ペットを交通事故で失ったときの損害賠償請求はできるのでしょうか?

User image 1 匿名ユーザーさん 2015年08月26日 18時21分

 先日、飼っている犬を、うちの子供とその友達が、一緒に散歩をさせていたのですが、公園内で友達がふざけて、わざとリードを放して犬を逃してしまいました。その後、犬は道路へ飛び出し、車にひかれ死亡しました。車はそのまま逃げ未だ見つかっていません。この場合の責任は、誰にあるのでしょうか?ペットは物扱いになる事は知っています。器物破損として、損害賠償を誰にいくら、どのような方法で請求すれば良いでしょうか?ペットは生後11ヶ月のトイプードルです。



(30代:女性)

匿名弁護士

     法律上の責任を問う場合、「刑事上の責任」と「民事上の責任」の2種類があります。刑事の責任は、懲役、禁固、罰金などの「刑」に結びつきます。一方、民事上の責任は、最終的に損害賠償請求になります。

     誤解がありそうなので回答しますと、器物損壊罪などの刑事上の責任があることが、民事上の責任を問うために必要不可欠である、ということはありません。民事上の責任、つまり損害賠償請求だけをする、ということも可能です。今回のご相談では、「損害賠償請求の可否」が中心だと考えられますので、こちらについてご回答差し上げます。(ちなみに、器物損壊罪は故意犯、つまり意図的にやった場合のみ罰せられます。不注意で犬をひいたケースでは成立しないため、今回のご相談では器物損壊罪は成立しません)



     ご相談内容の場合、不法行為に基づく損害賠償請求が可能だと思われます(民法709条)。これは、ある者が故意または過失によって他人の権利や利益を侵害した場合に、その被害者に対して損害を賠償させる法制度です。



     今回のケースでは、「リードを放した子供の友達」と「車を運転していた人物」、それとも両方に請求すべきかという点で問題が生じます。

     不法行為の成立要件として「故意または過失」「権利・利益の侵害」「損害の発生」「故意または過失によって損害が生じたと言える因果関係」が満たされなければなりません。

     リードを放した友達について成立要件を検討した場合、放したことに過失は認められ、その結果損害が生じたとも言えそうです。しかしながら、リードを放したことが損害を発生させたという因果関係が認められるかは怪しいものがあります。というのも、結果発生に至る過程で運転者の過失が介在しており、因果関係が途切れてしまっていると考えられるためです。

     加えて言えば、お子様と友人関係にある人物に対して、損害賠償請求をすれば当然、友人関係に軋轢は生じるというデメリットも考慮しておいたほうが良いのではないかと思います



     一方、車を運転していた人に請求をする場合、運転における過失からペットの死亡という損害の発生まで因果関係を含めて成立要件を満たすものと考えられますので請求は可能だと考えられます。

     したがって、認められやすさなどを考えれば請求の相手方は車の運転手にするほうがよいと思われます。



     次に、どのように請求するか?という点についてですが、相手方に対して直接請求してもいいですし、応じないようであれば裁判所に対して訴訟提起をすることになります。

     今回のケースでは、相手方がわからないということですので、ひとまずは警察への届け出など(物損事故になると考えられます)をすすめ、相手方の所在を把握し、賠償請求をかけていくということになると思います。



     ただ、ペットの死亡事故などで損害賠償請求をした裁判例を見てみると、金額にはバラつきがあります。具体的には数万円程度から、多くても数十万円です(東京高判平成16年2月26日、千葉地判平成17年2月28日など)。

     このように総じて低額になってしまうのは、ペットが法律上「物」と扱われてしまう点に理由があります。損害賠償をしても、結局は購入費用や一定程度の飼育費用、場合によってはペットの葬儀代などに賠償の範囲が限定されてしまうからです。



     実際の裁判では、死亡の経緯、監理者側の過失、飼育期間などの事情(愛情を注ぎ、家族同然であったかどうかなど)を総合的に考慮して賠償金額を判断されることになります。こうした部分を考慮すると、今回のケースでは監理者側がリードを外していたなどの事情があるため、賠償額が低くなり、費用倒れになる公算は高い点が気がかりです。



     相手方の所在がわかり次第、費用との関係を含めて弁護士などの専門家に、まずは法律相談をされることをおすすめいたします。

2015年08月26日 18時21分

投稿時の情報です。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。

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