法律コラム
暴行・傷害

喧嘩両成敗という言葉があるように、喧嘩については、どちらが悪いかを問うことなく、双方ともに暴行罪や傷害罪で処罰するという法原則がありました。日本でも古い判例は、この法原則に従い、正当防衛を認めることはありませんでした。 しかし、現在の考え方や判例は、喧嘩であっても正当防衛の成立する余地を認めています。 そこで、AとBとが喧嘩をして双方ともに傷害を負った...

Q お腹の中に赤ちゃんがいる母親を殺した場合、刑法上では母親に対する殺人罪のほかに、赤ちゃんに対する殺人罪も成立するでしょうか? 成立しないと考えるのが一般的 成立すると考えるのが一般的 A 正解(1)成立しないと考えるのが一般的 刑法199条では「人を殺した者」は殺人罪に問われる旨が規定されています。 設例のように母親のお腹の中にいる赤ちゃんは、「人...

Q ヤクザ映画などでよく目にする「指(エンコ)を詰める」シーン。 さて、ある指定暴力団内において、失態をしでかした組員に対して組長から「指を詰めろ」と強要することは違法でしょうか?ただし、刑法(強要罪や傷害罪など)は考えないものとします。 違法 適法 A 正解(1)違法 ヤクザと言えば、ステレオタイプ的に指詰めを連想する方も多いはず。 ただ、設問のよう...

Q 刑法204条に規定される傷害罪は、一般的に「通院加療を要する傷を負わせた場合」に成立するとされます。 さて、嫌がらせ電話を頻繁にかけて、相手が精神衰弱症に陥った場合、傷害罪成立はありえるでしょうか? ありえる ありえない A 正解(1)ありえる ありえます。 実際、勤務先の上司や社長から叱責されたことを恨んで、連日社長宅に電話をかけ、その結果、社長...

Q 刑法の暴行罪(刑法208条)における暴行とは、「不法な有形力の行使」と定義づけられます。 では、塩を相手に振りかける行為は暴行に当たるでしょうか? 暴行に当たらない 暴行に当たる A 正解(2)暴行に当たる 塩を振りかけただけでは、およそ人にケガをさせるとは思えませんが、裁判例において塩を人の顔や胸などに数回振りかけた行為が暴行に当たるとされた事例...

Q 執拗かつ長時間の暴行を受けたYは、恐怖感を抱き、必死の逃走を図った。咄嗟に逃げ込んだ先が高速道路であり、Yは車にはねられて死んでしまった。 この時、暴行を加えていたXは何罪に問われるか?(Xは単に暴行を加えている意識であり、殺そうとは微塵も思っていなかった) 高速道路で車にはねられて死亡するところまでは想像しておらず、傷害罪に留まる。 執拗かつ長時...

2013年11月に名古屋市において、飲食店の従業員ら3人から別々に暴行を受けて男性が死亡するという事件が発生しました。被告のうち2人は共謀して被害者の顔面や腹部を殴ったり蹴ったりする暴行を加え、さらにもう一人の被告が40分後に被害者の顔面を蹴るなどの暴行を行ったことが認められました。 検察官は刑法207条の「同時傷害の特例」の適用を主張し、被告らは、暴...

被害者を殺すつもりであったのか、それとも怪我をさせるだけのつもりであったのかは、それが加害者の内心の問題であるだけに、いずれであるかを認定することは難しい。 一般的には、凶器の種類や傷害を与えた部位などの客観的状況から、殺意の有無を判断することになる。 ある殺人事件でのことである。 とある施設に入所しているAなる男性が、同じ施設に入所しているBなる男性...

Q XさんはYさんと口論になり、頭にきて近くにあったハサミを持ち、Yさんの頭髪をチョキンと切りました。切った場所は前髪で、Yさんは「見た目が悪くなった」と相当憤慨しています。 さて、Xさんの行為は刑法における傷害罪になるでしょうか? 傷害罪になる 傷害罪にならない。暴行罪となる。 A 正解(2)傷害罪にならない。暴行罪となる。 刑法の傷害罪(刑法204...

Q インフルエンザなど、確実にある病気になっていることがわかっている人がいます。 さて、この人が「憎い奴がいるから病気をうつしてやろう」と考え、実際に病気をうつすことに成功しました。この場合、傷害罪は成立するでしょうか? 傷害罪が成立する 傷害罪は成立しない A 正解(1)傷害罪が成立する 刑法204条では「人の身体を傷害した」場合に傷害罪が成立すると...

暴行・傷害を得意としている弁護士
渡邉 祐介 弁護士 東京都
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暴行・傷害2018年05月24日
現在、日本大学(以下、「日大」といいます)、と関西学院大学のアメリカンフッ...
小川 智史 弁護士
小川智史法律事務所