
借金・債務整理…お金の悩みをなくす、軽くする解決策まとめ
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お金がない…借金するならどこから借りる?
借金は、なるべくならしたくないものですが、誰でもお金が足りなくなって借金が必要になる事があります。
ひと言で借金といっても、いろいろな種類があります。一般消費者が気軽に少額から借りることのできる消費者ローンもありますし、住宅や車を購入するために組む住宅ローンや車のローンもあります。
消費者ローンの中にも消費者金融やクレジットカード、銀行カードローンなどの種類があります。
個人事業を興す場合には、事業用のローンを利用する事でしょう。このように、借金の種類はとてもさまざまであり、それぞれ利用すべき場面が異なります。
以下では、お金が必要なときにどこから借りられるのか、それぞれの借入先の特徴について、順番に見てみましょう。
借金の種類の代表的なものとして、消費者ローンがあります。
消費者ローンとは、一般消費者が利用する小口の融資のことです。通常無担保無保証であることが多いですが、不動産を担保にとる不動産担保ローンなどもあります。
全国展開している大手の消費者金融業者もあれば、地元に密着した中小の消費者金融(これらを特にサラ金、街金と呼ぶケースもある)もあります。
大手の消費者金融の中には、銀行と提携しているものも多いです。
消費者金融のメリットは、審査に通りやすく、誰でも利用しやすいことです。特に中小の消費者金融などの場合、個人信用情報に事故情報が登録されているブラックリスト状態の人でも比較的審査が通りやすいと言われている会社などもあります。
また、消費者金融は、審査も早いですし、利用できる金額も10万円以下の少額から利用可能です。
このように、消費者金融は、日常で「ちょっとお金が足りないとき」に非常に役に立つ借入先です。
ただ、消費者金融にもデメリットがあります。それは、利率が高いことです。
貸金業者が貸付をする際の利息については、利息制限法という法律によって上限が定められていますが、消費者金融の場合、利息制限法以内にはおさまっていても、かなり高額な利息がつきます。年率10%以上は当然であり、15%近くになることもあります。
よって、消費者金融でお金を借りると、借入金額がかさんできたら返済が困難になることが多いです。たくさんの消費者金融から借り入れをして、多重債務状態に陥ってしまう人もたくさんいます。
クレジットカードと、その特徴次に、クレジットカードの借金を見てみましょう。
クレジットカードには、ショッピング機能とキャッシング機能がついていることが普通ですが、このうちキャッシング機能は、ダイレクトにクレジットカード会社から借金をする方法です。
クレジットカードのキャッシングのメリットは、利用しているカードで簡単にATMなどからお金を出金することができるので、とても便利で利用しやすいことです。
1万円などの少額でも利用できますし、返済はクレジットカード代金となるので、自動引き落としになり、いちいち銀行振込をする必要もありません。
ただ、クレジットカードの借金も、利息はとても高いです。一般的に、消費者金融よりクレジットカード会社の方が利息が低いのではないかと思われていることもありますが、実際には、クレジットカードのキャッシングと消費者金融の金利はほとんど変わりません。
クレジットカードの借金も、遣いすぎると返済ができなくなって、多重債務状態に陥ってしまうので、注意が必要です。このことは、クレジットカードの借金の持つデメリットです。
銀行カードローンと、その特徴消費者が気軽に利用できる借金としては、銀行カードローンがあります。
銀行カードローンも、消費者が気軽に少額から利用できる借金です。銀行口座を開設したらその銀行で利用する事ができるケースが多いです。
銀行カードローンのメリットは、消費者が気軽に利用できるローンの中では比較的金利が低いことです。消費者金融やクレジットカードよりも年率が低く、10%以下になることもあります。
また、総量規制対象外なので、既に消費者金融などで年収の3分の1以上の金額の借金がある人でも利用出来ます。
最高限度額も、消費者金融などより高めになるケースがあります。
しかし、銀行カードローンにもデメリットがあります。銀行カードローンは、多くの場合、その銀行に預金口座を開設していないと利用できません。その場合には、カードローンの返済を滞納したら、銀行口座が凍結されてしまうおそれがあります。
カードローンの利用記録は、すべて通帳に記載が残ってしまうので、証拠を残したくない人にとっては不利益があります。
借金の種類としては、おまとめローンがあります。おまとめローンは、複数の借金がある多重債務状態の人が、新たに1つの借金をして、その借入金を持ってすべての借金を返済し、その後は新たな借入先にのみ返済をするというローンのことです。このことによって、複数の借金が一本化されて借金を管理しやすくなります。
過去の借金の金利が高額だった場合には、おまとめローンを利用する事によって金利が低くなりますし、返済期間が延びることによって、月々の返済の負担もかなり減ることがあります。
おまとめローンのサービスは、主に銀行が実施しています。
ただ、おまとめローンを利用すると、借金の限度額が大きいので、借り増しをしてしまい、むしろ今までより借金が増えてしまうケースもあります。また、おまとめローンによってこれまでの借金を完済することになるので、過去の借金の借入枠が空になります。すると、結局は以前の借入先からも借金をしてしまい、気づいたときには借金が倍増している、ということになりがちです。
おまとめローンの金利自体も結構高いので、支払いが負担になることも多いです。
おまとめローンは、上手に利用すると借金問題解決に役立ちますが、借金問題の根本的な解決にはつながらないことも多いので、利用の際には充分注意する必要があります。
次に、住宅ローンのご紹介をします。住宅ローンとは、一戸建てやマンションなどの自宅不動産を購入するときに、代金支払いをするために利用するローンのことです。不動産は高額なので、住宅ローンの借入額はかなり高くなり、数千万円になることが多いです。
住宅ローンを設定する場合、購入物件である不動産に抵当権が設定されます。よって、住宅ローンを長期滞納すると、抵当権が実行されて、家が競売にかかってしまいます。
住宅ローンの借入先としては、銀行、信用金庫、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)などが代表的です。
住宅ローンの金利には固定金利と変動金利の2種類があります。固定金利とは、借入期間中金利がずっと一定になる場合であり、変動金利とは、そのときの景気の動向によって利率が変動する場合です。どちらも一長一短があるので、自分の考え方やニーズに応じた金利設定方法を選ぶ必要があります。
住宅ローンを利用する場合、返済を長期滞納すると、保証会社が代位弁済をして、競売を申し立てられてしまうので、注意が必要です。そうなったら家はなくなることになりますし、競売によって家を売却しても借金の残金が残る場合、その残金について支払いをする必要があります。家がなくなっても借金がなくならないケースがあるということです。住宅ローンを利用する場合には、くれぐれも延滞をしないようにしましょう。
車のローン車のローンも、日常でよく利用する借金です。車のローンは、自動車を購入する際に、自動車の代金を支払うために利用します。
車のローンには、ディーラーから借り入れるディーラーローン、信販会社から借り入れをするオートローン、銀行から借り入れるマイカーローンがあります。
マイカーローンの場合、他のローンより金利が低いことが多いです。また、所有権留保もつかず、初めから自動車の名義を購入者名にしてもらうことができます。
所有権留保とは、ローンを完済するまで、車の名義を債権者名にする担保設定方法です。これにより、債務者がローン返済を滞納したら、債権者が所有権にもとづいて車を引き上げることができます。銀行のマイカーローンの場合、この所有権留保がつかないので、借金を滞納しても車を引き上げられることがありません。
ただし、マイカーローンは、審査が比較的厳しく、融資までに時間もかかります。
ディーラーローンは車の販売会社(ディーラー)からお金を借り入れる方法です。ディーラーローンの場合、マイカーローンよりは金利が高くなることが多いですが、ディーラーのサービスなので、車種によっては特別金利などの優遇を受けられるケースもあります。
審査は比較的緩いです。
信販会社のオートローンは、自動車ローンを信販会社で組む場合です。中古車などを購入する際には、多くのケースで信販会社のローンを利用する事になります。
オートローンの金利は、銀行のマイカーローンより高いことが普通ですし、ディーラーローンのように車種による特別金利などもありません。
ただ、審査は比較的緩やかで、融資決定までの期間も短いです。
一般的によく利用される借金には、奨学金があります。奨学金は、「借金」というイメージがあまり強くありませんが、貸与型の奨学金は、立派な借金です。
奨学金には、給付型と貸与型のものがあり、貸与型のものは卒業後に返済をする必要がありますし、無利子のものだけではなく有利子のものもあります。有利子の場合、在学中は金利が発生せず、卒業して返済が開始してから利息がつくようになります。
近年では、この奨学金の返済ができない若者が増えていることが社会問題にもなっています。
奨学金を利用すると、子どもの状態(実家か下宿か、国公立か私立か)によって異なる金額の奨学金を毎月受け取ることができて、それを学費支払いに充てることができるので、助かります。
奨学金を利用するとき、借り入れる主債務者は子どもです。奨学金は親の借金ではないので、将来の返済の負担は基本的に子どもにかかってくることに注意が必要です。子どもが卒業と同時に数百万円の奨学金の負債を背負っているということも結構あります。
借入の際には連帯保証人を要求されることが多く、一般的には両親のうちどちらかが連帯保証します。保証人を用意出来ない場合には、保証機関を利用することもできます。
親が連帯保証人になった場合、子どもが将来奨学金の返済ができなくなったら、連帯保証人である親に返済請求が来てしまいます。親に返済能力があれば親が子どもに代わって返済しますが、親も返済出来ない場合には、親子共々自己破産するケースなどもあります。
奨学金の借入先は、日本学生支援機構(旧日本育英会)のサービスを利用することが多いですが、他にもいろいろな団体が奨学金を貸し付けたり給付したりしています。
奨学金は、安易に利用すると、子どもが卒業した後に莫大な負担がかかって、たちまち行き詰まってしまいますし、親にも返済の負担がかかることが多いです。
学費が足りないからと言って安易に利用する事なく、本当に必要な場合にだけ、必要な範囲に限って利用するようにしましょう。
借金の種類としては、事業用のローンがあります。事業を始めようとするとき、全額を自己資金でまかなうのは難しいことが多いので、起業のために融資を受けることがよくあります。
起業資金の借入先は、さまざまです。政府系の金融機関である日本政策金融公庫が実施している創業融資制度や、信用保証金庫が実施している制度融資などは便利なのでよく利用されます。これらの融資は、金利も低いですし、無担保無保証で数千万円が借りられるものなどもあります。
法人が借り入れをする場合には、法人の代表者が連帯保証人になることが必要になることがあります。
事業が軌道に乗ってきて、企業の信用なども高まってきたら、事業の運転資金として、銀行融資なども受けることができるようになります。
事業者が利用できるローンとしては、貸金業者のビジネスローンなどもありますが、これは金利が非常に高く、利用すると経営が圧迫されることが多いので、どうしても利用が必要なケース以外では利用しない方が良いです。もし借りてしまったとしても、利息がかさむ前に早期に返済しましょう。
借金の利用は計画的に!以上のように、借金にはとてもたくさんの種類があり、それぞれ利用場面が異なりますし、それぞれの借金に特徴があります。どの借金にも共通しているのは、計画的に利用して確実に返済する必要があると言うことです。
借りたものは、基本的に返済する必要がありますし、返済ができなければ、債権者から督促が来て、裁判をされたり財産を差し押さえられたりしてしまいます。
今回の記事を参考にして、借入が必要なときには、必要に応じて適切な借入先を利用しましょう。
参考コンテンツ:
叔父の死亡後に発覚した借金への対応はどうすべきか?
借金してる自覚がうすい。クレジットカード、携帯電話の分割購
世の中には、いろいろな種類の借金があります。借金と言えば、消費者金融や銀行ローンなどを思い浮かべることが多いかもしれませんが、実はそれ以外にも身近な借金があります。たとえば、クレジットカードや携帯電話の機種代の分割払いなども、借金の一種と考えられます。以下では、借金をしている自覚が比較的薄いクレジットカードや携帯電話の分割払いについて、解説します。
クレジットカードのキャッシングまずは、クレジットカードのキャッシングについてご説明します。
普段何気なく利用しているときには気づいていないことも多いですが、クレジットカードにはキャッシングとショッピングの2通りの利用方法があります。
キャッシングとは、クレジットカード会社からお金を借りることです。このとき、当事者はカード利用者(借り入れ人)とカード会社(貸付人)の2者です。
クレジットカードでキャッシングをしたいときには、カードに対応しているATM等を利用すると、簡単に出金することができます。1万円などの少額でも利用できます。
クレジットカードでキャッシングをすると、かなり高額な利息がかかってしまうので、注意が必要です。金利の利率は、消費者金融とほとんど同じで、年率15%程度になる事もあります。
クレジットカードというと、消費者金融よりイメージが良いので、それほど多くの利息を取られることはないだろうと安心している人も多いですが、実際には消費者金融とさほど変わりません。滞納した場合の取り立て方法も、やはり消費者金融と変わりませんし、取り立てが厳しいクレジットカード会社の方が、優しい消費者金融より激しい取り立てをしてくることもあるくらいです。
クレジットカードのキャッシングは立派な借金なので、消費者金融などと同様、安易に利用しないことが大切です。
次に、クレジットカードのショッピングについてご説明します。
クレジットカードのショッピングとは、商品やサービスの購入代金について、いったんクレジットカード会社に立替払いをしてもらい、その立替金をクレジットカード会社に返済していくことです。ショッピングも、債務の一種なので、キャッシングなどの借金とほとんど同様の取り扱いを受けます。
たとえば、ショッピングの債務がかさんで返済ができなくなったら、キャッシングの利用分を滞納した場合と同じようにカード会社から督促を受けることになりますし、いよいよ返済が不可能になったときには、ショッピングの利用分もキャッシング利用分と同様、債務整理の対象になります。ショッピングの債務を自己破産によって0にしてもらうことなどもできます。
クレジットカードのショッピングを利用するとき、登場する当事者は、カード利用者と加盟店(商品やサービスを売っている店)、カード会社の3者です。2者しか登場しないキャッシングとは仕組みが異なります。
具体的には、カード利用者が加盟店から商品を購入して、カード会社が加盟店に代金支払いをし、その後カード利用者がカード会社に対して立て替えてもらったお金を返済していきます。このとき、一括払いや2回までの分割払いなら元本だけ返済すれば良いことが普通ですが、それ以上の分割払いになる場合、カード会社に手数料を支払う必要があります。
手数料は、借金の利息のようなものです。ただ、キャッシングの利息よりショッピングの手数料の方が安くなることが多いです。
ショッピングとキャッシングの両方を利用した場合、カード明細書には、ショッピングとキャッシングそれぞれの利用明細が書かれているので、両方を利用している人は、一度明細の内容をよく見てみると良いでしょう。
キャッシングとショッピングの両方の利用がある場合、返済は、通常同時に行います。
クレジットカードの支払いは、月々自動引き落としになることが普通ですが、この中にはショッピングとキャッシングの利用分の両方の返済が含まれていて、両方が毎月少しずつ減っていくことになります。
クレジットカードにはキャッシングがありますが、法律的には両者はほとんど同じような扱いを受けます。ただし、ショッピングとキャッシングでは、過払い金請求の場面で大きな違いがあります。
平成20年頃以前に消費者金融などと取引していた場合、キャッシング利用分については過払い金が発生する可能性がありますが、ショッピング利用分については過払い金が発生しません。ショッピングはそもそも「借入金」ではないので、「利息」が発生しませんし、手数料の年率自体も低いので、利息制限法の制限利率を超過することがないからです。
過去にクレジットカードでショッピングとキャッシングの両方を利用していた場合、キャッシングが過払いになっていてもショッピング残高が残ることがあります。この場合、キャッシングの過払い金とショッピングの残金を差し引き計算して、なお過払いであればその返還を請求できますが、ショッピングの残金の方が高ければ、残った分については返済をする必要があります。
携帯電話の分割購入は借金?日常で身近な「借金」として、携帯電話の機種代金の分割購入があります。
これは、携帯電話の利用料金ではなく、あくまで「機種端末」そのものの購入代金のことです。
携帯電話の機種端末は、数万円もする高額なものなので、分割払いにすることが多いです。その分割金については、月々の携帯電話料金と同時に支払っていくことが普通ですが、実際には携帯電話代の利用料そのものとは異なります。
携帯電話端末の分割払いの最中に携帯を解約したら、その後の携帯電話利用料の支払いは不要になりますが、携帯電話の端末代利用料金は、そのときの残金を一括払いしなければなりません。
たとえば、6万円の端末を購入して、月々2000円ずつ返済していたとします。そして、端末代支払いの残金が3万円になった時点で携帯電話を解約したら、携帯会社に対して、3万円を一括払いしなければなりません。
携帯電話の分割払いは、携帯電話代と一緒に支払いをするので「借金」という意識が低いことが多いですが、途中解約の場合などには、借金の一括払いのような状態になってしまうので注意が必要です。
また、携帯電話の機種端末の分割払いは、誰でも利用出来るわけではありません。一種の借金のようなものなので、利用の際には審査があります。
たとえば、過去に別の借金を長期滞納していたり、債務整理をしていたりして、個人信用情報に事故情報が登録されたブラックリスト状態になってしまっていたら、分割購入の審査に通りません。この場合には、高額な携帯端末を一括払いで購入しなければなりません。
なお、ブラックリスト状態であっても、携帯電話料金の滞納がない限り、携帯電話の契約や利用自体は可能です。機種代の分割払いだけができなくなるということですので、正しく理解しておきましょう。
このようにクレジットカードや携帯電話の分割払いは「借金」という意識が少ないことが多いですが、法律上、ほとんど借金と同様の取り扱いを受けます。
返済が必要になることをきちんと理解して、計画的に利用しましょう。
借金とワンセット、利息のハナシ
借金をした場合、通常は、元本のみ返済すれば良いと言うことにはなりません。
借金をすると、多くの場合に利息が付くからです。利息とは、お金を貸し付ける際の費用のことです。
利息は年率で計算されて、日々加算されていきます。そこで、利率が高い借金をすると利息の支払いが大きくなってしまいますし、利率の低い借金なら利息支払いを抑えられます。また、借入期間が長くなると、利息支払い額が高くなりますが、早期に返済をすると、利息支払いを抑えられます。
借金する場合の借入先には、消費者金融やクレジットカード会社、銀行、公庫などいろいろありますが、これらのどのような機関で借入をしても、利息はついてきます。
個人間で借金する場合でも利息をつけることが普通ですが、無利息で貸付をすることは可能です。
利息は、支払をしても元本が減るものではないので、借りている人にとっては支払っても意味のないものです。たとえば、毎月5万円の返済をしていて、そのうち元本返済分が4万円、利息支払い分が1万円だとすると、毎月4万円ずつ借金が減っていきますが、利息の1万円分については、元本の残高に影響せず、債権者の儲けになるだけです。
利息の計算方法次に、借金の利息の計算方法をご紹介します。
借金の利息は、年率で日割り計算されます。そこで、利息の金額は、借入金額と年率、借金の支払期間によって計算できます。
たとえば、100万円の借金があって、年率10%の金利がつくとします。仮にこの借金について1年間全く返済しなかったとすると、1年で10万円の利息が付きます。
30日間借りたら、100万円×10%÷365日×30日=8219円の利息が付きます。
60日間なら16438円、90日間なら24657円の利息が付きます。
実際には、分割払いで支払をしていくので、その分元本がだんだんと減っていき、1年できっかり10万円の利息が付くことにはなりませんが、話を単純化すると、上記のようになります。
なお、金利の計算方法には、複利と単利があります。複利とは、加算された利息に対してもさらに利息が加算される計算方法で、利息が雪だるま式に膨らんでいきます。ただ、日本では、貸付をする際の複利計算は禁止されています。
単利とは、利息がついたとしても、元本にのみ利息がつく計算方法であり、日本ではこちらの計算方法が採用されているので、どのような消費者金融やクレジットカード会社、銀行などから借金をしても、利息計算方法は単利計算になります。
利息支払いを少なくする借金の選び方借金をする場合、なるべく返済を楽にしたいと考えるものです。楽に返済出来る借金を選びたいなら、借金の利息に注目することが大切です。
貸金業者などから借金をする場合、利息の支払いは必ず必要になるもので、利息を0にすることはできません。利息は支払っても意味のないものなので、できるだけ支払いを抑える方が借金の返済が楽になります。
そこで、同じ額の借金をするなら、なるべく利率の低い借金を利用する事がおすすめです。
たとえば、消費者金融会社やクレジットカードのキャッシングは、借金の中でももっとも利率が高額な種類の借金です。同じ金額を借りるなら、銀行カードローンの方が利率が低いので返済が楽になります。
ただ、借金の利息は、支払期間に応じて高くなることにも注意が必要です。同じ借金額で同じ利率の場合、返済期間が長くなると、利息支払金額が上がります。たとえば、利率が18%で10万円借りた場合でも、10日で返済すれば利息は493円の利息しかつきません。これに対して、200日間借りると、9843円もの利息がかかってくるのです。
このようなことを考えると、借金する場合には、単に利率が低いというだけではなく、返済期間が長くなりすぎないことも大切です。
たとえば、おまとめローンを利用する場合、以前の借金より多少は利率が低くなることがありますが、返済期間が大幅に伸びることにより、かえって総支払額が大きくなってしまうことがあるので注意が必要です。借金をする場合には、利率と返済期間に注目して、完済までどのくらいの利息支払いが必要になるのか、見込みをしっかりシミュレーションしてから借りるようにしましょう。
借り換えを利用して借金返済を楽にする方法借金返済を楽にしたい場合、借り換えを利用する方法があります。借り換えによって借金返済を楽にしたい場合にも、やはり借金の利息に注目します。
同じ金額の借金をするなら、利息が少ない借金を利用した方が返済が楽になります。このことは、返済を開始してからでも変わることはありません。
そこで、いったん高利率な借金を利用してしまった場合でも、その後利率の低い借金に借り換えることによって、借金返済を楽にすることができるケースがあります。
たとえば、消費者金融で借金をしている場合、それより利率の低い銀行カードローンに借り換えをすると、月々の返済額が減って返済が楽になることがあります。
借り換えの方法は、簡単です。今の借金より利率が低く、条件が良い借金を探して審査を受け、審査に通ったら借入をして、借り入れたお金で以前の借金を完済します。そして、その後は新たな借入についてのみ、返済をしていきます。
ただ、この場合、以前の借り入れ先の枠が空になって、自由に借り入れが出来る状態になってしまうことに注意が必要です。以前の借り入れ先から借金の勧誘が来ることも多いです。
何かのことでお金が足りないときに、「ちょっとだけ」と思って以前の消費者金融などを利用していると、いつの間にかそちらの借金も限度額いっぱいまで借りてしまって、気づいたら借金が倍増していたということもあります。
借り換えを利用する場合、「前の借入先は絶対に利用しない」という強い決意をもってすることが大切です。
借金の利息は、利率が高いほど支払い額が高くなりますが、利率については、利息制限法という法律によって制限されています。
消費者金融やクレジットカード会社などの貸金業者の場合、借金の利率の上限は以下の通りです。
- 借金額が10万円未満 20%
- 借金額が10万円以上100万円未満 18%
- 借金額が100万円以上 15%
よって、どのような借入先から借金をしても、上記の金利を超えることはありませんし、もし超えていたらその業者は法律違反ということになります。
ただ、個人間の借金の場合には、上限利率は109.5%になります。
借金の利息は、過払い金とも密接な関係があります。過去に消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していた場合には、過払い金請求することができる可能性がありますが、この過払い金は、利息制限法を超過した利率で支払をしていた場合の払いすぎ利息のことだからです。
貸金業者が貸付をする際の利息は、利息制限法によって上限が定められており、現在はそれを超えて貸付をすることは違法です。しかし、過去には利息制限法を超過する利率で貸付をしても、必ずしも違法ではなかった時代がありました。
その頃は、利息制限法を超過する利率で貸付をしても、債務者がそれを受け入れて支払いをしていたらその利息支払いが有効になる余地がありました。また、出資法によって罰則を受ける利率は29.2%だったので、利息制限法を超過する利率で貸付をしても、罰則を受けることもありませんでした。
そこで、過去には多くの貸金業者が、利息制限法を超過して出資法未満の金利帯で、貸付をしていました。この「利息制限法を超えて出資法未満の利率」のことを、グレーゾーン金利と言います。過払い金は、まさにこのグレーゾーン金利で支払をしていたときに発生するものです。
グレーゾーン金利の撤廃過去にグレーゾーン金利で支払をしていた人は、過払い金請求出来る可能性がありますが、今はグレーゾーン金利による貸付は行われていません。
多くの消費者金融やクレジットカード会社などがグレーゾーン金利で貸付をしていた頃、消費者は、このような利息制限法を超過した利率による利息支払いは無効であると主張して、たくさんの裁判で争いが起こりました。
そして平成18年1月13日、最高裁判所は、グレーゾーン金利における利息支払いは無効であると判断したのです。これによって、グレーゾーン金利で金利を支払っていた人は、容易に過払い金請求ができるようになりましたし、国も利息制限法と出資法の改正に取りかかりました。
そして、利息制限法が改正されて、利息制限法を超過した利率での支払いが有効になる余地をなくしました。出資法の上限金利も引き下げて利息制限法と揃えたので、利息制限法を超える利率で貸付をすると、罰則が適用されるようにもなりました。このようにして、問題の多かったグレーゾーン金利は完全に撤廃されたのです。
これらの改正法は、平成22年6月に施行されましたが、多くの貸金業者は、改正を見越して、平成20年頃には順次利息制限法を超える利率での貸付を取りやめていったので、グレーゾーン金利での支払をしていたのは、だいたい平成20年頃以前になります。
それ以降に借金をした人については、過払い金は発生しないので、覚えておきましょう。
最後に、過去にグレーゾーン金利で支払をしていた人が過払い金請求をする方法をご紹介します。
過払い金請求は、自分でする方法と弁護士に依頼する方法があります。自分で手続をすると、業者との間で過払い金返還についての交渉をしないといけないので、手間がかかりますし、うまく交渉を進めることができない場合、不利な条件で和解してしまうこともあります。ただ、弁護士に支払う過払い報酬が発生しないので、返還を受けた過払い金は全額自分のものにすることができます。
これに対し、弁護士に手続を依頼すると、面倒な計算や請求手続、交渉などをすべて弁護士がしてくれるので助かります。しかし、回収した過払い金からは弁護士報酬を支払わないといけないので、その分自分の取り分が少なくなります。
ただ、弁護士に依頼した方が回収できる金額が上がるので、弁護士費用を支払ったとしても、なお手元に返ってくる金額が大きくなることもあります。
過払い金請求をする場合には、まずは一度、弁護士に相談に行って話だけでも聞いてみると良いでしょう。
以上のように、利息は借金に必ずついてまわるもので、借金返済を楽にすすめられるかどうかにも大きく関わります。過払い金にも密接な関係があるので、これを機に正しく理解しておきましょう。
参考コンテンツ:
個人のお金の貸し借りにも利息制限法の適用はある?
保証人、連帯保証人。頼みたい時、頼まれた時は
借金をするとき、保証人がつくケースがあります。保証人には、単なる保証人と連帯保証人がありますが、この2つは、何がどのように異なるのか、一般的には正しく理解されていることは少ないです。
また、保証人になるとどのような責任が発生するのか、保証人を頼まれたらどのように他所すべきかも問題です。自分が借金をする場合、保証人が必要になることもありますが、人に保証人を頼む場合にはどのようなことに注意すべきかも知っておきたいところです。
以下では、借金の保証人と連帯保証人のことについて、詳しくご説明します。
保証人や連帯保証人のことをご説明する前提として、まずは保証人や連帯保証人とは、どのようなものなのかを確認しておきましょう。
保証人は、主債務者(借金した本人)が借金返済出来なくなった場合に備えて、代わりに借金返済する義務を負う人のことです。
お金を貸し付ける際、基本的には借入をした本人の支払い能力を信用して貸付をしますが、返済が長期間に及ぶことも多く、本当に本人が最後まで支払をしてくれるかどうかはわかりません。途中で返済が受けられなくなったら、債権者には大きな不利益が及びます。
そこで、保証人をつけて、もし主債務者が途中で支払いを辞めてしまったら、保証人から支払いを受けられるように準備しておくのです。このように、保証人は「主債務者が支払をしなくなったときに備える」ものなので、担保の一種です。
担保というと、抵当権などが有名ですが、抵当権は土地等の不動産上に設定するので物的担保というのに対し、保証人は人が担保をするので人的担保と言います。
それでは次に、保証人と連帯保証人は何が異なるのかを見てみましょう。
連帯保証人も、保証人の一種です。同じく、主債務者が借金返済をしなくなった場合に備えてつける担保です。
ただ、連帯保証人は、通常の保証人よりも責任が強化されており、主債務者と同じ程度の責任を負います。
具体的には、連帯保証人には、各種の抗弁権がありませんし、分別の利益がありません。
これらの抗弁権や分別の利益については、次項以下で順番にご説明します。
催告の抗弁権
連帯保証人には、催告の抗弁権がありません。
催告の抗弁権とは、債権者が保証人に支払い請求をしてきたときに、先に主債務者に請求するように言って支払いを断る抗弁権のことです。通常の保証人には、催告の抗弁権が認められるので、債権者が先に保証人に請求をしてきた場合には、先に主債務者に支払いをするように言うことができますが、連帯保証人の場合には催告の抗弁権がないので、支払いを拒絶することができません。
請求額の全額を支払う必要があります。
検索の抗弁権
連帯保証人には、検索の抗弁権がありません。検索の抗弁権とは、債権者が保証人に支払い請求してきた場合に、先に主債務者の財産から取り立てをすることを要求して、支払いを拒絶することができる抗弁権のことです。検索の抗弁権を主張するためには、主債務者の具体的な財産について特定してそれを執行することを求める必要があります。
通常の保証人の場合には、検索の抗弁権があるので、主債務者に財産がある場合には、そちらの方から先に取り立てをするように言って支払いを拒絶することができますが、連帯保証人の場合には、主債務者にどれだけ財産があっても検索の抗弁権を主張できず、支払いを拒絶することができません。
やはり、請求額の全額を支払う必要があります。
分別の利益
連帯保証人には分別の利益がありません。分別の利益とは、複数の保証人がいる場合において、それぞれの保証人の負担部分が頭割りで分割される利益のことです。
たとえば、主債務者が400万円の借金をして保証人が2人いる場合、通常の保証人の場合なら分別の利益があるので、それぞれの保証人の負担部分は200万円ずつになります。よって、1人1人の保証人は、自分の負担部分である200万円を超えて支払いに応じる必要はありません。債権者も1人の保証人に対しては、200万円を限度としてしか請求ができないことになります。
これに対して、連帯保証人には、分別の利益がないので、何人の保証人がいても、債権者との関係において、負担部分がありません。
たとえば際の例で、主債務者が400万円の借金をして連帯保証人が2人いる場合、それぞれの連帯保証人は、どちらも400万円全額の支払い義務を負います。債権者が支払い請求してきたら、それぞれの連帯保証人が全額の支払いをすることができますし、債権者は、主債務者、連帯保証人2人の誰に対しても、同時に借金全額の支払いを請求出来ます。
ただ、借金は誰が支払ってもかまいませんが、全額の支払いを受けたら消滅します。
連帯保証人のひとりが借金を400万円全額支払っても消滅しますし、主債務者が200万円、連帯保証人のひとりが200万円を支払ってもやはり消滅します。
連帯保証人がいて1人1人に400万円の請求ができるからといって、債権者が合計1200万円の支払いを受けられることにはなりません。債権者が支払いを受けられる金額は、あくまで400万円が限度となります。
保証人には、単なる保証人と連帯保証人があり、連帯保証人の方がかなり責任が強化されていますが、実際には保証人と連帯保証人がどのように使い分けられているのか、どちらが多いのかなどが問題になります。
この点、日本では、ほとんどの借金のケースで連帯保証人が利用されます。単なる保証人をつけることはかなり少ないです。
単に「保証人」と言う場合、当然に「連帯保証人」を意味することも多いくらいです。
よって、「保証人になってほしい」と頼まれた場合には、連帯保証人になってほしいと言われていると理解した方が良いですし、債権者から「保証人が必要」と言われた場合には、連帯保証人をつける必要があると言われていることが多いです。
保証人、連帯保証人のことを理解しようとするとき、求償権についても知っておく必要があります。求償権とは、保証人が主債務者の代わりに借金を返済した場合、主債務者に対してその支払い額の返済を要求することが出来る権利のことです。
単なる保証人だけではなく連帯保証人にも求償権は認められます。
保証が行われるとき、借金をした本人は主債務者なので、借金について最終的に負担すべき人は主債務者です。そこで、保証人や連帯保証人が主債務者の代わりに借金返済したとしても、その支払った金額については、後に主債務者に返還請求ができます。
たとえば、主債務者が400万円の借入をして保証人をつけた場合、保証人が400万円全額の支払をしたら、保証人は主債務者に対して求償権を行使して400万円を請求できます。
主債務者が300万円、保証人が100万円の支払をして借金が消滅した場合には、保証人は自分が支払いをした100万円について主債務者に求償することができます。
このように、保証人になった場合でも、最終的な負担は本人に求めることができることは、押さえておくと役立ちます。
ただし、主債務者が自己破産してしまった場合には、求償権も免責によって消滅してしまうので、保証人が借金の支払をしても主債務者に対する求償ができなくなります。
次に、借金をするとき、保証人が必要になるのはどのようなケースなのか、見てみましょう。
日常でよく利用するような消費者金融やクレジットカード、銀行カードローンなどの借金では、保証人が必要になることはまずありません。
保証人を要求される場面で多いのは、不動産賃貸借の連帯保証人です。
賃貸アパートやマンションを借りる場合には、連帯保証人を要求されることが多いので、親族や親子兄弟、友人知人などに頼むことがよくあります。
ただ、最近では保証会社を利用すると、連帯保証人を用意しなくて良いケースもあります。この場合には、保証会社が保証人となり、家賃などの滞納をすると保証会社が代わりに支払をします。そして、保証会社は求償権を行使して、賃借人に対して代位弁済分と遅延損害金の請求をしてくることになります。
連帯保証人が必要となるケースには、奨学金もあります。
奨学金は、学生が学校に利用しますが、給付型と貸与型があります。貸与型の奨学金は借金の一種なので、その利用に際しては連帯保証人が要求されます(日本学生支援機構の奨学金の場合)。通常は子どもの親の一方が連帯保証人となりますが、連帯保証人を用意出来ない場合には、保証料を別途支払って、保証機関を利用することもできます。
自分が借金をする場合、債権者から保証人を要求されたら、誰かに保証人になってもらうことを頼まないといけません。人に保証人を頼む場合には、「もし自分が借金返済出来なくなったら、保証人に迷惑をかけてしまう」ことをしっかりと認識しておくことが重要です。 借金をして返済ができなくなり、保証人に対して借金の支払いが回ってきたことにより、主債務者と保証人がトラブルになる事はとても多いです。この場合、もともと仲が良かった友人や親族同士であっても、絶縁状態になってしまうことも多いです。
このように、人に保証人を依頼すると言うことは、対処を誤ると完全に人間関係が壊れてしまうリスクがあることを理解しておく必要があります。
保証人をつけて借金をするなら、その借金だけは何があっても必ず自分で返済するという覚悟をしておきましょう。
自分が借金をしなくても、人から保証人になってほしいと頼まれることがあります。
この場合、できれば断る方が無難です。保証人になってしまうと、将来主債務者が支払をしなくなった場合にその返済が自分にかかってくるので、大変な負担になります。自分も返済ができない場合には、保証人自身が自己破産しなければならなくなるケースもあります。また、主債務者との間でトラブルになることも多く、主債務者との人間関係が完全に壊れてしまうことも珍しくありません。
そこで、保証人にはなるべくならない方が良いのです。
ただ、どうしても保証人になろうとするときには、その借金の目的、借入額、借入先、主債務者の返済能力などを厳しくチェックすることが大切です。
本当にその借金が必要なのかどうか、目的に合っているのかどうか、借入額が多額過ぎないか、借入先は信用出来る機関か、主債務者は返済能力を持っているかなどをチェックして、それでも保証人になっても良いと判断できる場合にのみ、保証契約の印鑑をつきましょう。
安易に保証人になると、自分のみならず主債務者のためにもならないので、保証人になるかどうかはくれぐれも慎重に判断する必要があります。
参考コンテンツ:
賃貸借契約の保証人の義務はどこまで?
借金、ローンの返済ができない時の対処法
借金やローンを抱えていると、順調に返済ができているうちはあまり問題になりませんが、ひとたび返済ができなくなると、生活に大きくのしかかってきます。
無理に返済をしていると生活費が足りなくなって日々の食費にも事欠くことがありますが、かといって滞納すると、債権者から支払いの督促が来ます。
借金返済ができなくなると、まずは債権者から督促電話がかかってきます。電話に出なかったり、出ても返済に応じなかったりすると、ハガキや封書などの書面で支払いの請求書が送られてきます。
それでも支払いに応じないと、内容証明郵便で借金残金の一括請求書が送られてきます。
借金返済を長期間遅延したことにより、もはや分割払いができなくなってしまうからです。このように、滞納によって分割払いができなくなることを、期限の利益喪失と言います。
そして、この場合、高額な遅延損害金が加算されることにより、請求金額は元本以上に加算されてしまいます。
このような高額な支払いには応じられないことが普通なので、返済出来ずにやむなく放置していると、今度は債権者は裁判を起こして貸付金の支払い請求をしてきます。
裁判をされると、ある日突然裁判所から特別送達で訴状と呼出状が届き、借金残金と遅延損害金、訴訟費用の支払いなどを求められることとなります。
裁判も放置していると、ついには裁判所で債権者の請求を認める内容の判決が出て、債務者に対して上記全額の支払い命令が下りてしまいます。当然そのような支払いができないので放置していると、債権者は判決にもとづいて、債務者の財産を強制執行(差押)してきます。強制執行の対象になるのは、債務者名義のあらゆる財産です。
預貯金や生命保険、不動産、株券、投資信託ほか何でも差し押さえられる可能性があります。月々の給料や賞与も差押の対象になり、毎月それらの一部を債権者に強制的に取り立てられます。このようなことになると、もはや日常生活を送ること自体に支障が生じて大変なことになります。
借金返済ができなくなったら、状況が悪化する前に債務整理によって解決する必要があります。
借金返済ができなくなったら、放置するのではなく、早めに債務整理によって解決する必要があります。
債務整理とは、法的に借金の整理をする手続のことです。
債務整理には、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4種類の手続の種類があり、ケースに応じた適切な方法の債務整理手続をすれば、ほとんどの借金問題を解決することができます。また、払いすぎ利息を取り戻すための過払い金請求手続も、債務整理の一種と考えられています。
以下では、これらの債務整理手続について、それぞれ手続の概要と流れ、メリットデメリット、向いている人をご説明していきます。
任意整理と手続の流れ任意整理とは
債務整理の代表的な方法として、任意整理があります。任意整理とは、債権者と直接交渉をすることにより、借金返済額と返済方法を決め直す手続のことです。
任意整理をすると、合意後の将来利息をカットしてもらうことによって借金の総返済額が減額されたり、返済期間を延ばすことによって月々の返済額を減らしてもらったりできるので、支払いが楽になります。
任意整理は裁判所を利用しないので比較的手続が簡単で、多くの人が利用しています。利用の条件なども比較的緩やかなので、多くの人の借金問題に対応することができます。
任意整理の手続の流れ
任意整理の手続の流れをご説明します。
任意整理をするとき、自分で手続をすることも可能ですが、多くの場合には弁護士に手続を依頼します。任意整理では、債権者との交渉などが必要になりますが、債務者が自分一人で対処していると、どうしても不利になってしまい、良い条件で和解することが難しくなりますし、非常に手間がかかってしまうからです。
そこで、任意整理をしたいなら、まずは弁護士に相談に行きます。
弁護士に任意整理を依頼したら、弁護士は債権者に対して受任通知と取引履歴開示請求書を送ります。
債権者が受任通知を受けると、その時点で債務者に対する請求がストップします。そして、債権者は弁護士に対して取引履歴を開示してくるので、弁護士はこれを利息制限法に引き直し計算していきます。
この時、利息制限法を超過した利率による取引があれば、借金の額が大幅に減額されることとなります。払いすぎ利息の金額が多額な場合には、過払いとなっていることもあり、その場合には過払い金請求をすることができます。
このようにして借金残金を確定したら、確定した借金の返済計画を立てて、債権者に対して返済案を提示します。債権者がその内容を了承したら、その内容で合意ができるので、合意書を作成します。
債権者が納得しない場合には、さらに交渉を重ねて妥協点を探ります。合意ができて合意書を作成したら、債務者は合意内容に従って返済をしていくことになります。任意整理後の返済期間は、通常手続後3年~5年程度です。
また、任意整理手続全体にかかる期間は、だいたい3ヶ月程度です。
次に、任意整理のメリットをご説明します。
任意整理をすると、利息制限法を超過した利率での取引がある場合、大幅に借金額を減額することができます。場合によっては借金が0になることもあります。払いすぎた利息が多額な場合には、過払い金請求することができるケースもあります。過払い金請求をすると、時には100万円を超える高額なお金が返ってくることもありますし、返ってきたお金は自由に使うことができるので臨時収入として大変助かります。
利息制限法を超過した利率での取引がないケースでも、合意後の将来利息の支払いをカットしてもらえることにより、借金の総返済額を減らしてもらうことができます。
また、返済期間を延ばしてもらうこともできるので、月々の返済額の負担が減って、支払いを楽に継続していけるようになります。たとえば、任意整理前は毎月10万円ずつ借金返済していた人でも、任意整理後は毎月4万円程度に支払いを抑えられるようになることなども普通にあります。
さらに、弁護士に手続を依頼すると、弁護士が受任通知を送った時点で債権者からの督促が止まります。このことにより、債務者は精神的に大変楽になります。しかも、支払いについてもいったんストップするので、その間に、崩れてしまった生活を建て直すことができます。
任意整理は裁判所を利用しない簡易な手続なので、債務者が自分一人でも取り組むことができますし、弁護士に依頼した場合の依頼料も比較的安いです。必要書類なども少ないので、手間もかかりませんし、かかる期間も短いです。
さらに、任意整理をしても、債務者の財産がなくならない点も大きなメリットです。任意整理では、債務者の財産内容は全く問題にならないので、どれだけ多額の財産を持っていても、自宅不動産などがあっても任意整理ができますし、それらを失うこともありません。
任意整理では対象にする債権者を自由に選ぶことができます。たとえば、保証人がついている借金を外して手続をすると、保証人に迷惑をかけずに済みます。車のローンや住宅ローンを外して手続をすると、車や自宅を手放さずに借金の整理ができます。
以上が任意整理の主なメリットです。
任意整理のデメリット任意整理には、デメリットもあります。
まず、過払い金請求以外のどの債務整理手続にも共通することですが、任意整理をするといわゆるブラックリスト状態になってしまいます。ブラックリスト状態とは、個人信用情報に事故情報が登録されることにより、ローンやクレジットカードなどの利用ができなくなってしまった状態のことです。任意整理をすると、手続後5年~7年間程度ブラックリスト状態になるので、その間は、自分名義でローンやクレジットカードを利用することを諦める必要があり、非常に不便になります。
また、任意整理では、借金の大幅な減額が難しいというデメリットもあります。任意整理をしても、利息制限法を超過した利率による取引がない限り、借金の元本自体の減額は難しいです。そこで、借金額は基本的にそのまま残ってしまうので、あまりに多額の借金があるケースでは任意整理では解決できません。任意整理で解決できる借金額は、ケースにもよりますが、だいたい300万円程度が限度です。それを超える場合には、個人再生や自己破産など別の債務整理方法を検討する必要が出てきます。
任意整理をすると、借金が残るので、手続に支払いをする必要がある点もデメリットです。任意整理後には毎月数万円程度の支払をしなければならず、その支払ができないと、任意整理に失敗して債権者から借金の一括請求をされてしまいます。
そこで、任意整理を利用するためには、返済ができるだけの最低限の収入も必要になります。ただし、専業主婦で自分の収入がなくても、夫の給料から返済ができる場合には、任意整理で借金問題を解決することもできます。このように、手続後に返済が残り、利用の際に最低限の収入が必要になることも任意整理の1つのデメリットです。
任意整理は、各債権者と個別に和解していく手続なので、債権者が手続に協力的で合意ができる必要があります。そこで、話し合いに応じない債権者や合意ができない債権者がいると、手続ができない点がデメリットとなります。
特に最近では、任意整理の交渉に一切応じない債権者も増えており、そのような場合、任意整理では解決ができないので、個人再生や自己破産などの手続を利用しなければなりません。
任意整理に向いている人それでは、任意整理に向いている人はどのような人なのかを確認しましょう。
任意整理に向いているのは、まずは、借金額があまり多額ではない人です。借金額が大きすぎると任意整理では整理仕切れないので、個人再生などの他の債務整理手続によって解決する必要があります。
また、債権者が手続に協力的であるケースも任意整理に向いています。任意整理では、債権者と合意していく必要がありますが、手続に非協力的な債権者がいると、その借金については整理ができないので、借金問題を根本的に解決出来ないからです。
また、守りたい財産がある場合にも任意整理が向いています。任意整理では、債務者の財産内容が一切問題になりません。どれだけ多額の財産を持っていても、どのような種類の財産を持っていても手続ができますし、それらを失うこともありません。
よって、財産がある人が任意整理をすると、不利益を受けることがないので、手続に向いています。
保証人がいる借金がある人も任意整理に向いています。この場合には、保証人がついている借金を外して手続をすると、保証人に迷惑をかけずに済むからです。
車のローンがある人も任意整理に向いています。この場合、車のローンを外して手続をすると、車を引き上げられずに済むので車がなくならないからです。
以上が任意整理のだいたいのご説明になります。任意整理をしたい人は、参考にしてみてください。
参考コンテンツ:
債権譲渡後に任意整理や個人再生は可能でしょうか?
特定調停とは
次に、特定調停についてご紹介します。特定調停とは、簡易裁判所での調停手続を利用して、債権者と話し合い、借金返済額と返済方法を決め直す手続のことです。
任意整理の話し合いを、調停によって行うようなイメージです。特定調停をする場合、間に調停委員が入ってくれて、債権者との間で話し合いをすすめていくことになります。話し合いによって合意ができたら調停が成立して、その内容に従って支払をしていくことになります。
特定調停の手続の流れ
それでは、特定調停の手続の流れを見てみましょう。
特定調停をする場合、まずは簡易裁判所で特定調停の申立をします。このとき利用する裁判所は、債権者の営業所がある住所地の簡易裁判所です。複数の債権者がある場合には、どれか一人の債権者のどれか1つの営業所があるところの簡易裁判所を利用すれば良いので、一番通いやすいところで手続をすると良いでしょう。
申立の際には、特定調停の申立書や債権者一覧表などの書類を作成して裁判所に提出します。必要な印紙代と郵便切手を納付したら、申立ができます。特定調停の申立をすると、担当の調停委員が決まり、債権者に対して調停の通知書が送られます。そして、裁判所において調査期日が開かれます。
調査期日には、債務者だけが呼び出されるので、債権者は裁判所に来ません。調停委員と面談をして、借金をした事情を確認したり、返済計画を立てたりします。
その後、第一回調停期日が開催されます。調停期日には債権者も裁判所にやってきて、具体的な借金返済方法を話し合います。このとき事前に作っておいた返済計画案を債権者に示し、債権者がその内容に合意すれば調停が成立して手続が終了します。
債権者が合意しなければ、さらに調停を重ねて条件を詰めていきます。
一回の調停期日で話し合いがつかない場合には、2回、3回と調停期日を開いて話し合いを継続していきます。だいたい3回までに話し合いができることが多く、それまでに合意ができないと、調停が不成立になってしまうことが多いです。
調停が成立したら、裁判所で調停調書が作成されます。債務者は、この調停調書に従って借金の支払をしていくことになります。
残念ながら債権者との合意ができない場合には、調停は不成立になって借金問題は解決されないままになります。その場合には、個人再生や自己破産などの別の債務整理方法で借金問題を解決する必要があります。
特定調停をする場合、だいたい3ヶ月程度の期間がかかります。
特定調停のメリットは、債務者が1人でも利用しやすいことです。特定調停では、間に裁判所の調停委員が介在して話し合いを仲介してくれるので、債務者が直接債権者と交渉をする必要がありません。また、法律の専門家である裁判官が関与してくれるので、法的な知識がなくてもある程度補ってもらうことができますし、法律的に妥当な範囲内での怪傑が実現されます。このことにより、法的な知識が不十分な素人である債務者でも、交渉によって不利になることが少なくなり、1人でも手続しやすいのです。
また、特定調停は、簡易裁判所を利用しますが、比較的簡単な手続なので、弁護士を依頼する必要性なども低いです。そこで、特定調停を債務者が自分一人ですすめた場合、高額な弁護士費用を支払う必要がないので、かかる費用をかなり抑えることができます。
特定調停を自分で行う場合、かかる費用は申立代の数千円と裁判所の往復の交通費くらいです。合計しても1万円~2万円程度で済むことが多く、かかる負担がとても軽くなります。このことは、特定調停の大きなメリットです。
また、債権者との話し合いによって、借金返済額を抑えることもできます。利息制限法を超過した利率での取引があれば、利息計算をして借金を減額してもらうことができますし、そのような取引がなくても、将来利息をカットして返済期間を延ばすことにより、月々の返済額を抑えることができます。
特定調停中は債権者からの督促も来ませんし、支払いもストップするので、助かります。
以上が特定調停の主なメリットです。
次に、特定調停のデメリットを見てみましょう。特定調停をする場合、必ず債権者の協力が必要になります。特定調停は調停手続なので、相手が合意しなければ調停は不成立になり、借金問題は解決出来ません。せっかく手間をかけて申立をして話し合いをすすめてきても、最終的に債権者との間で条件がつまらなければ、すべての労力が無駄になってしまいます。
また、特定調停でも、借金の大幅な減額は難しいです。利息制限法を超過した利率での取引がない場合、ほとんどのケースで元本は減額されません。すると、借金額があまりに多額な場合には、特定調停では整理仕切れず、個人再生や自己破産などの別の手続を利用する必要が出てきます。
さらに、特定調停では、手続内で過払い金請求ができないことも大きなメリットになります。特定調停でも、利息制限法への引き直し計算をするので、その中で過払い金が発見される事はあります。しかし、特定調停はあくまで借金の支払い方法を決める手続なので、その中で過払い金の請求をすることはできないのです。過払い金請求したい場合には、別途調停外で過払い金請求をするか、過払い金返還訴訟を起こす必要があります。
手続後に支払いが残ることもデメリットの1つです。支払いが滞ると、そのときの借金残金を一括で支払わなければなりません。
しかも、特定調停では、調停成立時に調停調書が作成されますが、調停調書には強制執行力があるので、特定調停後の支払いを延滞すると、裁判なしにいきなり財産を差し押さえられてしまうおそれがあります。このように、手続後に支払いが残り、強制執行のリスクが高いことも、特定調停の大きなデメリットとなります。
以上のように、特定調停にはデメリットも多いので、利用の際には、くれぐれもリスクをよく理解しておく必要があります。
以下では、特定調停に向いている人がどのような人か、ご説明します。
特定調停に向いているのは、費用を抑えたい人です。特定調停を利用する場合には弁護士に依頼する必要性が低いので、債務者が自分一人でも手続をすすめやすいです。そうすると、ほとんど費用をかけずに手続することができます。かかる費用は申立の際の印紙代と郵便切手の数千円、裁判所の往復の交通費程度なので、全部合わせても1万円~2万円程度に抑えることができます。
また、債権者が手続に協力的な場合も特定調停に向いています。特定調停では、各債権者と個別に調停を成立させなければならないので、手続に非協力的な債権者がいると、解決が難しくなってしまうからです。
さらに、どちらかというと過払い金がない人の方が特定調停に向いています。過払い金がある場合、特定調停内では請求手続ができないので、調停外で別途請求することが必要です。そのようなことは大変な手間ですし、特定調停は自分で手続したとしても、過払い金請求については弁護士に依頼する必要性が高くなります。過払い金請求を弁護士に依頼すると、結局弁護士費用がかかりますが、そうであれば初めから任意整理をしてすべての手続を弁護士に依頼した方が手続も簡便に済んでよかった、ということになってしまいます。
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借金の対応策を教えて下さい
次に、個人再生についてご紹介します。
個人再生とは
個人再生とは、裁判所に申立をして借金返済額を大幅に減額してもらい、減額された借金について、原則3年間で返済をしていく手続のことです。個人再生をする場合、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用する事ができますが、これを利用すると、住宅ローンがあっても、その支払いを続けたまま他の借金だけを減額してもらうことができます。このことによって、自宅を守りながら借金問題を解決することができるので、個人再生は住宅ローンを抱えた債務者が多く利用しています。
個人再生の手続の流れ
個人再生をする場合の手続の流れをご紹介します。
個人再生は、裁判所を利用した大変複雑で専門的な手続です。そこで、債務者が自分一人ですすめていくことはほとんど不可能であり、弁護士などの法律の専門家に手続を依頼することが必須になります。
そこで、個人再生をしたい場合、まずは弁護士に相談に行って手続を依頼します。弁護士に個人再生の依頼をしたら、弁護士が各債権者に対して受任通知と債権調査票を送って債権調査をします。受任通知が届いた時点で、債権者から債務者への督促がストップして、債務者から債権者への支払いも一時停止します。
弁護士が債権調査をしている間に、債務者は申立に必要な書類を集めます。個人再生の必要書類はかなり膨大ですが、依頼している弁護士に教えてもらいながら順番に揃えていきます。
必要書類がそろったら、弁護士が個人再生の申し立て書を作成して裁判所に申立をします。
このとき、個人再生委員が選任される裁判所の場合には、個人再生委員が選任されて、債務者は個人再生委員と面談をします。個人再生の申立後は、毎月積立をする必要があります。積立は、個人再生手続後の返済の予行演習の意味を持ちます。
申立後個人再生委員と面談をして、積立金も開始出来て、特に問題がない場合には、個人再生の手続開始決定が出ます。個人再生委員が選任されない場合には、申立後書類に特に不備がなければ手続開始決定が出ます。
個人再生手続開始決定が出ると、裁判所から債権者に対して債権調査が行われます。
債権調査期間が終了すると、返ってきた債権調査結果を弁護士が受け取り、異議を出すべきものがあれば異議を出します。異議が出ると、債権者から評価申立があって、裁判所が適正な債権額を確定する手続が行われます。特に異議がなければ、そのままその債権額が確定します。
債権額が確定したら、弁護士がその債権額を元にして、再生計画案を作成して、裁判所に提出します。
再生計画案の内容に特に問題がなければ、裁判所は債権者に対し、その内容を送って書面決議に付します(小規模個人再生の場合)。
過半数の数または債権額の債権者による反対がなければ、再生計画案の認可決定がおりて、返済が開始します。
個人再生の手続には、だいたい8ヶ月程度かかります。
以下では、個人再生のメリットをご紹介します。
個人再生をすると、借金額を大幅に減額してもらうことができます。個人再生での借金減額率は以下の通りです。
借金額が100万円まで | そのまま |
借金額が100万円以上500万円まで | 100万円 |
借金額が500万円以上1500万円まで | 5分の1 |
借金額が1500万円以上3000万円まで | 300万円 |
借金額が3000万円以上5000万円まで | 10分の1 |
上記の借金額は、住宅資金特別条項を利用する場合の住宅ローンを含まない金額です。
このように、個人再生では、任意整理とは異なり、利息制限法を超過した利率での取引がなくても大幅に借金を減額してもらえることが大きなメリットとなります。
また、個人再生には住宅資金特別条項があります。住宅資金特別条項を利用すると、住宅ローン返済中でも、住宅ローンの支払いは継続したまま、他の借金だけを減額出来て、住宅を守ることができます。住宅ローンを滞納して保証会社が代位弁済していても、代位弁済後6ヶ月以内であれば、住宅ローンの巻き戻しができるので、代位弁済前の状態に戻して再度元の銀行などの債権者に対して分割払いで住宅ローンの支払をすることができます。
さらに、住宅ローンを滞納して競売が開始されているケースであっても、裁判所に申立をして競売を中止してもらい、その間に個人再生手続をすすめて住宅を守ることができます。このように、個人再生では、非常にマイホームを守りやすい制度になっています。他の債務整理手続には見られない、個人再生の大きなメリットです。
個人再生をしても、財産がなくならないこともメリットの1つです。個人再生では、自分の財産以上の金額を債権者に支払わないといけないという制限はありますが、財産自体をとられることはないので、守りたい財産があっても手続ができます。
個人再生をする場合、借金の原因が問題にならないこともメリットです。浪費やギャンブルなどでできた借金でも、問題なく借金を減額してもらえます。
以下では、個人再生のデメリットをご紹介します。
個人再生をすると、手続後に債権者への支払いが残るので、確実に返済を継続できる必要があります。そこで、裁判所によって厳しく支払い能力を審査されて、収入が一定以上で安定していることが要求されます。サラリーマンの場合にはもっとも利用しやすく、個人事業者でも一定以上の安定した収入があれば利用できますが、実績が乏しい場合や収入が低かったり不安定だったりすると、個人事業者は利用出来ないケースがあります。
アルバイトやパートなどの人は、個人再生できない可能性が高いです。専業主婦の場合、夫の収入から返済できる場合であっても、個人再生では、自分の収入が必要とされるので、やはり利用できません。
このように、厳しい収入要件があることは、個人再生の大きなデメリットです。
また、個人再生は裁判所を利用した非常に厳格で複雑な手続です。そこで、債務者が自分一人で手続することはほとんど不可能であり、弁護士などの専門家への依頼が必須となります。すると、弁護士費用がかかりますし、個人再生の弁護士費用は債務整理手続の中でも高額になります。相場としては、だいたい30万円~50万円程度かかります。
個人再生委員が選任されるケースの場合には、これに対して個人再生委員の報酬が15万円程度かかるので、弁護士費用と合計するとかなりの金額になってしまいます。このように多額の費用がかかることは個人再生のデメリットです。
さらに、個人再生では、必要書類の種類や数もとても多く、収集が大変手間になりますし、かかる期間も長いですし、政府の機関紙である官報に3回ほど情報掲載がされます。以上のような点が、主な個人再生のデメリットです。
それでは、個人再生に向いている人を確認しておきましょう。
個人再生に向いているのは、まずは住宅ローンをかかえた債務者です。個人再生では、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用できますし、保証会社が代位弁済した後でも住宅ローンの巻き戻しが起こり、競売開始決定後でも競売を中止してもらうことなどができて、住宅を守りやすい制度が整っています。このようなことは、他の債務整理手続には見られない個人再生ならではの特徴なので、住宅を守りたい債務者にとっては非常に役立ちます。
借金額がそれなりに大きい人も個人再生に向いています。個人再生をすると、借金額を大幅に減額できるので、かなり多額の借金がある場合でも借金を整理することができるからです。
収入が一定以上で安定しているサラリーマンや公務員は、個人再生の収入要件をクリアしやすいので、個人再生に向いています。
借金の原因が浪費やギャンブルである場合にも問題なく手続ができるので個人再生に向いていますし、守りたい財産がある人も、個人再生なら財産をとられないのでやはり個人再生に向いています。
参考コンテンツ:
小規模個人再生をしたら、車も手放さなきゃいけない?
自己破産とは
自己破産とは、裁判所に申立をして借金を完全に0にしてもらう手続のことです。ただし、税金や健康保険料などの支払い義務は残ります。自己破産をすると、借金が完全になくなるので、まさしく0からのスタートを切ることができます。ただし、生活に最低限必要な財産以外の財産はなくなります。
自己破産では、最終的に裁判所によって「免責」という決定をしてもらうことによって借金がなくなります。
申立後破産手続開始決定が出た段階では、まだ借金はなくなっていないので、きちんと最後まで手続をすすめて裁判官に免責を認めてもらうことが必要になります。
自己破産の手続の流れ
以下では、自己破産の手続の流れを確認しましょう。
自己破産も利用した複雑で専門的な手続なので、弁護士に依頼することが必須です。自己破産を弁護士に依頼すると、弁護士は債権者に対して受任通知と債権調査票を送って債権調査をします。この時点で、債権者から債務者への支払の督促が止まります。
債務者が必要書類を集めて債権調査が終わったら、申立をします。特に申立内容に不備がなければ破産手続開始決定がおります。
債務者に特に財産が無い場合には、同時廃止手続が選択されます。同時廃止になった場合には、手続開始決定と共に手続が廃止されて、その後、裁判所で免責審尋(裁判官との免責に関する面談)が行われます。問題がなければ免責決定がおります。
債務者に財産がある場合には、管財手手続が選択されます。管財事件になった場合には、破算管財人が選任されて、債務者の財産の換価と債権者への配当の手続をすすめます。これらの換価と配当の手続が終わったら、破産手続が廃止されて、免責の判断が行われます。
免責決定がおりたら、借金返済義務がなくなって自己破産手続は終了します。自己破産にかかる期間は、同時廃止の場合には3ヶ月程度ですが、管財事件になると半年以上かかります。
次に、自己破産のメリットを見てみましょう。
自己破産の何よりのメリットは、借金が完全に0になることです。他のどの債務整理手続でも借金がある程度残るので、このように0になることは自己破産ならではの大きなメリットとなります。また、自己破産をすると、申立後は強制執行を停止してもらうことができますし、手続開始後は強制執行ができなくなります。このことにより、給料の差押などが起こっている場合でも差押を止めることができて役立ちます。
自己破産にはデメリットもあります。大きなデメリットは、自己破産によって財産がなくなることです。20万円以上の預貯金や生命保険、車や不動産などはすべていったん手放すことになります。
また、浪費やギャンブルが原因の借金の場合、免責不許可事由に該当して免責が受けられなくなるおそれがあります。
自己破産手続中は資格制限を受けるので、弁護士や司法書士、宅建業や警備員、保険外交員などの一部の職業に就いたり成年後見人になったりすることができなくなります。
自己破産は裁判所を利用した複雑で専門的な手続なので弁護士に依頼することが必須になり、必要書類も多いですし、管財事件になったら高額な管財予納金(最低20万円)がかかることもデメリットです。
さらに、自己破産をすると、2回程度官報に情報掲載されます。
自己破産に向いている人は、多額の借金がある人です。どれだけ多額の借金があっても返済義務が完全になくなるので、借金問題を根本的に解決出来ます。
また、収入がなかったり少なかったりして返済能力がない(少ない)人も自己破産に向いています。自己破産では手続後に返済が残らないので、債務者の収入が一切問題にならないからです。
また、守りたい財産がない人の方が自己破産に向いています。自己破産をすると、生活に最低限必要な以上の財産がなくなるので、守りたい財産がない人の場合、特に不利益を受けないで済むからです。
過払い金請求とは債務整理の一種として、過払い金請求があります。過払い金請求とは、過去に利息制限法を超過した利率で取引をしていた人が、相手業者に対して払いすぎた利息を取り戻す手続のことです。
過払い金請求は、借金完済後でも返済中でもできます。回収出来る過払い金の額は100万円を超える高額になることもあり、大変助かります。
過払い金請求をする場合、相手業者から取引履歴を取り寄せて、利息制限法に引き直し計算をして過払い金を算出し、相手業者と交渉をして過払い金を返還してもらいます。
任意整理の最中に過払い金が見つかって、過払い金請求に手続を切り替えて請求することも多いです。
過去に借金をしていたからと言って、誰でも過払い金請求が出来るわけではありません。
特に借金返済中に過払い金が見つかって返還請求ができるためには、まずは借金残金を返済しないといけないので、ある程度多額の払いすぎ利息が発生している必要があります。そこで、ある程度長期間、利息制限法を超過する利率で取引していたことが必要です。
利息制限法を超過する利率での貸付が行われていたのは、平成20年頃以前なので、その頃に5年以上取引をしていた人については、過払い金が発生している可能性が高いです。
また、過払い金が発生する借金は消費者金融やクレジットカードのキャッシングの債務です。これら以外の銀行カードローンやクレジットカードのショッピングなどでは、もともと利率が低いことなどから、過払い金は発生しないので返還請求ができません。
借金の完済後に過払い金請求をする場合には、完済後10年で過払い金請求権が時効にかかって消滅してしまうので、完済後10年以内に請求手続をする必要があります。
現在はすでに利息制限法を超過する利率での取引は行われておらず、過払い金請求権はどんどん時効消滅していく運命にあるので、身に覚えがある人は、早めに請求手続をとる事が得策です。
このように、借金が返済出来ない場合に利用できる債務整理手続には、いくつもの種類があり、それぞれ特徴があって向いている人も異なります。今回の記事を参考にして、自分の状況に応じた適切な債務整理手続を利用して、賢く借金問題を解決しましょう。
参考コンテンツ:
自己破産3回目を考えています
ブラックリストについて
借金をしているなら、「ブラックリスト」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。ブラックリスト状態になると、ローンやクレジットカードなどを利用できなくなると言われていますが、借金とブラックリストにはどのような関係があるのかが問題です。
どのような原因でブラックリスト状態になるのか、ブラックリスト状態になると具体的にどのような問題が起こるのか、ブラックリストの解消方法や、ブラックリスト状態になった場合の対処方法についても知っておくと日常生活で役に立ちます。
以下では、このようなブラックリスト問題について、わかりやすく解説します。
まずは、そもそもブラックリストとはどのようなものなのか、おさらいしておきましょう。
ブラックリストとは、ローンやクレジットカードなどを一切利用できない状態のことです。ブラックリスト状態になると、銀行ローンやクレジットカードの発行を申し込んでも、審査に通らなくなります。
今利用しているクレジットカードも、更新の際などに停止されてしまいます。
現代社会でローンやクレジットカードが一切利用できないとなると、大変不便になるので、ブラックリスト状態にはできればなりたくないものです。
借金をしている場合、具体的にどのようなことがあるとブラックリスト状態になるのでしょうか?ブラックリストの原因を確認しておきましょう。
ブラックリスト状態になるパターンは大きく分けて2つあります。1つ目は、借金を長期滞納した場合です。消費者金融やクレジットカードを利用している場合、毎月の返済が遅れると債権者から支払の督促が来ますが、督促に応じないで放置していると、やがてブラックリスト状態になってしまいます。滞納してからブラックリスト状態になるまでの期間は、利用している貸金業者にもよりますが、滞納後だいたい2ヶ月~3ヶ月くらいです。
借金を延滞したからと言って、即刻ブラックリスト状態になるわけではありませんが、早めに延滞状態を解消しないと、いつの間にかブラックリスト状態になってローンやクレジットカードを利用できなくなってしまうので、注意しましょう。
ブラックリスト状態になる原因の2つ目は、債務整理です。債務整理には任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4種類がありますが、これらのうちどの手続をとっても、ブラックリスト状態になってしまうことは避けられません。弁護士に手続を依頼してもブラックリスト状態にはなります。
ただ、過払い金請求をしただけの場合には、ブラックリスト状態にはなりません。過払い金請求は、借金返済中でも完済後でもできますが、ブラックリスト状態になりたくないなら、過払い金請求は完済後にすると良いでしょう。
ブラックリストの仕組み借金を長期滞納したり債務整理したりすると、ブラックリスト状態になってしまうことがありますが、ブラックリスト状態になるのは、どのような仕組みによるものなのか、理解しておきましょう。
個人信用情報とは
ブラックリスト問題は、個人信用情報に密接な関係があります。個人のローンやクレジットカードなどの利用履歴については、信用情報期間が保管する個人信用情報によって管理されています。個人信用情報には、ローン申込、借入や返済、滞納や事故(債務整理など)についての信用情報が登録されているので、これを見ると、その人がどのような金融業者を利用していて、返済や滞納状況がどうなっているのかがわかります。
信用情報機関とブラックリスト問題
個人信用情報を管理しているのは、信用情報機関です。そこで、以下では信用情報機関とはどのようなものか、ご説明します。
信用情報機関は個人の信用情報を管理している機関のことですが、消費者金融やクレジットカード会社などの貸金業者、銀行や信用金庫、公庫などの金融機関は、それぞれ信用情報機関に加盟していて、その保有する情報を参照することができます。
指定信用情報機関には、CIC、JICC、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つがあり、貸金業者や金融機関はこれらのうち最低1つに加盟していますし、複数に加盟している金融業者もあります。CICには多くの信販会社やクレジットカード会社が加盟しており、JICCには多くの消費者金融が加盟しています。KSCには、多くの銀行や信用金庫などの金融機関が加盟しています。
そして、これらの金融業者や金融機関は、ローンやクレジットカードの申込があると、自社が加盟している信用情報機関が保管するその人の個人信用情報をチェックします。
そのとき、問題のある情報が登録されていると、その人には信用力がないと判断して審査に通しません。そこで、借金を利用するためには、個人信用情報の登録内容が重要となります。
借金を長期延滞すると、個人信用情報に延滞情報が登録されてしまいます。債務整理をすると、個人信用情報に事故情報、異動情報、代位弁済などの情報が登録されてしまいます。これらの情報はすべて、ブラック情報とかネガティブ情報などと呼ばれており、個人信用情報に登録されていると、銀行などから信用力がないと判断されて、ローン審査に通らなくなります。
借金を長期滞納したり債務整理したりすると、個人信用情報に事故情報が登録される事によって、ローンやクレジットカードの審査に通らない状態になるのです。そして、この状態のことを俗に「ブラックリスト」と言っているのであり、「ブラックリスト」とは言っても、実際に何らかのリストがあるわけではないのです。
以上が、ブラックリストの仕組みです。
ブラックリスト状態になると、具体的にどのような問題が起こるのかを確認しましょう。
この場合、まずは各種のローンの利用ができなくなります。たとえば銀行ローンも利用できませんし、信用金庫や労働金庫などでも借入はできません。政府系の公庫も利用できませんし、住宅ローンも利用できません。車のローンも利用できませんし、子どもの学費のための教育ローンも利用できなくなります。
ただ、親がブラックリスト状態でも子どもはブラックリスト状態にならないので、子どもが債務者となる奨学金の借入は利用する事ができます。
ブラックリスト状態になると、消費者金融のキャッシングも利用できませんし、クレジットカードを新たに発行してもらうこともできなくなります。
今使っているクレジットカードについても、すぐには止められないとしてもずっと使い続けることはできず、カード更新時などに止められてしまいます。ある日突然利用停止になることもあります。
ブラックリスト状態になると、他者の借入の保証人になることもできません。よって、夫婦で住宅ローンを組むときの連帯保証人になることもできませんし、子どもが奨学金借り入れをするときの連帯保証人になることもできません。以上のように、ブラックリスト状態になると、数々の不都合があり、生活が極めて不便になります。なお、不動産賃貸借の保証人は、借金とは異なるものなので、ブラックリスト状態による影響を受けず、ブラックリスト状態でも連帯保証人になることができます。
ブラックリスト状態かどうか確認する方法次に、自分がブラックリスト状態かどうか確認する方法をご説明します。
自分の個人信用情報にブラック情報が登録されてブラックリスト状態になっても、何らかの通知がくるわけではないので、放っておくと自分がブラックリスト状態かどうかはわかりません。そこで、確認をするためには、自分から各信用情報機関に対し、個人信用情報開示請求をすることによって、情報開示を受ける必要があります。
このとき、必ずCIC、JICC、KSCの3つの信用情報機関のすべてに対して個人情報開示請求をする必要があります。1つの信用情報機関にはブラック情報の登録がなくても、他の信用情報機関に登録があると、結局審査に通らないのでブラックリスト状態になってしまうからです。
信用情報機関に対して個人情報開示請求をする方法は、各信用情報機関によってまちまちですが、電話、インターネット、郵送などで申請ができます。その際、1つの機関について、手数料が1000円程度かかります。
情報開示請求をしたら、自宅宛に個人信用情報の開示書類が郵送されてくるので、その内容を見ると、自分の個人信用情報の状態がわかります。そこで、延滞や事故、異動情報などのブラック情報が載っていれば、自分はブラックリスト状態だということなので、たいていのローンやクレジットカードは利用できません。そのような記載がなければ、ブラックリスト状態にはなっていないということなので、安心できます。
ブラックリスト状態は解消出来る?ブラックリスト状態になると、解消することはできないのかが問題です。
個人信用情報に事故情報などが登録されても、その情報が永遠に登録され続けるわけではありません。一定期間が経つと消去されます。
ブラック情報が消えるまでの期間は、ブラック情報が登録された原因によって異なります。
借金の長期延滞によってブラックリスト状態になった場合には、まずは延滞状態を解消する必要があります。延滞状態が解消されてから、その後5年程度が経過すると延滞情報が抹消されてブラックリスト状態を解消できます。延滞状態が継続している間は延々とブラックリスト状態が続いてしまうので、注意が必要です。
債務整理によって事故情報が登録されてしまった場合には、信用情報期間や利用した債務整理手続によって、事故情報の登録期間が異なります。
任意整理や特定調停の場合には、事故情報の登録期間は手続後5年~7年程度です。これに対し、個人再生や自己破産の場合には、事故情報の登録期間が手続後5年~10年程度になってしまいます。
借金を延滞してブラックリスト状態になってしまった場合、延滞状態を解消出来ないなら、早めに債務整理をすべきです。そうすれば、債務整理後上記期間が経過したら、ブラックリスト状態が解消されて、またローンやクレジットカードを利用できるようになるからです。
ブラックリスト期間中の生活方法ブラックリスト期間中は、自分名義ではローンやクレジットカードを利用できません。ただ、家族の個人信用情報には影響がないので、家族名義のローンやクレジットなら利用できます。そこで、住宅ローンを家族名義で申しこんだり、クレジットカードの家族カードを利用させてもらったり、子どもの奨学金の連帯保証人を配偶者に頼んだりすると良いでしょう。
自分名義のカードを持ちたい場合、クレジットカードは利用できませんが、デビットカードなら発行して利用する事ができます。デビットカードは利用と同時に利用金額が預金から引き落とされるタイプのカードです。全国のコンビニやスーパー、小売店などでクレジットカードと同じように利用できるので便利です。
現在借金をしている方は、今回の記事を参考にして、上手にブラックリスト問題を乗り切っていきましょう。
参考コンテンツ:
携帯代を支払わなかったらブラックリストに載るの?
借金の時効。その条件や手続など
借金をしている場合、毎月順調に返済出来るに越したことはありませんが、どうしても返済が苦しくなって、支払をしないまま放置することがあります。債権者に連絡をしないまま引っ越しをしたり電話番号を変えたりすると、督促も来なくなり、支払いを一切しないまま長期間が経過してしまうことも多いです。
借金を返済しないまま長期間が経過した場合、借金が時効によって消滅する可能性があります。
このように、期間の経過によって権利が消滅してしまうことを、消滅時効と言います。
借金は、貸金返還請求権という債権の一種なので、長期間、その権利を行使しないと、消滅時効によって消滅します。借金などの債権に消滅時効が認められるのは、債権者が、権利を持っているにもかかわらず行使せずに放置している場合には、債権者を保護する必要がないことや、もはや権利が行使されないだろうと考える債務者の期待を保護する必要があることによります。
時効が成立完成したら、借金をしていても一切返済の必要はなくなるので、借金を長期間返済しないまま放置すると、返済しなくて良くなる可能性があります。
借金の時効起算点と時効期間借金にも時効がありますが、具体的にはどのくらい返済をしていない場合に時効が成立するのかが問題になります。また、いつから時効期間をカウントするかという問題もあります。
時効期間をカウントする開始時点のことを、法律的には時効の起算点と言います。
借金の時効の起算点は、最終返済日の翌日です。そこで、最終返済日の翌日から所定の時効期間が経過すると、借金は時効によって消滅することになります。
借金の時効期間は、借金の種類によって異なります。
借金には、一般の民事債権と商事債権の2種類があります。
一般の民事債権は通常の原則的な債権であり、商事債権は、営利目的を持った商人の債権や、その性質が商事性(営利目的)を持つ債権です。
借金の中でも、消費者金融やクレジットカード、銀行などからの借金の場合、これらの債権者は営利目的を持っているので商人となり、借金の種類は商事債権となります。
これに対し、信用金庫や公庫、信用保証協会などは営利目的を持たず、商人とは考えられていないので、これらの機関からの借入については、一般の民事債権となります。個人間の借金も、通常は民事債権です。
ただ、個人事業者が事業のために信用金庫などから借り入れをする場合には、その借り入れ目的自体が商事性を持つので、商事債権となります。
一般の民事債権の場合、時効期間は10年です。商事債権の場合、取引性が高められているので、時効期間が短くなって、5年になります。
そこで、借金の時効についてまとめると
- 消費者金融、クレジットカード会社、信販会社、銀行などからの借金の時効期間は5年
- 信用金庫や公庫、個人からの借金の場合には10年
と考えておくと良いでしょう。
最終返済日の翌日からカウントして、それぞれ上記の期間が経過すると、借金は時効にかかって消滅します。
参考コンテンツ:
銀行からの借金が時効になっている?
時効援用とは
借金の最終返済日の翌日から5年ないし10年が経過すると借金は時効によって消滅しますが、この場合、何もしなくても自然に借金がなくなるわけではありません。
債務者が借金の時効の効果を得るためには、時効援用という手続が必要です。時効援用とは、「時効による利益を受けます」という事を内容とする意思表示のことです。
時効援用をする場合、法律上は特に方法について定めがありません。そこで、口頭などによっても時効援用することはできます。
たとえば、債権者に電話をかけて「この借金は時効が成立しているから、時効を援用します」と告げても、一応時効援用はできます。
しかし、時効援用したかどうか、いつ行ったかについては、後に債権者と債務者との間で大きな問題になる事があります。時効援用をしていない場合には、時効の効果が得られず借金返済義務が消えないので、債権者は債務者に対し、「援用通知は受けていないから時効の効果は発生していない。お金を払ってほしい」と言ってきます。
特に、時効援用前に借金の存在を認めたり、一部支払ったりしてしまうと、その後時効援用をすることができなくなるので、大変な問題になります。
そこで、このようなことがないように、時効援用は確実に証拠が残る方法でする必要があります。
具体的には内容証明郵便によって時効援用通知を送る方法がもっとも確実です。
内容証明郵便で援用通知を送る方法
内容証明郵便とは、郵便局と差出人の手元に、送ったものと全く同じ内容の控えが残るタイプの郵便です。郵便局によって確定日付が記入されるので、いつ発送したのかが明らかになりますし、配達証明というサービスを利用すると、いつ相手に到達したのかも明らかになります。
この内容証明郵便を利用することにより、確実に相手に時効援用通知をしたことを証明できるようになるので、相手から「時効援用通知を受けていない」などと言われることを避けることができます。
内容証明郵便を利用したい場合には、まったく同じ内容の通知書を3通作って、郵便局に持ち込んで発送してもらいます。どこの郵便局でも取り扱っているというわけではなく一部でしか取り扱いがないので、事前に内容証明郵便の発送業務を行っているかどうか郵便局に確かめてから行きましょう。
また、インターネットを利用している人の場合、電子内容証明というサービスを利用すると、ネット上から簡単に内容証明郵便を送ることができるので便利です。
内容証明郵便を発送する場合には、1000円~2000円程度の費用がかかります。
参考コンテンツ:
9年前の借金 時効の援用
時効の中断とは
借金の時効を理解するためには、時効の中断についても知っておく必要があります。
時効の中断とは、時効期間の進行中にその事情が起こると、時効進行が中断して、また初めから時効期間が進行し始めることです。
たとえば借金返済後に3年が経過した時点で時効の中断が起こると、その時点からさらに5年ないし10年が経過しないと時効が成立しないことになります。
時効の中断手続を確実に繰り返していると、永遠に時効を完成させないことも可能です。
時効の中断事由としては、債務承認や債権者による請求があります。
債権者が請求によって事故中断させようとするときには、単に口頭で請求しても足りません。裁判上で請求をしたり、仮処分、仮差押などの手続をとったりする必要があります。
借金の時効進行中に債権者から裁判を起こされて時効が中断してしまった場合には、判決確定から10年の時効期間の進行が開始します。
消費者金融などからの借金で、もともとの時効期間が5年であったものでも、いったん裁判を起こされて判決が確定すると、確定判決にもとづく債権となり、時効期間が10年になります。
裁判をすぐに起こせない場合には、時効完成前に内容証明郵便によって借金の支払請求書を送ると、6ヶ月間時効を延長することができ、その間に裁判を起こして判決を得ると、その時点から10年時効を延ばすことができます。
このように、時効には中断が認められるので、10年ごとに裁判を繰り返していれば、永遠に時効を完成させないことができます。
実際に、長期間消費者金融などの借金を返済せず、時効の完成を狙っている場合に、時効完成の直前になって裁判を起こされてしまうことも多いです。
裁判は、相手の居場所がわからなくても公示送達という方法によって行うこともできるので、相手に居場所を知られていないからと言って安心することもできません。
このように、借金を時効によって免れようとしても、実際にはなかなか思うようにはいかないことが多いので、注意しましょう。
以上のように、借金を長期間返済していない場合、借金が時効消滅することによって返済を免れる可能性があります。ただし、時効期間が経過して時効が成立したら、必ず内容証明郵便で時効の援用通知を送る必要があります。また、時効には中断が認められるので、実際には時効の完成を待っていても時効が完成することは少なく、時効によって借金を免れようとするのは得策とは言えません。
借金問題に苦しんでいる場合、時効を待つよりも適切な債務整理方法を利用することによって解決しましょう。
借金を長期間返済していない状態が続いている場合には、今回の記事を参考にして、一度借金に時効が完成していないかどうかを確認してみても良いでしょう。
今回は、ローンや借金問題について広く解説しました。人生において、借金する場面はたくさんあります。それぞれの借金によって利用目的も利率も借入額も異なってきますし、保証人の有無なども異なります。
借金返済を楽にするポイントは、借金の利息の利率です。借金するなら、なるべく利率の低いものを利用しましょう。
返済がどうしても苦しくてできなくなった場合には、債務整理によって解決する方法が効果的です。借金を長期延滞したり債務整理したりした場合のブラックリスト問題や時効の問題についても基本知識を頭に入れておきましょう。
今回の記事を参考にして、上手に賢く借金やローンを利用しましょう。
参考コンテンツ:
借金の時効について
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第三者(妻)が支払うことは偏頗弁済に該当するのでしょうか