親が勝手に通帳と印鑑を持ち出して預金を引き出した!

Legalus編集部さん 2016年02月16日

 親が勝手に私(27歳)の通帳と印鑑を盗み、信用組合の窓口で口座を解約し、預金全額(69万円)を引き出しました。この場合、親を刑事告訴できますか?

また、本人ではない者に対し、親と長年の付き合いがあるという理由で口座の解約と預金全額の引き出渡しに応じたことについて、信用組合に責任はないのでしょうか?



(20代:男性)

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Legalus編集部

    1.親を刑事告訴できるか


     犯罪被害者は刑事告訴をすることができますが(刑訴法230条)、あなたは親の行為により被害を受けたといえるのでしょうか?考えられる被害は、(1)通帳と印鑑の所有権を奪われたこと、(2)信用組合に対する預金債権を奪われたことですので、それらについて親に犯罪が成立しているか否かを検討してみましょう。



     (1)通帳と印鑑について、親は「他人(あなた)の財物(通帳と印鑑)を窃取した」(刑法235条)のですから、窃盗罪の構成要件に該当する行為を行ったと言えます。しかし、(2)預金債権については、刑法上、そのような行為を処罰する条文がありません。窃盗罪は成立しないのかとの疑問を持たれるかもしれませんが、同条にいう『財物』とは有体物〔固体・液体・気体〕をいうと考えるのが一般的であり、預金債権は有体物とは言えませんから窃盗罪が成立することはないと考えられます。

     ただ、「本条にいう『財物』は管理可能なものをいう」と考える見解もあります。明治時代にはそのような見解を採る判例もありました(大判M36.5.2)。

     しかし、そこで問題となったのが電気を盗んだ行為についてであり、その後『電気窃盗罪(刑法245条)』が立法されたという経過から、現在の最高裁の下では「刑法235条にいう『財物』は有体物をいう」とする見解に立つものと考えられます。



     では、通帳と印鑑についての窃盗罪を理由に、あなたは親を告訴できるのでしょうか?

     刑法244条1項は「配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪〔窃盗罪〕、刑法235条の2の罪〔不動産侵奪罪〕、又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する」という規定があります。この規定については、これにより犯罪自体が成立しないこととなるのか、または刑罰を科すことが免除されるに過ぎないのかについて見解が分かれています。

     しかし、本条は「法は家庭に立入らず」という理念の下に立法化されたものですから、仮に告訴したところで犯罪事件として処理されることはありません。したがって、通帳および印鑑を盗んだことを理由とする告訴は、親子という直系血族関係のある当事者間において、実質的には「できない」と考えられます。



    2.預金の解約と引き出しに応じた金融機関の責任


     金融機関に対して預金債権を有していたのはあなたですから、原則として、あなた以外の者に対して金融機関が弁済〔=払戻し〕したとしても、あなたの金融機関に対する債権はいまだ存在します。つまり、預金者以外により預金が引き出された場合、金融機関は騙されて債権を払い戻したわけですから、金融機関は詐欺罪の被害者と位置付けられるわけです。一方、これには例外があり、金融機関は、窓口に来た者を真実の預金者またはその有効な代理人であると「善意・無過失」で誤信したことを立証することにより、自らが行った弁済を有効なものとすることができます(民法478条)。この場合、払戻しは有効なものとなりますので、金融機関が詐欺罪の被害者と位置付けられることはありません。



     では、本件の場合はどのようになるのでしょうか?

     信用組合による弁済が有効なものとされた場合、あなたに対し、同組合が法的責任を負うことはありません。あなたとすれば、親の責任〔不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)〕を追及する以外にありません。しかし、相談文には「長年の付き合いがあるという理由で口座の解約と預金全額の引き出渡しに応じた」とあります。これが事実であるとすれば、金融機関は預金者でないことを知りながら又は預金者でないことにつき知らないことに対して過失があって払戻しを行ったことになりますので、払戻しを有効なものとするために必要な「善意・無過失」(民法478条)が金融機関にはないことになります。この場合、あなたの預金はまだ存在しているものと考えられますので、信用組合には、あなたとの消費寄託契約(民法666条2項)に基づき、あなたの預金払戻し請求に応じる責任があると考えられます。

2016年02月16日

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