妻の浮気を知ったときにまず何をすべき?法律の観点からみた賢い対処法とは
[投稿日] 2017年03月29日 [最終更新日] 2017年03月29日
不倫・不貞・浮気を得意としている弁護士
「妻が浮気をしているかもしれない」と思ったら、まずは冷静になることです。妻の浮気を知って、ご自身が今後どうしたいかも冷静になって考えてみましょう。
離婚するにしても、浮気を許し夫婦関係を継続するにしても、まずは本当に浮気をしているか事実確認をすることが大事です。慰謝料を請求するには証拠は必要ですし、円満解決に向けて話し合いをしたい場合も、証拠はあったほうがよいでしょう。
何の証拠もなく問い詰めても「誤解だ」「あなたの思い込みだ」「浮気なんてしていない」と言われて話が終わってしまう可能性があります。
浮気をしているかもしれないと思ったときには、つい問い詰めて責めたてたくなるかもしれませんが、ぐっとこらえてひとまず冷静になりましょう。
浮気に気付いているということが妻に気付かれないうちに証拠を集めましょう。浮気の証拠を集めることはとても大変で困難です。相手が隠そうと警戒するとなおさらです。
妻の浮気は、法律用語で「不貞行為」と言います。不貞行為とは、配偶者のある者が配偶者以外の人と「肉体関係をもつこと」を言います。
民法770条では、「夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。 一 配偶者に不貞な行為があったとき」とあり、不貞行為は離婚事由のひとつとされています。
夫婦には、配偶者に対する貞操義務があります。(参照:貞操義務)つまり、夫婦は互いに、配偶者以外の人と肉体関係を持たないという義務があります。
不貞行為は、貞操義務の不履行にあたり、離婚事由や慰謝料請求の理由になります。
浮気とは、明確な枠組みがあるものではなく、人それぞれ浮気の線引きが異なるかもしれません。「異性と手をつないだら浮気」だとか「キスをしたら浮気」、さらには、「異性と二人きりで食事にいくだけで浮気」という人もいるでしょう。
ただ、法律でいうところの浮気(不貞行為)とは、「肉体関係がある」ことに限られ、食事に行ったり、手をつなぐという行為だけでは法律の観点からいう浮気とは認められません。
では、浮気しているという証拠とは何で、どのように集めればよいのでしょうか。以下の証拠につきそれぞれ考えていきましょう。
- 浮気相手とホテルに入る際やホテルから出てくる際の写真や動画
- 浮気相手とのメールや電話の履歴
- クレジットカードの明細や領収書
- 浮気相手との写真
- 浮気相手の自宅に出入りしている写真
- 妻の行動を記録したもの
浮気の証拠として認められるものは「肉体関係がある証拠」です。ただ、現実的に、肉体関係をもっている場面の証拠を手に入れることはほぼ不可能でしょう。
そこで、浮気相手とホテルに入る際やホテルから出てくる際の写真や動画が有効な証拠とされています。
ただし、一度の写真では不貞行為が認められるのは難しいです。複数回継続して写真や動画を押さえる必要があります。その他、浮気相手とのメールや電話履歴、クレジットカードの明細や領収書、浮気相手との写真、浮気相手の自宅に出入りしている写真や妻の行動を記録したものなどは、残念ながらそれだけで不貞行為の証拠とは認められません。「肉体関係があったこと」がわかるものではないからです。
メールで「好きだ」「愛してる」などと二人の男女関係が窺える文面があったとしても「肉体関係があったかどうか」はわかりません。自宅へ行っている証拠をつかんでも「自宅に行く」ことが「肉体関係がある」こととは直接結びつかず、肉体関係があった証拠にはなりません。
クレジットカードの明細や領収書から、異性のブランドの高価なアクセサリーやバッグの購入履歴や、仕事や家庭の用事ではないETC利用の履歴、ホテルや旅館の宿泊代などの支払いが見つかることがあります。これらも、浮気相手との密会の影が見えるかもしれませんが、それだけで不貞行為の証拠とは認められません。さらに、浮気相手とのツーショット写真やベッドの上での写真も同様です。
ただ、これらの証拠もたくさん集まれば、浮気が認められることもあります。妻が浮気をしているかもしれないと思ったら、まずは証拠を集め、事実確認をしましょう。
では、その証拠はどのように集めればよいのでしょうか。メールや通話履歴、画像などを探すために、妻のスマートフォンやパソコンを勝手に見ていいのでしょうか。
実は、取得方法により、証拠と認められない場合があります。妻のスマートフォンやパソコンを勝手に見ることは、妻のプライバシーを侵害する行為と言えます。勝手に見て得た証拠の証拠能力が問題になります。
結論からいえば、この場合、証拠能力は肯定されることが多いです。民事訴訟では、証拠能力は原則無制限と考えられているからです。
ただ、著しく反社会的と認められる場合などは、証拠能力を否定した裁判例もあります。
証拠を集める際、行き過ぎには注意しましょう(参考:「夫のスマホを盗み見たら、SNSでのやりとりから浮気していることが判明。裁判になったとき証拠として使える?」)。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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