世界の離婚(7)~ロシア編~
[投稿日] 2013年08月02日 [最終更新日] 2016年10月28日
国際結婚・国際離婚を得意としている弁護士
「世界の離婚」第7回目は人口世界9位の国、ロシア編です。
◯婚姻
男女ともに婚姻年齢は18歳とされていますが、特別な事由がある場合には16歳から婚姻できるとされています(家族法13条)。
近親婚については、直系血族及び兄弟姉妹間(父または母の一方を同じくする兄弟姉妹も含む)、養親と養子の間の婚姻は禁止されていますが、日本と違い、おじ・おばとの婚姻は禁止されていません。
やや特殊な規定としては、当事者の一方が性病またはHIVに感染していることを相手に隠していた場合、婚姻の無効を請求できるという規定があります(15条)。
手続面では、婚姻しようとする者が身分証書登記機関に申請書を提出し、1カ月後に身分証書登記機関に出頭して完了します(11条)。ただし、妊娠・出産などの事情がある場合は、申請書の提出時に婚姻を成立させることもできるとされています。
◯離婚
現行制度では、死別、婚姻の無効のほか、夫婦の一方または双方の申請に基づき、身分証書登記機関または裁判所手続で解消されます(16条)。なお、夫は、妻の妊娠中及び子の出生後1年間は、妻の同意なく婚姻の解消を申請できないとされています。
まず、身分証書登記機関における婚姻解消ですが、この手続が利用できるのは以下の場合です。(1)の場合は、日本における協議離婚に近い形になります。
- 夫婦の双方が同意しており、かつ未成年の子がいない場合
- 夫婦の一方が
- 失踪宣告を受けた場合
- 行為無能力者と認定された場合
- 3年以上の懲役刑を宣告された場合
(2)の場合には、未成年の子がいても、他方当事者の申請により婚姻が解消できるとされています。
次に、裁判所手続による婚姻解消ですが、こちらは身分証書登記機関による婚姻解消ができない場合(婚姻の解消には同意しているものの、身分証書登記機関による解消を拒んでいる場合も含みます)に利用されます。ロシアの家族法には、法定離婚事由がなく、裁判所によって、今後の夫婦の共同生活及び家族の維持が不可能であると判断されると、婚姻の解消が認められることになります(22条)。
最後に、子供の親権ですが、子と別居している親も、子との面接権、並びにその養育への参加権及び子の受ける教育の問題について決定する権利を有するとされ、また、同居する親は子に害を及ぼさない限り、子が他方の親と面接することを妨害してはならないと規定されています(66条)。
次回は英国編をお送りします。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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