死別の場合は離婚にならない?新しい生活に踏み出すための手続きとは
[投稿日] 2017年06月21日 [最終更新日] 2019年10月29日
原因・理由を得意としている弁護士
夫婦のどちらか一方が死亡すると、夫婦の婚姻関係は解消されます。
これを「死別」と言います。
では、死別した場合は自動的に離婚になるのでしょうか?
実は、「死別」したからと言って「離婚」になるわけではないのです。
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弁護士を探す(無料)(1)氏の変更
一般的な「離婚」の場合、婚姻により氏の変更のあった人は離婚が成立するとともに、基本的に婚姻前の氏に戻ります。(民法第767条。「婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。」)
そこで、離婚後も婚姻中の氏を使っていたい場合は、「婚氏続称」の手続が必要になります。(民法第767条2項。「前項の規定により、婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。」)
「婚氏続称」の手続は、「離婚の際に称していた氏を称する届」を市町村役場へ提出すれば完了します。ただし、離婚の日から3か月以内に提出をする必要があり、この期限は天災などの事情があっても延長されません。
一方で、「死別」の場合は、当然に婚姻前の氏に戻るわけではありません。結婚前の氏に戻したい場合は、別途「復氏届」を市町村役場へ提出する必要があります。
(2)姻族関係
「離婚」の場合は、離婚が成立するとともに、姻族関係(配偶者の血族などとの関係)も自動的に消滅します。
つまり、離婚すると、夫婦の関係が終了するだけでなく、配偶者の両親や兄弟などとの親戚関係も終了することになります。(ただし、関係なくなるのはあくまで配偶者だけで、親権などに関わらず子どもと両家の祖父母や叔父、叔母などとの親戚関係は継続します。)
一方、死別の場合、夫婦の婚姻関係は終了しますが、故人の親族との姻族関係は終了せず、継続します。
では、死別して、姻族関係も終了させたい場合にはどうしたらいいのでしょうか?
姻族関係を終了するには、「姻族関係終了届」を提出する必要があります。
「死別」は「離婚」ではないことから、この「婚姻関係終了届」を提出することによる「姻族関係の終了」を俗に「死後離婚」ということもあります。
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弁護士を探す(無料)姻族関係終了届とは、配偶者が死亡した場合で、配偶者の親族との姻族関係を終了したい場合に届け出る書類です。
提出する人届出ができるのは、故人の配偶者のみで、故人の親族からの届出はできません。
なお届出には、故人の親族の同意は必要ありません。
届出先は、届出人の本籍地または住所地のある市町村役場です。
姻族関係終了届を提出し受理されれば、死亡した配偶者の親族との姻族関係は終了します。提出の際に必要なものは、戸籍謄本と印鑑のみで足ります。
家庭裁判所での手続なども必要ありません。
姻族関係終了届は、配偶者の死亡後であれば、いつでも提出できます。期限はありません。
夫婦に子どものあった場合は、故人の配偶者が姻族関係終了届を提出し、故人の親族との姻族関係を終了したとしても、子どもと故人の親族との姻族関係は終了せず継続します。
また、姻族関係終了届が受理され、姻族関係を終了したとしても、戸籍はそのままで、相続の権利もそのまま継続します。
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弁護士を探す(無料)以下の場合には、別途復氏届を提出する必要があります。
- 婚姻前の姓に戻したい場合
- 故人の戸籍から抜け、婚姻前の戸籍に戻りたい場合
- 故人の戸籍から抜け、新しい戸籍を作りたい場合
ただし、夫婦間に子どもがいた場合、子どもは故人の戸籍のまま残ります。つまり、復氏届を提出し、故人と別の戸籍になった場合、子どもとも戸籍が異なり、姓も異なることになります。
子どもも自身の戸籍にいれて同じ姓にしたい場合には、家庭裁判所へ「子の氏の変更許可申立」をする必要があります。裁判所の許可が出れば、市町村役場へ「入籍届」を提出し、子どもを同じ戸籍に入れることができます。
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弁護士を探す(無料)配偶者と死別し、その後、再婚をした場合であっても、姻族関係終了届を提出しない限りは、前の配偶者の親族とも姻族関係は継続します。つまり、姻族関係のある親族が2つ存在することになります。
姻族関係があっても、特に大きな問題があるわけではありませんが、姻族関係にあることで、扶養の義務が生じる可能性もあります。
再婚する際は、姻族関係について考え、可能であれば、親族ともしっかりと話したうえで、必要な場合には届出を忘れないようにしましょう。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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