組織的犯罪処罰法
[投稿日] 2014年01月08日 [最終更新日] 2017年02月08日
犯罪・刑事事件を得意としている弁護士
田中 克幸 弁護士 福岡県
天神ベリタス法律事務所35回目の今回は組織的犯罪処罰法を取り上げます。組織的犯罪処罰法は、正式名称を「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」といい、平成11年に公布された比較的新しい法律です。
この法律は、「組織的な犯罪が平穏かつ健全な社会生活を著しく害し、及び犯罪による収益がこの種の犯罪を助長するとともに、これを用いた事業活動への干渉が健全な経済活動に重大な悪影響を与えることにかんがみ、組織的に行われた殺人等の行為に対する処罰を強化し、犯罪による収益の隠匿及び収受並びにこれを用いた法人等の事業経営の支配を目的とする行為を処罰するとともに、犯罪による収益に係る没収及び追徴の特例等について定めることを目的」として制定されました(同法1条)。背景には、平成7年に発生した地下鉄サリン事件や相次ぐ暴力団抗争、暴力団による企業支配など、組織を背景とした犯罪が増加していたことが挙げられます。
内容としては、団体の活動としてその構成員が罪を犯した場合に、通常の刑よりも重く罰することや、犯罪によって得られた収益や犯罪を犯すための資金などを没収することができることを定めています。暴力団絡みの事件が多いですが、2009年2月に健康寝具販売会社L&Gの会長らが組織的詐欺容疑で逮捕されるなど、組織的な悪徳商法にも適用されます。
これらのうち、裁判員制度の対象となるのは、組織的殺人罪、組織的身代金目的略取罪です。通常の殺人罪は「死刑または無期もしくは5年以上の懲役」ですが、組織的殺人罪は「死刑または無期もしくは6年以上の懲役」となっています。同様に、身代金目的略取罪は「無期又は3年以上の懲役」ですが、組織的身代金目的略取罪は「無期又は5年以上の懲役」とされています。
組織的犯罪処罰法による検挙数は年々増加しており、平成15年に280人だった検察庁新規受理人数が平成19年には664人と2倍以上になっています。裁判員対象事件は年に数人程度ですが、組織的な詐欺罪や犯罪収益等の隠匿罪の人数が増えてきています。
« 第34回 武器・兵器に関する犯罪 | 目次 | 第36回 交通に関する犯罪»
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
問題は解決しましたか?
弁護士を検索して問い合わせる
弁護士Q&Aに質問を投稿する
犯罪・刑事事件を得意としている弁護士
中野 星知 弁護士 大阪府
中野・田中法律事務所山本 友也 弁護士 神奈川県
やまもと総合法律事務所宇都宮 貴士 弁護士 千葉県
松戸法律事務所トップへ
詐欺2020年12月08日
報道によると、持続化給付金の不正受給について、福岡県において初の逮捕者が出...
水野 遼 弁護士
水野FUKUOKA法律事務所逮捕・勾留2020年11月20日
最近,有名人がひき逃げで逮捕されるというニュースが続きました。 先月(10...
木野 達夫 弁護士
宝塚花のみち法律事務所犯罪・刑事事件2020年11月06日
コロナ救済策として出された「持続化給付金」 これを騙し取ったとして逮捕され...
福富 裕明 弁護士
東京FAIRWAY法律事務所