世界の離婚(18)~タイ編~
[投稿日] 2013年08月02日 [最終更新日] 2017年08月31日
「世界の離婚」、第18回目の今回はタイ編です。
婚姻婚姻年齢は男女とも17歳です(民商法典1448条)。ただし、未成年(20歳未満)の場合は、父母等の同意が必要となります(民商法典1454条、1436条)。また、婚約についても規定があり、婚約解消事由などが法定されています(民商法典1435条以下)。
近親婚については、直系血族、両親または一方の親を同じくする兄弟姉妹との婚姻が禁止されています。
再婚禁止期間の規定があり、女性は夫の死亡後、もしくは前婚の解消後、310日間は婚姻することができません(民商法典1453条)。ただし、(1)その期間内に子が出生した場合、(2)離婚した夫婦同士が再婚する場合、(3)医師が発行した懐胎していないことの証明書がある場合、(4)婚姻を許可する裁判所の命令がある場合、には婚姻することができます。
婚姻には、登録官の面前で公開して婚姻の同意を宣言する必要がありますが、宗教上の儀式や証人は不要です。
離婚タイにおいては、協議による離婚が認められています。協議離婚は書面で行う必要があり、2人以上の証人の署名も必要となります。
裁判による離婚の場合、法定の離婚原因は以下の通りです。
- 夫が妻以外の女性をあたかも妻であるかのように扶養し、もしくは礼遇したとき、または妻が姦通したとき
- 配偶者が不行跡であり、このため他方の配偶者が、(a)著しく恥辱を受けるとき、(b)不行跡である配偶者の夫または妻であり続けることにより軽蔑され、もしくは嫌われるとき、(c)夫婦としての状況、地位及び同居を考慮すると、過度の障害または困難を被るとき
- 配偶者もしくはその尊属の身体もしくは精神に重大な障害を与え、もしくは拷問を加え、または著しく侮辱したとき
- 配偶者を1年以上遺棄したとき
- 失踪宣告を受けたとき
- 配偶者に対し相当な扶養及び扶助を与えず、または夫婦としての状況、地位及び同居を考慮すると、配偶者が著しく困難な状態となる程度まで、夫婦の関係に著しく反する行為を行ったとき
- 3年以上継続して精神異常の状態にあり、回復の見込みがないため、婚姻の継続を期待できないとき
- 善行の約束(bond of good behavior)を破棄したとき
- 不治の危険な伝染病にかかり、配偶者に感染のおそれがあるとき
- 肉体的に欠陥があり、夫婦としての同居が永久に不可能であるとき
特徴的なのは、8番目の「善行の約束」ですが、これは夫婦相互の同意のもとに作成される書面による善行の同意のことです。
上記のいずれの理由によっても、離婚を請求することができますが、(1)と(2)については、相手方配偶者が同意または黙認した場合、(8)については、約束違反の行為が軽微な場合、(10)については、その原因を相手方配偶者が作った場合には、離婚できないとされています。
タイでは、離婚後の親権は単独親権とされており、協議離婚の場合は離婚時に親権者について書面で合意しなければならず、裁判離婚の場合は、裁判所が親権者を指定します。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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