【弁護士に聞く】離婚調停の流れ、進め方について。弁護士に依頼すると何が違う?
[投稿日] 2018年11月29日 [最終更新日] 2018年11月29日
調停・審判・裁判などを得意としている弁護士
夫婦間で離婚に向けた話し合いをしても、うまくまとまるとは限りません。
うまくいかなかった場合は、離婚調停を申し立てることになりますが、いったいどんな手続なのかイメージできない方も少なくないと思います。
そこで、離婚調停の流れや進め方について、東京スタートアップ法律事務所の中川浩秀弁護士にお話を伺いました。

(東京スタートアップ法律事務所)
企業のスタートアップや成長を後押し、日本のアップデートに貢献することを使命としている。また、過去300件以上の離婚相談を受けてきた経験から、様々な事情を抱える依頼者に寄り添った対応と解決策の提案を行っている。
――離婚調停になるのは、どのような場合ですか。

中川 弁護士
離婚の協議がまとまらなかったときですね。
“離婚の協議”には、夫婦間で協議していた場合の他、弁護士が入って協議していた場合も含みます。
“協議がまとまらない”とは、離婚そのものに応じてもらえなかった場合や、離婚についての条件が折り合わなかった場合をいいます。
私の感覚としては、離婚事件の5割から6割は調停になるという印象ですね。
――離婚調停にはどのようなメリットがありますか。

中川 弁護士
離婚調停のメリットは、調停が終結して調書が作成されると、判決と同じ効力があるので、相手が支払いを怠った場合にはすぐに強制執行に移れることです。
また、調停を経ることで、裁判に進むことが可能であることもメリットと言えるかもしれません。
日本の法律は、すぐに離婚裁判を提起できなくなっていて、裁判をするにはまず調停をしなければなりません。
これを調停前置主義といいます。
裁判を見据えるなら、調停は必ず必要なステップということになります。
――では逆に、デメリットはどのようなものがありますか。

中川 弁護士
離婚調停のデメリットは、相手が出てこなければ空振りになり、調停不成立で終わってしまうことです。
裁判であれば、相手が出てこない場合はこちらの主張が通るのですが、調停の場合はそうではありません。
他にデメリットとしては、時間がかかることでしょうか。
一回の調停期日は1~3時間程度かかります。
自分と相手が交互に調停室に入るので、待ち時間は相当長くなります。
また、調停期日は概ね1ヶ月に1回程度です。
――離婚調停の大まかな流れを教えてください。

中川 弁護士
まず、家庭裁判所に離婚調停の申立てを行います。
それから、互いの要求を調停委員に述べて、話し合いを繰り返します。
話し合いの結果、合意に至れば調停が成立です。
調停が成立すれば、調停調書を作成し、その調書の内容に従ってその後の離婚手続を進めていきます。
――離婚調停が成立するまでの期日の回数や期間はどれくらいですか。

中川 弁護士
ケース・バイ・ケースです。
1回でまとまることもあれば、5回やってもまとまらないこともあります。
――離婚調停で解決しなかった場合は、どうなるのでしょうか。

中川 弁護士
その場合は、裁判をするしかないですね。
または、冷却期間を置くという手もあります。
DVや不貞行為など、明確な離婚事由がない場合は、裁判をしても離婚は認められません。
離婚事由がない場合は、とりあえず別居期間を重ねて、再度裁判をします。
長期間の別居は、離婚事由になるからです。
- 離婚の協議がまとまらなかった場合、離婚調停を申し立てる。
- 調停調書には判決と同じ効力があり、強制執行が可能になる点がメリット。
- 調停を経てからでないと裁判を起こすことはできない。
――調停期日は、裁判所で何をするのですか。

中川 弁護士
当日は、依頼者と待ち合わせをして、裁判所で受付をし、相手方と交互に調停室に呼ばれて、調停委員と話をします。
女性はドレスコードを気にされる方も多いですが、私は特に服装についての指示はしていません。
普段着で構わないと思います。
話をした結果、だいたい次回に持ち越しとなるケースが多いですね。
次回の期日を決めて、その日は終了です。
期日は、おおむね1か月に1回のペースで入ります。
――調停委員とは何ですか。裁判官とは違うのですか。

中川 弁護士
調停委員は二人、男女のペアが多いですね。
法律資格を持っている人もいますが、持っていない人も多いと思います。
調停委員の役割は、夫婦間の調整役です。
調停はお互いが歩み寄って合意しないと終わりませんので、調整役が必要になるのです。
離婚するか仲直りするか、離婚を決めているのであれば養育費などの諸条件をどうするか、などの問題について、夫婦それぞれの話を聞いて、合意を目指します。
裁判官と異なるのは、裁判官なら、最後は判決でこうしなさいと決めてくれますが、調停委員が何か決めるということはない、できないという点です。
――裁判所では、相手と顔を合わせなければならないのでしょうか。弁護士に依頼すれば、相手の顔を見なくてすみますか。

中川 弁護士
相手と顔を合わせることはありません。
これも、調停のメリットと言ってもいいかもしれないですね。
弁護士に依頼せず、自分で手続きをしている場合でも、相手と顔を合わせることはありません。
待合室から別々になっています。
帰りのエレベーターや裁判所の外でばったり会ってしまうことはあるかもしれませんが、調停の場では相手と会わないようになっています。
――調停が終了するまでに、平均すると何回くらい裁判所に行くことになるのでしょうか。

中川 弁護士
私の場合は、2~3回くらいで終わることが多いですね。
1回あたりの時間は、1時間くらいで終わることもあれば3時間くらいかかることもあります。
- 期日では、調停委員が交互に当事者の話を聞き、合意を目指す。
- 調停委員は、夫婦間の調整役。
- 調停の場では、相手と顔を合わせないように配慮されている。
――離婚調停を弁護士に依頼した方がよいのは、どのような場合ですか。

中川 弁護士
調停は平日の昼に行われるので、本人がお仕事などでどうしても出席できない場合には、弁護士に依頼した方がよいでしょうね。
他には、調停の場で、自分で話をすることに不安がある場合、弁護士に依頼するメリットは大きいと思います。
先ほども触れましたが、調停が成立して調書が作成されると、判決と同じ効力を持ちます。
つまり、一生に関わるほど重大な効力を持ちます。
そのため、主張すべきことはその場で言わなければなりませんし、間違ったことはその場で訂正しなければなりません。
調停委員が頼りになるとは限らないので、自分で対応するのに不安がある方は、是非弁護士に依頼してください。
――弁護士に相談したい場合、依頼者の方で何か準備しておくべきことはありますか。

中川 弁護士
特にないですね。
電話で少し話を聞いて、不貞行為があるようだったら、LINEのスクリーンショットや探偵の調査報告書などをお願いすることはありますが、これがないと相談できないというものはありません。
ご依頼を受けて手続きを進めていく過程で必要なものが出てくれば、その時点でお願いすることになります。
――自分で調停を申し立てたけれど、うまく進められない場合に、途中から弁護士に依頼することはできますか。

中川 弁護士
もちろん、途中からでも可能です。
途中からだと事案の把握が大変なこともありますが、依頼を受けられないということはありません。
協議からでも、調停からでも、自分が依頼したいと思った時点でご相談ください。
ただ、調停を自分でやるのはあまりお勧めしません。
調停で決まったことは、一生に関わります。
弁護士が入れば、もらえるお金が増えることも、払うお金が減ることもあります。
――他に、離婚調停を弁護士に依頼するメリットはありますか。

中川 弁護士
弁護士が入ることで、精神的負担が軽減されます。
私がご依頼を受けたケースでも、それまで五里霧中だったのが、先の見通しが立つようになって、依頼者の方の表情が明るくなったと感じたことが少なくありません。
調停をやるのなら、惜しまず弁護士を使ってほしいと思います。
- 弁護士に依頼した方が良いのは、平日の昼の調停に行けない場合、自分で話をすることに不安がある場合。
- 調停で決まったことは一生に関わるので、ためらわず弁護士に依頼を。
調停では合意を目指して話し合いが行われますが、自分の言い分はきちんと主張しないと、不本意な結果を招きかねません。
しかし、裁判所というなじみのない空間で、自分の言い分を適切に述べることは簡単なことではありません。
ベストな結果を得るため、弁護士への相談・依頼も検討しましょう。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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