自治体が自殺した職員や在籍した職員の時間外勤務状況やパソコンの履歴の公開をしない理由

User image 1 lu_69b9c123さん 2019年12月12日 23時05分

三ヵ月ほど前にある自治体の職員が亡くなりました。
自殺だと聞いております。
そのことについて、当該自治体の議員が議会において、「以前から亡くなった職員や当該職員が在籍していた部署の他の職員の時間外勤務状況やパソコンの履歴を公開するように求めていたのになぜそれができないのか」、という趣旨の質問を行ったところ、人事担当の部長は「法令上、個人情報、人事管理情報に位置づけられるのでできない」という趣旨の答弁を行っていました。
そんな解釈ってありうるんでしょうか?
これでは、仮に亡くなった職員が、亡くなる前までに日々、膨大な時間外労働を行っており、それが死の原因の一つと考えられたとしても、遺族はそういった証拠をつかむことさえできないということになると思うのですが、妥当な法解釈なんでしょうか?

一般的な憲法解釈として、プライバシー権は憲法13条の幸福追求権の一種として保障されるとされるとともに、プライバシー権の内容の一つとしての自己情報コントロール権も含まれると解されるが、自己情報コントロール権については抽象的権利であり、法律の定めによって具体化されると解されます。
また、憲法21条1項の表現の自由として「知る権利」も含まれるものの、抽象的権利であり、法律の定めによって具体化されると解されます。
そして、あくまで個人的見解ですが、第三者からの請求は個人情報保護の問題がありますが、当該職員の相続人が開示請求するか、あるいは相続人全員が開示に同意している場合は、本件のように膨大な時間外労働が死の原因と考えられる場合には、開示請求は認められるべきではないでしょうか。

具体的な法令として、①情報公開法5条1号ハでは、当該個人が公務員等であり、当該職務遂行の内容に関する部分について、②行政機関個人情報保護法12条1項では自己情報開示請求権を定めるものの、14条7号二では、「人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」がある場合について、開示の除外事由として定めています。
②に関し、同法の目的の一つに「行政の適正かつ円滑な運営」が掲げられていますが(同法1条)、個人的見解ですが、本件のように膨大な時間外労働が自殺の原因の可能性がある場合、開示せずに真相を明らかにしないほうがむしろ、「行政の適正かつ円滑な運営」に支障を生じさせる恐れがあるように思います。
またそもそも、同法12条1項は憲法13条の具体化、情報公開法は憲法21条1項の具体化と解されるところ、本来下位法令である「法律」よりも最高法規である「憲法」が優先するはずであって、行政機関保有個人情報保護法14条7号二や情報公開法5条1号ハ所定の除外事由は、本件においては限定的に解釈すべきではないでしょうか。

もっとも、当該自治体は、あくまで情報公開法5条1号ハや行政機関個人情報保護法14条7号二に該当するとして開示に応じない可能性が高いと見込まれます。
また、「文書は高性能シュレッダーにかけて廃棄した。元々廃棄予定だったが、シュレッダーが混雑していたのでたまたま日程がずれた」「データは消去した」「パソコン内のバックアップデータは個人情報ファイルに当たらない」等として開示に応じない可能性があります。

当該自治体があくまで開示に応じない場合、当該職員の相続人から開示請求訴訟や、第三者からの請求の場合は相続人全員の同意を得た上で情報開示請求訴訟の提起が必要になる可能性があります。

2019年12月13日 00時35分
補足質問
User image 1

lu_69b9c123 - 2019年12月13日 21時57分

つまり、自治体側から開示する意思が感じられない際は訴訟しかないということですか?
また、訴訟を起こしても開示が認められないようなケースも多いんでしょうか?
補足回答
Resized avatar mini magick20170419 15354 4y9nui

小川 智史 弁護士 - 2019年12月13日 22時26分

①最初のご質問で、議会での質問に対し自治体側が開示を拒否したとのことですが、議会での政治的交渉にもよるのではないでしょうか。他には、訴訟提起の前に、不開示決定に対する行政庁への審査請求も可能とされます。
いわゆる森友学園問題における関連資料の開示請求に関し、一旦財務省が不開示決定を行なったものの、総務省内の審査会において不開示決定取消すべきの答申がなされ、その後財務省が開示に応じているようです。
②いわゆる森友学園問題において、国有地の売買代金については情報公開法5条2号イの不開示情報に当たらないとした上で、国家賠償法上の違法性も有とした上で国の不開示決定について損害賠償を認めた例があるようですので、一概には言えません。
本件のような事案で情報公開法や行政機関保有個人情報保護法の条文が形式適用されるか否かの裁判例については、直ちには分かりかねます(詳細な調査までは致しかねます)。
補足質問
User image 1

lu_69b9c123 - 2019年12月14日 09時00分

審査請求とのことですが、中央官庁ならともかく市役所程度では審査する機関も開示する機関も同じではないんですか?
補足回答
Resized avatar mini magick20170419 15354 4y9nui

小川 智史 弁護士 - 2019年12月14日 23時00分

さらなるご回答は差し控えさせて頂きます。

100条調査という議会の調査権を行使すれば、拒めないでしょう。
よく、100条委員会というものが設置されますが、それですね。
議員個人には、調査権限は与えられていないのですね。
議会が、調査委員会を設置して、公務員の労働条件に関して資料の
提出を求めれば拒めないでしょう。

2019年12月13日 10時34分
補足質問
User image 1

lu_69b9c123 - 2019年12月13日 21時55分

100条委員会って設置には議員の何割くらいの賛成が必要になるんでしょう?
また、議員ではない人間がその設置を働き掛けるような制度等はありますか?
補足回答
Resized avatar mini magick20201222 1409 1oggtpt

内藤 政信 弁護士 - 2019年12月14日 10時41分

僕自身、地方公務員法は、よく知らないですね。
お調べになってください。
一般的には、過半数議決と思いますが、特別議決かどうか調べた
ことはありません。
働きかける制度は、ないでしょう。
あるとすれば、議会に対する請願でしょうか。
議員の事務所の秘書と話して、100条委員会の設置を議員に働
き掛けてもらうのが近道でしょう。

投稿時の情報です。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。

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