか?

商品・サービスの購入 2016年12月02日

妻の金銭感覚が乏しい為、現在は私が家のお金を握っております。 その状況下において、妻が勝手に自分の欲しい物をちょくちょく注文し、物を宅配便の代引きにて送らせるのです。 これまでは数千円程度の物だったので、苦しいながらも支払いをしており...

未払いの払込金を回収する方法は?

商品・サービスの購入 2016年10月31日

自営業をしています。 先日、支払いは振込みでというお客様がおりました。しかし、期日を過ぎても入金がなかったので、再三連絡をとったのですが、携帯も出ず、会社に連絡しても居留守を使われ本人と全く連絡がつかなくなってしまいました。金額自体は...

解決してない質問があれば、新しく質問を登録しましょう!

新しく質問する

Legalus編集部

     まず、「希望したスタイルどおりに髪をカットしてもらう」という契約は、民法上の「請負契約」に分類されると考えます。請負契約は、請負人が注文者に対して仕事を完成することを約束し、注文者が仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束することによって成立するものです(民法632条)。

     今回は、「毛先を整えるために少しだけカットする」ことが事前に取り決められているので、美容師(請負人)は、そのとおりにカットする(仕事の内容)という債務が生じています。それなのに、髪は短く切られてしまい、打ち合わせどおりに仕上がらなかったというのですから、美容師は債務を履行しなかった、ということになります。


     そこで、注文者である彼女は、請負契約の不履行を理由として、損害賠償を請求し(634条2項)、契約も解除することができます(635条)。髪は切られてしまっているので、解除は意味がないようにも思えますが、「カットの代金を支払う義務がなくなる」という利益が得られます。


     これに対し、美容師は、「髪を切りすぎたのは、隣席の客のためである。営業上、隣席の客に対しても応対する義務があるので、そのために髪を切りすぎたことになっても仕方がない(不可抗力である)し、私に過失はない」と主張することが考えられます。

     この言い分は、正当といえるでしょうか。


     一般の契約においては、契約が債務不履行のため目的を達成されなかったとしても、不可抗力、すなわち債務者の過失によらない場合には、相手方は契約を解除したり、損害賠償を請求することはできないとされています。そうでないと、債務者に酷だからです。
     しかし、請負契約においては仕事の「完成」こそが契約の目的となっているので、「精一杯やったけど駄目だった」とか、「できなかったのは自分の責任ではない」とかいう言い訳は一切できないのです。こういうのを、無過失責任といいます。そう考えると、「請負契約である(つまり、民法の請負契約の規律に従わなければならない)」と認定されることは、結構重たいんだ、ということが分かっていただけるでしょう。
     したがって、美容師はそのような理由で責任を免れることはできません。
     損害賠償を請求する相手は、その美容院や結婚式場を経営する会社です。美容師は、使用人として(「履行補助者」といいます)担当しただけと考えられるからです。
     そこで、店の責任者や経営者に、「髪は元に戻せないのだから、代わりに損害賠償金を支払え」と請求することになります。いくら請求できるかは難しい問題で、最終的には相手方との話し合い又は裁判で決着するしかないでしょう。


     では、「こんないい加減な式場では安心して式を挙げられない」ということで、結婚式を挙げる契約まで解除できるでしょうか。解除して、すでに支払ったお金などを取り戻すことができるでしょうか。
     これについては、かなり難しいと考えます。
     「髪を切りすぎたために式当日希望の髪を結えなくなった」ということを理由として挙式契約自体を解除するには、「希望の髪型通りに結うことが、挙式契約の重要な部分である」ことが必要になり、それが彼女の心の中の問題としてだけではなく、社会通念上も認められるか、あるいは挙式の契約時に、相手に表明されていなければならないのです。そうでないと、相手方は安心して契約を結ぶことができないからです。
     晴れの日のために2年半も髪を伸ばしてきた彼女にはお気の毒ですが、「この髪型でないと式は挙げない」等と明らかにしていないとすれば、相方の同意がない限り挙式契約の解除は困難でしょう。

2015年05月09日

商品・サービスの購入に強い弁護士

法律問題のご相談をお受けします。まずはご連絡下さい。

【堺市】南海本線堺駅すぐ

依頼者の一番の味方となり、ベストな解決を目指します。まずはお気軽にご相談ください。

解決してない質問があれば、新しく質問を登録しましょう!

新しく質問する
ページ
トップへ