不倫の証拠がないと慰謝料をもらえない?有効な証拠と、その集め方
[投稿日] 2018年04月13日 [最終更新日] 2018年04月13日
不倫・不貞・浮気を得意としている弁護士
最近、ダンナの帰りが遅いし様子がおかしいので、浮気してるのかもしれません……。
そうですか…‥。ですが特に確証がないのであれば、何か証拠を入手したほうがいいでしょうね。
もし本当に浮気だったら、慰謝料を請求してやります!
証拠がないと、慰謝料は請求できないのでしょうか?
慰謝料請求ができないわけではありませんが、難しくなります。
また、離婚やそのための交渉などを考えると、証拠は入手しておくべきでしょう。
そうなんですね。いったい、どんなものが証拠になるのでしょうか?
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不倫に気が付いたら、とにかくその証拠を集めるようにしましょう。
不倫をやめるように説得したり、慰謝料を請求したり、離婚に踏み切ったりするのに、いずれの場合にも証拠が非常に重要な意味を持つことになります。
証拠を集めるということは、不倫の事実を直視するということで、とてもつらい作業になってしまうかもしれません。
また、お金がかかることもあるでしょう。
しかし、今後の家族生活やあなたの人生のために、しっかりと行動しておくことが大切です。
第2章 証拠を集めるメリット「証拠を集めるのって大変そう……」と思い、なかなか気が進まない方もいるかもしれません。
しかし、証拠を集めておくと、これだけのメリットがあります。
配偶者や不倫相手から慰謝料を取るためには、あなたが不倫関係の存在を主張・立証しなければなりません。
立証するために必要となってくるのが証拠です。
さらに、不倫の状況によっては、より多額の慰謝料を取れることもよくあります。
特に重要なのが「不倫期間」「不倫回数」で、これらの事実は増額事由となります。
こうした状況も、しっかり証拠で把握しておく必要があります。
■裁判で離婚を請求できる不倫の事実を知った結果離婚をしたいと言ったものの、相手が拒否することもあります。そうなった場合、調停を経て最終手段は裁判ということになります。
ただ、裁判で離婚をしようとする場合、「法定離婚原因」という、法律で定められた理由が必要になります。
そして「不貞行為」つまり不倫もその一つです。
ただし、それが事実であることは、離婚を求める方が主張し立証しなければなりません。逆に言うと、証拠がなければ、相手が拒否する限り離婚もできないということになってしまいます。
■相手からの離婚請求がしにくくなる不倫の末、相手から離婚したいと言ってくることもあるでしょう。
しかし、さまざまな状況を考えてあなたが離婚したくないと思ったとき、不倫の証拠があれば離婚はしにくくなります。
不倫をした配偶者は、夫婦関係を破綻させた有責配偶者です。
この有責配偶者からの離婚裁判は原則として認められません。
確たる証拠がないという場合には、夫婦でやり直しのための話し合いをしようとしても、相手方がシラを切ってしまったら、円滑に進みません。
それどころか、今度はもっとうまく隠して不倫を続けるかもしれません。
証拠がしっかりあれば相手も認めざるを得ませんし、真摯な話合いをすることができることも多いものです。
ですから、離婚をしないとしても証拠を集めておくべきだといえます。
証拠を集めるに当たって、何か注意しておくことはありますか?
いくつかあるので、ご説明します。
3-1 注意したほうがよい点
■感づいていることは悟られないようにする「不倫に気がつかれた」と相手に警戒心を抱かせることは避けなければなりません。
辛いかもしれませんが、自分が感づいていることを窺わせるような言動はできるだけ避けるようにしましょう。
証拠を集めるときも、その痕跡が残らないように十分注意しましょう。
不倫の証拠を収集することは、素人ではなかなか難しいものです。
特に、尾行や隠し撮りなどをする場合には、プロの技術が要りますし、本人だとどうしても目立ってしまいます。
そのため、調査には一般的に探偵や興信所を利用することが多いものです。
ただし、金額は決して安価ではありません。
金額体系もさまざまなので、事前にしっかり確認して、自分が動かせる金額の範囲内で済むように、また金額がかさまないように注意しながら利用しましょう。
適切な興信所がわからないという場合は、弁護士に相談すると、よい興信所を紹介してくれる場合もあります。
■証拠はできるだけ複数集める単一の証拠だけでも不倫の事実を裏付けることはできます。
しかし、複数の証拠を集めることによって、不倫の違法性の程度を立証して慰謝料を増額させることができます。
例えば、一度のホテルの出入りの写真だけしか証拠がない場合、不倫の事実を立証できても、「一度だけのことである」とか、「たまたま風俗のサービスを利用しただけ」などと言い逃れをされてしまう可能性があります。
■改ざんやねつ造を疑われる余地のない証拠の取り方を証拠は客観的で確たるものでなければなりません。
その意味では、改ざんやねつ造を疑われる余地のある証拠は避けるべきです。
例えば、デジタルデータは容易に加工をすることができるので、アナログな証拠のほうが却って証拠としていいかもしれません。
また、スマートフォンやPCなどのデジタルデータについては、それを転送して保存するのではなく、画面を写真撮影して保存するなどした方が無難です。
3-2 その他気になるポイント
■勝手に携帯を見たら何か罪に問われる?まず、携帯電話ののぞき見は、刑事罰には問われません。
信書開披罪と不正アクセス罪のいずれにも該当しません。
しかし、民事上はプライバシー侵害として、損害賠償を請求される可能性はあります。
■LINEやSNSのアカウントに勝手にログインしてもいい?SNSなどのパスワードを解除してログインし、内容を盗み見した場合、不正アクセス禁止法違反となり、3年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
ですから、この方法によって証拠を入手することはお勧めできません。
もっとも、すでにダウンロードされているメールを見る行為は、インターネットを通じての送受信行為ではありませんから、不正アクセス禁止法違反とはなりません。
■相手の家などに不法侵入して集めた証拠は使える?結論としては、証拠として使うことは可能です。
相手の家などに不法侵入して集めた証拠や、SNSなどに勝手にログインして集めた証拠は、住居侵入や不正アクセス禁止法違反という違法行為に基づいて収集した証拠です。
これは“違法収集証拠”といわれます。
このようにして集められた証拠は、刑事事件では利用できません。しかし、民事では利用できます。
離婚問題や不倫相手に対する慰謝料請求は民事問題なので、証拠としての効力がなくなるということはないのです。
しかし、住居侵入での刑事・民事責任を問われ、証拠の現物を持ち出した場合には窃盗罪ともなり、証拠を写真撮影するなどしたらプライバシー侵害となります。
証拠として許容されるとしても、絶対にしてはいけない行為です。
また、このような違法行為をする人間だと見られてしまい、離婚が調停や裁判となった場合には、不利になる可能性があります。
第4章 どんなものが証拠になる?では、いったいどんなものが証拠になるのでしょうか?重要度別にみていきましょう。
4-1 肉体関係があったと推察できるものは有力な証拠になる
不倫、つまり不貞行為で重要となってくるのは「肉体関係の有無」です。
ただ、肉体関係はたいてい密室で結ばれます。そのため直接的な証拠の入手は、ほとんどの場合できません。
しかし、合理的に肉体関係があると推定することのできる間接証拠はいくつかあります。
■ホテルに出入りする写真や動画、目撃した報告書ホテル、特にラブホテルに出入りする写真や動画(車体番号や顔が撮影されていて配偶者と不倫相手が特定できるもの)は、決定的ともいえる証拠となります。
ラブホテルではなく通常のホテルでもよいのですが、通常のホテルだとレストランや店舗が併設されていることが多いので、特定の一部屋への出入りの写真や動画が必要となるでしょう。
また、ホテルへの出入りを目撃した際の探偵などからの報告書も証拠となりますが、それ単体では、客観的裏付けがないので、写真などと併せて利用することになります。
■性行為に近い様子の写真や動画ホテルなどで相手方の裸体を撮影した写真や動画を、携帯やパソコンで保存している場合があります。
これらの写真や動画を盗み見することは、原則として罪になりませんので、これらの写真や動画を転送して保存するなり(加工が疑わないように)、写真撮影して保存しておけば、有力な証拠となります。
■ラブホテルの領収書、クレジットカード利用履歴ラブホテルでも領収書が発行されることもありますし、カード決済をすることもできます。
その場合に、その領収書やカード使用履歴は、そのラブホテルを利用した証拠となります。特に日時を特定することもできます。
ただし相手が特定できないので、写真などと合わせたほうがより証拠としての価値が高まります。
■宿泊施設の領収書・予約履歴宿泊施設の領収書やパソコンでの予約履歴も、その宿泊施設を利用した証拠となります。領収書や予約履歴では日時人数を特定することができます。
こちらも相手が特定できないので、写真などと合わせたほうがより証拠としての価値が高まります。
■肉体関係を匂わせるメールやSNSその内容からして、肉体関係のあったことが合理的に推測できるものがあります。これも写真撮影をして保存しておけば証拠となります。
■肉体関係を自白した動画や音声・書面不倫を疑った配偶者が不倫をした配偶者を問い詰めて、不倫をした配偶者が認めることもあります。
その場合には、事前に録音や撮影するなどして証拠化しておきましょう。
また、書面を作成して、相手に署名押印してもらうのもよいでしょう。
このことは、自白した者が不倫の相手であっても同様です。
よほどの事情がない限り、自白したということを後日に撤回することは無理ですから、かなり有力な証拠といえます。
4-2 肉体関係の証拠でないので弱いが、取っておきたい証拠
不倫の事実自体は、肉体関係が想定できる証拠である必要があります。
しかしそうでない証拠でも、不倫があってもおかしくないと思わせるものや、不倫当事者の密接な関係を推測させるものがあります。
これらは慰謝料の増額につなげられる可能性があります。
また、異性との交際でなければどこで何をしていたかを追求する手段ともなるでしょう。
しっかり取っておきたいものです。
■二人が親しげな写真や動画例えば二人で肩を抱き合って楽しそうにしている写真や動画は、肉体関係があるかどうかは別として、親しく交際をしている事実を示す証拠となります。
また、日付が入っていれば「この頃には交際を始めていた」と推測できる証拠となります。
日付は重要な意味を持つことが多く、妻には「仕事だ」と嘘を言って外出した日に遊びに行っていたことなどがわかるので、そこから夫が不倫関係を告白したという事例もあります。
高額の食事をしていたこと、高額のプレゼントを贈っていたことが、領収書や予約履歴から分かる場合もあります。
これらも、その頃には既に親しく交際をしていたとの証拠になる可能性があります。
カードの履歴を調査することによって、どこで何をしていたかが分かります。
2人で宿泊した金額のカード履歴があれば、後日不倫相手が判明した場合、既にその頃には肉体関係があったと推測できます。
また、カードで食事代やプレゼント代を支払っていた場合には、上記の食事等の場合と同じように、交際期間を特定することができるでしょう。
■カーナビなどの利用履歴カーナビを分析することによって、いつどこに移動をしていたのかが分かります。
その場所がホテルなどであれば、不倫関係を推定することもできます。
これ自体ではその内容から不倫関係を推定することはできませんが、頻繁に私的なメールのやり取りが行われている事実は、二人が親しく交際をしていることを推測させるものです。
■配偶者の帰宅時間や外出日などを記録した日記日記については、客観的な価値に乏しいのですが、配偶者の動向だけを記載した日記ではなく、毎日の出来事を克明に記載した日記であれば、それだけ信用性が高まります。
仕事等の特別の用事がないにもかかわらず帰宅時間が遅いとか、外出をするといった事実は、異性と交際をしている可能性を推測させるものです。
第5章 決定的な証拠がないと慰謝料はとれない?頑張ってみましたが、ダンナが用心深くて、なかなか決定的な証拠が掴めません。
それっぽいのはあるのですが・・・。
これでなんとかならないでしょうか?
5-1 本人の合意があれば証拠は不要
不倫関係の決定的な証拠がなくとも、相手が肉体関係を自白し、慰謝料の支払いに合意をすれば、慰謝料を獲得することはできます。
ただし、後々になって撤回したりシラを切ったりする可能性があります。そのような合意をした場合、後日合意の有無をめぐってトラブルにならないように、合意書面を作成しておくべきでしょう。
5-2 複数の証拠を合わせて適切に交渉をすれば事実を明らかにできるかも
肉体関係の存在を推定させるような証拠がない場合であっても、複数の証拠を突き付けて交渉をすることによって、配偶者や不倫相手が不倫関係を認めたり、それに近い関係を告白することも少なくありません。
仮に不貞行為が立証できなかったとしても、過度に親しい交際関係の存在は、家庭破壊の原因と考えることもできます。
これにより「円満な家庭生活を害された」ことを理由とする慰謝料発生原因となることもあります。
証拠の有効性が判断できなかったり、証拠は取れたけどうまく交渉する自信がない……というようなこともあるかと思います。そんなとき、まずは弁護士にご相談ください。
6-1 弁護士が論理的に交渉することで自白するケースも
ある程度の証拠があって、有利に協議を進めるためには、冷静な話し合いが必要です。
しかし、当事者間の協議・交渉は、往々にして感情的となってしまいます。
その結果、有利な証拠がありながら、うまく不倫関係の存在を引き出すことができないこともあり得ます。
交渉を有利に進めるためには、交渉のプロである弁護士に依頼することも積極的に考えましょう。
弁護士に依頼をすれば、冷静かつ論理的に交渉をしてもらえます。
「不誠実な態度は自分にとって不利となってしまう」と悟らせることで、相手が不倫関係を自白するケースもあります。
また、弁護士はその自白を証拠化する方法も知っています。その結果、調停や裁判といった煩雑な手続きを経ることなく、協議で問題を解決することも可能となってくるのです。
6-2 適切な証拠集めのアドバイスをしてもらえる
これまで、どのような証拠が適切なのか、どこに依頼をして証拠を集めればよいのかを説明してきました。しかし、状況はさまざまです。ケースによって集めるべき証拠も異なってくることもあります。
弁護士に相談をすることで、どのような証拠をどのようにして集めればよいのか、適切なアドバイスをもらえます。
6-3 離婚や慰謝料請求をスムーズに進められる
当事者間で協議をすることは、精神的にも肉体的にもかなりの負担となります。
ましてや、調停や裁判となればなおさらのことです。
不倫という状況もあり、いろいろな手続きが苦痛となることもあります。
弁護士は、あなたに代わってそうしたすべてのことを対応してくれます。
精神的負担や肉体的負担から解放されることになるでしょう。
また、問題解決に向かって円滑に進んでいきます。
弁護士に依頼をすれば、面倒な調停や裁判を避けて事前協議で問題が解決することも多いので、スピーディーに解決ができる可能性が高まります。
しかも、できるだけ自分に有利な形で進めてくれるので、より満足のいく結果にできる可能性が高いでしょう。
6-4 不倫問題を弁護士に相談するには
弁護士にも、得意な案件とそうでもない案件があります。
そのため、よりスムーズに進めるためには、離婚問題を得意とする弁護士に依頼したほうが確実です。
離婚問題を取り扱っている弁護士を検索し、相性の良さそうな弁護士を探して問い合わせてみるとよいでしょう。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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