利息・グレーゾーン

お金を借りるなら必須の知識!利息の計算とグレーゾーン金利
借金をしているなら、金利のことについて理解しておく必要が高いです。消費者金融、クレジットカード会社、銀行、公庫など、どのような金融機関や貸金業者から借金をしても、通常金利がつきます。金利は、支払いをしても借金残高が減るものではないので、債務者にとっては支払っても余り意味のないものです。
金利の中には、「グレーゾーン金利」というものもあり、これは有名な過払い金請求と密接に関連しています。
そこで今回は、お金を借りるなら必須の知識である利息の計算とグレーゾーン金利について解説します。
そもそも借金の利息とはどのようなものなのか、おさらいをしておきましょう。
借金の利息とは、借金している場合に加算される費用のことです。
債権者は、お金を貸すときに、タダで貸しても何の利益もありません。そこで、利息をつけることによって利益を得ています。
消費者金融やクレジットカード会社などの貸金業者、銀行などの金融機関は、基本的にこの利息の利益によって、営業しています。
利息は、年率で表示されて、日割り計算で加算されていきます。
たとえば、100万円の借金がある場合に金利が年率10%なら、1年で10万円の利息が付くことになります。
利息は、いくら支払をしても元本を減らすことにはつながりません。よって、利息が高ければ高いほど、借金の返済は苦しくなります。
たとえば、100万円の借金に10万円の利息がつく場合、10万円については支払をしても元本が一円も減りません。
同じ金額の借金をするなら、利息の利率が低い借金を利用する方が得になるということです。
借金の利息は、元本と同時に返済していくことが多いです。
たとえば、毎月4万円の返済をしている場合、うち3万5千円が元本返済に充てられて、残りの5千円が利息の支払いに充てられていたりします。この場合、毎月3万5千円ずつ元本が減っていくことになり、5千円は債権者の儲けになります。
借金の利息は、貸し付ける債権者や利用する借金の種類によって大きく異なります。
消費者金融やクレジットカードのキャッシングの借金は高額で、年率10%以上であることが普通であり、15%以上になることもあります。これに対し、銀行カードローンの場合には10%以下になることが多いです。住宅ローンなどの場合、利率は低く、2%以下になることが普通です。
以上のように、借金をする場合には、利息のことを正しく理解して、利息の条件が良い(利率の低い)ものを探して借金することが重要になります。
利息制限法とグレーゾーン金利利息について知っておきたい知識として、利息制限法とグレーゾーン金利の問題があります。
借金の利息は、いくらでもとっても良いと言うことはなく、利息制限法という法律によって制限されています。
消費者金融やクレジットカード会社の借金の場合には、借り入れる金額によって、以下の通りの利率が上限になります。
- 借金額が10万円未満の場合、年率20%
- 借金額が10万円以上100万円未満の場合、年率18%
- 借金額が100万円以上の場合、年率15%
現在の利息制限法では、貸金業者が上記以上の利息をとることは認められず、それ以上の利息をとった場合には、出資法による罰則もあります。
なお、利息制限法は、個人間の借金にも適用がありますが、個人間の借金の場合には、利息の上限利率が109.5%となります。
以上より、消費者金融などから借金をする場合、基本的に上記の年率内になっているということを、まずは押さえておきましょう。
ところで、現在は上記の利息制限法以上の金利で貸付をしている業者はありませんが(ヤミ金をのぞく)、過去には利息制限法を超える利率で貸付をしても必ずしも違法とは言えない時代がありました。
利息制限法は、平成22年に改正施行されていますが、改正前の利息制限法では、上記の上限利率を超えて貸付をしても、一定の要件を満たせば有効になる余地があったのです。しかもその頃は、出資法によって罰則を受ける金利が29.2%だったので、利息制限法が定める上限金利と一致していませんでした。
そこで、多くの貸金業者が、利息制限法を超えているけれども出資法未満なので罰則を受けない金利で貸付をしていたのです。この「利息制限法を超えて出資法未満の金利」のことを「グレーゾーン金利」と言います。
利息制限法は超過しているけれども、出資法には抵触しないので、グレーという意味でグレーゾーンです。
ところが、その後裁判で、消費者金融などから借り入れをした消費者が、グレーゾーン金利における利息支払いは無効であると主張して争いを繰り広げました。そして、最高裁判所は、このようなグレーゾーン金利による支払いは原則的に無効であることを判断しました。
消費者が支払ったグレーゾーン金利による支払いは、すべて無効だということになったのです。
グレーゾーン金利によって支払った利息は本来支払う必要がないものなので、取り戻すことも容易になりました。このように、過去にグレーゾーン金利による支払をしていた人が支払いすぎの利息を取り戻す手続が、あの有名な過払い金請求手続です。
グレーゾーン金利の廃止で過払い金請求ブーム到来以上のように、グレーゾーン金利と過払い金請求には密接な関係があります。グレーゾーン金利で利息支払いをしていたからこそ、過払い金が発生するからです。
そして、平成20年頃から過払い金請求ブームが到来しています。それは、平成18年に最高裁判所でグレーゾーン金利による利息支払いは不要であると判断されたため、それを受けて利息制限法と出資法、貸金業法が改正されることが決定されたことと関係します。法改正により、利息制限法以上の利息支払いは違法となり、利息制限法の上限金利と出資法の上限金利が一致することになりました。このことにより、グレーゾーン金利による貸付は行われなくなり、過去にグレーゾーン金利で取引をしていた人は、容易に過払い金を回収出来るようになりました。
過払い金請求ができるという法律事務所や法務事務所(司法書士事務所)による広告も積極的に行われるようになり、多くの消費者が過払い金請求の手続を利用するようになったのです。
現在、利息制限法の改正後かなりの期間が経過したので、過払い金請求ブームは落ち着いては来ていますが、まだまだ手続をしていない人もたくさんいます。
過去に消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していて、グレーゾーン金利で取引をしていた場合には、過払い金が発生している可能性が高いので、一度調べてみることをおすすめします。
過払い金請求をすると、100万円を超えるお金が返ってくることもありますし、他の債務整理手続のようにブラックリスト状態にはなく、特にデメリットらしいデメリットもないので、躊躇する必要はありません。
利息を払い過ぎてたかも?と思ったら過去の消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していて、グレーゾーン金利で取引をしていたら、過払い金請求ができる可能性が高いです。そのためには、平成20年頃以前にこれらの貸金業者で取引していた必要があります。利息制限法が改正されたのは平成22年ですが、改正を見越して多くの貸金業者が平成20年頃にはグレーゾーン金利による貸付を順次辞めていったからです。
過払い金請求をするためには、まずは自分の場合に過払い金が発生しているのか、また発生しているとしたらどのくらいかを調べる必要があります。そのためには、ネット上の過払い金シミュレーターなどで簡単に調べてみるか、きちんと相手業者から取引履歴を取り寄せて利息制限法引き直し計算をする必要があります。
また、過払い金には時効があります。具体的には、完済後10年が経過すると、過払い金請求権が時効消滅して請求手続ができなくなるので、身に覚えがある場合には、早めに請求手続をとることが大切です。
今回は、借金の利息とグレーゾーン金利、過払い金請求のことについて解説しました。
借金をする場合、避けられないのが利息の問題です。同じ金額の借金をするなら、利息の低い借金を利用する方が返済が楽になります。
過去には利息制限法を超えて出資法未満というグレーゾーン金利がありましたが、そのような金利帯で取引していた人は、過払い金請求できる可能性が高いです。
自分にも過払い金が発生しているかも知れないと思う人は、今回の記事を参考にして、一度過払い金請求できるかどうか調べてみると良いでしょう。
利息・グレーゾーンを得意としている弁護士
細川 宗孝 弁護士 神奈川県
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