調停離婚が成立した後にも離婚届けは必須!必要な手続き一覧
[投稿日] 2017年06月15日 [最終更新日] 2018年03月02日
離婚届を得意としている弁護士
田中 克幸 弁護士 福岡県
天神ベリタス法律事務所山口 寛 弁護士 東京都
日本橋神田法律事務所離婚には、協議離婚(民法763条)、調停離婚、審判離婚、裁判離婚(民法770条)という4つの方法があります。
このうち調停離婚とは、当事者間の話し合いでは離婚が成立しない場合に、家庭裁判所に調停を申し立てて行われる離婚のことです。
調停は家庭裁判所で行われます。当事者に調停員を加えた、話し合いの形式で行われ、離婚条件・財産分与・養育費・慰謝料等に関する取り決めがされます。
その際作成される離婚調書は、公正証書に近い公的な効力をもつことになります。
なお、離婚においては調停前置主義が採られています。つまり、裁判離婚を行うよりも先に離婚調停を行う必要があり、調停不成立になった後でなければ裁判離婚を行うことはできません。
調停離婚は、調停にかかる費用が2000円前後(印紙・郵便代等)と安いため、離婚費用を抑えつつ、離婚協議の場に中立・公正な立場の第三者を介在させたい場合に向いている離婚方法といえます。
調停員に手続きなどの相談をすることはできますが、あくまで中立な第三者です。有利に進めるためには弁護士に相談するのがよいでしょう。
調停離婚はいつ成立する?離婚調停は、調停の申立人・相手方・裁判官・書記官等が同席して調停条項の確認を行い、申立人・相手方が了承することで成立します。
離婚調停が成立すると、離婚調停成立の事実と合意された条項が「調停調書」にまとめられ、それ以降の変更・修正はできなくなります。
調停離婚が成立する場合、その形態には2種類あります。
調停の成立と同時に離婚が成立する形態
まず一つは、調停が成立した時点で即座に離婚が成立する形態です。
この場合も調停後に離婚届を提出する必要はあるのですが、それはあくまでも離婚した事実について戸籍に記載をしてもらうための報告的届出に過ぎません。離婚自体は調停が成立した瞬間に成立していることになります。
この形態の場合、戸籍には離婚が成立した日として、「離婚の調停成立日」が記載されてしまうため、調停離婚であることが後からも分かる記録が残ることになります。
離婚届が受理された時点で離婚が成立する形態
もう一つは、調停が成立した時点で離婚が成立するのではなく、あくまでも離婚届が受理された時点で離婚が成立するという形態です。
この場合は調停離婚というより、協議離婚の過程で調停を利用した、というようなかたちになります。
これは離婚調停の場で離婚届を作成し、その後役所で離婚届が受理された時点ではじめて離婚が成立するというものです。この場合には、通常の協議離婚(民法763条)と同様の記載しか戸籍に残らないため、調停という経過を経て離婚したということは後から分かりません。
調停という第三者を交えた話し合いをしなければ、離婚が成立しなかったということは、当事者間では解決できない程、夫婦間での争いが激しかったということです。その事実を、後から子供や再婚相手に知られたくないと思う人はこちらの方法を採ることになります。
後者の形態は、調停の場で離婚届を作成すること以外は協議離婚と同様になるため、今回はこの2つ形態のうち、前者の調停離婚に関して、離婚後の手続等について考えていきます。
調停離婚後の手続 (1)離婚届の提出調停離婚が成立すると、調停の成立日から10日以内に本籍地もしくは届出人の所在地の市役所に離婚届を提出しなければなりません(戸籍法77条1項で準用する同法63条1項。戸籍法43条1項)。10日の届出期限を徒過すると5万円以下の過料に処せられる可能性があります(戸籍法135条)。
そして調停離婚成立後に報告的届出を行う際の離婚届には、夫婦双方の署名捺印・証人欄の記載は不要で、届出義務者の署名・捺印だけで良いことになっています。届出義務者は、調停条項が「申立人と相手方は本日調停離婚する。」と記載されている場合は申立人となります。一方、「申立人と相手方は相手方の申し出により本日調停離婚する。」と記載されている場合は相手方が届出義務者になります。
離婚届の提出時には、離婚成立の調停調書の謄本・戸籍謄本も必要となります。
一般的に、離婚調停の成立時に届出用の省略謄本の発行申請をしておいて、後日受け取ることになります。
戸籍謄本は、本籍地以外で離婚届を提出する場合にのみ必要となります。
調停離婚において年金分割の条項を定めていたとしても、実際に年金事務所での分割手続をする必要があります。これは離婚成立日から2年以内に行う必要があります。調停離婚の場合、調停が成立した日が離婚成立日となるため、離婚調停が成立した日から2年以内に行う必要があります。
期限が限られているため、離婚調停が成立した後できるだけ早く行うことをおすすめします。
なお配偶者の扶養に入っており、国民年金の3号被保険者として自ら年金保険料を納めていなかった場合には、国民年金1号被保険者への変更手続きも必要となります。
(3)健康保険の切り替え手続き上記に述べたとおり、離婚調停が成立した日に即日離婚が成立し、配偶者ではなくなるため、扶養家族としての資格も失います。
そのため、扶養家族として配偶者の社会保険に加入していた場合は、自ら国民健康保険へ加入する切り替え手続きが必要となります。
切り替えの際は、元配偶者の職場から資格喪失証明書を発行してもらうことも必要です。
(4)パスポート・運転免許証等の変更手続氏や本籍に変更があるときは、パスポート・運転免許証について変更手続きを行う必要があります。その他、氏名変更に伴って、クレジットカードや銀行口座、不動産等の登記なども変更手続が必要となります。
(5)子の氏・子の戸籍の変更婚姻したときに妻が氏を変えて夫の氏を名乗った場合、夫婦の間に生まれた子供も当然夫の氏を名乗ることになります。しかし、夫婦が離婚してしまった場合には、夫が筆頭者となっている戸籍から(元)妻だけが抜けることになります。これは、たとえ子供の親権者が妻と決まった場合であっても同じです。
なぜなら、子の氏・子の戸籍に、夫婦のどちらが親権を持つかは関係がないからです。そのため、子供を(元)妻の戸籍に移し、親権者と子供が同じ氏を名乗りたい場合には、新しく作られた(元)妻の戸籍謄本と子供の戸籍謄本を用意して家庭裁判所で子供の氏の変更許可の審判を得る必要があります。速やかにその手続が行えるように、離婚調停時には「子の氏の変更許可」の申立手続書類をもらっておくことをおすすめします。
結婚する時に氏を変更し、離婚後もその氏を使いたい場合、離婚から3ヵ月以内に届け出る必要があります。
調停離婚の場合は、離婚調停が成立した日の翌日から3ヵ月以内に届出が必要です。この届出を忘れると、引き続き離婚前の氏を称することができなくなり、上記に述べた(4)等の手続きが必要となるため、できるだけ早く手続をするようにして下さい。
調停離婚が成立するとその時点で離婚は成立しますが、上記に述べた通り様々な手続きが必要になります。不安がある場合には弁護士をはじめとした専門家に相談し、不備なく迅速に離婚手続が完了できるよう準備をすすめるようにしましょう。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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