世界の離婚(19) ~ブラジル編~
[投稿日] 2013年08月02日 [最終更新日] 2017年08月31日
国際結婚・国際離婚を得意としている弁護士
藤田 聖典 弁護士 岐阜県
多治見さかえ法律事務所「世界の離婚」、第19回目の今回はブラジル編です。
婚姻婚姻年齢は男女とも16歳です(民法1517条)。ただし、未成年(18歳未満)の場合は、父母等の同意が必要となります。
近親婚については、直系血族、直系姻族、養親と養子の配偶者間、養子と養親の配偶者間、兄弟間、3親等までの傍系親族間の婚姻が禁止されています。また、生存配偶者と他方配偶者の殺人犯または殺人未遂犯との婚姻も禁止されています。
再婚禁止期間の規定があり、女性は夫の死亡、もしくは前婚の解消から、10カ月間は婚姻することができません(民法1523条)。また、男女を問わず、遺産分割(死別の場合)や財産の分割(離婚の場合)が終わっていない者は婚姻することができません。
ブラジルでは、婚姻に先立って婚姻資格申請書を提出する必要があります。申請があると、登記官は婚約者双方の管轄民事登記所に15日掲示するとともに、新聞に掲載します。問題がなければ、婚姻資格証明書が発行され、婚姻の準備が整います。
挙式は、原則として登記本部において、扉を開放して全て公開し、証人2名の立会いをもって行われます。
ブラジルは、カトリック思想の強い影響を受けていたため、離婚を認めていませんでしたが、1977年の憲法改正によって離婚が認められるようになりました。ただし、直ちに離婚を裁判所に申し立てることはできず、法定別居から1年経過するか、事実上の別居から2年経過しないと、離婚を請求できません。
法定別居は、(1)配偶者の一方による法的別居訴訟が認容された場合、(2)1年以上婚姻した夫婦双方が裁判官に別居の意思を表明し、その協議が認証された場合などに認められます。
訴訟による場合、他方配偶者が婚姻義務の重大な侵害行為をし、共同生活が不可能になったことが必要となります。ブラジル民法では、以下のような事由が発生した場合に、共同生活が不可能であるとしています。
- 姦通
- 殺人未遂
- 虐待または重大な侮辱
- 1年以上継続的な家庭共同生活の放棄
- 名誉毀損罪による有罪判決
- 不名誉な品行
上記の事由のほか、裁判官は他の事実を原因として、法定別居を認めることができます。
ブラジルでは、離婚後の親権は共同親権とされています。また、父母のいずれかが親権または監護権を有する場合に、親権又は監護権を有さない一方の親が他方の親の同意を得ずに子どもを連れ去る行為は、刑法または児童保護法に定められた未成年者略取罪とされます。
そのため、ブラジルに住んでいる日本人の親が、他方の親の同意を得ないで子供を日本に一方的に連れて帰ると、たとえ実の親であってもブラジルの刑法または児童保護法に違反することとなり、ブラジルに再渡航した際に犯罪被疑者として逮捕される場合があります。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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