【弁護士に聞く】会社分裂の危機!そのときにできること、すべきこと
[投稿日] 2019年05月10日 [最終更新日] 2019年05月10日
企業法務を得意としている弁護士
仲間と会社を立ち上げる、という話はよく聞きます。しかし、いつまでも良好な関係が続くとは限りません。対立が生じた場合、会社分裂を避けるにはどうしたらよいか、事前に何か対策できることはないのか、東京スタートアップ法律事務所の中川浩秀弁護士にお話を伺いました。

(東京スタートアップ法律事務所)
企業のスタートアップや成長を後押し、日本のアップデートに貢献することを使命としている。弁護士顧問契約、ITビジネス法務、債権回収、資金調達、知的財産など、企業の様々な問題に日々取り組み、解決に導いている。
――共同経営者と意見が合わない場合、会社の業務に支障が出る可能性はありますか。

中川 弁護士
対立したら、もう無理ですね。
私の感覚からすると、共同経営という概念自体が間違っています。
会社のボスは一人です。
他の人の意見は聞くけれども、決裁権を持つのは一人でなければなりません。
そのための設計が最初にできているかが肝心です。
多数決で決めるというのはありえません。
――ベンチャー企業のように規模の小さな会社で経営陣の対立が起こった場合、大企業と比べてどのような問題が生じやすいですか。

中川 弁護士
会社法は、所有と経営の分離を建前としています。
これは、株主と実際に会社の運営(経営)を行う人間が別々になっているということです。
東証一部上場企業ですと、所有と経営が実際に分離しているケースが多いです。
つまり、経営陣の持ち株比率が低く、他に株主がたくさんいます。
つまり、会社の持ち分は多数の人に分散されています。
社長でも、株式の比率が数%というのがざらにあります。
これに対して、所有と経営が基本一致しているのが小さな会社です。
会社が小さいと、持分は数人に集中しているケースが多いです。
株主イコール経営者なので、役員から外れても、株を持っているという、やっかいな問題が起こります。
そのことを防止するために、経営から外れれば株式も戻すように、最初に設計しておくのが大事です。
- 小さな会社では、役員から外しても株主である場合が多い
- 共同経営者と意見が対立した場合、出ていかせるように最初から設計しておくのか大事
――経営方針の違いによる対立が生じた後で、それを修復するのは非常に難しいように思います。会社の分裂を避けるために、事前にどのような対策をしておくべきでしょうか。

中川 弁護士
決定権者、つまり、最終的には一人で決裁できる人を作ることです。
仲が良い人同士で会社を始めても、いつかどこかでギャップが生じるものです。
他の人の意見も聞いて仲良くしていても、経営者は実は孤独なものだと私は考えています。
――会社を立ち上げる前に弁護士に相談すれば、事前の対策についてアドバイスしてもらえますか。

中川 弁護士
相談した方がいいと思います。
ただ、弁護士なら誰でもいいというわけではありません。
起業の支援に力を入れている弁護士をインターネットで探したり、実際に何人かに会って話をしてみたりするなど、信頼して相談できる弁護士を慎重に選んでください。
- 単独で決裁できる人がいれば、対立を防ぐことができる
- 会社分裂を避けるための対策は、会社を設立する前に弁護士に相談する
共同経営者の間で意見が対立し、会社の意思決定ができなくなってしまうと、業務がストップしてしまいます。
そうならないためには、誰か一人の意思で会社を動かせるような設計をする必要があります。
ただ、うまく設計するには、会社法の知識が必須です。自力で設計するのが難しいと思ったら、事業を始める前に、弁護士に相談しましょう。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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