とある農業協同組合と売買基本契約を締結することとなりました。
先方より契約書ドラフトが提示され、商法に則った修正をしたうえで戻したところ、先方から商法上の商人ではないので商法は適用されません、と回答があったのですが、農業協同組合との契約に商法は適用されないものなのでしょうか。
農協の事業は営業行為ではないとして農協は商法4条の商人には当たらないとされます(最判昭和37年7月6日)。
もっとも、農協の出資者以外の、会社等の商人との間で取引を行なう場合には、取引先の立場からは営業行為として商法503条の付属的商行為に該当しますが(なお、国税庁も営業者間の契約との見解)、そもそも商法504条以下の商行為に関する規定は、基本的に任意規定のため、一部を除き契約によって排除することは可能です。
したがって、農協が商法の規定に基づく契約条項に応じられないという立場であれば、契約を締結できない可能性がある点を踏まえた上で、具体的内容について交渉頂く必要があるでしょう。
なお、本年3/31までに締結された契約は現行民法が、4/1以降は改正民法が原則として適用され、瑕疵担保責任または契約不適合責任の適用、消滅時効、遅延損害金の法定利率等が異なってくるため、改正民法の適用にもご留意いただく必要があるでしょう。
lu_1a67ea87 - 2020年01月15日 15時43分
小川先生いつも早急なご回答ありがとうございます。
そもそもとして、一方が商人(本ケースでは当社)で、もう一方(本ケースでは農協)が非商人であるような場合は、商法に則った規定で合意でもしない限り、商法の適用は受けないということになるのでしょうか。
今一つ商法の適用範囲が理解できておらず、ご教授いただけますと幸いです。
小川 智史 弁護士 - 2020年01月15日 16時05分
具体的な内容、商法のどの規定が適用されるかによります。契約条項で定めがない場合、①例えば、商行為の代理(504条)や報酬請求権(512条)等は一方が商人であれば、当該商人について商行為規定が規定されます。
これに対し、②例えば、商人間留置権(521条)や商人間売買の目的物検査・通知義務(526条)等は、両方が「商人間の」取引である必要があります。
契約で合意すれば、上記の点について排除することも、設定することも可能です。ただし、契約内容も無制限に自由ではなく、公序良俗に反する場合(極端なケースですが)には無効となる可能性があります。
ご回答いただき、誠にありがとうございました。
農業協同組合は商人ではないので、時効も10年ですね。
もっとも、あなたが法人であるか事業者ならば、商行為に
なるので、時効は5年になります。
つまり、商法が適用されますね。
こういう条文があります。
(一方的商行為)
第3条
(第1項)当事者の一方のために商行為となる行為については、
この法律をその双方に適用する。
(第2項)当事者の一方が2人以上ある場合において、その1
人のために商行為となる行為については、この法律をその全
員に適用する。
lu_1a67ea87 - 2020年01月15日 19時18分
内藤先生ご回答ありがとうございます。
当方は株式会社であって法人事業者にあたりますが、今回の農協との売買契約は商法が適用される取引になるということでしょうか。
lu_1a67ea87 - 2020年01月15日 20時04分
内藤先生>これに対し、②例えば、商人間留置権(521条)や商人間売買の目的物検査・通知義務(526条)等は、両方が「商人間の」取引である必要があります。
そうなりますと、小川先生の上記ご回答は、どのように考えればよろしいのでしょうか。
たびたび恐れ入りますが、混乱してきましたのでご回答いただけますと幸いです。
内藤先生
なるほど。
商人間で規定されている条文については、商人間のみに適用されるということですね。
ご回答ありがとうございました。
投稿時の情報です。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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