利益相反取引について②

User image 1 lu_1a67ea87さん 2020年02月05日 16時45分

先般、利益相反取引についてご相談しましたが、別のケースでのご相談となります。
当社は、代表社員を株式会社とする合同会社です。代表社員が法人であるため、職務執行者を置いており、その人数は2名です。

当社が90%の株式を保有する株式会社があり、その代表取締役には、当社の2名いる職務執行者の1名(以下A)が就任しています。

①当社とその株式会社が取引をする場合、上記のとおり完全子会社ではないため、利益相反取引に該当し、当社およびその株式会社のそれぞれで承認決議が必要ということになりますでしょうか。

②また、当社では契約書等を締結する場合は、上記Aではない、もう1名の職務執行者(以下B)の名前で契約を締結することとしていますが、当社と上記株式会社との契約において、当社ではB、その株式会社ではAの名前での契約締結であっても、①の結論は変わらないことになりますでしょうか。

①Aが子会社を代表して取引する場合には、子会社はもちろん、持分会社に関する会社法598条2項・595条1項により、貴社においても原則として承認決議が必要となります。
 もっとも、A以外の者が子会社を代表する場合には、直ちには利益相反取引に当たらないとするのが学説上は通説とされます。
 ただこの場合でも、(a)一方に有利な取引となれば他方の代表者は忠実義務違反となるおそれがありますし、また、(b)子会社から貴社に対する利益供与とならないよう、取引内容の妥当性もチェックいただく必要があります。

②利益相反取引該当性は外形的・客観的に判断すべきとされ、子会社たる株式会社をAが代表するのであれば、原則として双方において承認決議が必要とされます。
 もっとも、反復継続する取引の場合、(a)基本契約締結には承認決議が必要とされますが、(b)基本契約で定めた条項に基づく個別取引については、原則再度の承認は不要というべきでしょう(普通取引約款に基づくサブリースにつき、東京地判S57.2.24)。ただし、(ⅽ)個別契約において、基本契約と大きく異なる取引を行う場合には、やはり承認決議が必要となる可能性があります。

2020年02月06日 10時48分
補足質問
User image 1

lu_1a67ea87 - 2020年02月06日 11時31分

小川先生

詳細なご回答ありがとうございます。

当社においても承認決議が必要とのことですが、仮に承認決議について、これに係る議事録等を作成しない場合に問題はありますでしょうか。
当社の相手方となる株式会社は記載のとおり、当社が90%の株式を保有する会社であり、当社はこれも記載のとおり、合同会社ですので、承認決議については、総社員の同意ということになろうかと思いますが、その総社員(1社のみですが)およびその総社員たる株式会社の株主(こちらも株式会社です)においても取引に異論無いのですが、これを記録しておかないことによるリスク等がありましたらご教授いただけますと幸いです。
補足回答
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小川 智史 弁護士 - 2020年02月06日 11時44分

合同会社の場合、業務執行社員の競業取引については総社員の同意が必要ですが(594条1項)、利益相反取引については、原則として当該社員以外の過半数社員の同意で足ります(595項1項)。
リスクとしては、万一後で翻意してクレームをつけられた場合に、立証責任が貴社にありますので、言った言わないの問題を避けるという点にあるでしょう。
お礼メッセージ

小川先生

大変勉強になりました。

誠にありがとうございました。

投稿時の情報です。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。

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