妻の浮気が原因で離婚!親権はどちらが持つべき?その根拠まとめ
[投稿日] 2017年06月23日 [最終更新日] 2017年06月23日
一般的に、夫婦が離婚すれば子どもの親権は妻が持つケースが多いとされています。しかし、妻の浮気が原因で離婚したとしても、子どもの親権は妻に持っていかれてしまうのでしょうか?
そんなことは許せないという夫は多いはずです。
この場合どうなるのか、法的な根拠を見ていきましょう。
まず、浮気をした親が親権者になれるのかどうかを確認しておきましょう。
夫婦が離婚する場合で、未成年の子供がいるときは、その子供の親権者を決めなければなりません(民法819条)。
この親権は、あくまでも、「子の福祉(幸せ)」を基準として、どちらが親権者となるべきか判断されます。具体的には、虐待の有無、子の年齢や性格、経済力、居住環境、養育への熱意、愛情、父母の健康状態などから総合的に判断されます。
そのため、不貞行為(浮気)をした親であっても、それだけの理由で子供の親権者となれないということはありません。浮気をしてしまったとしても、子供に対しては十分に愛情を示し、離婚後もきちんと育てていけるようなら、親権者となり得ます。
親権者はさまざまな事情を考慮して決定するということですね。つまり、浮気をしたからといって親権者になれないわけではないのです。
では、浮気をしたという事実は、親権を取る上でどのくらいマイナスになるのでしょうか。
もっとも、浮気相手と会っている間に小さい子を一人で長時間放っておいたり、ひんぱんに夜遊びに出かけたりするなどして、育児を十分に行っていない事実がある場合は、親権者としてふさわしくないと判断されることもあり得ます。
どちらかというと、浮気それ自体よりも、浮気にかまけて子育て(家庭)をおろそかにしていた事実の方が問題ということですね。育児や家事、仕事を真面目にやっていれば、浮気をした親でも親権を取れる可能性は十分にありそうです。
現実的には、幼い子どもの親権は妻が取るケースが多いそれでは実際のところ、親権は夫婦のどちらが取るケースが多いのでしょうか。
現実的には、10歳未満の子の場合は、虐待などの特別な理由のない限り母親が親権者となり、10歳以上の場合は、子の意思に任せるケースが多いようです。その他、兄弟姉妹がいる場合は、親権者が別々とならないように配慮されます。
やはり、世間のイメージ通り、子どもが幼ければ妻が親権を取りやすいということですね。さらに、兄弟姉妹の親権は同じ人が持つことになるので、「長子はこっち、次子はそっち」というやり方は難しいわけです。
しかし、離婚前に別居をすることはよくあります。妻が子どもをつれずに家を出ていったとしても、やはり親権は妻のものになるのでしょうか。
また、生活環境を変えない方が「子の福祉」に適すると考えられているので、別居期間がおよそ1年半程度以上の長期になると、生活環境を変更するだけの特段の事情がなければ、原状維持を優先する傾向にあるようです。
別居が長期化した場合は、父親が親権者になれる可能性が高いということですね。逆にいえば、妻が子どもをつれていってしまった場合だと、夫は非常に不利な立場になります。
養育費を払うかどうかは、離婚の理由とは別である親権とセットになる問題が、子どもの養育費です。
離婚した後、親権を持たない夫が、養育費を払う、というのは聞いたことがある人も多いでしょう。
では、妻の浮気が原因で離婚したとしても、養育費を払わなければならないのでしょうか?。
養育費は、これから大きくなる子どもの生活費や教育費に充てるためのものです。
厳密に言えば、離婚した一方当事者の消費生活を支えるためのものではありませんから、離婚の原因がどちらにあるかにかかわらず、負担するに相当と考えられる側が、その一部または全部を負担することになるのです。離婚の原因を誰が作ったのかという夫婦間の問題と、親の子どもへの扶養義務とは別問題です。
元奥さんが主婦で生活力がなく、子どもも小さくて働けないという状況ならば、あなたが養育費を払わなければならないでしょう。
養育費の支払いは、離婚の原因とは別問題だということですね。離婚した相手に支払うのではなく、あくまで子どものために支払うものだからです。
最悪の場合、妻の浮気が原因で離婚、親権も妻に取られ、養育費は夫が負担しなければならないということもありえるわけです。
ただし、何もできないわけではありません。
金額は、当事者の収入、家庭の状況などの事情を総合的に判断して、当事者の話し合いや調停などで決められます。したがって、月2、3万円という家庭もあれば、10万円という家庭もあります。
とはいえ、今までの結婚生活において婚姻費用の大部分を負担し、家事、育児までこなし、親権を取られた上に養育費まで払うことについて、不公平感を持たれるももっともだと思います。そのような場合は、調停を利用して、妥当と思われる額や支払う期間、方法などを決めることをお勧めします。
決して相手方が請求するままの金額を支払う義務はありませんので、参考になさってください。
慰謝料については、元の奥さんにも浮気相手にも、請求することができます。
納得がいかなければ、裁判所に離婚調停を申し立てて、客観的な判断を仰ぎましょう。
浮気相手に慰謝料を請求し、養育費の足しにすることも可能です。妻の要求をすべて受け入れる義務はまったくないことを覚えておいてください。調停でも駄目なら、裁判で決着をつけることになります。
親権というのは、子どもを守るためのシステムです。たとえ浮気をした方の親だろうと、より親権者にふさわしいと認められれば子どもを引き取ることはできます。とはいえ、感情も絡む問題だけに、どうしても納得がいかないという事態は発生するでしょう。Legalusの親権に関する弁護士Q&Aにも多くの悩み相談が寄せられています。
問題を迅速に解決するためには、弁護士の力を借りるのが理想的です。ぜひ離婚問題に強い弁護士に相談してみてください。
どちらが親権者として妥当なのか、慰謝料はどのくらい取れるのかといったことも相談できます。不利な立場に追い込まれないよう、早めに行動しましょう。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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