離婚する際、相手の連帯保証人から外れることはできる?
[投稿日] 2017年03月23日 [最終更新日] 2017年03月23日
調停・審判・裁判などを得意としている弁護士
AさんとBさんは共働きで仕事をしていて、自宅を購入することとしたのですが、夫であるAさんの年収では、銀行融資基準をクリア―できなかったので、妻であるBさんの年収も加算して銀行融資基準をクリア―することができました。
ただ、銀行からは、Bさんの年収も加味しての融資だからということで、Bさんは、Aさん名義で借り入れた金銭について、連帯保証人となりました。
その後、AさんとBさんの夫婦仲が悪くなり、離婚することになったのですが、Bさんとしては、財産分与で自宅をAさんの所有としたこともあって、連帯保証人から外れたいと考えていますが、どうしたらよいのでしょうか。
連帯保証契約銀行とAさんとの契約は金銭消費貸借契約ですが、連帯保証契約はそれに付随するものではなく(もちろんAさんが負担している主たる債務が消滅すれば消滅するという意味では付随しますが)、銀行とBさんが当事者となって締結する契約で、契約だけを見れば、Aさんは無関係ですし、ましてや離婚してAさんとBさんとが他人になったとしても連帯保証契約に何の影響も及ぼしません。
したがって、Bさんとしては、銀行と折衝をして、連帯保証契約を解除してもらうしかありません。
ただ、銀行としては、解除に応じる義務はありませんので、どのような方法を採ったら銀行が解除に応じてくれるのかを考えなければなりません。
合意解除の方法まず、銀行が連帯保証人を立てた意味がどこにあるかを理解することが必要です。銀行は、万が一にもAさんが住宅ローンの返済を滞らせた場合、保証人がそれに代わって弁済することで不良債権となることを回避するために連帯保証人を立てているのです。
しかも、連帯保証人は、まずはAさんに催促しろとか、Aさんに強制執行をかけてからにしてくれとはいえない立場にあります。
ということは、Bさんが連帯保証人から外れたいと考え、しかもそれを銀行が納得する方法というのは、Bさんに代わる然るべき担保を出すということしかありません。
もちろん、それでも銀行には応じる法的義務はないのですが、一般的には離婚という事情を斟酌した上で、担保が銀行の納得するものであれば、Bさんとの連帯保証契約の合意解除に応じてくれる可能性が大となります。
銀行が納得する然るべき担保には、二種類があります。一つはBさんに代わる新たな連帯保証人を立てることで、もう一つは不動産を物的担保として提供することです。順に説明をしていきましょう。
新たな連帯保証人Aさんが自宅を取得するのですし、Aさんが主たる債務者となっているのですから、Aさんの関係者を連帯保証人として新たに立ててもらいたいことをAさんに説明をしてください。
このようなAさんとBさんとのケースの場合、Aさんの親族が新たな連帯保証人となることが多いようです。
ただ、新たな連帯保証人を立てる場合に注意をしていただきたいのは、当初の融資がBさんの年収を見込んでいたということです。つまり、例えば、融資を受けた当時のBさんの年収が500万円であったとした場合、新たに立てる連帯保証人の年収は500万円を上回る必要があります。
また、Bさんが上場会社に勤務していたような場合、新たな連帯保証人の職業も問題となり得ます(年収が不安定な職業かどうか)。
銀行としては、年収や職業からみてBさんに代わる人として適切であると判断しない限り、連帯保証契約の解除に応じることはないでしょう。
Aさんの親族や関係者に、上記のような条件を満たす人がいない場合には、物的担保として価値のある不動産を担保とする方法があります(抵当権設定)。Aさんの親族に不動産を所有している人がいれば、Aさんから担保として提供してもらいたいと依頼するように言いましょう。
ただ、この場合でも、提供しようとする不動産に先行する抵当権が付されている場合にはかなり難しいといえるでしょう。提供しようとする不動産は、抵当権などが付いていないもの、仮についていても、残高が不動産価値からして著しく低く、Aさんの融資残高をカバーするのに十分であることが必要となります。
最後にこれまで説明をしてきたような新たな連帯保証人が見つからない場合や適当な不動産もないという場合には、やむを得ませんが、銀行との間の連帯保証契約を解除することはできません。
離婚する相手であるAさんに期待することが無理な場合もあるかと思いますが、Aさんが誠実に住宅ローンを払ってくれることを期待するしかありません。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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