夫と離婚するにはどうしたらいい?準備から説得ポイントまで全部教えます
[投稿日] 2017年12月05日 [最終更新日] 2018年02月16日
離婚・男女を得意としている弁護士
今や、離婚は珍しいことではなくなっています。
不倫、暴力、性格の不一致…。
理由はさまざまかと思いますが、この記事を読んでいる方は、配偶者との離婚を考えているのではないでしょうか。
でも、実際に自分が離婚するとなると、どうやって進めたらいいのかわかりません。
なかなか他の人に相談できないですし…。
そうですよね。そこでここでは、離婚の進め方や準備すべきことから、夫の説得方法まで、夫と無事に離婚をするすべてのことについて説明します。
離婚するにしろやり直すにしろ、少しでも早くスムーズに次のステップに進むためにも、ぜひこの記事をよく読んで進めてください。
目次 |
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まずは、離婚の手順について簡単に説明します。
1-1 離婚の種類
実は、離婚には大きく分けて4種類あります。
夫婦が離婚する方法として、民法が定めている「協議離婚」と「裁判離婚」、家事事件手続法が定めている「調停離婚」と「審判離婚」の4種類です。
このうち、「審判離婚」で離婚をする率は0.1%にも満たないほど低いため、その他の3種類の離婚について説明をしておきましょう。
ここでは簡単な説明に留めるので、より詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
1-2 協議離婚
夫婦のお互いの合意のみで成立する離婚です。
夫婦は、その協議によって離婚をすることができます(民法763条)。
離婚は、この「協議離婚」が離婚の原則形態であるといえます。
夫婦の話し合いによって離婚に合意をした場合には、後は離婚届を提出するだけです。
ただ、離婚にあたっては、慰謝料はどうするのか、財産分与はどうするのか、子供はどうするのかを決めておくことが重要です。
特に、未成年の子供がいる場合には、親権者を決めておかなければ、離婚自体できません。
養育費等についても、離婚届を提出する前にきっちりと話し合いで合意をしておくべきです。
離婚届を出す前に決めるべきことや、やっておくべきことについて、詳しくはこちらをご覧ください。
1-3 調停離婚
夫婦での話し合いで合意ができない場合には、夫の住所地を管轄する家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。
調停では、調停委員が間に入って、夫婦双方の言い分を聞いて、公平かつ妥当な調停案を提示してくれます。
調停案を夫婦が受け入れた場合には、調停調書が作成されます。
その後、離婚を求めた方が離婚届を提出することになります。
離婚届は、本籍地か届出人の所在地の役所に提出します。
調停成立から10日以内に届出をする必要があるので注意をしてください。なお、調停離婚の離婚届には、もう一方の配偶者の署名・捺印はいりません。
なお、調停が不成立でも、まれに家庭裁判所から離婚を言い渡す審判が下されることがあります。
この審判には一定の強制力がありますが、一方が異議を申し立てるとその効力を失います。
離婚調停について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
1-4 裁判離婚
家庭裁判所での調停が不成立となった場合(または審判離婚となって異議が出された場合)には、家庭裁判所に離婚裁判の訴えを提起することができます。
なお、調停をせずにいきなり裁判をすることはできません。
(ただし、夫が行方不明であるとか、精神的な障害があって意思能力がないというような場合には、調停を経ることは無意味ですから、例外的にすぐに裁判ができます。)
裁判離婚での離婚には、さらに「和解離婚」、「認諾離婚」、「判決」の三種類があります。
「和解離婚」とは、裁判の中で夫婦の双方が譲歩して和解し、離婚を成立させるものです。
内容としては「調停離婚」とさほどかわりません。
裁判の途中で、裁判所から和解案が提示され、これに双方が納得することで「和解離婚」となるのが一般的です。
「認諾離婚」とは、夫婦の一方が相手方の主張を全面的に受け入れることによって成立します。
一般的には条件について揉めているときは成立しえないので、離婚成立のみを訴えている場合に成立する形態です。
「判決」とは、いわゆる裁判の判決です。
裁判所が夫婦双方の主張を聞いて、提出された証拠に基づいて、離婚の許否、親権者の指定、財産分与の方法などを判決によって言い渡すものですね。
これらの離婚が成立した場合も、やはり離婚届を提出することになります。
第2章 離婚を切り出す前に考えておくべきこと離婚を切り出して、本当にいいのかなあ・・・。
離婚は、あくまで選択肢の一つです。切り出してしまったら、夫との関係に変化が出るかもしれませんし、取り返しがつかないこともあります。
まず、次のことをよく考えておきましょう。
2-1 本当に離婚でいいのか考える
離婚は人生にとって重大な転機となります。
離婚が一般的になってきたとはいえ、マイナスイメージが全くないわけではありません。また、生活上の不都合が生じる場合もあります。
ですから、夫側に離婚を切り出す前に、もう一度冷静に「本当に離婚をしてよいのか?」を自分自身で見つめ直しましょう。
考えるべきポイントは、次の3つです。
- なぜ自分は夫と離婚をしたいのか?
- 夫との夫婦関係は修復不可能なほど破綻しているのか?
- もし修復の余地があるとしたら、どのような点を誰が改善すればいいのか?
まず、なぜ「離婚をしたいのか」を改めて考えてみましょう。
将来的に離婚裁判となった場合には原因が重要になることからも、しっかりと見つめなおしましょう。
例えば、家庭内暴力や深刻な精神的虐待など、明らかに自身や家族が傷つくもので、夫のもともとの性質に原因がある場合には、離婚に躊躇している余地はありません。
しかし、夫の出来心の不貞行為である場合には、夫が不貞行為に至った原因として、自分にも何らかの落ち度がないかを改めて振り返ってみましょう。
夫も深く反省をしている場合には、夫婦で問題点を話し合うことによって、夫婦関係を修復することができることもしばしばあります。
また、具体的な不法行為があったわけではないものの、「性格の不一致」により離婚を考えた場合、より具体的に考えてみましょう。
単に一時的な感情のもつれや、きちんと話し合えば理解し合えるケースもあります。
さらに子供がいる場合には、自分や夫だけでなく、子供の人生にも大きな影響を与えることになります。
一時的な感情に任せて離婚を決意するのではなく、特に慎重な判断を行うべきでしょう。
2-2 離婚後の経済状況を考える
検討したうえで「やはり離婚するしかない」となっても、夫に別れ話を切り出す前に、離婚後の生活、特に経済状況を考えておくべきです。
共働きであったとしても、一般的には現在の夫婦生活よりも経済的な生活状況は厳しくなります。
ですから、離婚後の生活をどうしていくのかを十分に考えておく必要があります。
そのためには、後で説明をするように、離婚に際して夫から受け取ることのできるものは何か、それはどの程度の金額となるのかを試算することも必要です。
また、離婚後の生活にかかってくる費用と収入を見積もっておくことも必要ですし、さらに、公的な扶助としてどのようなものがあり、またどの程度の金額を受け取ることができるのか、公的な優遇措置としてどのようなものがあるのかも調査しておくべきでしょう。
助成金や公的な優遇については、次の記事で詳しくご覧いただけます。
2-3 離婚後の住まいを考える
離婚になった場合、別々に住むことになりますし、離婚になる前に別居することもあります。
いずれの場合も、妻が家を出ていくケースも少なくありません。
その場合、離婚後の住まいを確保する必要があります。
2-4 離婚後の子供の環境を考える
子供がいる場合に、どちらが親権者となるのかは重大な問題です。
子供のための環境がどの程度整っているかは、親権者を決定するための重要な要素です。
特に未就学児の場合は、保育施設や面倒を見る人間(両親など)の確保を考えておきましょう。
2-5 離婚後(離婚時)にもらえるお金を確認する
離婚に際しては、主に次のお金を夫から受け取ることができます。
財産分与財産分与とは、夫婦が共同生活で築いた財産を、離婚に当たって分配するお金です。
対象となる財産は、夫婦の共同生活で築き上げた不動産、現金、預貯金、株券、家財道具などの動産などすべての財産です。
名義がどちらかは関係なく、実質上の性質で判断することになります。
また、将来の年金も対象となります。(年金分割と言います。)
分与に当たっては、ローンなどの借金も分与の対象となることに注意しましょう。
慰謝料離婚というと、この慰謝料が付き物のように思っている方もいますが、必ず発生するものではありません。
離婚の原因が相手方の不法行為だった場合に発生するもので、その精神的苦痛を癒すための損害賠償金のことをいいます。
逆に相手から請求される可能性もあるものという点にも注意しましょう。
金額は、原因となった行為の質や程度、収入や社会的地位などによって異なってきます。
数十万円のこともあれば、1000万円を超えることもありますが、平均としては100万円から200万円程度であるとされています。
不倫(不貞行為)が原因の慰謝料について、詳しくは次の記事をご覧ください。
養育費あなたが子供の親権者となった場合、元夫から子供の養育費を受け取ることができます。
(親権者が夫となった場合は、あなたに支払い義務が発生します。)
父母は資力に応じて、子供に対して「自分と同じ生活程度の保障をする義務」を負います。
そのための金銭として授受されるのが養育費です。
養育費の金額については、まずは夫婦の話し合いで決めることになり、そこで話し合いがつかなければ調停や裁判に進みます。
裁判などで金額の指標となるのが、裁判所のホームページにもある「養育費・婚姻費用算定表」です。
裁判を経るとこの金額に落ち着く可能性が高いですが、子供の養育事情はさまざまです。事情を考慮して決定するようにしたいものです。
算定表の見方のほか、養育費に関する詳しい情報は、次の記事を参考にしてください。
第3章 離婚前に準備すべきこと夫に離婚を切り出そうと思うのですが、その前にやっておくことはありますか?
はい。いくつかあります。
相手に話してから、あるいは離婚をしてからではやりにくくなることもあるので、しっかり把握して済ませておきましょう。
3-1 相手(夫)の収入をチェックする
夫の年収は、「財産分与」「養育費」「慰謝料」いずれにおいても、その額を決定するのに重要な要素となります。きちんと把握しておきましょう。
夫が会社員などの場合には、他に副業をしていない限り、その年収を把握することは比較的容易です。給与明細や源泉徴収票を確認すればよいからです。
しかし、夫がそうした書類を見せていないケースも少なくありません。
その場合、給与振り込みのあった銀行通帳をコピーしておくことで、給与額を把握することができます。
副業をしているような場合には、確定申告をしているはずですから、確定申告書の控えを探して、この写しをとるようにしましょう。
夫が自営である場合には、やはり確定申告をしているので、その控えの写しをとっておきましょう。
3-2 現在の財産を把握する
財産分与においては、離婚時の共有財産の価値が重要になります。
どのような財産があって、どのような価値があるのかを確認しておく必要があります。
夫が財産を隠すケースもあるので、離婚を切り出す前に把握しておいたほうがよいでしょう。
不動産については、大ざっぱでもよいので、どの程度の価値があるのか、また不動産購入ローン残高はいくらあるのか、把握しておきましょう。
預貯金は、離婚を切り出された夫が別の金融機関に預け替えをすることがよくあります。
そこで、預貯金の通帳があるのであれば、写しを取っておくことをお勧めします。
3-3 離婚原因の証拠を集める
離婚の原因となった出来事の証拠を集めておくことは重要です。
夫が離婚を拒否したときに突き付けることができますし、話し合いにおいて優位に立てます。
慰謝料を請求する場合は、請求の根拠となる証拠が必要になります。
また、裁判で離婚の判決を受けるためには、法律で定められた離婚理由が必須となります。
これを法定離婚原因と言いますが、これがあることはあなたが主張して立証しなければなりません。
そのため客観的な証拠は絶対に必要ですし、できれば離婚を切り出す前に証拠を集めておきたいものです。
代表的な離婚理由の証拠の集め方について、いくつか紹介します。
まず、夫が不倫(不貞行為)をしている場合には、不倫の証拠を集めます。
“不貞行為”は性的関係があることが前提となります。
ただ、性的関係の有無についての直接的な証拠を集めることは、その現場に乗り込まない限りほとんど不可能です。
そこで、他の性的関係があることを合理的に裏付ける証拠を集めることになります。
例えば、不倫相手と2人でホテルに出入りしている写真、あるいは2人で旅行に行った証拠(ネットでの予約履歴等を含む)などです。
また、不倫については、相手方の女性を特定しておくことも必要です。
こうした作業については、弁護士に相談するとスムーズに進むので、離婚問題を取り扱っている弁護士に相談することをお勧めします。
DV(家庭内暴力)DVを受けている場合も、その証拠が必要です。
DVについては、暴力を受けたらすぐに病院で診断をしてもらい、診断書を作成してもらいましょう。また、アザや打ち身などのケガをした部位を写真撮影しておきましょう。
さらに、夫からDVを受けたときの状況を細かくメモしておくとよいでしょう。
言葉や態度による精神的な暴力、いわゆるモラハラを受けた場合も証拠が必要になります。
その時の様子を隠し録音しておくとよいでしょう。
録音するわけにもいかない場合は、夫の言動を細かくメモしておきましょう。
さらに離婚原因の一つに「悪意の遺棄」があります。「悪意の遺棄」とは、生活費を渡さないとか、正当な理由なく夫が家を出ていったとか、夫によって家を出されてしまったというようなことをいいます。
満足な生活費を妻に渡さずに、自分は満足のいく暮らしをしていたのであれば、金銭を渡された日や額をメモし、相手の生活ぶりの証拠を何かとっておくことです。
夫が正当な理由なく家に帰ってこない場合には、その日時をメモしておきましょう。
また、あなたが家を追い出されたのであれば、それに至る状況をメモしておきましょう。
性格の不一致性格の不一致は、それ自体では婚姻を継続し難い重大な事由には該当しません。
性格が合わない事実が、どのように婚姻生活の妨げになっているのかを立証しなければなりません。
例えば、夫がある歌手の熱狂的ファンで、それを妻にも強制していたとの事例がありました。
この場合、妻が立証するべきなのは、単純に「趣味が合わない」ということではなく、夫が自分の好みを妻に強制し続けて、それがいかに耐え難くて離婚しなければならないほどなのかを立証することになります。
夫婦の生活レベルを越えた浪費は、生活費を渡さない「悪意の遺棄」と同列に扱うことができます。
夫の浪費については、いつ、何のために、いくらの金銭を遣ったのかをメモしておくようにしましょう。
通常の性的交渉を拒否することは、夫婦の本質を害するものとなるので、離婚の理由となる可能性があります。
「ない」ものを立証することは困難ですが、日記をつけるなどの証拠を残すようにしましょう。
妻が異常な性的交渉を拒否しているにもかかわらず、夫が強制したとしたら、離婚原因となる可能性があります。
これについては、嫌かもしれませんが隠し録音や録画をしたり、メモを残したりしておきましょう。
3-4 別居したら婚姻費用分担を請求しよう
離婚が成立する前に、別居に至るケースが多いものと思われます。
そうなった場合、夫の方が収入が多ければ婚姻費用を請求しましょう。
夫婦は、お互いに相手方を扶養する義務を負います。その結果、夫婦は、その資産、収入、その他一切の事情を考慮して、婚姻から生じる費用を分担することとされています(民法760条)。
「婚姻から生じる費用」とは、食費や住居費(家賃、住宅ローンの支払い)、子供の養育費、教育費などをいいます。
この婚姻費用は、夫婦が別居をしていても、離婚をしていない限り発生します。
仮に妻側に不貞行為などの別居の原因があるとしても、婚姻費用の請求は認められるとされています。
では、この婚姻費用はどの程度の金額となるのでしょうか。
婚姻費用をどのように分担するかは、原則としては、夫婦の話し合いによって決められることになります。
金額の参考になるのは、養育費の項目でも説明した「養育費・婚姻費用算定表」です。
夫婦間で決定できない場合には、家庭裁判所に調停や審判も申し立てをして決めてもらうことになりますが基本的には「養育費・婚姻費用算定表」によって算定されることがほとんどです。
第4章 離婚を拒否する夫を説得するためのポイント離婚を切り出してみたのですが、夫なかなか応じてくれません……。
そうなると説得する必要がありますね。どのように説得をしたらよいのかを見ていきましょう。
4-1 冷静に話し合う
どんな離婚原因があって、それによって結婚生活が回復不可能なほどに破綻していることを、夫に対して冷静に話しましょう。
夫が激高して反論をしてきても、努めて冷静に話し合いをすることが重要です。
どうしても感情的なりがちですが、できる限り冷静に話し合いをすることが必要です。
できれば、その話し合いの状況を録音しておくとよいでしょう。
どうしても冷静な話し合いができないときは、弁護士に依頼をして、同席した上で話し合いを進めるという方法もあります。
4-2 譲歩すべきところは譲歩する
お互いが主張ばかりしていると、話し合いがスムーズに進まないことがあります。
夫に離婚原因があるとしても、妻側に何の落ち度もないということは通常あまりありません。
ですから、自分にだけ都合の良い条件を飲ませようとするのではなく、譲歩すべきところは譲歩して、円滑に離婚ができるようにした方がよいでしょう。
例えば、財産分与の金額、慰謝料の金額、養育費の金額など金銭的な面では譲歩することができる場合があります。
また、財産分与や慰謝料については、離婚後に多少の猶予期間を付けるなどで、譲歩することも可能です。
例えば、親権は絶対に譲れない、財産分与はこれくらいはないと絶対に困るなどの譲れないラインを決めておいて、可能な限り主張するとよいでしょう。
離婚という重大な目的を円滑に進めるためには、よくよく考えて、譲歩できるところは譲歩するようにするのも一つの手段です。
4-3 別居を提案する
先に説明をしたように、夫と冷静に話し合うことが重要なのですが、それでも感情的になってしまうことはよくあります。
そこで、お互いに冷却期間を置くという意味でも、夫に対して別居を提案してみましょう。
別居をすることによって冷静な話し合いの場を持つことができるのはよくあることです。
さらに、それぞれが自分の至らなかった部分を反省し、やり直すケースすらあります。
別居の提案自体に強い拒否感を示す夫もいます。
しかし、あなた自身の離婚の決意を示すことにもなるので、毅然とした態度で進めるようにしましょう。
4-4 調停・裁判になった場合のデメリットを伝える
夫が協議離婚に応じない場合には、冷静に、調停や裁判となった場合、さまざまなデメリットがあることを伝え、協議離婚とすることを説得してみましょう。
では、調停や裁判となった場合のデメリットとはどのようなものでしょうか。
費用まず、調停や裁判には費用がかかります。
一定の印紙が必要となりますし、相手方への呼出状送達などの費用もかかってきます。
また、弁護士に依頼するとなるとさらに費用はかさみます。
また、解決に至るまで相当の期間を要するということもデメリットの一つです。
調停を申し立てた場合、申立時から調停が成立するまで概ね3~4か月はかかりますし、それ以上かかる場合もあります。
しかも、調停が不成立となって裁判となると、調停が不成立となった時点から、どんなに早くても半年ほど、長ければ1年以上かかるという場合も少なくありません。
これだけ期間をかけて結局離婚に至ったとしたら、お互い、次のステップに進むタイミングを逃してしまう可能性があります。
労力弁護士に依頼をしていなければ、調停や裁判には自分自身が出頭しなければなりませんから、会社勤めの人であれば、有給休暇をとるなどをして対応するしかありません。
さらに、多大な労力が必要となります。
特に裁判となった場合には、それぞれの主張を記載した書面、それに対する反論を記載した書面を作成したり、証拠を提出したりするなど、かなりの労力が必要となってきます。
こうした作業は、弁護士に依頼することでかなり軽減できます。
4-5 弁護士に依頼する
協議離婚とならず、調停や裁判となった場合だけでなく、協議離婚の話し合いについても、弁護士に依頼をすることができます。
依頼を受けた弁護士は、あなたの言い分を十分に聞き取って、夫側と協議離婚に向けての話し合いをしてくれます。
夫としても、弁護士を相手とした場合、感情的な話し合いということにならず、冷静な話し合いとなり、円満に協議離婚となることも多くあることです。
第5章 状況別の説得ポイント5-1 相手(夫)が離婚原因となる行為を行った場合
夫が離婚の原因となる行為を行った場合に重要な点は、何よりも「証拠」です。
証拠がある場合は、調停や裁判となっても離婚の判断となる可能性が高いため、粘っても夫側には何のメリットもないことを説得することになります。
また、女性側に対しても慰謝料請求などの法的措置を採ることも検討していること、つまり円満に協議離婚できないのであれば、調停や裁判となるけれども、その場合には女性側に対しても裁判をすることになると告げることも効果的です。
離婚裁判までに至れば、女性は関係者として公開の法廷で証人尋問されることになるためです。
ただ、言い方によっては脅しとなってしまう可能性があります。
十分に配慮した言い方が重要で、できれば、弁護士に相談・依頼をするのがよいでしょう。
5-2 自分(妻)が離婚原因となる行為を行った場合
妻が、離婚原因となる行為を行った場合には、その行為が相手(夫)に発覚している場合と発覚していない場合とがあります。それぞれによって協議離婚への説得ポイントが変わります。
行為が発覚していないまず、離婚原因となる行為が夫に発覚していない場合には、その行為をこれ以上継続しないことが肝心です。
例えば、不貞行為であるとしたら、きっぱりと男性との関係を断つことです。
その上で、夫に対して協議離婚の申し出をすることになりますが、夫が離婚の原因となる行為をしたわけではありませんから、なぜ離婚をしたいのかをきちんと説明できるようにしておかなければなりません。
そうでなければ、協議離婚以前に問題として、離婚そのものについて争いが発生します。
またこの場合、夫に離婚原因行為がないので、調停や裁判での離婚はかなり難しいことを自覚しておく必要があるでしょう。
自分が不貞行為をした原因をよく考えて、夫側にも何らかの非があるようであれば、それを具体的に夫に示して協議離婚に応じてくれるように説得することです。
ただ、離婚原因に心当たりのない夫がすんなりと協議離婚に応じるということはあまりありません。
この場合には、離婚条件を詰めることで解決することもありますが、その交渉は大変です。しかも裁判はできる限り避けるべきですから(勝訴の可能性が低い)、弁護士に相談をし、何とか協議離婚で解決することを依頼をすることをお勧めします。
夫に知られている場合も、協議離婚に向けての話し合いは非常に困難になります。
この場合、妻は有責配偶者となります。
有責配偶者からの離婚請求も認められますが、そのためにはいくつかの要件があります。
- 夫婦の別居が相当長期となっていること(7年から8年ほど)
- 未成熟子がいないこと
- 離婚によって相手方配偶者が精神的・経済的に苛酷な状況に置かれないこと
いずれも当てはまらなければ、少なくとも裁判において離婚請求が認められることはありません。
そのため、早く離婚をしたいとなると、協議離婚しかないということになります。
しかし、実際問題として、自分に責任がある場合はうまく話し合いを進めていくことが難しいと思われます。
このような場合には、別居期間を確保することからも早急に別居をして(婚姻費用は受け取ることができます)、弁護士に夫との話し合いをしてもらうように依頼をすべきでしょう。
5-3 子供を理由に離婚を拒否する場合
夫婦に子供がいる場合、子供のために離婚を思いとどまるように説得してくることがよくあります。
離婚原因があなたや子供に対するDVであるような場合には、この言い分はまったくの筋違いであることを説明しましょう。
「子供のため」とは、子供が精神的・肉体的・経済的に自立するための環境を整えることを意味しますから、DVが離婚原因である場合には、むしろ離婚をした方が子供のためであることを主張するようにすることです。
また、その他の離婚原因であっても、夫婦が仮面夫婦として暮らして行くよりも、離婚をした方が子供のためである…というように、離婚したほうが子どものためになる点を説明しましょう。
また、離婚をしたとしても、子供の自立のための環境整備の準備があることも伝えるようにしましょう。
5-4 世間体(親族・友人・会社)を理由に離婚を拒否する場合
離婚の申し出に対して、夫が親族や友人、会社といった世間体を考えて、あなたを説得することもしばしばあります。
しかし、夫に離婚原因行為がある場合は、少し酷かもしれませんが、「自業自得である」ことを丁寧に説明するように心がけましょう。
夫の世間体のために、自分が我慢をして犠牲となる必要はないのです。
自分自身の世間体については、そのことを考慮しても、やはり離婚しか選択肢がなかった点を伝えるとよいでしょう。
第6章 話し合いでの説得に応じてくれない場合協議離婚に向けての話し合いをしようとしても、夫がまったく話し合いに応じません。どうしたらよいでしょうか。
いくつか方法があります。
6-1 別居を提案する
先述しましたが、別居をすることによって冷却期間を置き、再度の話し合いを進められる可能性は十分にあります。
別居の提案を夫から拒否されたとしても、離婚の決意が固ければ別居をすべきです。
ある事例で、相談を受けた弁護士が別居を勧めたにもかかわらず、別居することなく、家庭裁判所に調停を申し立てたことがあります。
別居をしていないとの事実に調停委員も驚き、妻の離婚の決意に疑問を持ち、調停が不成立となったことがあります。
このケースでは、後日別居をして再度調停の申立をすることによって、離婚調停が成立しました。
このように別居は、対外的に離婚の決意や夫婦関係の破綻を示すものになるのです。
なお、親権を取りたい場合には、別居に際して必ず子供を連れていくべきです。
子供を夫のところに置いたままでの別居であると、あなたに親権が認められる可能性が著しく低くなります。
別居をした場合は、婚姻費用や養育費の請求を忘れないようにしましょう。
6-2 弁護士に相談をする
相手がまともに話し合いに応じてくれないのであれば、弁護士に依頼をして夫と話し合いをしてもらうことがベストだといえます。
また、別居に際しての婚姻費用や養育費を夫が支払おうとしないケースも少なくありません。
こうした場合には弁護士に依頼をして、婚姻費用などを確保するようにすべきです。
さらに、調停や裁判に進んだ場合、夫婦の話し合いの段階から弁護士が関与していれば、弁護士が申立書をより適切に記載してくれる可能性が高くなります。
6-3 調停、裁判に進む
夫婦での話し合いがまとまらなかった場合、家庭裁判所に離婚調停の申立をすることになります。
そして調停でも決着がつかなければ、裁判に進むことになります。
調停ともなれば、夫も調停での話し合いを受け入れざるを得ません。
そして話し合いで決着がつかなければ、裁判の判決を受け入れることになります。
ただし、調停でも裁判でも、必ずしもあなたの希望どおりになるとは限らないことを注意しましょう。
少しでも有利に、またスムーズに進めるのであれば、弁護士に依頼して進めるべきでしょう。
第7章 弁護士に依頼する場合弁護士に依頼するとしたら、離婚問題を取り扱っている弁護士に相談するようにしましょう。
弁護士にも、得意分野とそうでない分野があるためです。
また、直接打ち合わせをする必要があることがあります。
自宅や職場からアクセスしやすい事務所に所属している弁護士に相談するのがよいでしょう。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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