携帯ウイルス2~ウイルスを作るとどうなる?~
[投稿日] 2016年02月17日 [最終更新日] 2017年08月31日
犯罪・刑事事件を得意としている弁護士
岡 直幸 弁護士 福岡県
ゆくはし総合法律事務所最近はパソコンだけでなく、携帯も多数の被害を受けているコンピュータウイルス。
こうしている間にも新しいウイルスは開発され続けていますが、ウイルス作成者はどんな罪に問われるのでしょうか?
刑法168条の2によると、パソコン用・携帯用を問わず、人のコンピュータで実行する目的でコンピュータウイルス等を作成したり提供したりすれば、3年以下の懲役または50万円以下の罰金になります(不正指令電磁的記録作成等罪。いわゆる「コンピュータ・ウイルスに関する罪」)。
未遂であっても同様です。
このとき、コンピュータウイルスとみなされるのは、ユーザーの意図通りの動作を阻むような、不正な指令を与えるプログラムです。
「ユーザーの意図通りの動作を阻む」といっても、ユーザーがプログラムの機能について正しく認識していないなど、プログラムがユーザーの意図を反映できないことに一定の理由がある場合は、ウイルスとはみなされません。
また、プログラムの発する指令が「不正」なものかどうかは、機能上、それが社会的に許容しうるかを基準に考えます。
たとえば、ハードディスク内のファイルを全消去するプログラムであれば、パソコンを手放す前に内容を消そうと自発的に使う分には問題ありませんが、行政機関を装って事情を知らない第三者にこれを送り付け、実行させて、勝手にパソコン内のファイルを消してしまうような場合は「不正」といえるでしょう。
法務省は、コンピュータウイルスに関する罪が成立するのは
- 正当な理由がない
- 無断で他人のコンピュータにおいて実行させることを目的とする
という2点を満たすときだけと強調しています。
したがって、ウイルス対策ソフトの開発などの場合は、(1)目的が正当ですし、(2)他人のコンピュータでウイルスを実行する気もないので罪にはなりません。
また、この罪は故意がなければ成立しないため、意図せずにウイルス同様の動作をするプログラムを作成してしまってもウイルス作成罪で罰されることはありません。
たとえば、バグ(プログラミングの過程で、作成者も知らないうちに生じるプログラムの誤りや不具合)を生じさせてしまったとしても、これを悪用しない限りは大丈夫です。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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