中絶費用の分担を相手に対して請求できますか?

Legalus編集部さん 2016年08月26日

 妊娠をして彼に告げたところ、「他にも相手いるんでしょ?今は無理だけど今後妊娠したら産ませる」と言い、しまいには、「俺に頼らないでくれる?仕事場来たら辞めるから」など言われました。金銭的余裕も無く一人では育てられないし、中絶するしかありません。

 ただ、こちらを気遣う言葉も無く、逃げに入っている彼を許す事は出来ません。この場合彼に対して慰謝料を請求する事は可能でしょうか?



(20代:女性)

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Legalus編集部

     結論から先に申し上げれば、法的手段に訴えて慰謝料の請求はできるものの、それが訴訟上認められる可能性は不透明であると思われます。



     基本的に、慰謝料請求をしようとする場合、法的手段としては、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)というものがあります。

     これは、故意または過失によって、相手の権利侵害をした場合、当該権利侵害によって生じた損害についての賠償請求を行うというものです。



     未婚の男女が合意の上で性交渉を持ち、その結果妊娠した場合、「合意に基づくため、妊娠という結果に対する責任は女性側にもある。また、そもそも性交渉は妊娠に向けての行為であり、権利侵害というものを想定しづらい」ということなどが言えるためです。



     ただ、妊娠が発覚した後、女性側に生じる精神的、肉体的な負担に対して何らの配慮もせず、結果的に女性が精神的な苦痛を被った場合に中絶費用の分担を認めた裁判例もあります(東京高判平成21年10月15日)。



     したがって、訴訟活動を通じて損害賠償請求はできるものの、認められるかどうかはわからないという状況です。

     訴訟には時間も費用もかかります。それらの「コスト」を支払ってでも、「相手にも時間や訴訟費用などでの負担が生じるし、こらしめる意味でも訴訟を起こす」ということは可能ではあります(訴訟の勝敗は別にして「それでも訴訟を起こす」というケースは実務上よくあります)。



     しかし、今回のケースではご相談者様は妊娠をしています。彼とお腹の中にいるお子さんともしっかり向き合って、今後のことをじっくり考えることが望まれていると思います。

2016年08月26日

妊娠・中絶に強い弁護士

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