離婚裁判の判決に対して、再審の制度があるのでしょうか?
(50代以上:女性)
離婚裁判でも、再審事由があれば、再審を申し立てることができます。
離婚の訴えや認知の訴えなど、夫婦や親子などの関係についての争いを解決する訴訟(人事訴訟)は、金銭では割り切れない家庭内での紛争を解決するものなので、通常の民事訴訟とは異なる手続きが用意されています。
たとえば、家庭裁判所においては、参与員が審理や和解の試みに立ち会って意見を述べたり、子どもの親権者の指定などについて、家庭裁判所調査官が、子どもに面接して調査したりすることがあります。
ただ、人事訴訟も民事訴訟の一種であることに変わりはないので、民事訴訟の手続きである「再審」制度の適用があります(人事訴訟法19条参照)。
再審とは、確定した判決について、一定の要件を満たす重大な事実(再審事由、民事訴訟法338条)がある場合に、再審の訴えで不服を申し立てることです。
たとえば、裁判の手続きに重大な欠陥がある場合や、判断の基礎とされた資料に犯罪的行為が関わっている場合には、再審理を求めることができます。
ただし、当事者が控訴や上告によりその事実を主張している場合や、その事実を知りながら主張しなかったときには、再審の訴えを申し立てることはできません。再審事由が判決の確定する前であれば、当然に上告理由になるためです。
また、再審の訴えは、原則として、判決が確定してから再審の事由を知った日から30日以内で、かつ、判決確定の日から(再審事由が確定後に発生した時は発生の日から)5年以内に提起することが必要です(342条)。
なお、民事訴訟法で定められている再審事由は以下の通りです(338条1項)。ご相談の場合も、以下のいずれかの事由があれば、再審の訴えを申し立てることができます。
- 裁判所の構成に違法があること
- 法律により判決に関与できない裁判官が、判決に関与したこと
- 法定代理権や訴訟代理権または代理人が訴訟行為をするのに必要な授権がないこと
- 判決に関与した裁判官が、事件について職務に関する罪を犯したこと
- 刑事上罰すべき他人の行為により、自白をしたこと又は判決に影響を及ぼすべき攻撃・防御方法の提出を妨げられたこと
- 判決の証拠となった文書その他の物件が偽造・変造されたものであったこと
- 証人や鑑定人、当事者、法定代理人の虚偽の陳述が判決の証拠となったこと
- 判決の基礎となった民事・刑事の判決などが後の裁判で変更されたこと
- 判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があったこと
- 不服の申し立てにかかる判決が前に確定した判決と抵触すること
投稿時の情報です。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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