離婚後に子どもの苗字を変更するには?
[投稿日] 2017年01月30日 [最終更新日] 2017年01月30日
離婚届を得意としている弁護士
高島 健太郎 弁護士 奈良県
奈良万葉法律事務所夫婦が離婚する場合、婚姻により苗字を変更した人は、
という二つの選択肢があります。
それでは、子どもの苗字はどうなるのでしょうか。実は、両親が離婚しても、子どもの苗字は当然には変更されません。
したがって、離婚後に子どもを引き取った親が旧姓に戻っているのに、子どもは婚姻時の姓のままというケースが出てきます。
同じ家で暮らしているのに、親子で苗字が違うことについては、違和感を覚える人も少なくないと思われます。子どもの姓を親権者の姓に変更したい場合、どのような手続きをとる必要があるのでしょうか。
子の氏の変更許可子どもの姓を変更するには、
- 家庭裁判所に「子の氏の変更許可」の申立てを行う
- 裁判所の許可が出た後に役所で「入籍届」を出す
という二段階の手続きが必要です。
まず、(1)「子の氏の変更許可(民法791条)」ですが、子どもの住所地の家庭裁判所に対して申立てを行います。この申立てをすることができるのは、子ども自身とされていますが、子どもが15歳未満の場合は、親権者が法定代理人として申立てをすることができます。
申立てに必要な書類は、申立書(裁判所のウェブサイトからダウンロードすることができます)と、子ども及び父母の戸籍謄本(父母が離婚した記載のあるもの)です。費用は、手数料として収入印紙800円が必要となる他、連絡用の郵便切手がいくらか必要になります。
申立てを受けた家庭裁判所は、子どもの氏の変更が妥当かどうかを審査し、妥当であると判断すれば許可を出し、許可を出したことが記載された審判書が申立者に交付されます。
家庭裁判所の許可が出たら、(2)市区町村役場に「入籍届」を提出します。届出先は、子どもの本籍地または届出人の住所地の役場です。
届出の際は、家庭裁判所の審判書謄本や戸籍謄本が必要になります。
この二段階の手続きにより、子どもは親権者の戸籍に入り、親権者と同じ姓を名乗ることができるようになります。
苗字の変更にはデメリットもある親子が同じ苗字を名乗ることができるようになったとしても、苗字を変更したことによりいろいろと面倒な手続きも必要になります。
学校に在学中の場合は、戸籍上の氏名を届出なければなりません。また、パスポートや銀行口座なども、苗字の変更の手続きが必要になります。
また、自分の苗字が変わることについて、子ども自身が抵抗を感じる場合もあると思われます。
そのような場合、戸籍上の姓は元のままで、親権者の姓を通称名として使用するという方法があります。
通称名の使用については、学校に相談すれば、普段の学校生活はもちろん、卒業証書の氏名も通称名を記載するなど、柔軟に配慮してもらえるケースも多いので、子どもの担任の先生に相談してみるのがよいでしょう。
離婚後も婚姻時の姓を名乗るための届出は、離婚後3ヶ月以内に行わなければなりませんが、子どもの氏の変更については、期間制限は設けられていません。
したがって、進学や引っ越し、あるいは子ども自身が希望する時期など、好きなタイミングで氏を変更することができます。
自分の苗字が変わることについては、子ども自身の考えを聞くことも重要です。一緒に暮らす親と同じ苗字がいいという子どももいれば、生まれたときから名乗っている苗字を変えたくないという子どももいるでしょう。
離婚後の子どもの苗字をどうするかは、子ども自身の意思も尊重して、よく考えて選択する必要があるといえます。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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