クラブのママの枕営業に慰謝料はとれるの?
[投稿日] 2015年06月10日 [最終更新日] 2016年10月28日
最近SNS等で話題になっている判決があります。銀座のクラブのママが男性客(会社社長)と7年間繰り返し肉体関係をもっていたことについて、男性の妻がクラブのママに対して慰謝料400万円を請求しました。
この慰謝料請求は認められると思いますか?7年間も肉体関係を持ち続けてきたのだし、慰謝料の支払いは認められるでしょ?と思われた方も多いのではないでしょうか。
このケースについて、裁判所は次のように判断しています。
まず裁判所は、男性と被告(クラブのママ)は月に数回の頻度で性交渉を持っていたこと、男性は被告のクラブに定期的に通っていたという事実を認定しています。そして、原則として夫婦の一方と肉体関係を持った第三者は、配偶者に対して慰謝料支払いの義務があると過去の判例を挙げて説明しました(最判昭和49年3月30日)。
しかし、ソープランドに勤務するような女性が、対価を得て妻のいる顧客と性交渉を行った場合は、このような性交渉は顧客の性欲処理に商売として応じたにすぎず、夫婦の婚姻共同生活の平和を害するものではないから、それが長期間にわたって行われたとしても、ソープランドに勤務する女性が妻に対して慰謝料支払い義務を負わない、としています。
そして、今回の男性と被告の性交渉は、被告の枕営業として行われたもので、性欲処理に商売として応じたものにすぎず夫婦間の婚姻共同生活の平和を害するものではないから、妻に対して不法行為にはあたらず、慰謝料を支払う義務はない、という結論を出しました。
この結論に対してはネット上でも驚きや批判の声が多く、この判決を出した裁判官の名前までも有名になってしまったようです。7年も同じ女性と関係を続けたことが、夫婦間の婚姻共同生活の平和を害さないと言い切ってしまえるものなのでしょうか?
もっとも、この訴訟はクラブのママに対して起こしたもので、他にもいろいろと事情があってこのような結論となったのかもしれません。
今回は妻がクラブのママを訴えたケースですが、夫である男性を訴えた場合はどうなるのでしょうか?
1回限りの肉体関係でも、当然不貞行為には該当します。しかし、裁判で離婚原因及び慰謝料支払いを認められる不貞行為と認められるためには、ある程度特定の人との肉体関係の継続が認められる必要があるようです。
風俗店に通っていた夫に対して不貞行為等を理由に離婚及び慰謝料等を求めていたケースでは、妻が提出した証拠から認定できる事実では、夫が特定の女性と不貞行為をしたことまでは認められないと裁判所が判断して、慰謝料の支払い義務までは認められませんでした(東京地判平成17年7月27日 参照記事)。
この判決の書きぶりをみると、相手が対価を得て性交渉を行う職業の女性であったとしても、特定の女性と継続して性交渉を行っていたということが認められれば結論が変わっていたようにも思われます。
今回はクラブのママと相手が特定されており、7年間継続したという事実もあるので、慰謝料の支払いは認められたかもしれません。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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