世界の離婚(3)~アメリカ合衆国編~
[投稿日] 2013年08月02日 [最終更新日] 2017年08月31日
国際結婚・国際離婚を得意としている弁護士
大西 洋至 弁護士 京都府
二之宮義人法律事務所「世界の離婚」第3回目は人口世界3位の国、アメリカ合衆国編です。アメリカ合衆国における婚姻制度は、各州の法律によって定められているため、まちまちになっています。今回の記事では、人口の多いカリフォルニア州とニューヨーク州について紹介します。
婚姻 【カリフォルニア州】男性・女性とも満18歳から結婚できるとされています(家族法301条)。18歳未満であっても、裁判所の許可が得られれば結婚できます(302条)。
近親婚については、(1)父母とその子、(2)親等にかかわらず尊属と卑属、(3)父母の双方または一方を同じくする兄弟姉妹、(4)叔父と姪、叔母と甥、の婚姻が禁止されています(2200条)。ちなみに、カリフォルニア州では同性の結婚も認められています(308.5条)。
同州では、結婚許可証を受け取った後、挙式を行うことが婚姻の条件とされています。結婚許可証には有効期限があり、同州では発給から90日とされています。
日本と異なり、再婚禁止期間は設けられていません。
カリフォルニア州に独特の制度としては、Confidential Marriageという制度があります。これは、一定期間の同棲を条件に、証人を付けずに婚姻できる制度で、公的記録にも記録されない、非公開の記録に記録されるのみの婚姻です。
男性・女性とも満18歳から結婚できるとされています。18歳未満の場合、裁判所の裁量で取り消される場合があります(親族関係法7条)。
近親婚については、当事者が、(1)尊属及び卑属、(2)両親または片親が同じ兄弟、(3)叔父と姪もしくは叔母と甥の婚姻が禁止されています(同法5条)
同州でも、結婚許可証を受け取った後、挙式を行うことが婚姻の条件とされています。結婚許可証の有効期限は60日です。
日本と異なり、再婚禁止期間は設けられていません。
裁判所は、以下の事由があるときに、婚姻の解消(dissolution of the marriage)または法定別居(legal separation of the parties)を命ずることができます(家族法2310条)。
- 婚姻の治癒しがたい破綻をもたらした和解しがたい不和
- 治癒しがたい精神異常
上記に加え、(1)和解しがたい不和によって、婚姻が回復しがたい程度に破綻したこと、および婚姻が解消されるべきであること、(2)当事者の間に子どもがいないこと、(3)婚姻から5年未満であること、(4)4000ドルを超える未払いの債務がないこと、(5)共有財産が12000ドルを超えないこと、などの条件を満たす場合には、略式離婚手続(summary dissolution procedure)により離婚することができるとされています(2400条)。この場合、略式離婚の申し立てから6カ月の間に取り消しの届出がなされなかったときは、婚姻が解消されます(2403条)。
【ニューヨーク州】裁判所による審議・判決により離婚理由となりうるものとして
- 配偶者の心身の福祉を危険にさらすような虐待および非人道的な扱い
- 配偶者による1年以上の遺棄
- 配偶者の3年以上の受刑・留置
- 配偶者以外との性的行為
- 裁判所の別居命令に基づき1年以上別居したことの証明を裁判所に提出したとき
- 書面による合意のもとで1年以上別居したことの証明を裁判所に提出したとき
が挙げられています(親族関係法170条)。
また、裁判所による別居命令の理由となりうるものとして
- 配偶者の心身の福祉を危険にさらすような虐待および非人道的な扱い
- 配偶者による遺棄
- 配偶者による無視(ネグレクト)または必要な助力の拒絶
- 配偶者以外との性的行為
- 配偶者の3年以上の受刑・留置
が挙げられています(親族関係法200条)。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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