早く離婚を成立させたい!上手な離婚の仕方まとめ
[投稿日] 2017年06月21日 [最終更新日] 2017年06月21日
調停・審判・裁判などを得意としている弁護士
離婚を決意しても、相手が応じてくれなかったり、親権や慰謝料について折り合いがつかなかったりすることはよくあります。話が平行線のまま、別居状態で婚姻関係だけが続いているという夫婦もいることでしょう。
こうした問題に決着をつけ、上手に離婚するにはどうすればいいのでしょうか。
ここでは、離婚をスムーズに進めるための方法について解説します。
離婚には、大きく分けて4つの方法があります。そのうち、最も基本となるのが協議離婚です。
(1)協議離婚
協議離婚とは、夫婦で話し合いをして、お互いに合意することで成立する離婚のことです。
離婚の合意・離婚届の提出・子供がいる場合には親権者を決定することで成立し、原則として調停員や弁護士、裁判所などの第三者が関与しません。
協議離婚では、必要になるのは「離婚の合意」と「離婚届の提出」のみです。子どもがいる場合は親権者を決める必要もあります。夫婦間の話し合いだけで離婚を決められるので、決着まで時間がかからないのがメリットです。
見方を変えれば、慰謝料や財産分与などの問題が残ったままでも、離婚をすることは可能なわけです。「とにかく早く離婚したい」といって、諸々の問題を棚上げしたまま離婚を強行すると、後々トラブルを招く可能性があります。
話し合いで決着がつかなければ、裁判所に調停を申し立てる親権や慰謝料などの面で合意ができない、あるいは離婚そのものに一方が応じないという場合は、協議離婚はできません。その時は、調停離婚をするという方法があります。
(2)調停離婚
調停離婚とは、当事者間の話し合いによる協議離婚では離婚成立しない場合に、家庭裁判所に調停を申し立て、行われる離婚のことです。
調停は家庭裁判所で行われますが、あくまでも当事者に調停委員を含めた話合いの形式で行われ、離婚条件・財産分与・養育費・慰謝料等に関する取り決めがされます。その際作成される調停調書は、確定判決に近い公的な効力をもつことになります。
調停離婚は、第三者を間に入れて冷静に話し合えるのがメリットです。取り決めに拘束力が生まれるため、より確実に慰謝料などを払わせたいなら、協議離婚よりも有効です。ただし、調停委員はあくまでも中立な立場だということに注意が必要です。
ただし、調停委員は当事者の代理人ではありません。中立・公正な立場で、離婚の話合いに参加するに過ぎないため、離婚時にどのような条件を定めておくべきかといった点について相談をする相手としては向いていません。
そのため、離婚時の注意点等を自分で調べるか、弁護士等の専門家に尋ねるなどして、不利な離婚にならないよう知識をつけておく必要があります。
調停委員に「どうすれば私が有利になりますか?」などと質問しても、答えてはくれないということですね。こういった相談は、弁護士を頼った方がいいでしょう。
裁判所が強制的に離婚を成立させる場合もある調停でも決着がつかないケースは少なくありません。そんな時、裁判所が強制的に離婚を成立させることがあります。それが審判離婚です。
(3)離婚調停が成立しない場合に行われる「審判離婚」
審判離婚は、夫婦双方もしくは夫婦の一方の意思に反して、強制的に裁判所が離婚を成立させる手続です。
そのため、「軽微な問題で離婚調停が成立せず、かつ離婚を成立させた方が当事者にとって良い」と裁判官が判断した限定的な場合に採用される離婚の方法といえます。具体的には、次のような場合に審判離婚が行われます。
・離婚の合意はあるが、夫婦の双方もしくは一方が調停成立時に出頭できない場合
・親権者の争いなど、家庭裁判所の判断を示すことが夫婦の利益になる場合
子どもの親権で揉めている場合も、夫婦の経済力などを考慮して、裁判所が客観的に判断してくれます。
調停でも駄目なら、裁判ですべてを決める協議離婚も調停離婚もできず、審判離婚が可能な状況でもなければ、裁判離婚を行うことができます。
(4)裁判離婚
裁判離婚とは、協議離婚が不成立の場合や調停離婚が不成立となった場合に、夫婦の一方が家庭裁判所に離婚の訴えを提起し、判決によって成立する離婚のことです。離婚調停と異なり、離婚裁判では双方の主張・立証が行われます。最後に判決で、離婚請求が認められるか、財産分与・養育費・慰謝料・親権者等に関する判断が下されます。
ここで離婚判決が下されると、強制的に離婚が成立します。
離婚裁判の途中に裁判官が和解勧告をする場合もありますが、この和解勧告に応じるかどうかは当事者が自由に決定することができます。なお、家事事件手続法という法律によって、離婚においては調停前置主義が採られています。つまり、裁判離婚を行うよりも先に離婚調停を行う必要があり、調停不成立になった後でなければ裁判離婚を行うことはできません。
どんな問題でも、まとまらなければ裁判で決着をつけることになるわけです。あくまでも最後の手段なので、調停を飛ばして裁判をすることはできない点に注意してください。
離婚協議書は必ず作り、できれば公正証書にすることスムーズな離婚を目指すなら協議離婚が一番ですが、財産分与などについて取り決めをしても、相手が守らなければ結局裁判を起こさなければなりません。それを防ぐためには、取り決めの内容を書面化する必要があります。
協議離婚することが決まったら、さまざまな事柄につき話し合い、決めておかなければなりません。
それらの決め事をまとめた離婚協議書を作成しておきましょう。
離婚協議書は公正証書にしておくとよいでしょう。公正証書にしておくことで、万が一、離婚後に養育費の不払いなどが生じた場合、強制執行の手続きをとることができるようになります。公正証書にしていない場合は、裁判所にて、調停や裁判の手続を経ることになるでしょう。
取り決めの内容をまとめた書類が「離婚協議書」です。さらに、それを「公正証書」というものにしておけば、裁判をしなくても強制力が発生するわけです。
公正証書について、もう少し詳しく見てみましょう。
(協議)離婚に際して作成する公正証書は、離婚後の約束事(財産分与、慰謝料、養育費、面接交渉に関する事項等)を公証人が書証として作成するというものです。
実際の手続としては、事前に夫婦がお互いに話し合った上で離婚協議書を作成し、それを公証人役場に持参すると、公証人が内容を確認し、必要に応じて修正や削除の指示をします。必要な修正を行い、法律上問題ないものになると、公証人ができあがった離婚協議書を元に公正証書を作成してくれます。
公証人は法令に違反した事項や無効な法律行為について公証することはできないため(公証人法26条)、公証人は法律上問題のある事項については修正や削除の指示をしますが、内容が妥当であるかどうかについては判断できません。したがって、離婚の際の公正証書作成にあたり慰謝料や養育費の金額を決定することはありませんし、仮に慰謝料等の金額が高額であっても修正することもありません。
作成した離婚協議書を公証人役場へ持っていけば、公正証書を作成してもらえるということですね。ただし、公証人は「内容に法律上の問題がないか」という点しかチェックしてくれないので、慰謝料の金額などについては自分たちで話しあう必要があります。
離婚の原因を作った側が離婚の訴えを起こすことはできない!最後に、裁判離婚の落とし穴について解説しておきます。調停でも決着がつかなければ「仕方ない、裁判で決めよう」となるわけですが、裁判を起こすことができないケースがあるのです。
「上手く離婚する方法」とのご相談ですが、ご回答としては「奥様を説得して協議離婚するしか手立てはない」ということになると考えます。
ご相談者様のように、不倫をしているような場合、民法770条1項記載の「離婚原因」(不倫の場合、1号の不貞行為に該当)を自ら作っていることになります。離婚原因とは、離婚の訴えを起こすことができる「理由となる原因」とお考えください。
ただ、離婚原因を自ら作っておいて、自分で離婚の訴えを起こすことは(虫がよすぎるため)、基本的にできないとお考えください。これを「有責配偶者からの離婚請求」と言います。
浮気をしたり暴力を振るったりして離婚の原因を作った側が、離婚の訴えを起こすことはできないということですね。
浮気をした夫が「離婚しよう」と言い出しても、妻が「私は別れるつもりはない」と拒否してしまえば、夫はどうしようもないわけです。何とか相手を説得するしかありません。
結局、離婚をスムーズに進めるためには、十分な話し合いをするのが1番だということです。折り合いがつかないと思ったら、早めに調停へ進みましょう。とはいえ、簡単には決着がつかないことも多く、Legalusの調停・審判・裁判などに関する弁護士Q&Aにも多くの相談が寄せられています。
慰謝料の金額が適正かどうかなど、自分だけでは判断できないこともたくさんあります。裁判を起こす気がなくても、困ったことがあったらぜひ離婚の相談に強い弁護士に相談してください。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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