浮気がバレて別居することに!浮気相手と結婚するので離婚することは可能?
[投稿日] 2017年03月21日 [最終更新日] 2017年03月21日
こっそりしていたはずの浮気がバレて別居することに。その後、夫婦の関係は修復することなく、反対に浮気相手が本命になっていき、いつしか「浮気相手と結婚したい」と考えるようになった。。。まるで昼ドラのような展開ですが、こうしたことは可能でしょうか?
そもそも、婚姻関係が破綻するに至った原因をつくったのは、浮気をした人自身。そんな「悪い原因」を持つ人から離婚を切り出すことが可能かを検討したいと思います。
オーソドックスに協議離婚に持ち込むという手法があります。まず、ごく一般的な手法として協議離婚に持ち込むという手法があります。協議離婚については民法763条に規定があり「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる」と明記されています。
条文上、単純に協議の上離婚することができると規定されているに留まるため、浮気をしたという離婚の原因を作り出した本人であっても、相手方である配偶者を説得して納得が得られれば離婚は可能です。
説得できない場合は離婚の訴えを起こすことができるか?もっとも、浮気をした本人から「離婚をしたい」と言っても、相手方の配偶者は首を縦に振らないケースは十分に考えられます。こうした場合、打つ手はあるのでしょうか?
通常、協議離婚が整わない場合、離婚の訴え(民法770条)を提起することが可能です(調停前置主義が妥当するため、離婚の訴えの前に離婚調停を経る必要があります。この調停が不調に終わった場合に離婚の訴えに移行します)。
しかし、離婚の訴えを提起する場合は条文に規定される「離婚原因」が必要だとされています。具体的には次の5つになります(民法770条に規定)。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
離婚原因を見るとわかるとおり、配偶者がなんらかの離婚原因を作り出したときに、もう一方の配偶者から「これでは婚姻生活を続けられない」として離婚の訴えを提起するということが想定されています。
したがって、設例のように自らが離婚の原因を作り出した人間から、離婚の訴えを提起するということは難しいのではないかということがわかります。
しかし、実際の裁判例を通じて離婚原因を作った本人からの離婚の訴えを認めるかどうかが争われた事例があります。学問上、こうした離婚請求のことを「有責配偶者からの離婚請求」と呼びます。
昔の裁判例では、この有責配偶者からの離婚請求は認められていませんでしたが(裁判例として最判昭和27年2月19日、最判昭和29年12月14日など)、最高裁判所で有責配偶者からの離婚請求を認める判例が出た後、一定の条件下において認められるようになっています(最判昭和62年9月2日)。
その条件としては、
- 夫婦の別居期間が相当の長期間に及ぶこと
※ただし、当事者の年齢や従来同居していた期間なども考慮する - 未成熟の子がいないこと
- 離婚の実現が著しく社会正義に反することにならないこと
※例えば、離婚によって老齢の女性が生活の糧もなく一人暮らしを強いられてしまうなど、離婚後の生活変化が考慮されます
この3つを軸にケースに応じて判断がなされることになります。
例えば、浮気から本気になって1年程度別居している。しかし小さな子供がいて、奥さんは専業主婦。離婚によって夫からの収入が途絶えると生活が立ち行かなくなるというようなケースでは到底認められないという判断になりそうです。
実際の裁判事例においても、別居期間が10年を軽く超えていて、両当事者とも生活がそれぞれに成立しているようなケースしか認められていません。
したがって、有責配偶者からの離婚請求については、「訴えは可能だけれども、認められる可能性は低い」と考えておいた方がベターです。
このような場合は、むしろ粘り強く配偶者と交渉して協議離婚で納めることが必要になってくると考えられます。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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