内縁の妻は相続権を認められるかどうか?まとめ
[投稿日] 2017年06月27日 [最終更新日] 2017年06月27日
同棲・内縁・事実婚を得意としている弁護士
籍を入れていない「内縁の妻」は、相続権を持つのでしょうか?持つとしたら、どのようなケースで認められているのでしょうか?
いわゆる事実婚カップルの方は、気になることもあるのではないでしょうか。
近年の日本では事実婚も増えているとされています。夫婦別姓にこだわる男女や、戸籍に縛られたくないカップルなどの場合も、女性の方は「内縁の妻」ということになります。
ただ、法律上では未だに戸籍上の夫婦が重視される傾向にあり、いくら「事実上の夫婦」と主張しても、権利が認められないことも少なくありません。
その一つが相続権です。事実上の夫婦がいたとして、夫が亡くなった場合、内縁の妻には相続権が認められるのでしょうか?
今回は、内縁の妻と相続権を巡るポイントを整理したいと思います。事実婚カップルの場合、必ず問題になる点なので、ぜひ理解していただくことをおすすめします。
そもそも、内縁の妻とはどのような存在なのでしょうか?
「内縁」とは、婚姻意思のもとに共同生活を行い、社会的には夫婦と認められていても、婚姻届を出していないために法律的には正式の夫婦とは認められない事実上の夫婦関係をいいます。
内縁と法律上の夫婦との違いは婚姻届出の有無だけで、法律上も内縁は「婚姻に準ずる関係」として保護されています。
内縁関係が成立するためには、1.婚姻の意思と2.夫婦としての共同生活の実体の2つが必要です。
つまり、男女ともに「自分たちは(婚姻届を出していないが)夫婦だ」という認識があり、周りの人からも「あの二人は夫婦だね」と思われているにもかかわらず、婚姻届を出していないのが「内縁」ということになります。夫婦の実態はあるし、社会的にも認められているが、書類上では「夫婦」ではない。それが内縁です。
法律的には、婚姻届を提出している夫婦ほどではありませんが、それに準ずる関係ということで保護の対象になっています。
内縁の妻に相続は認められない!しかし残念ながら、基本的に内縁関係に相続権ありません。
しかし、何がどうあってもこれだけは法律上の夫婦であることが優先されるというのが、相続の問題です。如何に両人にこまやかな愛情があろうとも、内縁関係では相続が認められません。
自己認識としても社会的認識としても「夫婦」であり、しかも夫婦生活の実態があったとしても、こと相続という法的にデリケートなトピックになってしまうと立場が弱くなってしまうというわけです。
それでは、内縁の妻に相続をさせることはできないのでしょうか・・・?
いえ、そんなことはありません。
2つのケースをご紹介します。
最もよいのは、生前に遺言、しかも信頼性の高い「公正証書遺言」を残すことです。
遺言を残すことで、内縁の妻を含めて誰に何を相続させるか、自分で決められます。
遺言を残すと、誰にどの遺産を譲り渡すかを自分で決めることができますし、法定相続人以外の人にも財産を残すことができます。たとえば、内縁の妻には相続権がありませんが、遺言を残せば内縁の妻に現在住んでいる家を残すこともできます。
相続権のない内縁の妻であっても、内縁の夫が遺言をしっかり残していれば財産を残すことが可能なのです。
内縁の妻に相続させるケースその2:特別縁故者相続人が他にいないと、「特別縁故者」に財産が分与される可能性があります。
被保険者の死亡により、通常は相続人が受取人としての地位を承継し、保険金を相続します。しかし、他に相続人がいない場合には、特別縁故者に相続財産が分与されるという制度があります。
特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者をいいます。代表的な例としては、被相続人の内縁配偶者や事実上の養子などがあります。
手続は民法の規定に基づき、家庭裁判所に分与の申立てをして行います(民法958条の3)。
こちらの記載の通り、内縁の妻は「特別縁故者」となるため、相続人が他にいない場合に限り、財産を受け取ることができます。
自分から意識的に手続きを行って相続できるようにしているわけではないのですが、こうした制度があることも知っておくとよいでしょう。
ここまでご説明した内容は、あくまで一般的な話です。
実際に「夫婦生活としての実態」が認められるのか、「社会的に夫婦である」と認められるのかなど、個別のケースによって解釈はさまざまです。
そうなりますと、やはり弁護士など専門家に相談するのがベストです。
Legalusでは、相続問題に強い、あるいは離婚・男女問題に強い法律事務所や弁護士を検索することができます。気になる方は、ぜひ一度相談してみましょう。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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