不倫で妊娠したらどうなる?中絶・出産のケース別にみる知っておきたい法律のルール
[投稿日] 2017年03月30日 [最終更新日] 2017年03月30日
不倫・不貞・浮気を得意としている弁護士
市村 和也 弁護士 大阪府
谷四いちむら法律事務所不倫と一言で言っても、双方とも既婚者である場合や男性が既婚者の場合、女性が既婚者の場合などさまざまなケースが考えられるでしょう。
今回は、既婚男性と交際していた独身女性が妊娠したケースを考えてみましょう。
男性が、自身が既婚者であることを女性に隠し交際していた場合、女性を騙し、女性の貞操等を侵害したとし、女性は男性に対し慰謝料を請求できる場合があります(参考:「未婚と騙され妊娠中絶」)。ただし、独身女性側に過失がないか(女性が、男性が独身であると信じて疑わず、既婚者であることに気付けなかったか)ということも関係してきます。
また、独身女性が、相手の男性が既婚者であると知ったうえで交際し妊娠した場合でも、男性の不法性が女性より著しく大きい場合には、女性からの慰謝料請求が認められることがあります。
「女性が、男性に妻のあることを知りながら情交関係を結んだとしても、情交の動機が主として男性の詐言を信じたことに原因している場合で、男性側の情交関係を結んだ動機、詐言の内容程度およびその内容についての女性の認識等諸般の事情を斟酌し、女性側における動機に内在する不法の程度に比し、男性側における違法性が著しく大きいものと評価できるときには、貞操等の侵害を理由とする女性の男性に対する慰謝料請求は許される。」とした判例があります(最判昭44年9月26日)。
ただし、男性の不法性が女性より著しく大きいと言えない場合は、独身女性の男性への慰謝料請求が認められません。男性が既婚者であることを隠して交際していたとしても、必ずしも男性の独身女性に対する不法行為が認められるとは限りません。
中絶したら?出産したら?妊娠した子どもを中絶した場合、中絶費用は基本的に既婚男性と妊娠した独身女性で折半とすることが多いようです。不倫していた独身女性が相手の既婚男性から慰謝料をもらえるかはケースバイケースですが、慰謝料を請求する際、中絶費用を含み請求することもあります(参照:「妻子ある男性の子を妊娠。相手に慰謝料を請求できる?」)。
妊娠した子どもを出産した場合、中絶した場合と同様、出産費用を含む慰謝料を請求することがありますが、それとは別に、認知の請求及び養育費の請求が考えられます。認知を請求したが男性が拒否した場合には、家庭裁判所に申し立て、強制認知してもらうことができます。
認知したら、男性と不倫相手であった独身女性の子どもとの間に親子関係が生じ、養育費の請求もできます(参照:「夫の浮気相手が妊娠。認知に条件をつけることはできる?」)。
男性と女性の恋愛は原則自由恋愛です。しかし、婚姻関係にある者には貞操義務があります。そのため、婚姻関係にあるにも関わらず、配偶者とは別の異性と不倫関係になることは不法行為にあたります。
今回の場合、男性は既婚で妻がいる身なので、妻以外の人と肉体関係を持たないという貞操義務があるにも関わらず、独身女性と不倫関係になり女性が妊娠しています。男性と独身女性の行為は、妻に対する不法行為となり、妻から男性と独身女性へ慰謝料を請求される可能性があります(参照:「貞操義務」)。
その場合、不倫していた独身女性は、男性の妻への慰謝料を支払わなければならないことになります。
不倫関係であったとはいえ、恋人と別れなければならないうえに、子どもをひとりで育てるか中絶するかという酷な選択を迫られ、さらには慰謝料を支払わなければならないのです。
大きく傷つくこともあるでしょうが、相手の男性への慰謝料の請求は認められるとは限りませんので注意しましょう。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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