旅行・娯楽

旅行や娯楽にひそむトラブル。用心で避けられるものもある
旅行やイベントなどの娯楽はとても楽しいものですが、トラブルもつきものです。たとえば、予約申込みをしていても、キャンセルすることがありますが、その際には思ってもいなかったような高額のキャンセル料がかかってしまったり、旅行内容が突然変更されたりするなどのこともあります。旅行中に事故に遭ってしまうこともあり、その場合には、誰にどのような補償を求めることができるかを知っておく必要があります。
そこで今回は、旅行やイベントを利用する際に起こりがちなトラブルと解決方法などについて解説します。
旅行やイベントを利用する際には、旅行会社やイベント会社に対して申込みをして手配をすすめてもらうことが普通です。この場合、いったん申込みをしても、後日都合が悪くなったりしてキャンセルをしなければならないケースがあります。
旅行やイベントなどをキャンセルすると、キャンセル料がかかることが多いです。この場合、イベントや旅行の予定日が近づくにつれて高額なキャンセル料がかかってしまうので、キャンセルした人にしてみると、どうして旅行に行かないのにそんなに多額のキャンセル料がかかるのかと納得ができず、トラブルに発展してしまうこともあります。
キャンセル料に関しては、基本的には契約当事者の合意がなければ発生しないものなので、旅行会社やイベント会社と利用者との間でキャンセル料に関する合意ができていなければ、キャンセル料を請求されることはないはずです。ただ、特に旅行の場合などには、ほとんど確実に契約書にキャンセル料の定めがあります。
旅行に関しては、旅行業法にもとづく標準旅行業約款にもとづいて旅行会社と利用者が契約をすることがほとんどですが、このとき、観光庁が定めるキャンセル料の上限を基準にして、キャンセル料が定められることになります。
標準旅行業約款とは、国の観光庁が定めている旅行業に関する約款のことで、ほとんどの旅行会社がこれをそのまま利用して利用者と契約をしています。その内容にはキャンセルについての定めとキャンセル料の上限の定めがあるので、旅行会社はその上限の金額を採用するのです。具体的なキャンセル料の上限金額は、以下のとおりとなります。
海外旅行の場合は旅行開始日の30日前からキャンセル料が発生しますが、年末年始やGWお盆休みなどの繁忙期には、旅行開始日の40日前からキャンセル料が発生してしまいます。キャンセル料は、旅行代金のパーセンテージによって定められており、40日前になると10%、30日前になると20%、2日前からは50%にまで上がります。出発時間を過ぎると、100%のキャンセル料がかかります。
国内ツアーの場合、旅行開始日の21日前からキャンセル料がかかります。21日を経過したら20%、8日前を過ぎると30%、前日までが50%、旅行開始後は100%のキャンセル料がかかります。
このようなキャンセル料については、旅行会社やイベント会社との契約の際に契約書に記載があったり注意書や約款が交付されたりするはずなので、これらの契約をするときのやり取りにしっかり配慮しておくことが大切です。
旅行内容の変更や旅行中の事故…よくあるトラブルとその対処旅行の契約をする場合、当初に旅行内容を定めていることが普通です。ところが、その後旅行内容が変更されることがあります。
また、旅行中に事故が起こることもあり、これらの問題が起こった場合にどのように対処すれば良いのかが問題になります。
まず、旅行内容が変更された場合の問題を見てみましょう。
旅行内容が変更された場合の取り扱い方法も、旅行業約款によって定められています。
この場合、旅行会社は、その変更について旅行業者に故意や過失がなくても、利用者に対して変更補償金という保証金を支払わなければなりません。標準旅行業約款内では、変更補償金について次のように定められています。
まず、旅行業者は、旅行終了日の翌日から30日以内に、変更補償金を支払う必要があります。また、変更補償金の金額は、旅行代金の15%以上である必要もあります。
さらに、旅行内容の変更が複数発生したとしても、変更補償金の金額は1つの旅行については旅行会社が定める限度額以上の金額が支払われることはありません。変更の数だけ変更補償金の金額が高くなることはないので、注意が必要です。
多くの旅行会社が変更補償金の限度額を旅行代金の15%にしていますが、中にはサービスを良くするために、これより高い限度額を定めている旅行会社もあります。
また、旅行内容の変更が、旅行業者の故意又は過失にもとづく場合には、利用者は旅行会社に対して損害賠償請求をすることも可能です。この場合には、変更補償金と損害賠償金の二重取りはできず、高額な方の金額だけを請求できることになります。
たとえば、変更補償金が3万円で損害賠償金が10万円の場合、先に変更補償金3万円を受け取っていたら、後に損害賠償請求で支払ってもらえる金額は7万円となります。
次に、旅行中に事故が起こった場合の補償を見てみましょう。
旅行業者には、特別補償責任があります。特別補償責任とは、旅行会社に故意や過失がなくても、旅行中に旅行者に起こったトラブルについて旅行会社が一定の補償をしなければならない責任のことです。
具体的には、旅行者が旅行の参加中に生命や身体、手荷物などに関して被った損害が対象になります。
旅行者が身体的な傷害を負った場合には、旅行会社は死亡補償金や後遺障害補償金、入院見舞金や通院見舞金を支払うことになりますし、旅行者の手回り品に損害が発生した場合には、旅行会社は携帯品損害補償金を支払うことになります。
このように、旅行中に旅行者が偶然の事故に遭ったら、旅行会社に一定の補償を求めることができることは覚えておくと良いでしょう。
旅行に関してはトラブルが起こりがちですが、どのような場合でも賠償や補償を受けることができるわけではありません。
まず、旅行に行けなくなった場合、それが旅行者に過失のない原因であっても、キャンセル料がかかることは避けることができません。旅行申込時の約款に定めがある以上、これを断ることはできないからです。旅行のキャンセル料が消費者契約法違反であるとして、裁判に訴えて争われた事例もありますが、キャンセル料支払い規定が消費者契約法に違反すると認める事例は少ないです。
また、旅行内容が変更された場合、それが旅行会社の故意過失にもとづくものであれば損害賠償請求をすることもできますが、そうでない場合には、変更補償金の請求ができるに過ぎません。変更補償金の限度額は、旅行代金の15%までになっていることがほとんどなので、多くのケースでこれ以上の金額の補償は受けられないのです。納得がいかなければ、旅行をキャンセルするしかなくなります。
さらに、旅行中の事故の際にも注意が必要です。
旅行中に事故に遭った場合には旅行会社に特別補償責任によって補償金の支払を請求することができますが、すべての損害についての補償を受けられるわけではありません。
特別補償責任の対象になる事故は、偶然の事故に限られるので、たとえば旅行者の持病が悪化したり、持病による発作を起こしたりした場合には、補償の対象外になってしまいます。
手荷物などに対する損害についても同様で、あくまで偶然の事故に限られます。旅行者が危険な運転をしたために発生した事故などについては補償は行われないので注意が必要です。
さらに、食中毒の場合には、細菌性の中毒の場合には補償の対象外になります。細菌性ではない食中毒の場合には、補償が行われます。
特別補償責任による支払いが行われる場合、契約(約款)に定める限度額内での補償に限られるので、損害全額についての補償が受けられるわけではないことにも注意が必要です。特別補償責任は、旅行会社に責任がない場合でも適用されるので、このように限定された補償内容になっているのです。
これに対して、旅行会社に故意過失があるケースであれば、発生した損害全体について賠償請求をすることが可能です。
今回は、旅行やイベントにまつわる法的トラブルについて解説しました。旅行やイベントごとはとても楽しいものですが、予約のキャンセル時や旅行日程変更、旅行中の事故のケースなど、いろいろな法的トラブルが発生する可能性があります。
旅行内容や旅行中の事故については、旅行会社に一定の責任があり、補償の請求もできますが、必ずしも全額の補償を受けられるわけではないので注意が必要です。
今回の記事を参考にして、トラブルを上手に避けて、楽しい旅行を実現しましょう。
旅行・娯楽に強い弁護士
若井 亮 弁護士 東京都
弁護士法人不動法律事務所【初回相談無料】【24時間予約受付】依頼者が諦めない限り絶対に諦めず、必ず守ります。可能な限りいつでも、どこで...
大西 洋至 弁護士 京都府
二之宮義人法律事務所【初回相談30分無料】豊富な実績と柔軟な発想、そしてしっかりとお話を伺う誠実な対応で、最良の解決に向けて全力で...
酒井 伸彦 弁護士 愛知県
オーバル法律特許事務所【あなたの悩みに寄り添います】”一人で悩む前に、相談してほしい”・・・そんな思いから<初回相談無料><夜間/土...
【TV・新聞出演経験多数】【初回相談30分無料】弁護士歴40年の経験豊富な弁護士が皆様の問題をこれまでの経験を...
トップへ
台風等悪天候によるライブの中止。返金なしは合法なのでしょうか?