税務

税務
ここでは、企業に関わる税金について概略を説明します。
税の概論税金は納付先別に、国に納める税金(国税)と、地方公共団体に納める税金(地方税)とに分けられます。国税の代表的なものが法人税で、地方税の代表的なものが事業税と住民税です。この他に通常会社に関係する税金としては、国税では、所得税(源泉所得税)、消費税、地価税、印紙税、登録免許税、関税が、また地方税では、不動産取得税、自動車取得税、自動車税、固定資産税、都市計画税、特別土地保有税、事業所税、ゴルフ場利用税、地方消費税などがあげられます。ただし地価税と特別土地保有税については、当分の間課税停止とされています。
また、直接税と間接税という分け方もあります。直接税の代表的なものは法人税ですが、間接税の代表的なものとしては消費税等があります。
法人税は会社の儲け(所得)の中から一定割合(税率)を直接納めるわけですが、消費税等は得意先(お客さん)から預かった税金を納めるわけですから、実際にその税金を負担しているのはお客さんということになります。
企業における税まず、会社の収益(法人税法上の所得)に対して直接かかってくる税金には、法人税と事業税があります。この2つの税負担が最も大きく、全体で収益の約40%になりますが、税金の支払はそれだけではありません。法人の住民税は、法人税の額に対して課税される法人税割の部分と、会社の儲けにまったく関係なく赤字であっても会社の規模に応じてかかる均等割や、預金利息を受け取ったときに天引き(源泉徴収)される利子割の部分があります。なお、平成16年の事業年度から資本金が1億円超の法人に対する事業税の外形標準課税が導入されました。
次に収益とは直接関係のない税金として、例えば、不動産を取得した時に不動産取得税がかかってきますし、契約書作成時に印紙税や登記に際して登録免許税もかかります。また取得後継続して固定資産税や都市計画税がかかるほか、場合によっては特別土地保有税や事業所税もかかることになります。
法人税の計算のしくみと税率法人税額は、税務上の課税所得に税率を乗じて計算されます。この課税所得は、株主総会で承認された決算書の利益(会計上の利益)に、税務上の規定による加算や減算がなされて求められます。また、決算上は費用計上されるものでも、税務上は損金(税務上の費用を損金といいます)と認められないものや、決算上は収益計上されるものでも、税務上は益金(税務上の収益を益金といいます)にされないものなどがあるため、それらの調整計算の結果、会計上の利益(損失)と課税所得は一致しないのが普通です。
1.課税所得
法人税の申告は決算日から原則として2か月以内にしなければなりません(延長の例外あり)。この申告は確定決算上の利益(損失)に、税務上の調整項目を加算または減算して算出された課税所得によって行われます。確定決算という場合の確定とは、株主総会で承認されたという意味で、つまり会社法上の決算書の利益または損失が課税所得計算の出発点となります。
2.税務調整
(1)税務上の調整項目
税務上の調整項目は、その性格から次の4通りとなります。
- 決算上の収益でも所得計算上「益金不算入」とされるものの減算
- 決算上は収益計上していなくても、所得計算上「益金算入」とされるものの加算
- 決算上の費用でも所得計算上「損金不算入」とされるものの加算
- 決算上は費用計上していなくても、所得計算上「損金算入」とされるものの減算
(2)決算調整項目と申告調整項目
この税務調整には、決算上織り込んで財務諸表を作っておかなければ認められない項目(これを決算調整項目といいます)と、申告書を作成するときに加算・減算する項目(これを申告調整項目といいます)とがあります。また決算調整項目のうちでも、株主総会における剰余金の処分によることができるものもあります。
以上の調整項目の代表的なものを例示します。
- 確定した決算で費用計上しなければ認められないもの(減価償却費、各種引当金等)
- 株主総会における剰余金の処分によることができるもの(特別償却、国庫補助金等によって取得した固定資産の圧縮記帳等)
- 申告調整によって行うことを要するもの(寄附金・交際費の損金不算入、青色申告による繰越欠損金の損金算入)
3.税額控除
法人税額は課税所得に税率を乗じて算出されますが、この算出税額から税額控除を行った残額が納めるべき法人税額となります。
主な税額控除
(1)二重課税排除の目的から行われる所得税額等の控除
(2)外国法人税額の控除
(3)粉飾決算に基づく過大申告の更正に伴う法人税額の控除
税務調査は提出された申告書と添付書類の分析から始まり、実地調査(臨場調査)の要否がまず検討されます。実地調査は、中小規模の会社であれば、通常1~2人の調査官によって2~3日間かけて行われます。事前に電話で税務調査の予告がなされますが、不正嫌疑のある場合や現金売上業種である場合などは、予告無しに突然調査官が来訪します。
調査の対象年度は、通常直近の3年間になります。質問・検査する対象は広範囲にわたります。経理帳簿の基礎となるものすべてが対象となり、現金、預貯金、有価証券等の物件も対象となることがあります。
また、納税者からの回答だけでは調査目的が達成できないと判断されたときには、取引先や銀行に対して反面調査が行われます。
実地調査の最後に調査官から問題点の指摘や、税務当局の意見、見解が示されます。取り上げられた指摘事項について意見の交換をして、会社側がその内容に納得がいく時は、通常修正申告書を提出して調査は完了します。納得がいかない場合には、税務当局は更正処分を行いますので、会社側はその更正理由を検討した上で、不服のある部分については税務当局と争うことになります。
1.強制調査
強制調査とは脱税事件を検察庁に告発することを目的として、裁判所の令状を取って強制力をもって行われるものです。国税犯則取締法に基づいて国税局の査察部(通称マルサ)が担当します。
2.任意調査
任意調査とは強制調査に対応する呼称で、一般にいう税務調査のことです。これは、納税者から提出された申告書が法令の適用等に誤りがなく、正しく計算・作成されているかどうかを確認するために行われるものです。国税通則法や各税法に基づいて国税局の調査部や税務署などの調査官が担当します。
任意調査の展開は、以下の手順で行われます。
(1)調査法人の粗選定
(2)準備調査
(3)実地調査(臨場調査):最も一般的に税務調査と言われているのが、この実地調査です。
(4)調査の終結
実地調査の最後に調査官から問題点の指摘や、税務当局の意見、見解が示されます。取り上げられた指摘事項について意見交換をして、お互いの考え方を調整し、会社側がその内容に納得がいく時は、通常修正申告書を提出して調査は完了します。
納得がいかない場合には、税務当局は更正処分を行います。会社側はその更正理由を検討した上で、不服のある部分については税務当局と争うことになり、不服申立てから訴訟までの制度が設けられています。
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