【弁護士に聞く】離婚時にみんなが不安に思うことは?生活費、子どものこと、再婚など
[投稿日] 2018年05月31日 [最終更新日] 2018年06月08日
離婚・男女を得意としている弁護士
伊東 結子 弁護士 埼玉県
つきのみや法律事務所河瀬 まなむ 弁護士 奈良県
奈良万葉法律事務所「離婚するのは結婚するよりも大変」なんて話を聞いたことはありませんか?
離婚は精神的につらい状況になりがちな上に、ときには財産分与や慰謝料、養育費といったお金や親権などの交渉をしなければなりません。
また、離婚後の生活をイメージできず、漠然とした不安があって離婚に向けて足を踏み出せない方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、離婚問題や男女問題に詳しい小林芽未弁護士に、離婚の時にみんなが不安に思うことについて、伺ってみました。

(S&M法律事務所法律事務所)
心理学を学んだ経験を活かして、相談者の話をじっくりと聞き、メンタルケアを意識したアドバイスを行う。子育てをする母、また女性視点での弁護活動が好評を得ている。
離婚後、生活していけるかどうか
――離婚後、特にお子さんがいる場合などは、金銭的に生活が成り立つかどうかを心配している方が多いようです。そのような方にはどのようなアドバイスをしていますか?

小林芽未 弁護士
離婚をする場合、財産分与といって夫婦の共同財産を分け合うことになります。
一口に財産分与と言っても、実は次の3つの性格があります。
- ①清算的性格
- ②扶養的性格
- ③慰謝料的性格
一般的に財産分与といえば「①清算的財産分与」を指すことが多いですね。
これは単純に、結婚期間中に夫婦で協力して築いた財産を分けるというものです。
これに対して、相手の離婚後の経済的なサポートを念頭に置いた「②扶養的性格」を持った財産分与もあります。
特に女性の場合、結婚とともに仕事を辞めることも少なくありません。
離婚後、復職や転職が難しいケースや、復職したとしても従前の収入には戻れない等の事情もあり、夫の扶養から抜けると経済的に厳しくなる場合があります。
そんなこともあり、元配偶者が一時的に経済的サポートをするべきであるとされ、この扶養的財産分与が認められる場合もあります。
離婚の時に話し合ってみるといいでしょう。
──ほかには何かありますか?

小林芽未 弁護士
それでも金銭面で大きな不安を抱えている場合は、離婚前にしっかりお金を確保しておくようにしましょう。
新たなステップを踏み出すためにも、自分の権利はしっかり主張し、受け取れるものはしっかりと受け取ってから離婚するべきです。
- 離婚後の生活費で不安がある場合は、離婚時に財産分与をしっかりと行い、離婚した後も扶養的財産分与を受け取れるかどうかを話し合っておく。
――離婚後、1人で子どもの面倒を見ることに不安を覚えている方も少なくないようです。

小林芽未 弁護士
育児面では、家族のサポートが重要になってきます。
まだ両親が元気で近くに住んでいる場合は、思い切って頼ってみることをおすすめします。
また、国からの手当てとして児童扶養手当や医療費の助成、母子福祉資金などの貸し付けなどさまざまな制度が設けられています。
各関係窓口に相談してみると良いでしょう。
――離婚の際、相手が許せなくてどうしても慰謝料を取りたい場合、慰謝料は受け取れるのでしょうか。

小林芽未 弁護士
相手方が有責配偶者(DVや不貞行為などをして、離婚の原因を作った配偶者)であった場合なら可能です。
いわゆる慰謝料として直接請求することもありますし、慰謝料的財産分与として、財産分与を多めにもらうこともあります。
――離婚後に養育費がきちんと振り込まれるかどうか心配だという人もいます。もし振り込まれなかった場合はどうすればいいのでしょうか。

小林芽未 弁護士
養育費はお子さんの権利なので、しっかりもらうべきです。
養育費を支払ってもらえない場合は、裁判所に申し立てて強制執行するのがよいでしょう。
この強制執行を行うためにも、養育費を取り決めるときは「強制執行認諾文言付きの公正証書」をつくっておきましょう。
そうすれば裁判を起こさなくてもすぐに強制執行ができます。
公正証書の作り方は公証役場で丁寧に教えてくれるので、自分で作ることは可能です。
ただしその内容が自分にとって有利か不利かまで考えてくれません。
弁護士を通した方が、不利にならない公正証書をつくれます。
- 原則として、DVなどの不法行為があったときに慰謝料の請求が可能。
- 養育費を取り決める際は、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しておくと良い。
再婚の時に養育費はどうなる?
―――再婚したら、元配偶者から受け取っていた養育費はもう受け取れなくなるのでしょうか?

小林芽未 弁護士
養育費は子どもに対して支払われるものです。
ですから、再婚してもそのまま受け取ることはできます。
ただ、元配偶者が養育費を減額する請求をする可能性はあります。
その場合は、話し合いが必要になるかと思います。
- 養育費を受け取るのは子どもの権利。再婚して養育費の減額請求をされたら調停で必要な手続きをしなければならない。
――離婚するとき、望めば親権は取れるものでしょうか?

小林芽未 弁護士
それは状況によります。
ただ現状では、女性側が親権を獲得することが多いですね。
男性側だと、どうしても親権獲得が難しいという側面はあります。
お父さんが親権をとるためには、お母さんが強度の精神病にかかったとか、あるいはほかの男性のところに入り浸ってしまったとか、よほどの事情がなければ難しいです。
母親が子どもの前で包丁を振り回す、という行動をとってしまったケースでも「一時的なものだろう」と判断されて、母親が親権を獲得したということがあります。
――父親が親権をとるのはそこまで厳しいことなのですね。男性からはどのような相談があるのでしょうか。

小林芽未 弁護士
男性の場合は、配偶者から離婚を切り出されて、「どうしたらいいのか」と駆け込んでくる方が多いですね。
具体的には「なぜ急に離婚なんだ」という悩みから始まって、「今後子どもはどうなってしまうのか」「子どもには会えなくなるのに、これから何年も養育費を支払っていかなければいけないのか」というところで納得されていない方が多いです。
突き付けられた事実を受け入れるのに何ヶ月もかかる方も少なくありません。
離婚を受け入れることを決意したら、次に離婚の条件をいかに有利にするかを話し合っていくことになります。
- 子どもがいる場合は親権で揉めやすい。余程の事情がなければ母親が親権をとる傾向にあり、父親が親権をとるのは困難。
何の不安もなく離婚を決意する人はほとんどいません。
今後どうなるのか、という不安もあるでしょうし、「損をすることにならないだろうか?」「望む条件で離婚できるのだろうか?」といった疑問も出てくることでしょう。
スムーズに手続きを進めるためにも、いちど離婚問題に詳しい弁護士に話を聞いてもらうことをお勧めします。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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