ブラックリスト

知らないから怖い。ブラックリストの疑問や不安を解消しよう
借金をしている場合、「ブラックリスト」に関心を持っている方が多いでしょう。ブラックリスト状態になると、ローンやクレジットカードが使えなくなるというイメージがありますが、そもそもどうしてローンやクレジットカードが利用できなくなるのでしょうか?ブラックリストについての疑問や不安は、具体的にはどのような問題があるのかや、どのようにしてブラックリスト状態から解放されるのかなどを正しく知っておくと、解消することができます。
以下ではブラックリスト問題について、知っておきたい事項をご説明します。
まずは、ブラックリストとはどのようなものなのか、ご説明します。
ブラックリスト状態とは、ローンやクレジットカードなどを一切利用できなくなった状態のことです。
消費者金融やクレジットカード、銀行や信用金庫、政府系の公庫などの金融機関は、それぞれ信用情報機関に加盟していて、貸付の審査の際に信用情報機関の個人信用情報を参照します。
このとき、個人信用情報に問題のあるネガティブな情報が登録されていると、貸金業者や銀行は、貸付の審査に通しません。よって、個人信用情報にネガティブ情報が登録されていると、ローンやクレジットカードなどの審査に通らなくなって、これらの利用ができなくなります。
このように、個人信用情報にネガティブ情報が登録されていて、ローンやクレジットカードなどを利用できなくなった状態のことを、俗にブラックリスト状態と言っています。
ブラックリストとは言っても、実際に何らかのリストがあるわけではなく、個人信用情報に事故情報が登録されている状態を、一般的にわかりやすく「ブラックリスト」と言っているだけなので、まずは抑えておきましょう。
次に、ブラックリスト入りになってしまう理由をご説明します。
ブラックリスト状態は、上記の通り、個人信用情報にネガティブな情報が登録されてしまうことが原因です。そこで、そのネガティブな情報が、具体的にどのようなケースで登録されるのかが問題になります。
ネガティブな情報が登録される原因は、大きく分けて2つあります。
それは、借金返済の延滞と債務整理です。
借金返済の延滞
消費者金融やクレジットカード、銀行などから借金をしている場合、返済を長期にわたって延滞すると、ブラックリスト状態になります。この場合、個人信用情報に延滞情報が登録されてしまうので、ローン審査に申し込むと、個人信用情報を参照されて、借金を延滞していることがバレてしまい、審査に通らなくなります。
借金を延滞しても、すぐに延滞情報が登録されるわけではありません。延滞から実際に延滞情報が登録されるまでの期間は、消費者金融の場合にはだいたい2~3ヶ月くらいです。
住宅ローンなどの場合には、それより長く滞納してもブラックリスト状態にならないことがありますが、半年も滞納するとほとんど確実にブラックリスト状態になります。
債務整理
債務整理をした場合にも、ブラックリスト状態になります。
債務整理には、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4種類がありますが、これらのうちどの手続きをとってもブラックリスト状態を避けることはできません。
債務整理をすると、信用情報機関が保管する個人信用情報に、異動情報という事故情報が登録されてしまいます。すると、銀行ローンやクレジットカードの審査を申し込んだとき、カード会社や銀行が個人信用情報を参照して、債務整理したことがバレてしまい、ローンやクレジットカードの審査に通らなくなります。
債務整理をすると、弁護士が各債権者に受任通知を送りますが、受任通知を受け取ったら、債権者は基本的に加盟している信用情報機関に通知を行うので、事故情報が登録されてしまいます。債務整理手続き開始後、すぐに登録される場合もあれば、しばらく経ってから登録されるケースもあります。
ブラックリストに載ってしまうことで起こる弊害はブラックリストに載ってしまうと(ブラックリスト状態になると)、具体的にどのような弊害があるのでしょうか?以下で、確認しておきましょう。
ブラックリスト状態になると、まず、銀行ローンや住宅ローン、車のローンなどの各種のローンが利用できなくなります。銀行だけではなく信用金庫、労働金庫、政府系の公庫などの金融機関も利用できません。車のローンも、銀行だけではなく信販会社系やディーラー系のオートローンも利用できなくなります。
消費者金融のキャッシングも利用できませんし、クレジットカードを発行することもできなくなります。それどころか、今使っているクレジットカードも、近い時期や更新時などに利用停止されてしまいます。
さらに、他者の借入の際の連帯保証人(保証人)になることもできなくなります。
たとえば、親がブラックリスト状態の場合、子どもの奨学金借入の連帯保証人になることもできなくなります。
携帯電話の機種変更や新規機種購入の際の分割払いもできなくなるので、一括払いで購入しなければなりません。
このように、ブラックリスト状態になると、大変不便です。
ただし、ブラックリスト状態は、個人個人の問題なので、家族の個人信用情報には影響がありません。自分がブラックリスト状態でも、家族はローンやクレジットカードを利用することは自由ですので、その限度では、家族に迷惑をかけることはありません。
また、生命保険への加入や不動産の賃貸借契約が制限されることもありません。
以上のように、ブラックリストによって制限を受ける点と受けない点があるので、正しく理解しておきましょう。
自分がブラックリストに登録されているかどうかについての確認方法をご紹介します。
ブラックリスト状態とは、個人信用情報に事故情報などのネガティブな情報が登録されている場合なので、個人信用情報を見れば、確認することができます。
そのためには、各信用情報機関に対し、個人情報開示請求をしましょう。
信用情報機関には、CICとJICC、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つがあるので、これらすべてに対してそれぞれ手続きする必要があります。
個人情報開示請求の手続き方法は、各信用情報機関によっても異なりますが、電話やインターネット上、郵便などで手続きができます。
情報開示請求の手続きをすると、しばらくして自宅宛に開示書類が送られてくるので、その内容を見てみます。「異動」「延滞」「代位弁済」などのネガティブな情報が載っていたら、ブラックリスト状態だと言うことです。ローンやクレジットカードを申し込んでも、審査に通ることはありません。
これらの問題のある情報が特に載っていなければブラックリスト状態ではないので、ローンやクレジットカードなどを利用することができます。
ブラックリストから削除されるには借金を延滞したり債務整理したりして、ブラックリスト状態になってしまったら、その後は一生ブラックリスト状態が続くというものでもありません。
ブラックリスト状態からは、解放されることができますが、具体的な方法は、ブラックリスト状態になった原因によって異なります。
まず、借金の長期滞納によってブラックリスト状態になってしまった場合には、まずは借金の支払いをして延滞状態を解消することが必要です。延滞状態を解消したら、その後5年くらいが経過した時点で延滞情報が消去されてブラックリスト状態が解消されます。
延滞を解消しない限り、延々とブラックリスト状態が続いてしまうので、注意が必要です。
返済ができない場合には、債務整理をすると、返済をしなくてもブラックリスト状態を解消することができます。
債務整理によってブラックリスト状態になってしまった場合、手続き後一定期間が経てば事故情報が消去されてブラックリスト状態から解放されます。
任意整理や特定調停の場合、手続き後だいたい5年~7年くらい待てばブラックリスト状態から解放されますし、個人再生や自己破産の場合には、手続き後だいたい5年~10年くらいが経過すればブラックリスト状態が解消されます。
今回は、借金があるなら知っておきたいブラックリスト問題について解説しました。
ブラックリスト状態になると、ローンやクレジットカードが一切利用できなくなって大変不便ですが、正しい知識を身につけていたら、さほどおそれることはありません。
借金の延滞によってブラックリスト状態になってしまった場合、延滞状態を解消するか債務整理をしないと、延々とブラックリスト状態が続くことになって、不利益が大きいです。
自分もブラックリスト状態ではないかと思い当たる場合には、今回の記事をきっかけに、一度個人情報開示請求をしてみても良いでしょう。
ブラックリストを得意としている弁護士
山本 友也 弁護士 神奈川県
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