専業主婦が離婚する前に知っておくべき4つの真実 ―財産分与・養育費・面会交流―
[投稿日] 2017年04月05日 [最終更新日] 2017年09月29日
調停・審判・裁判などを得意としている弁護士
離婚にはメリットデメリットがそれぞれあるかと思いますが、専業主婦の離婚には特にリスクが伴います。
当然のことながら、離婚後も生活はあり、一人で生計を立てていくことを考えなければなりません。ブランクが長いと正社員での就職は難しく、パートやアルバイトで生計を立てるのも大変でしょう。子供のいる家庭であれば、教育費等、子供にかかる費用についても考えなければなりません。
離婚する前に、少なくとも以下の点についてしっかり考え、離婚後の生活をきちんと送れる目処をたてておきましょう。
- 別れた夫からもらえるものがある(財産分与・養育費・(場合によっては慰謝料))
- 財産分与には離婚の原因は関係ない(有責配偶者でも財産分与を求める資格がある)
- 養育費、面会交流は子供の権利
- 決め事は公正証書にしておく
離婚すると、夫婦の財産を分ける必要があります。夫婦が婚姻中に協力して取得した財産(共有財産)を離婚する際(または離婚後)に夫と妻で分けることを「財産分与」といいます。
財産分与が請求できるのは、離婚後2年間です。この2年間は除斥期間(一定の期間を過ぎると権利行使できない(請求できない)期間)といわれ、財産分与の請求期間である2年間は延長することができません。
ただし、その2年間のうちに、調停や審判の申立をした場合、調停や審判が確定するまでは請求が可能とされています。
また、財産分与は、慰謝料と違い、不法行為の有無を問わず、配偶者に対して請求することのできる権利です。たとえ離婚原因を作った有責配偶者であっても婚姻期間中に築き上げた財産を分けて受け取る資格はあり、財産分与請求の権利を失うことはありません。
養育費養育費とは、子が自立するまでにかかる費用のことで、養育費の支払いは親の義務です。民法877条にも「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」とあり、親には、子を扶養する義務があります。
夫婦は離婚しても、子供の親です。養育費の請求は子供の権利です。養育費の支払義務は、扶養義務であり、「生活保持義務」と言われます。
「生活保持義務」とは、扶養を受ける者(子供)にも自分と同じ程度の生活を保持させる義務のことであり、生活に余裕がないなどという理由で支払義務を免れるものではありません。
つまり、養育費とは、できれば支払うというものではなく、親の義務です。(参考記事:「生活保護を受けると養育費の支払い義務は無いの?」)
養育費は、原則、請求したときから子供が20歳になるまで受け取ることができます。養育費の請求は、子供が20歳になるまでいつでも可能です。
ただ、過去にさかのぼっての請求ができるかについては、ケースバイケースですので、離婚の際には養育費の請求につき、しっかりと協議しておきましょう。(参考記事:「未払いの養育費は遡って請求できる?請求するための手続きは?」)
離婚時、養育費について話し合う際には、金額、期間、時期、方法等詳細を決めておき、書面にしておくようにしましょう。
万一、不払いになった場合のことを考え、公正証書にしておくことが望ましいでしょう。公正証書にしておけば、強制執行(差押)ができます。
話し合いでまとまらない場合は、調停や審判、裁判で取り決めておくとよいでしょう。
面会交流とは、離婚後(又は別居中)に子供を養育・監護していない方の親が子どもと面会等を行うことです。
面会交流の具体的な内容や方法については、親が話し合って決めます。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に調停(又は審判)の申立てをして、面会交流に関する取り決めを求めることができます。
話し合いで合意できた場合でも、書面に残し、公正証書にしておきましょう。
離婚することになったのであれば、大変かもしれませんが離婚後のことをしっかりと考えましょう。
子供がいる場合、子供の権利を第一に考えることが大事です。民法766条には「離婚後の子の監護に関する事項の定め等」の条文があり、「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」とあります。
そして、後になってもめないためにも、しっかりと話し合い、決めたことは公正証書で残しておくようにしましょう。
離婚の際には、前述の3項目のほかにも、親権、年金分割、慰謝料、婚姻費用分担など、話し合う事項はたくさんあります。しっかりと知識をつけて準備するようにしましょう。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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