妻の浮気が原因で離婚したが、その後生まれた子どもが自分の戸籍に! 自分の子ではないことを主張するには?
[投稿日] 2016年12月26日 [最終更新日] 2016年12月26日
不倫・不貞・浮気を得意としている弁護士
山口 寛 弁護士 東京都
日本橋神田法律事務所両親の離婚と子どもの戸籍の関係
夫婦が離婚をすると、戸籍は当然別々になります。夫婦の間に子どもがいた場合は、父母どちらかの戸籍に入ることになります。では、離婚時にお腹の中にいた子どもの戸籍は、どちらになるのでしょうか。
ポイントは、(1)嫡出子と扱われるかどうか、(2)子どもの氏、(3)父母どちらの戸籍に入るかの3点です。
嫡出子と扱われるかどうか
嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子どものことです。妻が婚姻中に懐胎した子どもは、夫の子どもと推定されます(民法772条1項)。
「推定」というのは、法律で、ある事実または法律関係が明瞭でない場合に、一応一定の状態にあるものとして判断を下すことを意味します。
また、離婚後300日以内に生まれた子どもは、婚姻中に懐胎したものと推定されます(民法772条2項)。つまり、離婚から300日以内に生まれた子どもは、夫の嫡出子と推定されます。
子どもの氏
嫡出である子どもは、父母の氏を称します(民法790条1項本文)。ただし、子どもが生まれる前に父母が離婚した場合は、離婚の際における父母の氏を名乗ります(民法790条1項ただし書)。
婚姻中に夫婦が夫の氏を称していた場合は、離婚後に生まれた嫡出子は、夫すなわち父の氏を称することになります。
父母どちらの戸籍に入るか
子どもが父母の氏を称する場合は、父母の戸籍に入ります(戸籍法18条1項)。
それ以外の場合は、父の氏を称する場合は父の戸籍に、母の氏を称する場合は母の戸籍に入ります(戸籍法18条2項)。
夫婦が婚姻期間中に夫の氏を称しており、離婚後300日以内に子どもが生まれた場合は、生まれた子どもは夫つまり父の氏を称し、父の戸籍に入ることになります。
妻の浮気が原因で離婚した場合、離婚後300日以内に生まれた子どもは夫の子ではなく、浮気相手の子である可能性もありますが、法律上は夫の子どもと扱われるのです。
戸籍を訂正するにはどうすればよいか
自分の子どもではないのに、戸籍上は親子と扱われることによって、いろいろ不都合が生じる可能性があります。
例えば、養育費の支払義務(民法820条)や親族間の扶養義務(民法877条)など様々な法律上の義務を負うことになったり、自分が死亡した時に本当の子どもではないのに相続人になったりする(民法887条1項)ということが考えられます。
このような不都合を避けるために、戸籍上の親子関係を訂正しておきたいところです。
親子関係の訂正をするには、(1)嫡出否認の訴え(民法775条)または、(2)親子関係不存在確認の訴えにより、親子関係が存在しないことを確定させた上で、戸籍訂正の申請をする必要があります。
(1)嫡出否認の訴えは、夫が、子どもまたは親権を行う母に対して行います。ただし、この訴えには期間制限があり、夫が子の出生を知った時から1年以内にしなければなりません(民法777条)。
また、嫡出否認の訴えについては、調停前置主義がとられるため(家事事件手続法257条)、まず家庭裁判所で調停を申し立てることになります。調停では、夫と子どもまたは母親との間で、子どもが夫の子どもではないという合意ができ、家庭裁判所が必要な調査(鑑定など)を行った上で、その合意が正当であると認めれば、その合意に従った審判がなされます。
嫡出否認の訴えが可能な期間を経過してしまった場合でも、婚姻中に夫婦間に通常の夫婦としての生活が存在せず、妻が夫によって子供を懐胎することが明らかに不可能または著しく困難であった場合には、嫡出推定が及ばず、(2)親子関係不存在確認の訴えを提起するという方法をとることができます。
これは、嫡出否認の訴えとは異なり、夫だけでなく、子や母その他親子関係について直接身分上利害関係を有する第三者(相続人など)からも提起することができます。これも調停前置主義が取られています。
(1)または(2)により、親子関係が存在しないとされた場合は、訴えまたは調停を起こした人が、判決書または審判書の謄本およびその確定証明書を添付して、判決または審判の確定の日から1か月以内に、申請者の所在地または子の本籍地の市区町村に戸籍訂正の申請をします(戸籍法116条)。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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