離婚手続きは女性が有利?情報まとめ
[投稿日] 2017年08月21日 [最終更新日] 2017年08月22日
原因・理由を得意としている弁護士
岡 直幸 弁護士 福岡県
ゆくはし総合法律事務所細川 宗孝 弁護士 神奈川県
やまもと総合法律事務所離婚手続きにおいては、財産分与や親権、養育費の支払額・方法など、議論される論点が数多く存在します。一般的に世帯主(扶養者)であると考えられる男性からすると、稼いだお金や手持ちの資産は財産分与によって元妻に分け与えたり、親権は母親に認められたりすると、制度自体が男性には不利と感じられるケースがあるかもしれません。
今回の記事では、離婚を巡る代表的なトピックを3つ挙げるとともに、男性が手続きを有利に進めるためのポイントについてご説明していきます。
財産分与は「半々」が一般的仮に夫だけが仕事をしていて、妻が専業主婦であったとしても、婚姻期間中に築き上げられた財産は「共有財産」、つまり二人の協力によるものと判断されるのが一般的です。
財産分与は、夫婦が築き上げた積極財産、もしくは、結婚生活に必要な債務を負担したというような消極財産を対象とするものですが、それは客観的に算出されるものですから、これを二分してそれぞれが取得することになります。
ですから、財産分与自体で揉めることはあまりありませんが、夫側がそこでも頑張ることがあります。概ね、自分が稼いで、妻は専従主婦だったのだから、夫婦共有財産の形成に対する寄与度(貢献度)が低いとの主張をするのです。夫婦関係が破綻しているから言いたい放題となるのです。
しかし、このような主張が受け入れられることはあまりありません。現在では、半々とするのが一般的です。(中略)
多くの場合、財産分与の請求は、専業主婦であった妻側からなされることが多いのですが、男性のみならず女性が不貞行為に至ることもあって、この場合、男性側から、不貞行為をして婚姻生活を破綻させたのだから、財産分与をしない、したとしても半々とすべきではないとの主張が出されることがあります。
もっとも、財産分与は、客観的に存在する夫婦共有財産を、客観的に分与することですので、有責配偶者であっても、財産分与を受けることができます。
つまり、婚姻期間中に築き上げられた財産や負担した債務は、夫婦が二分して取得するのが一般的である、ということです。この原則は、仮に妻側が浮気したなどの「有責」であったとしても変わりません。
親権は母親が有利になるケースが多い子どもがいた場合、どちらが親権を手にするかが議論されます。財産分与と同じくかなりもめることもあるのですが、やはり母親に有利になるケースが多いようです。
裁判所は、子供の利益を考えて親権者を決定しますが、具体的には、父母それぞれの監護能力、経済的能力、居住や教育環境、婚姻中の監護状況、子供の年齢、子供の意思などを考慮して決めることになります。
また、一般的には、継続性の原則(できるだけ現状を変更することは避けるとの原則)、母親優先の原則(子供が乳幼児であれば母親が望ましいとの原則)、意思尊重の原則(ある程度意思表明をすることができる子供の場合には、その意思を尊重するとの原則)があるとされています。妻が、子供を連れて別居した場合の多くは、妻が親権者となっています。また、一方配偶者が不貞行為をするなど婚姻生活破綻の原因を作ったとして、そのような不貞行為をする者に親権者としての資格はないとの主張も時々なされます。しかし、不貞行為をするからといって、子供の親権者としてふさわしくないということにはなりません。
経済的能力や子どもの意思などさまざまな条件を勘案して親権が決められるのですが、実際のところは「母親優先の原則」などに基づいて母親に親権が認められるケースが多いようです。特に、子どもを連れて行かれた場合には、親権を父親が手にするのがかなり難しいと考えられます。
養育費を支払わないと強制執行になることも子どもの親権が母親に認められたとしても、父親が子どもに対する一切の義務から解放されたというわけではありません。
かつては、養育費の負担、その額も重要な問題でした。離婚をして、例えば母親が親権者となったとしても、父親は子供に対して生活保持義務を負担していますから、離婚時に又は離婚後に、養育費を定めることとなり、現実に子供の監護をしている母親は、父親に対して養育費の請求をすることができます。
先にかつては重要な問題であったと述べましたが、今では、家庭裁判所が作成した養育費算定表が活用されていて、夫婦それぞれの収入、子供の年齢、子供の人数に応じて、養育費が算定されていますので、昔のように養育費の額で揉めるということは少なくなりました。もちろん、算定表が絶対というわけではなく、種々の事情を勘案して、加減がなされることもあります。
(中略)
養育費が支払われない場合、家庭裁判所による履行勧告、履行命令、金銭の寄託という方法を採ることができますが、最も有力な方法は強制執行です。例えば、5歳の子供がいて離婚をし、20歳まで毎月5万円の養育費を支払うこととなっていたとしましょう。離婚から1年間は毎月5万円が支払われていたのですが、その後途絶えて1年が経過してしまったというケースでの強制執行ですが、途絶えた1年間の5万円×12か月の60万円のみならず、20歳までの養育費のすべての合計の840万円で強制執行をすることができます。
母親に親権があったとしても、父親は「生活保持義務」を果たすために養育費を支払わなければいけません。しかも、支払いをやめてしまうと最悪の場合「強制執行」によってより多くの金銭負担を求められる可能性も出てきます。
離婚手続きを有利に進めたければ専門家に依頼するのがベスト財産分与・親権・養育費といった代表的なトピックについて見てみると、主な世帯主である男性側からすると「納得が行かない」と感じられることが多いかもしれません。実際の離婚手続きは、ケースバイケースで必ずしも妻(母親)有利というわけではありませんが、少しでも有利に進めたければ戦略や論理を練る必要があります。Legalusでは、離婚問題に関するQ&Aが数多く掲載されていますので参考になるでしょう。
また、実際の手続きに臨むにあたっては、自分一人ではなく弁護士に依頼するのがベストです。Legalusでは離婚問題に強い弁護士を探すことができますので、相談してみるとよいでしょう。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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