離婚届を出すには何をすればいいの?離婚届関連手続きのまとめ
[投稿日] 2017年08月08日 [最終更新日] 2017年08月08日
離婚届を得意としている弁護士
永田 充 弁護士 東京都
野中・瓦林法律事務所多くの場合、離婚というのは金銭面や感情のもつれが原因となります。
ところが、いざ離婚の手続きに入ると法律や制度が複雑で、何をすればいいのか戸惑ってしまいます。結婚の時は、勢いもあって何となく手続きを済ませられたものの、離婚となると何もかもが億劫でたまらない、という人もいることでしょう。
そこで今回の記事は、離婚手続きの中でも離婚届を巡る部分に焦点を絞り、流れをご説明したいと思います。離婚届の書き方や準備すべき書類、その他関連手続きについて見ていきましょう。
離婚届を書く前の準備まず、離婚届提出前にやるべきことを挙げておきましょう。離婚後の生活のことを考えたり、離婚届を入手したり、また必要書類を準備したりしておきます。
離婚後の生活について話し合う離婚すると、法律的にも実質的にも生活が一変します。離婚後の生活について話し合い、具体的にイメージしておく必要がありそうです。
離婚後の氏(元の姓に戻るかどうか)、新しい戸籍を作るか(結婚前の戸籍に戻るかどうか)、未成年者の子供の親権者を夫婦のどちらにするか、など、離婚後の生活に影響することもあるので、書き込む時に慌てることのないよう、事前にきちんと決めておきましょう。
離婚後名字を戻すのか、戸籍をどうするのか、子どもがいるなら親権をどうするのかなど、はっきりと決めておかないと困るポイントがたくさんあります。日本だと、ほとんどの場合妻の名字が変更されていますから、女性の方が大変なことが多いでしょう。
離婚届を入手する離婚届は、市役所等で入手できます。役所に取りに行くのが億劫であれば、ネット上からダウンロードして使用するのがよさそうですね。
必要書類を準備しておく離婚届は市役所等の役所に備え付けのものがあるほか、ネットでもダウンロードできます。
離婚届を書く前でなくても、提出するまでに準備しておけばよいのですが、「届を書き終わったらすぐ提出できるようにしておきたい」という場合は、必要書類をあらかじめ揃えておくのもよいでしょう。
離婚届の提出には次のような様々な必要書類があります。書類がそろっていなければ離婚届は役所が受理してくれません。不足のないように注意しましょう。
・協議離婚の場合:離婚届、戸籍謄本
・裁判離婚の場合:離婚届、裁判所の証明書類、戸籍謄本
※本籍地の役所に届け出る場合は戸籍謄本は不要
※どちらの離婚の場合でも、役所で提出者の印鑑、身分証明が必要な場合あり
裁判離婚の際の「裁判所の証明書類」は後でないと手に入りませんから、事前に準備できるのは戸籍謄本だけ、ということになります。ただ、本籍地に提出する場合は戸籍謄本は不要です。
離婚届の作成と提出手続き事前の話し合いや準備が済んだら、いよいよ離婚届の作成と提出へ移ります。
離婚届の記入事項は正確に作成方法はそれほど難しくありませんが、それでもいくつか注意点があります。
住所や本籍地は正確に記入する必要があります。普段書く書類では「○丁目○番」などを省略して書いてしまいがちなので、住民票や戸籍を見ながら正確に記入し、省略したものは書かないようにします。
(中略)
届出人署名押印欄は、離婚の届出人が必ず自分で署名押印をする必要があります。書類の提出を誰かに頼む場合でも、代筆で済まさないように注意しましょう。
事前に戸籍謄本を取り寄せている場合は、そちらを参考に書くのがよさそうです。署名欄も含めて、真面目に書かないといけませんね。
提出先は本籍地がベストだが住所地・所在地もOK婚姻届はどの役所に提出してもよかったのですが、離婚届はそういうわけにはいかないようです。
離婚届の提出先は、夫婦の本籍地、または住所地・所在地の市町村役場です。必ずしも本籍地で届ける必要はありません。
この3つの場所の違いは、次のようになっています。・本籍地:夫婦の戸籍が本籍地として届け出てある場所
・住所地:住民票を置いている場所
・所在地:現在住んでいる場所や一時的な居所(中略)
どこの役所に届け出ればいいのか迷うかたも多いと思いますが、基本的にどこを選んでも戸籍の手続自体に変わりはありません。
ただ本籍地以外の役所で届け出る場合、若干の手間がかかるという違いがあります。
まず、本籍地以外の役所に届け出る場合は戸籍謄本が必要です。戸籍謄本は本籍地の役所以外では取得できないので、直接取得しに行くか、郵送で取り寄せる必要があります。また、新しくなった戸籍が取得できるまでに、本籍地の役所に届け出た場合でも数日から1週間程度の日数がかかります。本籍地以外の役所に提出すればさらに数日かかることがあります。
もしも急いで新しい戸籍が必要な場合は、所要日数をよく考慮に入れておく必要があります。
手間がかからないという点から、本籍地が届出先としてはベストなようです。ただし、本籍地が遠いなど面倒がある場合は、自分の住んでいるところの役所に届けても大きな問題はありません。
離婚届以外の必要手続き離婚届以外にも、離婚関連の法的な手続きはたくさんあります。
元夫婦間の手続き姓をそのまま続ける場合の届けた、住民票移転などといった手続きがあります。特に、結婚時に姓を変えた方(日本だとほとんどの場合女性ですが)の手続きが多いようです。
離婚の際に称していた氏を称する届(戸籍法77条の2の届)
結婚の時に変わった姓を離婚後も続けて使いたい場合は、離婚届以外に別途こちらの届が必要です。届出先は離婚届と同じく、本籍地・住所地・所在地のいずれかの市町村役場です。
離婚届と同時に届け出ると、姓が結婚前の旧姓に戻ることなく、新たな戸籍が作られることになります。
同時に届出なかったときはいったん旧姓に戻り、離婚の日から3ヶ月以内経過すると家庭裁判所の許可を得なければ姓が変えられません。(中略)
住民票の移転等の手続
住民票の移動(住所変更や転居届・転入届)、印鑑登録、健康保険・年金等の手続など、生活周りの手続が必要となります。子供がいる場合は児童扶養手当、児童手当、保育園や学校の手続等も必要です。(中略)
年金分割
離婚前に夫が厚生年金に加入し妻が専業主婦だったような場合、夫がこれまで支払った保険料の一部を、離婚後の妻が将来受け取る年金額に反映させることができます。
年金事務所で手続をしなければいけませんので、忘れないようにしましょう。
主に姓を継続するための手続き、生活周りの手続き、年金分割の手続きが必要です。
子ども関連の手続き離婚時に子どもがいる場合は、子どもの戸籍上の地位を保証するための手続きが必要です。
子の氏の変更許可の申立
離婚後に、親と子供を同じ姓にする許可を得る手続です。離婚後も姓を変えなかった場合にも必要な手続なので、忘れずに必ず裁判所への申立を行いましょう。
申立は子供の現在の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。子供が15歳未満の場合は親権者が法定代理人として申立手続を行います。
必要書類:申立書、子供本人の戸籍謄本、親の戸籍謄本(いずれも離婚後の新たな戸籍)入籍届
離婚後に新たに作った親の戸籍に、子供を入籍させるための手続です。
入籍する子の本籍地・届出人の住所地または所在地の市町村役場に届出を行います。この場合も子が15歳未満の場合は、親が法定代理人として手続を行う必要があります。
必要書類:入籍届書、氏の変更許可の審判書の謄本
※親と子の本籍地が同じ場合は戸籍謄本は不要
「子の氏の変更許可の申立」と「入籍届の提出」の両方が必要になってきます。この手続きをしておかないと、子どもの戸籍は元のままです。
離婚届関連の手続きは専門家に相談して進めよう離婚届を巡っては、役所や家庭裁判所、年金事務所などに何度も足を運んで手続きを行う必要が出てきます。どういった手続きをいつすべきかについては、夫婦だけでなく専門家を交えて、冷静に話し合いを進められるといいですね。
Legalusには、離婚届に関するQ&Aや、離婚届を巡る手続きについて詳しい弁護士の検索機能もあります。ぜひ一度相談して、双方が納得できる形で手続きできるよう取りはからうようにしましょう。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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