市役所に設置するコピー機つり銭忘れの取扱いについて、煩雑な届出業務を簡略化したいと考えています。

User image 1 lu_31ff9b52さん 2019年06月15日 14時29分

市役所勤務で庁舎管理を担当しています。

窓口に設置している有料コピー機のつり銭忘れが多く、ほぼ毎週の頻度で警察署につり銭を届けています。
遺失物法第4条で拾得した物件を速やかに警察署長に提出しなければならないこと」と、
「遺失物法第34条第4項により、一週間以内に届けなければ所有権を喪失すること」を根拠に、
週に一回警察に届けていると前任者より引継ぎを受けています。

しかし、毎週警察に届ける、つり銭忘れの合計額は、僅か30円~200円程度です。

そのつり銭を警察に届け出るために、下記のような事務処理を行っています。

 ①拾得物届出書を起案し、課長までの決裁後、公印審査を経て、文書を作成。
 ②所管警察署につり銭と文書を持っていき受理してもらい、「拾得物件預り書」を受け取る。
 ③警察から出された「拾得物件預り書」を役所内部で供覧する。
 ④3ヶ月が経過した物件の返還がある場合は、収入伝票を作成し、市の収入として処理を行う。

これらの事務処理に毎週2~3時間、月約10時間の作業時間を要し、残業が常態化しています。

職員の時間外手当単価3000円として、月3万円のコストがかかっている計算になります。

役所ならではの非効率な仕事ですが、拾得物を預かったまま長期間放置すれば、法第4条に抵触するでしょうし、
監査で市の収入に出来るはずだった所有権を、職員の怠慢により市の歳入機会を逸したと指摘される可能性もあります。

ここからは、法律素人のアイデアですが、財布など個人を特定できるものなら、法に則り適正に届け出るべきですが、
そもそも、つり銭の硬貨に名前が書いているわけでもなく、あとから、遺失者と主張する住民が現れても、
私たち施設占有者としても、正当な権利者か確認するすべもありません。(実際に、後からつり銭忘れを取りに来た人はいません。)

そこで、本市の拾得物取扱要綱を改正し、
「硬貨単独でかつ千円未満の拾得物件については、無主物とみなし、災害義援金等に寄付できるものとする。」趣旨の条文を追記してはどうかと、
考えております。

この条文を要綱に加えれば、つり銭を遺失物として警察に届け出る義務から免れ、
つり銭忘れを発見した際は窓口に設置してある募金箱に入れることについて、監査で指摘されても、要綱に則って処理していますと主張でき、
住民目線から見ても、うっかり取り忘れたつり銭が被災者の役に立つなら良いかと理解が得られるでしょう。
職員の煩雑な事務作業も無くなり、大幅な業務改善に繋がるものと考えております。

この政策案について、デメリットや違法性が無いか等アドバイスをいただければと思います。

何卒よろしくお願いします。

1 業務としての煩雑さからの改善策としては妥当と考えます。
法的には,自動販売機の釣り銭の問題と同様に考えられます。
しかし,忘れた釣り銭が直ちに無主物となるとする点は,若干飛躍があると思われます。
2 このことは,自動販売機の釣り銭については,紙幣,硬貨ともに忘れた人の特定ができないことから,自動販売機の所有者ないし設置者の占有物として刑法的には窃盗となります。その点を民事的に考えれば,忘れた人は権利放棄して,市に権利移転したと構成することもできます。
これは,比較的に有名なゴルフ場のロストボールはゴルフ場の所有物となり,それを勝手に捕る部外者の行為は窃盗罪となるとした判決例とも整合性がとれます。
他方では,路上の落ちているお金は遺失物(占有離脱物)として無主物とはならず,刑法・民法の保護の対象となります。
この違いは,硬貨(及び紙幣も)について,自動販売機ではその管理者の占有の元にあることは当然として,ゴルフ場も区切られた敷地内にあるため管理者がロストボールも占有していると考えるのに対して,路上は誰の占有下にあるとも特定できないからだと思います。
市庁舎内を,市民に対してオープンスペースであると考えると,路上と同じようにも考えられなくはありませんが,建物内と言うことからコピー機も市の管理下にあり,そこに遺留された硬貨も市の占有にあると考えられます。
3 そう考えると,遺失物(占有離脱物)としていたものを解釈を変更して無主物と見なすとするのは,少し無理があるように思われます。
表現を変えて,「その権利を放棄したものとみなし、災害義援金等に寄付できるものとする。」として,さらにコピー機の近くのボード及び通過投入口にも「釣り銭忘れに御注意ください」との注意の呼びかけと共に,その要綱にある義援金寄付の部分を掲示しておいたらどうでしょうか。
4 理論的に言えば,硬貨だけではなく紙幣も同様だと思われますが,差を設ける合理性もないように思います。金額からのバランスをとっただけでしょうか。
また,釣り銭忘れの申し出があった前例がないのは,お金の取り忘れが戻る可能性がないことを経験則で皆分かっているからだと思います。しかし,行政の立場からは,「遺失物法第34条第4項により、一週間以内に届けなければ所有権を喪失すること」が,コピー機を利用する市民にも分かるように,これも掲示して,一応拾得物として,発見の日時を特定しつつ管理をして置く必要はあると思います。
その上で,届け出が無ければ,管理者である市に権利移転するという構成も無理がないように思われます。
5 理屈と実際の妥当性からのみ,ご意見を申し上げました。同様の問題は他の市の住民票等の自動交付システム等でも起こっている事柄だと思います。
その調査も併せて行ってみてください。

2019年06月15日 21時48分
お礼メッセージ

むさしの森法律事務所

弁護士 岡田 正樹様

大変、的確かつ丁寧なご回答有難うございます。

取り忘れたつり銭が直ちに無主物とはならない法解釈から、つり銭取り忘れを注意喚起するとともに要綱を窓口に提示する点、発見日時を特定しつつ管理しておく点など具体的な運用方法に至るまで非常に勉強になりました。

前例踏襲主義から脱却し、適法かつ柔軟に法律を解釈し、できる限り余分な事務を簡素化し、住民サービスの質を高めて行きたいと思います。

このたびは貴重なご回答をいただき本当に有難うございました。

投稿時の情報です。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。

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