モラハラ夫を捨てるとき―離婚に向けて準備しておくべき3つのポイント―
[投稿日] 2017年03月23日 [最終更新日] 2017年03月23日
原因・理由を得意としている弁護士
土屋 健志 弁護士 神奈川県
川崎つばさ法律事務所離婚には、協議離婚(民法763条)、調停離婚、審判離婚、裁判離婚(770条)という4種類の離婚があります。
まず、協議離婚とは、夫婦で話し合い、お互いに合意をして成立する離婚です。これは、離婚の合意・離婚届の提出・子供がいる場合には親権者を決定することで成立します。
次に調停離婚は、話し合いでは離婚が出来ない様な場合に、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて行う離婚です。家庭裁判所の調停では調停委員が間に入り、離婚・財産分与・養育費・慰謝料等の話合いが行われます。なお、家事事件手続法は調停前置主義を定めており、裁判離婚を行うよりも先に必ず調停を行い、調停不成立になっていることが必要とされています。
審判離婚は、調停が成立しない場合に家庭裁判所が職権で行う離婚の審判のことです。
最後に裁判離婚とは、協議離婚が不成立の場合や調停離婚が不成立となった場合に、夫婦が離婚の訴えをして行われる、裁判によって成立する離婚です。
上記で述べた協議離婚では、基本的に夫婦間の話合いによって離婚が成立します。しかしそれ以外の離婚の場合、どちらか一方が離婚を拒んでいる場合や、離婚の条件がお互いに合致していない場合が多く、離婚事由があるかどうかは重要な問題となります。
民法上は、5つの理由が定められており(民法770条1項)、このうち1つ以上の理由があれば離婚が認められます。
まず、1つ目は相手の浮気です。配偶者以外の異性と性的関係を持った場合、もう一方の配偶者は浮気をされたことを理由に離婚することができます。
2つ目は、配偶者の悪意の遺棄があることです。これは民法752条で定められている夫婦間の相互扶助義務に不当に違反することです。
次に3つ目は、3年以上配偶者が生死不明の場合です。
そして4つ目は配偶者が回復の見込みがない強度の精神病に罹患している場合です。
最後の5つ目は婚姻を続け難い重大な事柄がある場合です。例えば配偶者の難病、宗教活動や性の不一致、性格の不一致、暴力がある場合などです。
離婚が成立すると、婚姻関係が消滅します。そのため双方に再婚の自由が認められ、婚姻で氏を変更していた配偶者は婚姻前の氏に戻ることになります(民法767条1項)。
また夫婦間に子供がいる場合には、子の監護者と親権者が決定します(766条)。さらに財産関係の清算のため、財産分与も行われることになります(768条)。
離婚すると、それまで生活を共にしていた夫婦の生活基盤は解体され、婚姻前の状態に戻ることになるのです。
モラハラ夫を捨てるための3つのポイントモラハラ、つまりモラルハラスメントを行う夫は、家庭内で無視をしたり、機嫌が悪いことをアピールしたり、物に当たったりはしますが、暴力は振るいません。そのため、モラハラ夫を捨てるためには、離婚事由があるかどうかが一番の問題になります。
協議離婚で離婚が成立すれば問題ありませんが、モラハラ夫は、妻と別れたいわけではないケースも多く、妻が希望する離婚を拒絶することがあるのです。
そこで、上記で述べた「婚姻を続け難い重大な事由がある」という証拠を妻自身が残しておくことが必要です。モラハラ夫の行動を撮影したり、日付を書いた日記形式でモラハラ夫の行動を書いておくなどして準備をしておきましょう。
次に、財産関係の処理です。離婚すると財産分与が行われますが、モラハラ夫は自分の預金額や財産額などを正直に申告しない可能性もあります。そのため、離婚を夫に提案する前に通帳のコピーをしたり、夫の給与明細のコピーをとっておくようにしましょう。
また、長年のモラハラによって精神的苦痛を受けていたという証拠を残しておき、離婚する際に慰謝料請求ができるかも検討してみましょう。
最後に、子供がいる場合はモラハラ行為を行う夫に親権を任せられないことを主張し、妻自身が親権をとれるように準備しておきましょう。
子供の養育費は、モラハラ夫の場合、離婚後は支払わない可能性もあります。そのため公正証書を作成しておき、いざという場合は給与に対して強制執行できるようにしておきましょう。
離婚に向けてしっかりと下準備を行い、安心して人生の新しい一歩を踏み出せるようにして下さい。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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