不倫相手にも慰謝料は請求できる! 根拠と方法のまとめ
[投稿日] 2017年09月07日 [最終更新日] 2017年09月07日
不倫・不貞・浮気を得意としている弁護士
関根 翔 弁護士 東京都
池袋副都心法律事務所永田 充 弁護士 東京都
野中・瓦林法律事務所パートナーが不倫をした時、けじめをつけるためにも慰謝料を請求する人は多いでしょう。
ところで、慰謝料というものは誰に請求するのが正しいのでしょうか。パートナーに請求することだけを考えている人もいるかもしれませんが、実は不倫相手にも請求できるのです。
状況次第では、パートナーには請求せず、不倫相手からだけ慰謝料を取った方がいいこともあります。請求可能な根拠と方法を見ていきましょう。
貞操義務の侵害と精神的苦痛の補填のため、慰謝料を請求できる最初に、不倫相手に慰謝料の請求ができる法的根拠を知っておきましょう。
民法709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定めています。
先ほども触れましたが、法律上の婚姻関係にある夫婦は、互いに貞操義務を負います。この裏返しとして、配偶者に対して、貞操義務を守るように要求することもできると考えられます。不貞行為によって、「配偶者に貞操義務を守るように要求することができる利益」が侵害されるため、不貞行為の相手は、不貞行為によって生じた損害を賠償する責任を負います。
夫婦はお互いに「貞操義務を守るように要求できる権利」を持っているため、その権利を侵害した不倫相手には損害賠償を請求できるということですね。さらに、根拠となる法律はもう1つあります。
また、民法710条は、「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。」と定めています。
ポイントは、「財産以外の損害」というところです。つまり、不貞行為により、精神的な苦痛を受けた場合も損害賠償を請求することができるのです。この精神的な苦痛に対する損害賠償が、一般的に「慰謝料」と呼ばれています。
不倫による精神的苦痛を補填するために、慰謝料を請求することができるというわけですね。財産の損害ではないので、具体的な被害金額を算出することはできません。請求する金額は相場を参考にする必要があります。
まずは不倫相手との交渉から。駄目なら裁判で決着をつける次は、実際に慰謝料を請求する際の流れを確認しておきましょう。
不貞相手に慰謝料を請求する場合、まずは交渉から入るのが一般的です。「不貞行為により精神的損害を受けたので、慰謝料を請求します。」という内容の書面を相手方に送付し(内容証明郵便で送付することが一般的です)、その後は相手と話し合いをしたり、書面をやり取りしたりして、金額や支払時期などの条件を詰めていきます。
合意にこぎつけたら、その内容を記載した書面(和解書)を作成します。交渉で合意に至らなかった場合は、訴訟を提起します。
まず、裁判所に「訴状」という書面を提出します。訴状には、慰謝料の金額や、慰謝料請求に至った事情を記載します。
その後は、訴訟を提起した側と相手方がそれぞれの言い分を述べたり、不貞行為の事実を証明する証拠を提出したりという流れで進みます。裁判所は、これらの言い分や証拠をもとに、最終的な判断を示します(判決)。
まずは交渉から始め、合意が得られなければ最終的に裁判を行うということですね。不倫相手が全面的に責任を認めていれば話は簡単ですが、慰謝料の金額や不倫の事実そのものについて争う場合もあるでしょう。
慰謝料の相場は200万円前後。相手の社会的地位なども影響する自分が受けた精神的苦痛を思い知らせ、しっかりとけじめをつけるためにも、慰藉料はできるだけ多く取りたいところです。不倫の慰藉料の相場はどの程度なのでしょうか。
相手の女性は、ご主人が既婚者であることを知りながら関係を持ったということなので、あなたからの不法行為に基づく精神的損害(慰謝料)賠償請求(民法710条)は、まず問題なく認められるでしょう。
(中略)
慰謝料の相場ですが、相手女性やご主人の社会的地位や収入等により異なりますが、一般には上昇する傾向にあり、200万円前後で決着することが多いようです。なお、相手女性とご主人のメールのやり取り、興信所の報告等は、裁判においても重要な証拠となります。ぜひ大切に保管してください。
大体200万円前後、広く見て100万円~300万円ほどが相場ということですね。上記のケースは、不貞行為(肉体関係)があったことが明らかなため、このような金額になっています。相手の社会的地位の他、不倫の結果離婚したか、どの程度の期間不倫が続いていたかなど、多くの点を考慮して詳細な金額を決定することになります。
まとめ:不倫相手が抵抗する可能性もある。早期解決を目指そう不倫が発覚した時、パートナーに腹を立てるか、不倫相手に怒りを向けるかは人によって異なります。離婚をするつもりはないので、パートナーから慰謝料をもらっても意味がないという状況もありえるのです。そんな時は、不倫相手にだけ慰謝料を請求するのがよいでしょう。
しかし、慰謝料の金額を減額するため、不倫相手が抵抗してくることも十分に考えられます。パートナーから積極的に誘いをかけてきたとか、自分はむしろ被害者だと弁解することもあるほどです。Legalusの不倫・不貞・浮気に関する弁護士Q&Aにも、不倫相手への慰謝料請求について多くの相談が寄せられています。
離婚する場合はもちろん、夫婦関係の修復を望んでいるのなら、できる限り早く問題を解決しなければなりません。裁判まで発展すると自分だけで戦うのは難しいので、離婚・男女問題に強い弁護士に相談してみましょう。同じことを繰り返させないためにも、また、傷ついた気持ちを少しでも癒すためにも、しっかりと慰謝料を請求してください。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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